【明日方舟】プロヴァイゾ(但书 Proviso)の詳細(性能やスキル、資料)

造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。

【血液中源石密度】0.12u/L
源石との接触は極めて少ない。

到着を報告した日、プロヴァイゾは何人かの人事部幹部に深い印象を残した。入社初日に机の前に座り、署名が必要な契約書をまじまじとした目で通し、一通り読んだ後に多くの残念さと少しの賞賛の口調で「何も間違いは無いですね…」

以前、私たちはプロヴァイゾの履歴書を受け取って背景調査を行った時、人事部オペレーターはデイシュットを受け入れるかどうか、つまり今のプロヴァイゾをオペレーターとして受け入れるかどうか非常にためらっていた。

しかし、本オペレーターはこれまでカシミールのトップクラスのエリート法律事務所であるヴォーゼ法律事務所に就職、非訴訟弁護士と訴訟弁護士の仕事を経験しており、ここ数年の間に事件を担当する数はかなり多く、負け知らずの弁護戦績を持っている。

私たちは関連する事件の報告書を調べたところ、彼女が関与した事件に関しては、結果が正義かどうかは気にしていない場合が多く、捜査手段や事件に対する考え方も曖昧なものだった。

ロドスから見ても彼女の能力に申し分は無いだろう。だが、私たちが気になるのは彼女の本質が私たちの要求に合っているかどうかだ。

しかし、本オペレーターは私たちの質問に対して非常に詳しく回答を行った。彼女は自分がこれまでの全ての事は対処したので、ロドスに影響を与える事は無いと言った。そして、ロドスがカジミエーシュメジャーの間に行っていた事に興味があり、それがロドスを選んだ理由であり、本当に何か良い事をしているように見える会社は珍しいからだという。彼女が前職を辞めた理由は「星を見たから」だそうだ。

「学生」から「社会人」への身分の転換は多くの若者にとって容易なことでは無く、プロヴァイゾも例外では無かった。

新米弁護士としての最初の事件、プロヴァイゾの先輩は彼女に勝ちたいかどうかを尋ねて肯定的な答えを得た後、先輩はプロヴァイゾに重要な証拠物は裁判の途中まで隠しておくように指示をした。そこでプロヴァイゾは「検査機関はデータを分析を行ったところだ」と主張した後、先輩は場外から彼女に証拠品を――復元された会話の録音を手渡した。

彼女はこれによって相手の証人が提出した証言を覆すことに成功し、巨額の金を見た秘書に責任を負わせる事に成功、秘書は法廷で罪を言い渡され、刑務所へと送られた。

「華やかな初戦勝利」と法律事務所の誰もが評価している。

その後、その秘書は獄中で以前認めた全ての罪を突然覆したという。彼は血書で自分の潔白を証明し、母親も間もなく自殺したとされている。

しかし、プロヴァイゾがこの「噂話」を聞いたのはずいぶんと後になってからの事で、その時の彼女は上層部の取締役が彼の収賄に関する告発を覆すのを担当していた。取締役の資金取引に複数の支払い記録がある受取人は、その秘書の上司だったのだ。彼女は最初に事件で気付くことが出来ていない事があったに違いないと感じ、当時の前任者に事件の再捜査を依頼した。

しかし、先輩は机の後ろに座り、何も言わずに冷ややかに彼女を見つめるだけだった。

彼女学生時代、先輩の裁判を憧れの眼差しで見ていた事を思い出した。先輩は明らかに被告であるディレクターの弁護人だったが、ことあるごとに原告の職員のために発言をし、最後には傍聴席にに向かって頭を下げて「正義を守る」と言っていた。

しかし、プロヴァイゾはそれ以上何も言わなかった。彼女は全力を尽くして取締役の全ての告発を覆して多額の報酬を得た。彼女は匿名でその金を犯人の妻にこっそりと送金はしたものの、それ以上触れる事は無かった。

「あの冷ややかなムリナールさん」とプロヴァイゾはいつもムリナールの事をそう呼んでいるが、ムリナールは見た目ほどの冷たさは無く、初めて出会った時は少ないながらも会話をしてくれた事があると行っていた。

偶然に出会った二人が一緒にカミェン村に向かう途中、重い薪の束を持った老人が粗末な木の橋の上を歩いていて、老人が一歩一歩ゆっくりと向こう側に移動するのをプロヴァイゾは足首を動かして休憩しながら見物し「この人が持っている薪の束はいくら稼げるんだろう」と独り言を言っていた。

