


スルト
任務の目的地はここか?

メテオリーテ
図に書かれた指示によると、たぶんにここね、移動村落――ベローニ村よ。

メテオリーテ
移動村落と言うよりは、村がまるごと巨大なダンプカーみたいね。

メテオリーテ
所有している源石駆動の掘削ボーリングを支えに、自給自足を達成してると同時に、余った資源を付近のほか都市に売買して収入を得ているわ。

メテオリーテ
もし大型の遺跡でも発見したら周囲の大型移動都市に発掘のスポンサーを募ることもできるかもしれないわね。

スルト
そんなこと言われても、ボロすぎるでしょここの村は。

スルト
地面は埃だらけ、柵だってボロボロ。人の往来はあるようだが、修復する気はさらさらないように見える。

スルト
見た印象だとさほど面白そうな場所でもないな。

メテオリーテ
面白い場所なんてこのテラにほとんどないわよ、でもその面白くもない場所に住んでる人たちにも自分たちの生活があるのよ。

やせ細った子供
待ってよ、返せよ!

やんちゃな子供
なんだよ!このアイスクリームをみんなに分けるって言ったのはお前だろ!

やせ細った子供
ちょっと待てよ!お前がそんな握りしめるから家につく前に融けちまってるじゃんかよ!

やせ細った子供
バカ、だから早く返せ!

やんちゃな子供
ダメだねー、俺のほうが足速いもんねー、俺がこれを父ちゃんのところまで持って行ってやるよ!

やせ細った子供
ちょっと待ってよー!!

メテオリーテ
ああいうひどい環境の中で生きている人たちだって少なくないのよ、だからそれって彼らは不幸を意味してるわけじゃないの。

スルト
ただのアイスクリームのために追いかけ回って、周囲の人に構わずわめき散らして、大人になっても変わらずそのまま。

スルト
それでも幸せなのか?

メテオリーテ
……もしかして怒ってるの?

スルト
あの子供たちが周囲を気にせず埃を巻き上げたことに怒ってるわけがないだろ。

メテオリーテ
(それって怒ってるということじゃないの)


村長
いやーすまんすまん、お二人がロドスから特派してきたオペレーターですか?

メテオリーテ
あ、はい、初めまして、現地のお迎えの方でしょうか?

