【明日方舟】アステジーニ(星源 Astgenne)の詳細(性能やスキル、資料)

造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

【源石融合率】4%
アステジーニの右小腿の足首近くに感染痕が見られる。

【血液中源石密度】0.2u/L

僅かな感染のみで、体表に明らかな源石結晶は見られない。

このオペレーターの医療資料は既に需要に応じて機密レベルを高めており、幹部アステシアのファイルと共同で保存されているため、関係人員が注意するように。――匿名の高権限医療オペレーター。

アステジーニがロドスアイランドを訪れたのは初めてではない。以前、ライン生命本部で起きた実験事故で鉱石病に掛かり、姉と共にロドスアイランドに一時駐留してオペレーターとなった。

しばらく休養をして身体に支障がないことを確認した後、彼女はライン生命エネルギー課に戻って仕事を続けた。今回ロドスを訪れたのは表向きはアステジーニが自発的に出張を申請したという事にはなっているものの、実情はライン生命内部の別の実験事故や、エネルギー課の人事調整と関係があるようだ。

しばらくの間、ライン生命に戻る事は無く、ロドスに残って仕事や生活をすることになるだろう。

アステジーニは電力学と工学の二つの学位を持つ博士で、これまでロドスの工房や後方勤務部のオペレーターとも接触していたため、ロドスでの生活にも容易に適応できた。そのため、人事部が彼女の精神状態を心配するのは全く余計なお世話だろう。

「彼女が最近ライン生命で何かトラブルがあった事は知っているが、彼女は帰ってくるなり、すぐに私の所を訪れて、翌日は材料を持って実験器具をカスタマイズしていた。大きなプロジェクトがあるように見えたな。ああ、あの勢いを見てくれ、私は私のハンマーに誓おう。アステジーニが半日でも意気消沈していたのであれば、私の年貢がお前のポケットに詰め込んでやるよ」――匿名の高級職人

ウビカ家の祖先はガリア星象学派の分派ではあったが、主流学派に排斥されたためクルビア南部に移民して現地に根を下ろし、意識せずにガリアの亡国の影響を避け、現在ではかなりの社会的地位を持つ巨大な家系となっている。アステシアとアステジーニはこの家族の新生代の一人だ。

二人の姉妹の両親であるウビカ夫妻は見合い結婚ではあったが、意気投合をして幸せで円満にしばらく暮らした後に第一子を生んだ。

ウビカ氏は自身の星の研究を用いて未来を予測、自分の一生で授かる子供の数は一人だろうと考えていた。そのため、自分の元に生まれる子供のためにアステシア、群星の極点という名前を付けた。

しかし、ウビカ氏はその日の内に二人目の子供も出産する事になった。ウビカ氏は大喜びし、予想外の娘にはアステジーニと名付けた。ウビカ氏はこの娘が星の源のように家族に新しい気運をもたらすようにと名付けたのだ。

アステジーニは小さい頃から勉強が好きで向上心のある人物だった。彼女には姉のような学識を手当たり次第に暗記するというような能力は無いが、彼女はより一掃努力をし、真面目に取り組んでいた。

そのため、幼い頃、彼女が発揮したオリジニウムアーツは姉よりも輝き、彼女の星に対する知識は父親でも唸るほどのレベルに達していた。ウビカ氏によると、アステジーニは「姉とともに家族の輝かしい未来の支えになる」と考えていた。

しかし彼女はそうはしなかった。

アステジーニの遷移は破損した星像儀に由来する。その日、彼女はベテランの占星術師である父と母を見つけたが、彼らは修復できる星計器を捨てて新しいものを買っているという事を知った時、彼女は突然、自分の学んだことがそれほど実用的では無いという事に気付いた。彼女は心の中で思っていた「修理すればまだ使える」という言葉を両親の前で口にする勇気がなく、その星像儀を部屋に持ち帰って、説明書と制作ガイドを何冊か見て、自分で分解して復元、機器を作っている職人を探して話を付けて、何ヶ月も掛けて完全に修理した。

アステジーニはそれを姉に見せ、姉は興奮して計器を受け取り、器用だと褒めながらキャンディを分け合った。彼女が計器を両親に見せた時、彼女が手に入れたのは2つの冷たい返事だけだった。

「どうしてこんな鉄くずにそこまでの時間を浪費したの?」

「アステジーニ、時間の正しい使い方を知りなさい」

彼女は黙って部屋に戻り、本棚の上にずらりと並んだ星象学の専門書を見て、そして窓の外には果てしない移動都市の区画が見え、彼女は悟った。

たとえ彼女が星々の周期的な変化の法則に精通していても、このような遠くて非現実的な変化を誰かに説明することができると誓っても、この学識自体は、大地全体にとって何の役にも立たない。

