【記録】
――旅先では色々な人に出会ったことはあったが、”ロドスアイランド”という組織を見たことは無かった。彼らが救出した人達に紛れ込んで、私達は何処に行くのかを見てみたい。彼らは最後は何処に行くのだろうか。
…アーミヤはまだ遠くを見つめたままだったが、答えを教えてくれるのだろうか?
「――天災の前では全てのものは無意味となるでしょう」
「こんにちは、また会いましたね。早く避難するべきかもしれません。私の後を付いてくるのではなく…」
「あなたが知りたいのは…。ごめんなさい、あの日、私が言ったことがきになっているのかもしれませんが、あれはただ適当に答えただけです」
「私は皆さんと同じところにはいません。身も、心も…」
[記録]
灰色で暗い、混沌とした雲が風に巻き上げられて遥かな地平線の外に出て、霧が空との境界をぼかし、温度は0度以下に下がり、吐く息は一瞬にして白煙となった。足元は黒い荒廃した土地で破壊された建物を乗り越えて進んでいく。
目の前にあった全てが失われ、文明世界から来たことを忘れてしまいそうだ。
[記録]古い叙事詩には嵐、隕石、洪水は星からの警告であり、それらに秘められた力はいとも簡単に私達ご自慢の物を破壊することが出来る――目の前にある断崖がその証明だろう。
私達は”文明”という偉大な砦を持っていたが、今考えればそれは――
「そこまでおっしゃるのであれば…。何をお渡しすれば手ぶらで帰らずに済みますか?」
「分かりました、撮っても構いません、1枚だけならば…」
[記録] *大量のこの種については説明は典籍にしか存在していないが、血縁種との相違点によって判断することは出来る。遺伝学の表現によっては個体間にも大きな差が存在する。天災が急激に発生していた鉱石工業の時代では政権間の対立により、こういった類の種族混合の産物が生み出されることはほぼ不可能だった。当然のことながら生命の存続を繋げるという常識を考えないのであればキメラを生み出す危険な方法はあるのかもしれない。
もし彼女が私を騙していないのであればだが。
「これから私達は時間に厳密に従って計画を実行します」