

フェン
そこだ!

グレイシー教官
まだまだだな!

フェン
しまった!

フェン
しかし…!

グレイシー教官
そこまで!

フェン
はあ、はあ…

グレイシー教官
悪くないぞ、フェン。この前はこれを止められなかったんだからな

グレイシー教官
お前は戦闘中でもますます柔軟に動けるようになってきている。それはいいことだ。

フェン
えっと、ドーベルマン先生が教えてくれたのは自分の足を使うことだけではなく、自分の速度も活用していかなければならないと言っていました!

グレイシー教官
そうだ。お前達クランタが持っているスピードは奇襲でとても役に経つ。しかし、敵がお前の攻撃を遮り、それに対応出来ないのであれば、それに大きな意味はなくなってしまう。

グレイシー教官
つまるところ、今回の実践練習は合格だ。

フェン
ありがとうございます、グレイシー教官!

グレイシー教官
だが合格したかには次の小テストはもっと難しくなるぞ!

フェン
はい、がんばります!

グレイシー教官
うむ、その心意気嬉しいぞ。

クルース
フェン~~。

クルース
ビーグル、あなたも試験終わったの、どうだった?

ビーグル
んー、私はパス出来ませんでした…フェールン先生の攻撃はとても狡猾で…。

フェン
がっかりしないで。次も頑張ろう。

ビーグル
フェンは合格したんですか。

フェン
ええ。

ビーグル
いいなあ…。

クルース
ああ、お尻が痛いよ…

フェン
クルース、どうしたの?

クルース
テス先生にお尻を打たれちゃって…。

ビーグル
え?

クルース
私が狙撃じゃない時にテス先生とお互いに隠れていたら、相手を見つけることは出来たんだけど、どうやって私の後ろに回ってきたのか分からなかったの!

グレイシー教官
はははははは!

クルース
グレイシーおじさん笑わないでよー!

グレイシー教官
他の狙撃教官はここ数日間不在なんだ、テスとの対面試験になったのは本当に運が悪かったな。

グレイシー教官
彼女の神出鬼没さには耐えることは出来ないからな。怠けるための場所を探すエネルギーを使うといい。

クルース
もー、ひそひそと笑ってよ。

クルース
そういえばさっきハイビスとラヴァを見に行ったらラヴァはパスしてハイビスはダメだったみたいで二人とも帰っちゃった。あなた達は?

ビーグル
フェンはパスしましたよ。

クルース
あ、フェンの裏切り者!

フェン
裏切り者とは何ですか!

ビーグル
んー、今回もテストを合格出来なかったなあ。どうすれば…

フェン
がっかりしないでビーグル。まだ機会はたくさんあるから。

クルース
そうだよー、ただの小テスト一回なんだから何も悲しくないよ。それに午後はもっと地獄なんだから。

グレイシー教官
はは、確かに午前中はお前たちの個人小テストだけで、ドーベルマンは俺たちに教官に任せたが、午後の団体実践試験は違うだろうな。

クルース
もういいよー、ドーベルマン先生が私のテスト結果を見た表情が想像出来るもん。

グレイシー教官
今になって後悔しているのか?

クルース
そうじゃないよ、ドーベルマン先生は自分のペースでやっていけば良いって言ってたから。

グレイシー教官
はは。

ビーグル
ですけど、ドーベルマン先生が私達に失望しないか心配です。

グレイシー教官
真面目に答えてやろう、そんなにがっかりするな。元々このテストを用意したのは、お前たちを合格させるためじゃなく、どういった方向に努力をすればいいのか教えるためなんだ。

クルース
うわー、やだー。この人、自分が私よりも真面目に強いって言ってるよ。でも私には反論出来ないんだけど。

グレイシー教官
お前達も他の予備チームも今は俺たち教官との間には確かに大きな差があるからな。

グレイシー教官
俺たちの存在意義の一つにお前たちに後ろ姿を見せるっていうのがある。

グレイシー教官
お前たちが自分では分かっていないかもしれないだろうが、今のお前たちはロドスに入ったばかりと比べて、とっくに大きな進歩を遂げている。

フェン
…確かに。

ビーグル
うん…そう言えば、確かにそうですね。

グレイシー教官
それに、お前たちの教官を担当しているのはそれぞれの得意分野の人たちだ。

グレイシー教官
この教官達が当時どうやってここまで来たか知っているか?

