

近衛局隊員
秘密逮捕状?チェンさんに!?

近衛局隊員
どういうことなんだ?そんな訳が…

近衛局隊員
おい!ちょっと待て!これ間違ってんじゃないのか!!

近衛局隊員
くそ、チェンさん、なんなんだ……一体何がどうなっているんだ!

近衛局隊員
チェンさんを見つけ出して、本人から聞いてみるしか!


マウスキング
……ああ、理解しておる。

グレイテイル
ご主人様、まだ何かございますか?

マウスキング
いや、もうない。わしが前に指示したことは処理しておけ。終わったらささっと避難するのじゃ。

グレイテイル
承知いたしました。

マウスキング
さあ、はやく行け。

マウスキング
ふう。

マウスキング
――ああ、まさかウェイ・イェンウーを困らせるやつがいたとはのう。

マウスキング
タルラや、タルラ……これが宿命というやつなのか?

マウスキング
若様はこれを予知できたとしても、このような光景を見たいとは思わないじゃろうな?

マウスキング
やめじゃ、やめじゃ、龍門は結局の所、ここまで来てしまったのじゃから。

マウスキング
しかしファイギ……ファイギよ!気を付けるのじゃぞ、ファイギ……命だけは投げ捨てるでないぞ!


牧群
あ……あ!うっ、あぁ……。

ロドスオペレーター
はぁ、この数、冗談でも言うんじゃなかった……近衛局はまだこっちには来ないのか?

ロドスオペレーター
昨日はレユニオン、今日は特殊感染者……流石の俺たちでも持たないぞ。街中で大規模武装を使うわけにもいかないし……

ローズマリー
こんにちは、オペレーターさん。あれが敵ですか?

ロドスオペレーター
ローズマリー!はぁ、助かった。

ローズマリー
オリジニウムアーツで改変された感染者……?彼らの動きを抑え込むことはできないのでしょうか?

ロドスオペレーター
ああ、俺たちに配備されたのはほとんど防御用装備なんだ。ワイヤーも高繊維ネットも効かないとは思わなかった、こいつらとやり合うには本格的な兵器じゃないと厳しいな。

ロドスオペレーター
防衛線でのプレッシャーが大きすぎたから、仕方なく本部に支援を要請したんだ。君が来てくれたおかげで対処出来そうだ。

ロドスオペレーター
あいつらの体内にあるオリジニウム構造が身体をガチガチに固くしているんだ。重火器類を使わないと活動を抑えることが出来ない。それと……あいつらの大脳の活動形跡を検出することができなかった。

ロドスオペレーター
観察結果からして、あいつらは……実際は、もう死んでしまっている。今のあいつらは単純に支配性のアーツで動かされてる。全く、ひどいことをするもんだ。

ローズマリー
こんなことをする人には……重い対価を支払わなくちゃいけませんね。

ローズマリー
あ、もちろんあなたたちの安全が最優先ですが。

ローズマリー
プランを練るので手伝ってください。私が……彼らを止めましょう。

プレイヤー
・君も戦うのか?

ローズマリー
はい。

プレイヤー
でも、君が戦えるようには……

ロドスオペレーター
…ドクター、あの子が戦ったところを見たことないんですよね?

ローズマリー
ドクター、少し下がって下さい。

ロドスオペレーター
気を付けたほうが良いです、離れて下さい。この戦闘スタイルを見るのはきっと初めてだと思うので。

プレイヤー
・キャビンに置いてた鉄箱が飛んだ!?
・……?
・空中に浮いてる機械、君の装備なのか?

ローズマリー
私のですよ。

ローズマリー
オペレーターさん、標的の概要を教えてくれますか。

ロドスオペレーター
了解、個体リストを調べて……えっと、標的は、あー、特性が活発な不安定個体?

ロドスオペレーター
集団行動、効果的対処法は見当たらず、目的地は不明、だいたいこんなもんかな!

ローズマリー
――わかりました、私に任せてください。

ローズマリー
ケルシー先生に言われました。処理し終えたあとはロドス本艦をただちに龍門から離脱させると……!


星熊
こんばんは、チェン。

チェン
ホシグマ……?どうしてここにいるんだ?傷はどうしたんだ?

星熊
小官は鬼ですよ、これしきの傷位、どうってことありません。

チェン
そうか、じゃあ私はこれで――

チェン
いや待て、お前はここで私を待っていたのか?

星熊
チェンが押しているこのバギーって、レム・ビリトンの最新モデルじゃないですか?

星熊
「野原、山地、防塵、低燃費で長時間走行、自然に与える影響も最小に抑えた、最高のドライブ体験」?

