…
以前は僕はずっと素晴らしいトランスポーターなのだと思っていた。
トランスポーター、荷物、手紙の搬送。
それは思いかもしれないし、財産たったかもしれない。時には破滅を連れて行っていたのかもしれない。
父はすごい人でミノスから龍門までを峯驰急便で確立させた。
利益、媚び、党同伐異。
これらはとても複雑で、面倒くさいものだが僕でも何とかすることは出来る。
だけど父は僕に教えてくれた…。
大地の向こう側はもっと素晴らしいものだと。
…は!僕は…。
何ぶつくさ言ってんだ!?
…。
目が覚めたなら大人しくしておけ、そのほうが身のためだぞ。
ふん、リーダーがペンギン急便を解決したら、お前も処理してやる。
(僕は…こいつらに…テキサス達はまだマフィアと戦っているのだろうか?)
(くそ…どうして僕は役立たずなんだ…僕だって峯驰急便なのに…)
(…車が止まった。)
俺たちが、リーダーがそのフォルテのガキを捕まえた…。
待て、何をするつもりだ!?
これはカポネさんの命令だ。
カポネ?これはリーダーの命令だぞ!あいつ大胆にも馬鹿なことを――。
何が大胆だ?
(発砲音)
――!
こんにちは、峯驰急便のお坊ちゃん。
ちゃんと会うのは初めてだよな、なあ?
…仲間を射殺したのか?
裏切り者を罰することは龍門の掟には反していないだろう。
そういうことじゃない…お前は何をしたいんだ?
取引だよ。
つまりところ、ガンビーノの役立たずのファミリーを栄光で溺れさせるんだよ。
一部の人は無意味な副葬をしたいとは思っていない。誰がそんなことを考えてるのか?
だから?
ガンビーノの相手をするのを手伝ってあげよう。
僕はお前を信頼は出来ないな。
…ペンギン急便のほうもどうにかしてやってもいい。
…
俺は馬鹿じゃあない。龍門に何年もいた。とっくに色んな準備はしてある。
お前の父は権力を握っている。龍門の7割以上の民間トランスポーターを占めている。
それに龍門上層部との戦略提携もある。
どう見ようが、ペンギン急便はお前たちにとって最大の障害だ。
俺たちの目標はペンギン急便の全てのルートを引き継ぐということだけだ。この義理を負うことが出来れば、俺たちとの間の商売はまた相談してやる。
父と皇帝さんが対立していると思っているのは遺憾だな。それにお前たちの推測は独善にしか過ぎない。
峯驰急便という巨大なものの最終決定権を握っているのが本当にお前の父親だと思っているのか?
お前は俺たちを軽蔑しているようだ。まあ、今のファミリーは何度もの偶然が重なった失敗の中で消耗してしまっているかもしれんが…。
だが、昔、俺達の祖先はシクラーゼの真っ黒な議事堂の盤上にいた。自慢できる自称「シシリアン」。
権力は絶えず移り変わり、血だらけになり、朱に交わり赤くもなった。
正直言え、父の周りの人達はペンギン急便についてどう思っている?龍門についてどう思っているんだ?
お前もどう思っている?
…お前はファミリーが何だと言っているが、さっき自分のファミリーを殺したな。
僕がお前の提案を受け入れると思うのか?
あいつの死は単純だ…利益交換だよ。
ふん、支払いは紙幣か爆弾かは神のみぞ知るっていうことか
――残念だよ、お前はもっと大人だと思っていたのに。お前はお前とは関係ない矮小なもののために命を落とすことになるんだな。
――!
怖いのか。いくら峯驰急便の部門経理と言えば、所詮お前は乳臭いガキってことだよ。
…知らないのかもしれないけど、ミノスの若者はいつも大胆で有名なんだよ。
やはり考えを変えるつもりはねえってことか。
もしお前が生きていくことが出来れば、もっと多くのことを見ることが出来ただろうにな。残念だが、今のお前には死ぬ道しか無いが。
(ちっ――!このロープどうしてこんなにもしっかりしているんだ、間に合わないぞ!)
例えお前が死んでも、峯驰急便は扱いきれないだろうよ。龍門近衛局にも影響は出るかもしれん。事態はより混乱するだろうが、それは俺らには好都合だ。
短い会話だったな。さようなら、お坊ちゃん。
あれ、バイソンに手を出すのは裏切り者を罰するっていう範疇には入らないよ。
それともそれはこれで終わりってことで良いのかな?