クルース
まさか…。

グレイシー教官
そう、俺達はドーベルマンただ一人に教えられてきたんだ。

グレイシー教官
お前たちは想像出来ないかも知れないが、今のドーベルマンは前の彼女よりも100倍も優しいぞ。

クルース
えー?今のドーベルマン先生が?優しい?

クルース
それって何かの冗談じゃないの、グレイシーおじさん。

グレイシー教官
冗談じゃないんだけどな。


ドーベルマン
グレイシー、お前は飯が食えなかったのか!これぐらいの重さで走れないとほざくのか?

ドーベルマン
ファールン、よく考えろ、もしお前の敵がさっきのお前の下手で愚直な攻撃を見たらどう思うのかをな!

ドーベルマン
テス、お前は眠っているのか?ちゃんと銃を持て!私をお前の照準から離すな!

ドーベルマン
ヴィクトル、敵はお前に水を飲む余裕を与えてくれると思うのか!

ドーベルマン
リヤ、治療法を試してみる前に、応急手当の方法でも覚えておくんだな!

ドーベルマン
今日の訓練後、訓練室の周りを10周しておけ!分かったな?

一同
はい!

ドーベルマン
もっと大きな声で!

一同
はい!


クルース
そんなに怖かったの?

グレイシー教官
肝心なところはやっぱりドーベルマンはそこまで強くは無いのかもしれないが、あ、ここで自慢しとこうかな。俺は今やドーベルマンと五分だぞ。

クルース
もう、無駄話はやめてよ。

グレイシー教官
まあ、トラウマから抜け出すためにお前たちも自慢したほうがいいぞ。

グレイシー教官
ドーベルマン自身の戦闘力は高くはないが、ボリバル軍出身の彼女は各種戦術と戦場に対する理解が恐ろしいんだ。

フェン
ボリバル…。

グレイシー教官
あー、今は内戦している国家だな。俺たちもドーベルマンがどうしてここまで強くなったのか気にはなるんだが、彼女はボリバルでの過去について詳しく話したことがなくてな。

グレイシー教官
何しろ、当時のロドスは発展を始めたばかりで人材が不足していたんだ。

グレイシー教官
その時のドーベルマンは本当の軍人だったよ。

フェン
本当の軍人とは?

グレイシー教官
見てみろ、俺達のロドスはたしかに凄いが、全体の雰囲気はとてもリラックスしているだろ?みんなも自分の生活がある。

グレイシー教官
あー、こう言えばいいかな、もしクルースが当時の俺たちの仲間だったら、お前はどこか怠ける場所を探すなんてことに気を使うことすら出来なかっただろうな

クルース
えー?考えただけでも耐えられないよ。

グレイシー教官
あ、当然、それは良いとして、ドーベルマンは今はもうそうじゃないんだ。

フェン
確かにグレイシー先生がおっしゃったイメージを今のドーベルマン先生に重ねるのは難しいですね。

ビーグル
今のドーベルマン先生は最初は怖いなと思ってましたは、長い間付き合っていると心から私達に関心を示してくれているんだなって思います。

グレイシー教官
彼女はいつも心から他人に関心を寄せているんだよ。

グレイシー教官
ただ、時にはどう思うよりも、そうするかが重要だ。

グレイシー教官
さ、お前たちとの話しもそろそろしまいだ。片付けてから風呂に入って昼飯を食べるとしよう。午後の団体実践訓練の準備をするんだぞ?

フェン
グレイシー先生は?

グレイシー教官
俺?他の教官のところに行って、今回のテスト資料をドーベルマンのところに持っていくけど。

フェン
あ、それ私にやらせて下さい。

グレイシー教官
ん?良いのか?