チェン
……

星熊
あ、すいません。広告を見すぎてしまいキャッチフレーズまで全部覚えちゃいまして。

星熊
いい車ですよね、レジャーは興味ないですけど欲しくなっちゃいますよね。

チェン
お前は何が言いたい?


星熊
へとへとじゃないですか、チェン。そんな状態でどこに行くつもりなんです?

チェン
お前はなぜ私がここにいることを知っている…?

星熊
あなたはいつもプライベートで街に出るときはここを通っている。人が知らない出口やその通路がどこにあるのか、お互い熟知していますから。

星熊
――近衛局から指名手配が出てます。

チェン
お前は信じていないんだろう。

星熊
そりゃもちろん。あなたがどういう人間かは小官は知り尽くしていますから。

チェン
この通路でなければ龍門から出られはしない。

チェン
だから身を隠してきた。近衛局の連中がお前みたいに物分りが良かったら良いんだがな…。

星熊
じゃああなたは龍門からは絶対に出られませんね。

チェン
……なんだと?

チェン
お前は何を言っている?

星熊
あいつらも小官と一緒なんです。あなたには行ってほしくない

チェン
ホシグマ…私の邪魔をする気か?

チェン
ホシグマ、どうしてお前まで私を止めるんだ?!

星熊
止めるのは当然でしょう、チェン。私は龍門近衛局の督察であり、あなたの友人でもあります。

星熊
一騎当千の英雄みたいな大冒険でもしたいのですか?あなたを街から出させない理由はこのたった一つだけです。

チェン
お前は龍門人なんだぞ!ホシグマ!

チェン
私たちにはもうチャンスがないんだ、またウェイの手段で今回の件を解決すれば犠牲がもっと増えることになる!

星熊
あなたの方法なら解決出来るとでも?

チェン
……

チェン
お前は隊員たちから姉さんって呼ばれてるのだろう、あいつらはお前が自分たちの愛する龍門を守ってくれるって信じている。だからホシグマ、私を行かせてくれ。

星熊
……ハッ。

星熊
チェン、あいつらが本当に龍門を愛していると思っているのですか?

チェン
お前――

星熊
小官は古臭い人間でありましてね。

星熊
マンガも、酒も、雨が降る街並みも、傘をさしていない急ぎ足の人たちも、バイク以外のものは古臭いのが好きなんですよ。

星熊
人によっては時代遅れなものもあるでしょう。ですがチェン、私たちは時間に追いつけると思いますか?

星熊
小官には無理です、できません。時間が早すぎるんです。それは小官の多くの大切なものを粉々に踏みつけていきました。

星熊
残ったのが、たったこれだけ。切り傷、折られたツノ、あざ、全部できた経緯を憶えています。

星熊
小官は時間が嫌いです。周りの人を連れて行ってしまった。

星熊
あいつらはみんな自分の居場所のために散っていった、では小官は?

星熊
一人一人消えていくのを、握りつぶされていくのを、小官は見てきました。自分で手を下して、あいつらの夢を粉々に砕いたことすらもありました。

星熊
あいつらは龍門を愛してなんかない。居場所がないんです。そして、最後の最後は小官があいつらの居場所を壊した。

星熊
あなたまで行くなんて言わないで下さい、チェン。

チェン
…。

チェン
お前はファーの死も、龍門のために死んだ大勢の人も……無かったことにするつもりなのか?

星熊
知った風な事言わないでくださいよ。

星熊
あいつらといた時間は小官の方が長いのですから。だからあいつらのことも小官はよくわかっています。

チェン
だが龍門を守るのが私の責務だ。誰が邪魔しようがそれに変わりは無い。

星熊
まだ自分を警司と思ってるので?その責務をくれたのは誰なんです?

チェン
私自身だ。

星熊
……話の分からない人ですね。

星熊
一人で龍門を救えるとでも?一人でレユニオンを皆殺しに出来るとでも?冗談もほどほどにしてくださいよ。

星熊
面白い事ですよね。前まではあなたがウェイさんの命令を執行していた、ウェイさんを理解していたから。ですが、それは変わった。今は小官がウェイさんの命令を執行している、小官がウェイさんを最も理解しているから。

星熊
ウェイさんの考えは大体分かります。人が死ぬ以上は自分から行くしかないのですから。あなたはチェン家の血筋ですから、この事件が終わっても責任追及には巻き込まれはしません。

チェン
あいつが――

星熊
ウェイさんは自分が死んでも構わないとは思っていますが、あなたを死なせたくないのです。

チェン
お前はあいつを優しく見すぎだ。

星熊
あなたもウェイさんのことを誤解し過ぎているんですよ、チェン。

チェン
死にたいのなら勝手に死ねばいい。だが、あいつが死んだら解決できるとでも?それで何ができる?戦争が始まらないとでも?龍門が攻撃や災難に遭わないとでも言いたいのか?