誰だ!?
通りすがりのトランスポーター。
お前に対しては色々あるぞ、長い角のサンクタ、今晩は色々と迷惑掛けられたな。
それは光栄だね。
ペンギン急便に関する情報には一切無いが、お前は一体何者なんだ?
うーん…それ答えなきゃだめ?
私は無くした小包を探しに来ただけなんだけどなあ、うん、普通にトランスポーターみたいにさ。
カポネさん、ここはもう俺たちが占拠しました。ここはあなたをサポートする人しかいません。あの女は孤立無援です。
…。
何?始める気?
私は大丈夫。いつでもお供するよ。
ふん…ただのトランスポーターね。
いや、結構だ。途中で止めるわけにいかないんでな。俺たちにはそれぞれやるべきことがある。
カポネさん!
死にてえなら自分で行け。
俺たちは生きるためにやってるんだ。本末転倒なことはするな。
…そんなに怖がらないでよ。私は本当にただのトランスポーターなんだからさ。
長い角を持つサンクタが自分を普通だって言って、誰が信じるっていうんだ?
俺はお前とは戦うつもりはない。
さっきまで人を殺して口を塞いでたくせに、もう人を放したくなったのかな?
マフィアの人生はこんなもんだ。多くの喜びの中には意外な事故が満ちているんでね。
まあ、お坊ちゃんが協力したくないというのであれば、死なせるのもあれだし、他の方法を探しにいくするか。
…。
機会があれば、今度会おうぜ。
その時にはお前たちはガンビーノに処理されているか、それとも、その逆となっているか。
…本当に行ってしまった。
もう自分で縛りは解いたんでしょう?手は貸したほうが良い?
大丈夫です。自分で立てます。ありがとうございました、モスティマさん。
他の人は?
え。
ええっと、あなたの顔を見る限り、振り回されているみたいだね。
…彼らのペースはちょっと早すぎます。
だから注意したでしょ。それで彼らは?
テキサスは「大地の果て」に行くと言っていました。一時間後にそこで集合だと。
分かった。案内してあげるよ。
その大地の果て…というのは一体どういう意味なのですか?
んー….この名前の由来はよく分からないけど、今はボスの私有財産の拠点の一つだよ。
各地から来た人達、少なくとも地下勢力の間では有名かな。
それは一体――。
実際のところはバーだね。
…。
モスティマさん、僕たちは何を…。
テーブルクロスに隠れて大きなお化けになるんだ。これが一番効果的な仮装だからね。
ええっと、僕が聞いたのはどうして僕たちは大きな幽霊を装うのかって…。
鎮魂の夜の雰囲気に合ってるでしょ。他の人達は私達が何かやってるくらいにしか思わないでしょ?
さっきの「カポネさん」っていうのはあまり遠くには行っていない。
――!
突然黒い角を持ったサンクタ人が現れて、杖を持ってすごい剣幕で――。
あいつのように何かを掌握したいと思っている人は、いつも慎重でしょ?
そ、そうですね。
法杖…気付いたのですがモスティマさんってオリジ二ウムアーツの使用者なのでしょうか?
昔色々あってね、私もいくつかシステム的なトレーニングを受けたことがあったんだ。
毎日寝て怠けているエクシアとは全然違うのだよ。
なるほど…。
モスティマさんってやっぱりエクシアさんとは旧知なのですね。
はは、本来なら私達はにぎやかな歓迎パーティでもっと言いたいことを存分に言い合うべきなんだろうけどね。
たまに爆発や襲撃が起きるのは当たり前なんだ。それこそがペンギン急便だから。
当たり前ですか…。
意外?
僕はモスティマさんのようなトランスポーターもあるのだろうとは思うのですが…流石に謎めいた噂がとても多くて…。
失望した?
いえ、そんなことは!こういうのは失礼ですよね、すいません!
私もペンギン急便の一員だからね。トランスポーターっていうのはこの大地の隅々まで現れる。「臨機応変」これが社員としての第一か条だから。
第一か条がどんどん多くなっていく…。
思い出してみるか。ここを左に曲がって、右に曲がって、三番目の路地口を曲がって…あー、近道するか。
時間もだいぶ遅くなったのに路上にはますます人が多くなっていますね。
それが鎮魂の夜の魅力だよ。
気になるでしょ?外には花屋と鎮魂の夜のパーティをやっているのにここは悪い下水道の蒸気しか無い。壁一つ隔てているだけなのに。
….興味深いですね。
時間が迫っているから、足を早めないと。
これは、墓地?