フェン
食事に行く時にドーベルマン先生の寮を通りますので。

ビーグル
あ、私も一緒に行きます。

クルース
んー、私はやめておくよ。今はドーベルマン先生に早く会いたくない気分だし。

グレイシー教官
じゃあお願いするかな。

グレイシー教官
そうだ、くれぐれもさっきの話しをお前たちにしたことはドーベルマンには教えるなよ。くれぐれもだぞ!


ビーグル
ドーベルマン先生!

ドーベルマン
ん?どうして二人が来たんだ?

フェン
ちょうど道を通りかかるので今回のテスト結果をグレイシー教官の代わりに他の資料も持ってきました。

フェン
先生、私合格出来ました。

ドーベルマン
ちょっと見せてみろ、どれ…良いな。

ドーベルマン
他は…クルース、ビーグル、ハイビスカスは通らず、ラヴァは通ったのか。

ビーグル
ごめんなさい…。

ドーベルマン
大丈夫だ、ちゃんと前進しているんだからな。

ドーベルマン
クルースはあの子には午後は心の準備をしてもらわないとな。

ビーグル
あはははは。

ドーベルマン
よし、帰ってゆっくり休むんだぞ。

ビーグル
はい!

フェン
あの、ドーベルマン先生は部屋の掃除はしていますか?

ドーベルマン
ん、定期的にしているぞ。

フェン
手伝わさせて貰えませんか?

ドーベルマン
ん?何故?

フェン
えっと、これまでずっとドーベルマン先生には導いてもらっていますので、たまには先生の手伝いをしたいなと。

ビーグル
あ、じゃあ私も手伝います!

ドーベルマン
…。

フェン
あの、何か不味いことでもありますか?

ドーベルマン
…いや、何でもない。少し驚いただけだ。少し怖いとも思ったがな。

フェン
何故なら、私はドーベルマン先生を尊敬しているので。

ビーグル
私も!

ドーベルマン
じゃあ、お願いするよ。

フェン
はい!

ビーグル
はい!

ビーグル
ドーベルマン先生の部屋の中のもの、意外に多いですね。

ドーベルマン
ん?おかしいか?

ビーグル
あ、いえ。ドーベルマン先生の部屋の中は綺麗で物が少ないという印象しかなかったので。

ドーベルマン
….ロドスに来たばかりの時は確かにたくさんの物は持っていなかったな。

ドーベルマン
だが、ここで何年も生活をしているからな。

フェン
ドーベルマン先生は早くにロドスに加入したんですよね?

ドーベルマン
ああ、ほとんどのオペレーターと比べると確かにそうだ。

フェン
ドーベルマン先生は何故ロドスに加わったんですか?

ドーベルマン
…。

フェン
あ、すいません。話しにくい話題だったでしょうか?

ドーベルマン
いや、今では無いだろうとな。機会まで待ってくれ。

ビーグル
分かりました。

ドーベルマン
お前も知りたいのか?

ビーグル
え?は…はい!ドーベルマン先生のことをもっと知りたいです。

ドーベルマン
私のことをもっと知りたい…か。

ドーベルマン
ふむ。

フェン
クローゼットの中も綺麗に掃除をしないと…。

フェン
えっと、ドーベルマン先生、これは軍服ですか?

ドーベルマン
ん?ああ。

ドーベルマン
これは軍隊を離れる時に残しておいた記念だ。

ビーグル
わあ、素敵な軍服ですね。

フェン
そうですね…ドーベルマン先生はどちらに所属していたんですか?

ドーベルマン
ボリバルについて少しは知っているようだな。

ドーベルマン
そういえば、お前もボリバル出身だったな。クルビアに移民したのは覚えているだろう。

フェン
はい、私はボリバルの状況は両親から聞いただけなので少し気になります。

フェン
あ、誤解しないで下さい、それを知るためにそうした訳では…。

ドーベルマン
大丈夫だ、それのために来たとしても問題はない…。

ドーベルマン
ビーグル、布団カバーを取ってきてくれ。

ビーグル
取ってきました!