村長
ええそうです、当方がベローニ村の現村長です。私がお二人を案内します、ささっ、突っ立ってないで、行きましょう、こちらです。

メテオリーテ
よろしくお願いします。


ケルシー
カズデル辺境に位置するベローニ村は典型的な採掘村落だ、数か月前掘削で崩落が起こり、採掘場は完全に閉鎖されてしまった。

ケルシー
崩落は採掘場を破壊してしまっただけでなく、村の移動通路まで遮ってしまった、そのためベローニ村の今まで使用してきた通商通路も途絶えてしまった。

ケルシー
村はここ数か月の間幾度も近隣の移動都市に救援要請を送っていたが、彼らの助けに答えてくれる移動都市は未だに現れていない。

ケルシー
そこで今回は現地の状況を確認するために、メテオリーテに現地で初期調査を行ってもらいたい。

ケルシー
第一波のデータを持ち帰ってくれれば、こちらも救助プランを展開できるようになる。

メテオリーテ
了解、別にそんな難しそうな任務でもなさそうね。

ケルシー
村の問題に天災や鉱石病が絡んでいないようだが、気を付けるように。

メテオリーテ
了解、でも……

スルト
……

メテオリーテ
スルトも一緒に行くの?そんな大した任務でもないわよ。

スルト
今回の任務の目的地に確認したいものがある。

ケルシー
スルトは個人的な事情で任務の同行を申請してきた、すでにこちらの承認も得ている。

スルト
足手まといにはならない、私に気を遣わなくていい。

メテオリーテ
……


村長
村の規模はそれほど大きくはありません、お二人はここで少々お待ちを、私は工具を持ってきますので。

メテオリーテ
あ、基本的な探査工具ならこちらがすでに用意してありますよ。

村長
村の端にある採掘場の入り口はこちらの特殊なロック設備で封鎖してあるんですよ。

村長
特殊なロック解除工具を使わないと入れないんです、自慢ではないですけど、私たちは採掘の分野に関したらそれなりの経験がありますので。

スルト
だとしても閉じ込められたのは変わらないだろ。

村長
ワハハハ、確かにそうですな。

メテオリーテ
あああ、すいません、彼女わざとじゃないんです、こらっ、失礼でしょ。

村長
いやー情けない、うちらは採掘に関しちゃ経験はあるが、これほど大規模な崩落事件は予想できなかったのも事実ですから。

村長
ボーリングの部分はその崩落現場にあります、安全のために、私たちも人を無闇にそこに近づけさせたくはないんですよ。

村長
今回はロドスに援助させてもらいますが、こちらも以後は対応方法を色々と探らなくてはなりませんな。

村長
お二人は少し休んでください、少しだけ準備してきますから。

メテオリーテ
わかりました、お手数をおかけします。

メテオリーテ
……

スルト
……

メテオリーテ
だから、あなたはいつも直球すぎるのよ。

スルト
事実を言っただけじゃないか。

メテオリーテ
うっ……うーん……

メテオリーテ
(気まずい。)

メテオリーテ
(前からスルトは人付き合いがあんまりよくないって聞いてたけど、まったく話が続かないなんて。)

スルト
……(記録)

メテオリーテ
村の状況を記録してるの?

スルト
違う。

メテオリーテ
じゃあ一体……

スルト
……

メテオリーテ
……

スルト
……まさか知らないのか、私のプロファイルは全員見れるはずだが。

メテオリーテ
見たことはあるけど、ただ……

メテオリーテ
じゃあケルシーが言っていた個人的な事情って、この村の近くにあなたの記憶に似ている場所があるってことなの?

スルト
ケルシー先生が私に教えたここ付近の情報に、この地域にデジャヴを感じたんだ。

スルト
写真と記録にも大量の知っている画面もあった。

メテオリーテ
現地に来て、村を見たあと、何か思い出した?

スルト
何も起こらなかった。村に入ったとき、道端の子供を見たとき、ボロ小屋を見たとき、記憶の場面に近づきはした、だがまったく違う。

スルト
私もなんでかは知らない。

メテオリーテ
村の隅々まで調べた?

スルト
すべて目を通した、調査漏れしたところはないはず。

メテオリーテ
なんならあとで村人たちに聞いてみればいいわ、もしかしたらあなたが記憶してる村の様子は数年前のものかもよ?今は改築されているのよね?

スルト
……そうかもね。

メテオリーテ
ケルシー先生が私にこの任務を任せた以上、私もあなたの探索を手伝うわ。

メテオリーテ
採掘場崩落事件の調査が終わったら、一緒にこの村で手がかりを探しましょ。

スルト
必要ない、私だけでいい。

メテオリーテ
……

スルト
……

メテオリーテ
過去に見つからなかった場所が見つからない感じは、私にもわかるわ。

スルト
……

メテオリーテ
サルカズの地位のため、サルカズの家のため、私も多くの仲間と一緒に、ずっとがんばってきた。

スルト
私の事情とは違う。

メテオリーテ
違うかもしれないし、同じなのかもしれないよ?

メテオリーテ
私たちは同じようただ帰る場所を探してるのかもしれないよ。

メテオリーテ
でもね、自分が未知なその先で何かを探してるときは、傍のものごとにも注意しないとダメ。

メテオリーテ
これはアーミヤが教えてくれたの。

スルト
……

村長
お二人ともお待たせして申し訳ない、では出発しましょうか!

村長
こちらの準備はもう済ませておきました。

メテオリーテ
今はとにかく、任務を優先させましょ。


メテオリーテ
ここがその……

村長
ええ、ここが崩落現場です、お二人とも足元にくれぐれも注意してください。

村長
採掘口はあそこです、以前の崩落で周辺の地盤が沈下してしまったために、今じゃここら一帯は完全に封鎖したんですよ。

村長
この洞窟には本来は近隣の村との連絡通路だったんですけど、閉鎖したあとはほかの村との物資交換ができなくなってしまいましてね。

スルト
……!

メテオリーテ
スルト?

スルト
この道、見覚えがある。

メテオリーテ
村長さん、その隣村とこの村との関係はどうなんですか?

村長
隣村は私達と同じ規模の採掘村ですよ。付近のいくつかの村も同じ産業をしているから、みんなよく互いを行き来していたんですよ。

村長
双方とも交流が盛んで、お互いから引っ越すこともよくあることでしたよ。

村長
でも今回の採掘場の崩落で、私達の連絡通路が途切れてしまいましてね。隣の村もたぶん自分たちの採掘に集中してると思いますよ。

村長
隣村に行きたいのですか?

村長
道がまた繋がったら、きっとすぐにあちらと連絡が取れるようになりますよ。

メテオリーテ
それはよかったですね……スルト?