ああ、墓地を都市の中心地に置くことができるのは龍門だけだからね。
…あの人達、みんな喪服を着ている。
厳粛な弔辞はラテラーノでの日々を思い出させるよ。
ラテラーノ…どういう場所なんです?
興味があるのかい?
そうですね。本当はもっと遠くに行ってみたいと思っています。
だけど、いつになったら僕は国際的なトランスポーターとなれるのやら…はあ。
都市間のネットワークは以前よりもずっと発達をしている。いつかは都市を離れる機会もあると思うよ。
…まあ、距離が遠くなるほど、意味は重くなっていくけど。
国家と国家の間を旅するのはやはり辛いのですか?
あー…本当のことを言えば一番大きな問題は天災だよね。誤って直面することにあんれば、君が直面する的というのはテラの全てということになる。
以前に中継書て天災特使の報告を忘れてしまっていてね。いくらか山からは離れていたけど、その時に遭遇したかな。
黒い雲が低く垂れてきて、暴虐の空はお前を敵にしているようで、すごく良くない感じがした。すごくね。
天災…移動都市であれば直撃はしないでしょうね。
他にも色々とトラブルはあるよ。
都市は天災を避けるために街を移動させているから、元々近くにあった目的地はどんどんと遠くなっていく。想像してごらんよ?
それは本当に大変ですね。大変過ぎる。
だから天災特使の同僚達とは仲良くしておかないとね。彼らが定期的に連絡をしている間は居眠りをしないようにしないと。
…はは。そういった話をしていると、まるでモスティマさんが同業者みたいだ。
…。
あ、すいません、少し緩んでいました。
――モスティマさん?
…ん?ああ、ごめん。すこし思い出してね。
私達は墓地を通る必要がある。歩調は軽くね。
はい。
鎮魂の夜の起源って知ってる?
突然どうしたのですか?サルカズの古いお祭りと関係があるとは聞きましたが…。
鎮魂の夜は古代サルカズのとある祭りが由来なんだ。昔はこの名前が持つ意味はもっと複雑なものだったんだ。
ほとんどの祭りには祭りの音や崇拝の響きと関係がある。ほとんどの人は忘れているけども。
人々は死者の魂を迎えて、鎮魂の夜に彼がこの世に残した執念を癒やし、輪廻を行う。
今日、こんなことを本気にする人は少ない。
生者達は踊りながら霊を演じるのだけれど、本当に死者がいる墓地には誰もない。これって良くないよね。
きっと経験することが多すぎて、そういうのを忘れて自分を慰めたいと思っているのかもしれません…。
私達は多くのことを経験した。この世で最も欠けることのないものは災難なんだろう。
花を捧げている墓参りを見ているだけ、気持ちは落ち着くと思うんだ。
…ええ。
そういえば、モスティマさん、先程自分の小包を取り戻すと行っていましたよね…。
言ってなかったっけ?
何がです?
大金を払って頼んできた人がいるんだ。依頼の内容は「バイソンにこの世を見せる」。うん、まあ、とてもスタイリッシュな依頼だよね。
と、父さん…。
それであなたの考察の程度はどれくらいなのかな?実は私の意見もそれによるのだけれど。
へ?
…こんなに遅いと誰もおらんか。
百家の飯を食べて育った子どもたちが本当に会わないとは言わないですよ。オリパシーと言えどあなたは考えすぎよ。
董おじさんはとても元気に過ごしているわ。商売もずっと悪くはなかった。この2、3日小学校の生徒も連れてきた。
あなたがやるべきこことは人に心配をかけさせないこと。商売をきちんとやらないのであれば何かしなければいけないわ。
ばあさん、言ってくれるな。
あなたには良心が無いのかしら?早くろうそくを!