ドーベルマン
ああ、これで良い。ありがとう。

ドーベルマン
ボリヴァル国内には現在3つの勢力がある。名目上の正式なものはレタニアがコントロールをしている傀儡政府だ。彼らが主動したクルビアとの戦争では勝利を収めている。

ドーベルマン
議会によって分化された自治政府は取って代わる機会を求めているが、資金源も十分にあるので、傀儡政府だと叫ぶことも出来る

ドーベルマン
残りの一つの勢力は二つの勢力の権力闘争に苦しみ、蜂起することを決めた一般民衆からなるボリバル抵抗軍だ。

ドーベルマン
私はかつて自治政府に所属し、大佐だった。

ビーグル
わあ、大佐ですか、ドーベルマン先生すごいですね!

フェン
大佐、確かに高いポジションですよね。

ドーベルマン
ああ、とても高い。

ビーグル
クローゼットの上も吹きましょう、こういうところにはホコリが落ちやすいので。

ビーグル
あ――わっ!

ビーグル
えっと、何か落ちましたか?

フェン
これは…金属の札?

ビーグル
え?

ドーベルマン
これは…ドッグタグだ。

フェン
ドッグタグ?私達のロドスでいう身分カードのようなものですか?

ドーベルマン
そうだ、軍隊では身分認識のために部隊番号と名前が印刷された札を配っているんだ。

ビーグル
ドーベルマン先生見てもいいですか?

ドーベルマン
いいぞ。

ビーグル
あ…らん。ほ…あん。ほ…せ。何でしょうか、この名前しか読めませんし、他の略語は全部読めません…。

ドーベルマン
それは彼らの部隊と関係があるだけだ、分からなくても問題はない。

フェン
先生が彼らのドッグタグを持っているということは、まさか…

ドーベルマン
ああ、彼らはみんな死んでいる。

ビーグル
あ、その、た、大切な戦友だったのですか?

ドーベルマン
大切か…。


???
大佐、あなたの人たちは大変良く死にました

???
悲しむ必要はありません、彼らの死は私の名誉を保つためにあるのです。あなたも上層部の処罰を受ける必要はないでしょう。

???
調べる?こんなこと誰も覚えていませんよ。

???
本当の話しを?大佐、必要なものは綺麗事です。あるいはそこまで綺麗でなくても良いかも知れませんが、少なくとも立派な結果は必要です。彼らは真実なぞ気にもしませんから。

???
大佐、あなたは身分をはっきりとわきまえて下さい。誰があなたを民間からこの位置に抜擢したのかを忘れないように!


ドーベルマン
彼らとは知り合いではない。彼らとは話したこともない

ドーベルマン
だが確かに彼らは私にとってはとても重要だった。

フェン
え?

ドーベルマン
…掃除もほとんど終わったな。来てくれ。

ビーグル
あのう、私何か悪いことでもしましたか、ドーベルマン先生?

ドーベルマン
大丈夫だ、これらは私にとっても人目に付かせたくないものではない。そうでなければ、こんな所に置くことは無いからな。

ドーベルマン
だが、そうだな。フェンがさっき聞いた質問のこともあるし、たしかに思い出したこともある。だからお前たちと話がしたい。

フェン
あの、その、とても光栄です!

ドーベルマン
緊張しないで座ってくれ。

ドーベルマン
私の過去についてはいくつかお前たちにも教えるが今ではない。

ドーベルマン
今はただ聞きたいんだ。

ドーベルマン
兵士の最大の特徴とは何だと思う?

フェン
え?えっと…これは試験ですか?。

ドーベルマン
いや、自由に答えてもらって構わない。

ビーグル
はあ、良かった。

フェン
戦争に精通している…でしょうか?

ドーベルマン
ほとんどの人が訓練をして戦っている。ここのほとんどの普通のオペレーターもお前達も将来そういうふうになる。それは特徴ではないな

ビーグル
すごく武器が使えるとか?

ドーベルマン
確かに多くの製造武器は軍隊の中では容易に触ることが出来るだろう。

ドーベルマン
しかし、お前たちもロドスで既に見ただろう。こういう武器の一部は別ルートからでも入手出来る人がいることを。

フェン
数が多いとかですか?