星熊
彼の死で龍門は咎められなくなります。全ての責任が彼本人の死とともに消えていくと思っているのでしょう。

チェン
そんな虫にいい話があるとでも?

星熊
あなたが彼の後を継ぐんです。近衛局局長の席は遅かれ早かれあなたのものになります。そして、この街の主になり、あなたはこれまでの解決できなかった問題を解決するべきです。

星熊
ウェイさんのやりたいことははっきりと分かります。彼はいつも待ち焦がれていました。あの人の目と考えは小官が出会ったときから変わっていません。

チェン
……

星熊
龍門はまだあなたを必要としています。だから危険を冒してほしくないんです。

チェン
虫唾が走る話だな。

星熊
あなたはウェイさんの死には動かされないのかもしれませんが、彼が亡くなった後ならば、あなたがこの街を変えることができるんですよ。

チェン
お前に真実の一つを教えてやろう、ホシグマ。私がこの街に属さない理由をだ。

星熊
そんなことは無いでしょう、チェン。あなた以上にこの街が似合う人なんていませんから。

チェン
私は感染者だ。

星熊
……え?

星熊
……

星熊
……いつからですか……?

チェン
三年前だ。

星熊
隠していたのですか?

チェン
わざとではない…。

星熊
どうして小官が知らないのでしょう……?

チェン
ウェイは誰にも知ってほしくなかったからだ。近衛局に感染者はあってはならない、だから私の感染情報を徹底的に隠蔽した。

チェン
ホシグマ、この街に感染者の居場所なんてものはない。この世界の何処にも。

チェン
ウェイに指図されるのはもううんざりなんだ。あいつに指を指されることも。

星熊
いえ、これではっきりしました。

星熊
ようやく……はっきりと分かりました。どうして、チェン、どうしてあなたが龍門を離れてはならないのかを。

チェン
……ホシグマ?

星熊
もしあなたが離れてセントラルシティに向かったら、ウェイさんはあなたを敵として見ざる負えない。だたの敵ではなく、感染者として、龍門に敵対する危険な感染者としてです……

星熊
そうなると街全体があなたが感染者だということを知ってしまう。レユニオンと協力していると思う人たちも出てくるかもしれない。

星熊
覆水が盆に返らないように、あなたは二度とこの街には戻れなくなります。

チェン
私は気にしない。

星熊
それはこっちのセリフです

星熊
「お前が感染者?気にすることでは無いだろう」

星熊
私は気にしません、Missyも気にしませんし、九も、近衛局も気にしないでしょう。

星熊
ウェイさんだって気にしていません。あの人は感染者に対する認識を変えてほしいのであって、追い出してるわけじゃないんです。

チェン
あいつの感染者への無情な仕打ちを見てないから何とでも言えるんだ、私ははっきりとそれを見てきた。

チェン
九は、彼女は去った。彼女は感染者だったから近衛局を離れたんだ。

星熊
……九もですか……。

チェン
思い返すと、私も九もおそらく同じ任務にあたって鉱石病に罹ったんだろう。

チェン
その後、彼女は私のスパイになった。表向きはレユニオンに加入していたが……結果はレユニオンのために龍門を捨てている。

チェン
彼女もこの街の真相を知ってしまったからだ。

星熊
ですが、あなたは一切龍門を裏切ってはいない。小官はあんなことをあなたにはさせません。

チェン
ホシグマ、お前は……私がなぜセントラルシティに行くと思う?

星熊
なぞなぞは苦手なんで、もう少しヒントをくれませんか。

チェン
ふっ……

チェン
レユニオンのリーダーが誰だか知ってるか?

星熊
名前は覚えてません。

チェン
タルラだ。

チェン
Missyが教えなかったか?

星熊
何をです?

チェン
タルラは私の姉ということを。


星熊
あ、あー……ふっ。分かりましたよ。

星熊
チェン、今日は絶対にあなたを行かせはしません。

チェン
……どうしてそんなことを言うんだ……?私の肉親、私の家族が……大事じゃないって言うのか?!

星熊
だからこそ……

星熊
だからこそあなたを行かせるわけにはいきません。

星熊
今日ここで私が死のうと、私はあなたを行かせるわけにはいかない。

チェン
……

チェン
お前に決定権などはない、ホシグマ。

星熊
それは般若が決めることです。

チェン
――今日私の前に阻むものは例え天災だろうと許しはしない。盾一帖、鬼一人ならなおさらな!