家族のような何の役にも立たない詐欺紛いの事を学び続ければ、彼女は今後、計器さえ修理できない星の詐欺師になるだけでしか無い。

彼女が本当に身につけたいのは、彼女の父はクズと見なしたが、本当はそれが世界をより美しくすることができるもの。

科学だ。

アステジーニはその日から、両親とその先生たちの星象学の授業には消極的となり、学校の授業に重点を置くようになった。

彼女は学業成績で自分の選択の正しさを証明しようとしたが、両親からは軽蔑され、それは彼女を更に意固地とさせてしまった。

姉のアステシアが仲裁に入らなければアステジーニの性格では結果を顧みず家出するかもしれない。

結局、大学の入学通知書が届き、安定した貯蓄と収入がある事を確認したアステジーニは家を飛び出し、彼女を苦しめた家には二度と戻ってこなかった。

新しい生活を迎えるために、彼女は大学の新入生が到着した時に自分のために新しい名前を用意した。エレナと。

彼女はあのような儚い幻の星になるのでは無く、光となりたかったのだ。

最先端の科学技術会社として、ライン生命の求人基準は多くの人を尻込みさせるに十分だ。

ダブルディグリーを持つエレナでも、ライン生命という修士博士が入り乱れている会社では確かに取るに足るものでは無い。

しかし、「幸運」なことに、彼女には良い先生であるライン生命エネルギー課のフィルディナント主任が始めた実験プロジェクトに大学時代から参加していたことがきっかけで、エレナは業界の先駆者として数年間働き、ついに彼の弟子となった。その中での苦労と困難は言うまでもないが。

フェルディナント氏の下には数十人の研究員がおり、客員教授時代に教授を務めた学生を含めると、少なくとも数千人いる。

エレナは彼に気に入られたのだ。理由は学業の優秀さにもあるが、何よりも極限状態での判断力、反応力、行動力に惹かれた。

数年前、エネルギー課の実験室区域で極めて深刻な源石液漏出事故が発生した。当時、エネルギー課の主要責任者はみなライン生命本部の外で執務していたが、防衛課は事前案に従ってこの事故を処理した。

しかし、漏出は他の部門に影響を与えていることに加え、いくつかの実験が中止されると、反応不足の材料が問題視される事となり、救援現場の進展は遅々として進まなかった。

当時、実習研究員ではなかったエレナが責任を持って自ら防衛課のサリア主任に現場の状況を説明し、率先して負傷者を救う行動をしていなければ、フェルディナントはさらなる羞恥の場に晒されていたかもしれない。

人を救いたい一心で危険度の高い場所に完全では無い防備で入った結果、源石病に感染、姉のアステシアは事故に巻き込まれた際にエレナと安全な部屋に避難し、妹に接触をしてしまったために共発性鉱石病の症状が出たため、ロード島に運ばれる事にはなってしまった。

「現在に至るまで、共発性鉱石病の具体的な原因は明らかにされていない。このような極めて稀な症例は近年になってようやく見つかった。既存の病状例では、感染者には感染した一卵性双生児の兄弟姉妹がおり、幼い頃から同じ源石技術を修習し、精神的な繋がりが強いという事、感染者になったばかりの血親との接触過程で現れる強い感情の変動、時間や空間といった推測的要素など、いくつかの共通点が見られる。すべての例で兄弟姉妹が感染者になってから数時間後に接触したことがあり、この時間以降に共発したという例はなく、暴露場所が異なった際の感受性突発性鉱石病の例も存在しない」

「サンプル数はどのくらいだ？」

「本艦の一例と各国のロドス支部から伝えられた例で全部で2例」

「まだ少ないな。このような推測になるのは短絡的すぎるかもしれない」

「この病気はもともと非常に珍しいので、限られた資料の下で研究するしか無い」

「私はあなたがこのことで成果を上げ、苦しんでいる人のために治療法を持っていくことを急いでいることを知ってはいるが、あなたの慎重さは尊重すべきだ。私たちは感情が豊かなときにオリジニウムアーツを衝動的に用いて他者を病気にしたケースも少なくは無いですし、多くの血縁者が外因的に次々と病気になった例もある」