ドーベルマン
ああ…確かにそれも一つあるな。軍隊は民間組織とは比べ物にならない数の有利がある。

ドーベルマン
ロドスの現在の規模なら、とある小さな国の中の小さな非前線都市を移動する常駐軍力程度には匹敵するだろう。

ビーグル
ええ?ロドスってもっと凄いと思っていたんですけど…。

ドーベルマン
民間組織の範疇ではロドスは確かによく出来た存在だろう。しかし、いつまでも国に対抗しようと考えるべきではないな。

ビーグル
でも私達にはすごいオペレーターが多いのではないですか?例えばスカイフレアさんとかとんでもなくすごい感じがあるのですが。

フェン
しかし、数の強さに対してはある程度の強さが無ければ戦局を左右出来ないんじゃないかな?

フェン
警備隊のゲルスを覚えてる?彼の力は警備隊の中で一番だったけれど、十数人で彼を包囲攻撃すれば…。

ドーベルマン
そうだ、個人の戦闘力は平凡だったとしても、量は質に変化させることが出来る。ビーグルが1だけならばスカイフレアに対して弱いだろうが、ならば10であれば、100であれば?考えてみろ。

ビーグル
ひゃ、100人の私ですか?考えてみるとスカイフレアさんを抑えられる気がします…。

ビーグル
ごめんなさい、スカイフレアさん…。

ドーベルマン
ああ、そうだ。少なくとも勉強が出来る戦争の歴史の中では個人の実力で国家単位の戦争に影響を与えた人はいまだ存在しない。

ドーベルマン
ああ…少し逸れてしまったが、予備チームのお前たちには系統敵な軍隊の要因というものを説明していなかったな。お前たちにすれば、これが今は意味が無いということ分かっていると思うが。

ドーベルマン
今の段階ならば、このような知識を使う機会は無いほうが良い。だから今の話は好きに聞いて欲しい。

フェン
答えは数では無いのですか?

ドーベルマン
ああ、良い着眼点ではあるが、それは軍隊としての性質だ。兵士のものではない。考えてみろ。

フェン
うーん…。

ビーグル
あの、命令に服従ではないでしょうか?

ドーベルマン
何故そう思う?

ビーグル
私達は警備隊にいた時、隊長からは兵士ならばどんな状況でも命令に従えと言われました。

ドーベルマン
そういうことだ。

ビーグル
えっと、正解なんですか?

ドーベルマン
ああ、兵士の最大の特徴は命令に従うということだ

ドーベルマン
考えることすら出来ない兵士が合格するという話があるだろう。軍隊に必要なものは兵士の思考ではなく、命令に従うということだけだ。

ビーグル
ですが、それはひどい話じゃないんですか?

ドーベルマン
戦争は更に残酷だ。戦争に参加しなければならないというのであれば、思考を捨てるというのは確かに一つの形式として説明付くかもしれない。

ビーグル
でも…

ドーベルマン
そういった疑問が出るのも当然だ。これは残酷ではないのか?兵士は人じゃないのか?とな。

ドーベルマン
明らかなのは兵士は結局のところは機械では無く、誰よりも死に近いからこそ、誰よりも自分が何に直面しているのかを知っている。

ドーベルマン
兵士がおろか極まる命令を実行しているということを理解した時、彼らは本当に士気を奮い立たせることは出来るのだろうか?

フェン
出来ない…ですよね?

ドーベルマン
もちろん出来ない。だから、こういった時には通常2つのことをする。何か分かるか?

フェン
…分かりません。

ビーグル
…分かりません。

ドーベルマン
一つは兵士に自分が愚かな命令を実行させているということを気付かれないようにするということだ。

ドーベルマン
まあ、これが出来るのであればそもそもより良いことが出来るのだがな。

ドーベルマン
もう一つのことは正しい命令を出すということだ。

フェン
え?

ドーベルマン
これはやや詭弁に聞こえるだろうが、実際どうのようにすれば一人の兵士は安心して考えを捨てて戦うことが出来るだろうか?