スルト
そんな悠長に待ってられない。

メテオリーテ
え?

メテオリーテ
え??

スルト
二人とも離れていろ!

メテオリーテ
スルト、待って!早くはっきりしたい気持ちはわかるけど、今の採掘場はとても危険なのよ!

メテオリーテ
深くに潜ったら自分が危険に遭うかもしれないわよ!

スルト
メテオリーテ、あんたは外で待ってて、入り口を見張ってくれればいい!

村長
この子!直接崩落した穴の入り口を壊して入っていったぞ!?

メテオリーテ
ちょっと、待ちなさい!

村長
だめだ!君まで入ってはいけない!

村長
中でまた崩落が起こるかもしれないんですよ!

メテオリーテ
くそっ!スルト!

スルト
……ここが隣村に通じている道か。


スルト
完全にオリジムシの巣窟に成り代わっているな。

スルト
どうやらこの数か月の間、採掘坑は完全にこいつらに占拠されたようだな。

スルト
めんどくさい。

スルト
これは……

スルト
え?


メテオリーテ
この爆発音は!?

村長
まさかまた崩落が起こったのか!

村長
あのお嬢さんが危ない!一体どうすればいいんだ!?


スルト
くっ、怪我をしたのか。痛てて、掌の真ん中に擦り傷が。

スルト
まさか私が気をとられてオリジムシに奇襲される日が来るだなんて。

スルト
チッ。

スルト
こ、これは……

スルト
採掘坑の下に、別の大きな地下空洞があるぞ?

スルト
大空洞の中身のあれは、都市遺跡なのか……


メテオリーテ
ここです!!

メテオリーテ
!!

メテオリーテ
スルト!

スルト
あ、位置を示してくれて助かったメテオリーテ、おかげでこうやって岩の層を突き破って出てこれた。

メテオリーテ
何を考えてるの!どうして単独で危険地帯に突っ込んでいったのよ!

スルト
任務通り、探査しにいっただけじゃないか。

スルト
ついでに、内部崩落の原因も見つけた、採掘坑の下にオリジムシの巣窟と、巨大な地下空洞があった。

スルト
掘削で下の支える力が弱くなって、崩落したんだろう。

スルト
問題を解決するため、下にあるオリジムシの巣を壊滅させておいた、それと崩落を利用して空洞全体も埋めておいた。

スルト
基礎的な探索プロセスをすっ飛ばしてしまったが、一応問題解決にはなるだろ。

村長
なんと!

メテオリーテ
え?


メテオリーテ
つまり、あなたは問題を全部解決したはいいけど、隣村に行ける道は見つからなかったと?

スルト
うん、途中でわかったんだ、隣村は違ってた、ここも違ってた。

スルト
どうやら私の思い違いだったようだ、ここには私が探している記憶はなかった。

メテオリーテ
いつもびっしり記録してるあなたも間違っちゃうの?

スルト
たぶん。

メテオリーテ
……私もそんなことあったなぁ。

メテオリーテ
目標を探してる道すがら、いつも目標に近づくたびに色んな失敗に遭遇しちゃう。

メテオリーテ
でも傍にいる人に頼れたから、今まで頑張ってこれたんだよね。

スルト
私からすればいつものことだ。

スルト
今回だって別に初めて記憶にズレが生じたわけでもないし。

メテオリーテ
でも、今回見つからなかったからといって、帰る場所がないわけではないでしょ?

スルト
それって、私もあんたに頼ってもいいってことなのか?

メテオリーテ
えーっと、そうじゃなくはないんだけど……

村長
お二人とも!村のみんなに通知しましたよ!

村長
正式な探査隊がもうすでに準備に入っています!もし本当にお嬢さんの言う通りであれば、採掘坑の復興作業も開始できそうです。

メテオリーテ
くれぐれもこちらが現時点のデータをロドス本艦に持ち帰ってから探査を行ってください。

メテオリーテ
再度新たに事故が発生した場合補償は発生しかねますので。

村長
ワハハ、わかりました、みんな大喜びしてるもんなんで。お嬢さんたちには感謝してもしきれません。

村長
もしよろしければ、今日は村にお泊りしてはいかがでしょう。

村長
どうかおもてなしさせてください!

メテオリーテ
えーっと……

スルト
急いで戻らないといけないから、おもてなしは遠慮させてもらうよ。

スルト
でもそうだな……

スルト
そのかわりにアイスクリームを一つくれないか?