星熊
この盾を鋳造した匠は流浪の悪鬼に無残に殺された、彼の怨念は天災よりも毒々しい。

星熊
この盾にこびり付いた惨劇の鮮血は……天災よりも邪悪ですよ。

星熊
チェン、ウェイさんが悪いやつなら、一緒に殴りに行きましょう。

星熊
あなたのやりたいことなら何だって付き合いますよ。小官のコロンビア大型シリンダー70vvが好きじゃないでしたよね?それもあげましょう。

星熊
チェン、今はやめてください。行かないでください。私に手を出させないでください。最後の少しばかりのお願いです。

チェン
手を出させるな?どうしてお前までウェイの話し方と一緒なんだ?……そんな風に言わないでくれないか。

チェン
ウェイが始めたときから……いや。

チェン
あいつが自分の兄弟を、私の母を裏切ったとき、この街があいつのどす黒い罪悪に沈んだときから決心したんだ。

星熊
ウェイが何をしようが、あなたは彼と結びつけようとしますが小官はそれとは何ら関係はないと思います。

チェン
お前は何を言ってるんだ……。

星熊
あの人がやっている事と、あなたのためにやっている事、それとあなたがするべきことは、一切関係はありません。

星熊
ウェイさんは期待しているんです。あの人は悪になろうとはしてない。望んでるのは支配ではないから……。

星熊
あの人はその剣をあなたにあげたのでしょう?

チェン
……お前は何も分かっていない。

星熊
――何が分かっていないと?

星熊
一度だけじゃありません、二度、三度に四度……小官は自分の家を、自分の家族を壊してしまった。

星熊
小官はいつも血まみれで、最期はいつも、小官だけが立っていました。

星熊
いつも思うんです、小官に生きる資格はあるのかと。

星熊
小官に生きる資格は無いでしょう。でも生き残ってしまったんです。だからもう自分のために生きるのはやめました。

星熊
罪を認めるため、一歩を踏み出す……それは人の一生のなかで最も愚かな行為でしょう。

星熊
そして後悔の味は一生小官の口の中に留まっている。

星熊
自分だけが罪をたくさん背負っていると思いで?チェンお嬢さま?

チェン
やめろ!

星熊
……ではどうして小官のことを一切理解してくれないのですか?

星熊
これまでずっと一緒に乗り越えてきたのに、まだ打ち明けられないことがあるのですか?

チェン
私も、お前も、苦しい記憶を持っている。それは分かっている、分かっているはずなんだ……。

チェン
ならばお前は何故まだ分からない?私はお前たちを誰一人巻き込もうとしてないのに、お前たちは私が一体何を理解していないって言うんだ?!

星熊
小官は無意味な死をたくさん見てきたからです。

星熊
あなたが何者かなんて私は気にしません、ただ行き先が気に留まるだけです。

星熊
私は絶対にあなたを行かせはしない。敵のボスがこの段階までやってきた以上、あなたが何をしようと無駄です、犬死するだけだ。

星熊
あなたの死を見たいという人は誰一人いません。近衛局も、龍門も、誰一人も。

チェン
――ありがとう、星熊。

チェン
それでも行かなければならない。

星熊
本気ですか?

チェン
やるというのなら、私は本気でお前を斬る。

星熊
絶対に行く、そういう事なんですよね?いま自分の心が鉄みたいに固くなっているとか思いません?

星熊
前に言ったはずです。自分の思考に固執しすぎると、周りが見えなくなり、他人が自分のためにどれだけ尽くしてきたのかすらも見えなくなると。

星熊
意地を貫き通すだけでは己を傷つけるだけです。

星熊
ふん。

星熊
もう良い。一発思いっきり殴らねえと昔の私みたいに自分の滑稽な執着がただの思い当たりだって気付きもしない。

星熊
やるというのであれば、チェン……二年前よりどれだけ成長したのか見せてみろ。

チェン
そ の 言 い 方 で し ゃ べ る な 。


ローズマリー
EX-42オリジニウムアーツ遠隔操作型器機、使用者ローズマリー、承認を。

PRTS
防衛での使用に許可します、器機使用を承認。

PRTS
使用者:殲滅戦専門員、ロドスエリートオペレーター、ローズマリー、起動を承認します。

ローズマリー
はい、では行ってきます。

ローズマリー
ロドス艦船の起動をすみませんがクロージャさんに伝えといてください。

ロドスオペレーター
ドクター、急いでゲートに入って下さい。ぼーっとしないで。

ロドスオペレーター
ローズマリーが戦ってるときに出た破片に当たりでもしたら死ぬかもしれないんですから。