「それだけでは説明出来るものでは――」

「それは、あなたが考えている全ての点が他の人に特別な例を見つけられて反論されることを意味しているんだよ」

「……（悔しいため息）」

「鉱石病は普通の病気ではありません。他の病気の論理はこれにはてはまらない」。

「……私は諦めない」

「もちろん、諦めはしない。でもその前に、これらの患者たちのために医療計画を立ててないと」

「もう出来てるよ。3つのフォルダをあなたの机に置いておいたから」

「ありがとう、お疲れ様」

……

「ほかに何か用でも？」

「もし科学的論理がこれらの患者の鉱石病を説明できなければ、私は確かに別の道を切り開くべきではないかって」

「どういう意味だ？」

「ロドスの既存の症例は占星術師の旧家から来ていると聞いてね。このことは常識的な因果にかかわらず、神秘学の範疇からしか答えられないかもしれない。彼女たちの父は自分には娘は一人しか生まれないと予言していた。彼の予言の結果は間違っていなかったかもしれない」

「それはまだ、あなたの仮定推論に根ざした推測に過ぎないだろう……。でも、あなたがそうだと思ったのであればやってみよう」

——医療部会議室、高権限医療オペレーター間の録音抜粋

エレナは、恩師であるフェルディナンドのことを厳しいながらも個人の意志を尊重してくれる良い先生だと思っていた。

しかし、”359号基地事件”での出来事で彼女はフェルディナンドに、支配的で、不信感があり、抑圧的な自分の両親の姿を重ねてしまった。 そんな人を追い出そうと、あらゆる手段を講じてきたが、10年以上も堂々巡りの末、同じ穴のムジナに陥ってしまっていたのだ。

そこで、との時からは彼女は恩師である上司と決別し、その後は姉のもとに戻るために、ライン生命にロドスへの駐在を依頼することにした。 ここでしか彼女は止まる事も将来へと準備するための調整も出来ないからだ。 今の彼女はフェルディナンドの失踪とエネルギー課全体の変化によって主要な研究は完全に停止して途方に暮れていた。 10年近い苦労の結晶は完全に停止してしまい、再開の日も見えない。

まるで、オリジムシのブリーダーがある日、部屋のドアを開けたらオリジムシが虫舎から消えていたようなものだ。

技術的なことはすべて頭の中に入ってはいるものの、それを再現出来ても、ロドスにはそこまで自由に使える資源は無い。

しかも、彼女はオペレーターとなったことで新たな責任や義務が生まれた。彼女には他にもやることがたくさんある……。

しかし、裏を返せばエレナは自分の人生がそれほど惨めなものではないとも感じていた。新しい生活、新しいチャンス、ロドスの豊かで幅広いオペレーター達は微々たるものでも役に立つ研究をたくさん行うためのサポートをしてくれるというわけだ。

ロドスの管理者は効率的で専門的な印象も受ける――今回、彼女はドクターと呼ばれる管理者が信頼できる人物であることをよく確認した。 何より姉の宿舎の隣に住むことになった。
彼女はようやく家に帰ってこれたのだ。

よく知られているように、アステジーニは家族の星の伝承に対してずっと遠まきながらも非難しており、たまに言葉がキツいために姉に頭を叩かれる事があった。しかし、幼い頃の訓練は彼女に対して少し役に立っていると認めざるを得なかった。

ウビカ姉妹のオリジニウムアーツは同じ源流ではあるものの、表現方法には違いがある。

アステシアのオリジニウムアーツは複雑な表現を重視し、アステジーニのオリジニウムアーツは簡潔且つ自然なもので、時には彼女が法杖を軽く振るだけで、絹織物のような小さなエネルギー束が人々の気分を一日中良いものにする時がある。

そんな「見かけ倒し」の外見ではあるものの、きちんと調整さえしてやれば、一見すると非力そうなエネルギーのビームも瞬時に高出力のビームに変化し、上部で健康な大人を半月入院させる事が出来る事を彼女たちは知りはしない。

アステジーニは工房に滞在する事を好み、彼女はプロの職人ではないが、よく工房に誘いをかけるクライアントとしては良い存在だ。

たまに、彼女は工房を借りて自分で物をいじることもある。主に自分用のアーツロッドを修理したり、姉の星像儀の調整を行ったりしている。

以前は、これは彼女が姉にお小遣いを求める手段だったが、今では二人の親密な関係の象徴であり、異なる道を歩いても、二人の姉妹は依然として互いに励まし合いながらも頼り合う仲なのだ――姉の落ち着きと綿密さがなければアステジーニは衝動的に行動しやすい、しかし妹の決断力と忍耐力が無ければアステシアも決断できないことがある。相違いながらも、互いに頼り合う、この姉妹の関係に対してはこれが最も良い要約だろう。