
ひっ、そ、その技、そのデス大風車……それにそのヘアピン……お前、お前はまさかガヴィルか!

その通りだ!

クソ、ツいてねぇ。

だが、たとえお前がガヴィルだとしても、俺たちの太い尻尾への信仰心は揺るがねぇ!
(アダクリス人が逃げていく足音)

それでのたうち回るってんなら逃げんじゃねぇ!

ドクター、行こう、次会ったらブチのめす。

ガヴィルさん、どうして彼らを見逃したんですか。

昔のガヴィルさんだったら、彼らを気絶させるまでやっつけないと気が収まらなかったのに。

ああ、昔のアタシならそうするな。

でも、今はあいつらがなんだか可愛く思えてきたんだ、そうだろ、ドクター。

・よく分からないが、そうだな。
・……
・彼らをタコ殴りにしてる君はそんなに可愛くはないけども。

アタシが言うのもなんか変だけど、ここにいる連中はみんな思考が単純だからな。

はぁ、外にいるときは常に脳を動かさないといけないからな、たまにここが恋しくなるんだ。

おい、ドクター、お前まさか太い尻尾のほうがいいって思ってないだろうな?

そんなことアタシが許さねぇからな!

ハッ!あいつらが可愛く見えるからといって、殴らないわけがないだろ!

なんて言うんだったかな、そうだ、これはこれそれはそれ!

ガヴィルさん……本当に昔と変わりましたね。

ん?おい、トミミ、このおチビ。

え?

何年か見ないうちに、尻尾がまた太くなってるじゃねぇか!

えええ!

まさかあっち側じゃないだろうな?

違います違います、好きで太くなったわけじゃないですから!

うぅ、私もガヴィルさんみたいな細い尻尾がいいなぁ……

そうなのか、チッチッ、可哀そうに。

でも、さっきの戦いでチラッと見たんだが、お前のアーツも結構すごくなったじゃねぇか。

ほ、ほんとですか!

ああ、ロドスに来たら問題なくオペレーターになれるだろう。

オペ……レーター?

オペレーターっつうのは、要はとにかく仕事する人のことだ、たとえばアタシは医療オペレーターをやってる。

確かアタシが出て行ったときお前はまだシャーマンのとこで勉強していたよな。

はい!ガヴィルさんがいつでも戻ってこれるように、毎日自分を鍛えてきました!

アタシが戻ってこれるように?

あっ……えっと、つまり、ガヴィルさんが戻ってきたときにお手伝いできるようになるためです!さっきみたいに!

そうか、じゃあ確かに助けにはなったな。

えへへ……ガヴィルさんがほめてくれた。

まあ、とにかく、先に進むぞ、確か神殿はもうすぐそこなんだろ?

はい。

絶対ユーネクテスが大首長になるんだって、あいつらの部族があんなに強ければ。

そうだな、それに彼女自身も強い、昔からガヴィルを除けば、ユーネクテスだって言ってたもんな、今はガヴィルがいないから……

おい、あそこを見ろ!

あれはまさか、ガヴィルか?

おい、ガヴィルじゃねぇか、やっと戻ってきたのか!

おう、久しぶりだな!

なあ、お前の腰につけてるその羽飾り結構いいじゃん、どっから取ってきたんだ?

イナームの姉御から武器と交換したんだ。

はぁ、お前らはいいよな、イナームの姉御なら何でも手に入るんだから、アタシもお前らの部族に入りたいよ。

ダメだ、姉御は大人数が一番嫌いなんだ、だが何か欲しいものがあるんだったら、俺に聞いてくれ!

そいつぁありがてぇ!……おい、あそこを見てみろよ。

あれは、まさかガヴィルか!

あいつ戻ってきたのか!?

ガヴィル、死んでなかったんだな!

ピンピンしてるわ!

兄ちゃん、もう無理すんなって、石の病気を貰ったんだから、家でちゃんと寝てなって。

馬鹿言え、こんなただの病気なんざ祭典に比べればどうってことない!

ただの病気つっても、病気なんだよ!それにほかの人にオレの兄ちゃんの尻尾に石が生えてるの見られたら、恥ずかしいったらありゃしねぇ!

それにガヴィルがいない今、大首長はきっとズーママだよ!

だから俺はズーママが大首長になるその時をこの目で見届けなければいけないんだ!

クソ、ズーママの言うことを聞くのはしゃくだが……おい、弟よ、あそこを見ろ!

嘘だろ、あの人……ガヴィルじゃねぇか!?

まさか大首長になるために戻ってきたのか?

……弟よ、すまない、今回は何が何でも祭典を見に行かねばならないようだ。

ああ、兄ちゃん、確かにこれは見なきゃバチが当たるってモンだ。

あれっ、あの二人は、ユーネクテス部族の……

本当にガヴィルだ!やっと戻ってきたんだな!

ガヴィル、俺は戻ってくるってずっと信じてたぜ!

おーい、みんな、見ろ、ガヴィルが戻ってきたぞ!

ガヴィル、ガヴィル、ガヴィル!

ほんとに賑やかなヤツらだな……とっとと先に行こうぜ。

はい、みんな祭典が大好きですからね、ガヴィルさんのことだってみんな大好きなんですよ!

あ、ガヴィルさん、目の前に看板がありますよ。

なになに、チッ、汚ねぇ字だな……あー、「マイエヴソティア」って書いてるな。

到着しました。

あれ、なんか音楽が流れてるぞ?

それになんだか聞き覚えがあるような……

おい、ドクター、これAUSの曲じゃねぇか!

・確かにそうだな。
・……
・そうなのか?

そうだろ。

アタシはあんまりよく知らねぇけどよ、でもほかの人がたまに流してたからちょっとは憶えてるんだ。

ドクター、なに曲に酔ってんだよ!

ロドスにもこのバンドのファンが少なからずいるんだ、確か。

あ、確かにAUSの曲ですね。

お前もAUSを知ってんのか!?

去年あたりに、AUSを自称した変なよそ者がここにやってきたんですよ。

彼女たちはまず先にイナームの部族のところでライブを一回行ったんです、そのライブのあとに、多くのティアカが彼女たちを「マイエヴソティア」の使者として盛大にもてなしたんです。

はぁ?

そのあと彼女たちはしばらくの間ここに残ってくれるようにお願いされて長い間演奏をしてくれました、その演奏してた場所が大体は神殿だったんです。

私も一回見に行ったことがあります、確かにすごくていい音楽でした……それにすさまじいアーツも感じられました。

そのあと、多くのティアカたちがこの音楽にドハマりしたんです。

そしてある日、彼女たちは忽然と姿を消したんです、みんな彼女たちは先祖の抱擁に帰ったんだって言ってました。

でも彼女たちはただガヴィルさんと同じように出て行ったんだって私にはわかります。

今流れてる音楽はおそらく彼女たちが出て行ったときに残した「スピーカー」というものを誰かが運んできたんでしょう、彼女たちは出て行く前に、アルバムを大量に残していったそうなんです。

スピーカー?

はい、アーツを使わないと使用できないものなんで、祭祀とシャーマンたちでしかあれらは使用できません、普段はイナームの部族のところに保管してあるはずです。

ハハハ、フリーダムなバンドだな。

確かに彼女らの音楽は刺激的だ、入場してないのにもう血が滾ってきたようだ、彼女たちが気に入っちまったよ!

行こう、ドクター、会場に入って音楽を聴きながら、祭典を楽しもうぜ!