ドーベルマン
どうすれば、一人の兵士に命令を疑わないように出来るだろうか?

ドーベルマン
簡単なことだ。兵士を納得させる正確な命令を出せばいい。

ドーベルマン
しかし、いつだってそれが分からない人がいる。

ドーベルマン
自治政府を後にして、抵抗軍を転々としていたが、それでも私はそこから離れた。そこも同じだと分かってしまったからだ。

ビーグル
えっと、ドーベルマン先生は抵抗軍にも参加したことがあるのですか?

ドーベルマン
ああ、タンスの下の二番目の引き出しの中に写真がある。見てくれ。

フェン
私も見たいです!

フェン
わあ、本当だ!

ドーベルマン
見終わったら戻しておいてくれ。

ドーベルマン
そこでも私は良い思い出を残すことは出来なかった。そして最後はボリバルを離れてロドスに参加をした。

ドーベルマン
あまり期待はしていなかった。

ドーベルマン
しかしここは私に驚きをもたらしてくれた。

ドーベルマン
兵士は自分が愚かな命令を実行していることを知ることは簡単に出来るが、自分がどうすれば良いのかも知る必要がある。

ドーベルマン
これも正しい命令の必要性に起因する。

ドーベルマン
ロドスはそれが出来たんだ。

ビーグル
(小声)フェン、分かった?

フェン
(小声)少し…。

ドーベルマン
私がさっき言ったことはお前たちが聞き入る必要は無い。これはただの私の感慨だ。

ドーベルマン
私はお前たちに教えたいんだ。お前たちはロドスをもっと大切にしてくれとな。

ドーベルマン
ここならば、ロドスならば安心して自分を預けても良い。何のために戦ったのかを考えなくても、失うことはない。

ドーベルマン
古くから前へ進めというものがあるが、一体、人はどちらを向いていて、どちらが前なのだろうか?

ドーベルマン
この問題に答えはないだろうが、少なくともロドスがお前のために指を指し、一緒に歩いていくということに間違いは無いと思う。

フェン
ロドスが私のために指を指してくれるということは信じています…ドーベルマン先生が教えたいことが少しだけ分かりました。

ビーグル
ええっと、つまりロドスは良いところということですか?

ドーベルマン
…はは、間違いないな、そう思ってるよ。

ドーベルマン
ここはいくらかの理想主義者が小さな願望のために一生懸命維持しようとしている桃源郷だ。

ビーグル
私もロドスは良い所と思っているのですが、ドーベルマン先生が言うほどに良いのかは…。

ドーベルマン
ははは、お前たちも長い時間が経ってから、それを感じることになるさ。

ドーベルマン
さあ、掃除に時間も掛かったし、話も聞いた。お前たちは食事に行くのだろう。

ビーグル
あ、本当だ、もうすぐ1時です!

ドーベルマン
ああ、掃除お疲れ様。お前たちは先に行っててくれ。私もすぐに行こう。

フェン
はい、ドーベルマン先生の教え、ありがとうございました。帰ってよく復習しておきます。

ビーグル
私も!

ドーベルマン
本気にしなくても良いことだからな。

ドーベルマン
それから私は考え変えた。さっきの話はどこかのテストで出るかもしれないな。

ドーベルマン
そこでお前たちが私に言ったとおりの答えを出すなら、0点だ。

ビーグル
えええええ!そんなあ!

フェン
わ、私は帰ってよく考えます!ドーベルマン先生、今日はありがとうございました!

ドーベルマン
…。

ドーベルマン
先生、か。

ドーベルマン
いつの間にか、私もだんだんこの身分に慣れてきたな。

ドーベルマン
多くの学生がいた。彼らの中には私を超えた者だっている。明るい未来もある。

ドーベルマン
アラン。

ドーベルマン
ホアン。

ドーベルマン
ホセ。

ドーベルマン
私の根っこはあくまでもボリバルだ。

ドーベルマン
いつか帰ってみせる。

ドーベルマン
いつか、きっとな。