しかし、彼女はその後、気を失ってしまったのだという。彼女は数日前にとある取締のために裁判に勝ち、その結果、高額な報酬を手にしたばかりだったのだ。

彼女は証拠を集めるときに見てはいけないものをたくさん見てしまったこと、口を閉じろと言う意味で当初の報酬額より多くなったことを知っていた。

バーでの祝杯から帰宅した後、彼女は自分の安全が保障されている住まいにて破られた弁護士服を見つけてしまったのだ。彼女は少し慌てはしたものの、幸いなことに取締役たちの脅しはこれだけで、少なくとも自分が吊るされた弁護士服のようにはならない事を示していた。

このようなことは何十回も経験していたため、この田舎の風景を見た時は、ここに最終的な隠れ家を建てるのはどうか、人に調べられないように契約書はどうするかなどを考えていた。

そして、彼女はカミェン村に行った時のことを続けて述べた。

彼女は物思いに耽っていたため、自分が何気なく質問した事には気にもしていなかったものの、一瞬の沈黙の後にムリナールは突然口を開いて数字を報告した。

しかし、彼女はその時驚いたのだという。彼女はムリナールが答え終わった後、うんざりした顔と悲しみの表情を見ただけで、何故ムリナールが突然この質問に答えたのか理解する事は出来なかった。

しかし、昼の仕事を終えた後、彼女は畑の中で一つの姿を見た。その老人はついに長い畑の小道を歩き終え、暗くなった時に村に帰ってきた。しかし、その手に持っていた金額はあの時ムリナールが言っていた数字に遠く及ぶものでは無かった。

その時、彼女は端末を持って会社からの電話に出ようとしたが、どういう訳か老人がゆっくりと家に帰ってくるのを見るだけで電話に出る事は無かった。しかし、端末を通して聞こえてくる声を聞いてプロヴァイゾは思わず涙ぐんでしまったようだ。

『承諾契約書』ではなく『意向書』、入札書類の不備、正確な数量計算の不履行、これだけの抜け道が目の前にあるのに請求が許されないとしたら、私はとても悲しいです。

私はあなたのおっしゃる事はわかりますよ。他の何人かの弁護士も私にロドスの基準の話をしてくれましたが、営利企業でありながら自分が署名した契約をよく審査していなかったのは大きなミスでした。私はロドスの弁護士として、当然ロドス側に立っています。

私が相手の企業弁護士なのかと聞かれればそういう訳ではありませんよ。

ロドスの何処が悪かったのか、それを調べる事が企業としての利益になるのです――もし、私が訴訟を起こせばどうなるかは分かりませんけどね？

まあ、私は弁護士ですから。

ですが、私はただの弁護士にしか過ぎません。どちらも自身に有利な証拠を提示して、提示が足りなかったほうが負ける。法律というのはそういう分かりやすいものなのです。

私が信じているのは何なのでしょう。

……ちょっと！

私が起こしている訴訟をよく見てください。こいつらはあなたの言うような善人ではありませんよ。

この会社は数年前に感染者従業員を虐待している事がニュースになりましたし、この会社は大量のベテラン従業員を解雇したことがあって、こいつらが抑えていた労働者の死の証拠も集めました。

私は今ロドスで働いている以上、あなたたちがやりたいことは当然知っています――言うまでも無く、感染者に関する法律はここ数年で新しく作られたものばかりで、不備点が多すぎて、全ての言葉に無数の解釈が存在して研修され尽くしている商法よりも簡単なものでは無いのです。

だから、私を信じてください。私はできる限り、貴方達の許可の範囲内で貴方達をお助けしましょう。

どうですか。やってみませんか？

それではこちらのほうにご一筆を！

調停が終わった後、意気揚々な依頼人は自分の背中を柔らかいソファーのクッションに当て、グラスの中のワインを揺らして、目の前の弁護士に尋ねた。

「デイシュットさん、あなたのような人がいてこそ、法律は私達のお守りのようなものですよね？」

依頼人はお世辞を待っているようだ。

「では、あの役員を殺して会社を奪ってしまえば良いじゃないですか」

「忍びないからという理由ではありませんよね。あなたは産業全体の全てを我が物にしたばかり、明日の朝のニュースには倒産した取締役達の干からびた顔が載るでしょうね」

依頼人は驚いた。

「法律で決まっているから今はこれくらいしか出来ないのでしょう」

デイシュットは赤いワイングラスを振った。

「少し不愉快かもしれないですが、少なくとも法律の存在には配慮してくれますよね？」

「であれば、少なくとも、少なくともですけども彼らの弁護士は彼らが生きていくだけの和解金を手にする事は出来ます。法律がある事であなたは利益を得ることが出来て、相手の生命を救う事も出来る。全てが最悪の事態になるという事はありません」

「そして、私も大金を稼ぐ事が出来る」