わしは怒って…あ、ここか。
ふん、こんな青二才が喫煙を習うなんてな。人もいなくなった。今ふと思い出したが、あいつに火を渡したことは無かったな。残念だ。
ろうそくの調子が良くないから、タバコを貸そう。
くさいわね、本当にタバコを吸うつもり?大きいのも小さいのも無いわ。早くろうそくを換えて頂戴。
はいはいはい。点けるぞ。
发ちゃん…
もういいだろ、鎮魂の夜に泣くな。行こう。日も落ちてきた。家に帰ったら腸詰め炒めでも作ってもらおうかな
こんな夜に食べるのですか?
…お若いの、ここに来てくれてありがとうね。夜道が見えないから助かったわ。
…いい。ついでだったから。
わ、風が出てきた。
少し寒いですね。
爽やかな夜風とキャンディーの甘み、煌々と輝く都市の夜景、龍門は絶景だね。
金色の街が見えるかい?真夜中の太陽のようだ。
あの、あれが目的地ですか?
日落大通り東1301号の入り口に巨大なペンギンの落書きがあるんだ。
次の道からは自分で歩いて行かなければならないよ。
ペンギンの落書き…分かりましたが…モスティマさんは?
んー――ずっとそばにはいられないからね?
そうですよね…モスティマさんは前回も突然消えましたし…。
ごめんね、私には他の仕事があるからさ。
みんなと仲良くするんだよ。
が、がんばります。
じゃ、またね。
…じいさん、何が起こったんだ?
何も無いさ。早く家に帰りな!
誰だった?船着き場の人か?それとも学生が混じっていたのか?
いいや、全部違うな。今回のは放っておいてくれ、大丈夫だ。ちょっとの損くらい、どうってことねえ。
じいさん。
…ばあさん達は今日は发の墓参りに行っている。お前は気付いていないだろうが、あいつらにとっては半分孫みたいなもんだ。
年寄りの帰りが遅いと思ってな。料理を作って持っていこうとしてたんだ。そうしたらあいつらに出会った。
誰が手を出した?
とにかくあいつらは龍門人じゃねえ。お前は混ざろうとするな!
ああ、分かってる。
孑!お前はようやっと鬼の姐さんから解放することが出来たのに…。
星熊警官との誤解でお前に仕事が紹介されたのだろう?それを大切にしろ!
分かってるよ。ともかくじいさんは先にゆっくり休んでくれ。
どうなってるのか見てくる。
孑、クソガキ、戻ってこい、何処行くつもりだ?!
…くそ!どうしてあいつは話を聞かねえんだ!あのクソガキ!
後世の世代はにはやるべきことがあるのだよ。お前の心のなかに花を咲かせるためにな。
…リン?何をしに来やがった?恥でもかかせに来たのか?
龍門最高のつくね名人だとしてもこの危険を犯すべきではない。あやつらに教えなくても良いのか?
マウスキングがそんなにも重要かね?みんなが最高のつくねを食べられなくなるとしても、それほどもまでに?
ルールはルールだ。
その決まりは全てわしらが決めたものだ。
それもルールだ。
だがお前は殴られてしまった。わしはそれを隠すつもりはない。
ちっ、てめえ、何をするつもりだ?
助けてやろう。それともつくねの達人として何年も過ごしてたから衰えでもしたか?
俺が手を動かしちまったら、後でまたよそ様に睨まれる。手を貸してくれないか?
俺は静かにすごしたいだけだ。殴られるのであれば殴られても良い。殴られたこともないが。
はっは、昔のじじい共がこんなにも元気でいるのを見て、わしも安心をしたよ。
お前があいつらの目標だ。安心しろ。
これでようやく安心出来た。
お前はいつもそうだ。それで疲れはしないのか?
疲れてはいるが、終わったことではない。わしたちにはそれぞれの責任がある。都市で担っているものがある。
俺は――。
おぬしはつみれを売っている。それ以外はおぬしとは関係はない。
歩けるか?一緒に散歩でもしないか?
大丈夫だ。これでやっと多くのことが――いたたた!お前何をする!?
深い傷だ。いつもと同じく強がりばかりしおって。
もう過去のことを考える必要は無い。これはおぬしが選んだ生活だ。恥じる必要はない。
お前のつみれも龍門の一部だ。わしよりももっと重要なパーツだ。
お主は自由だ。
じゃあ何故お前はビジネスの世話をしてくれねえんだ?
――話を変えるとしよう。最近はどうしていた?
実はクルビアで龍門料理が盛んだって聞いたんだ。機会が見つかったたそこに行きてえなって――
だめだ。
…。