【明日方舟】パズル(谜图 Puzzle)の詳細(性能やスキル、資料)

造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

【源石融合率】11%
左腕と身体に源石結晶の分布が見られる。

【血液中源石密度】0.26u/L
爆発の際に急性感染したものの、幸いにも感染時期は短期間で終息し、ロドス到着後、症状は収束へと向かっている。

パズルはオペレーターテストに合格し、良好なパフォーマンスを見せてはいるものの、当面の間は戦闘任務に参加させる事は無い。

この処遇は信頼関係に由来するものでは無い。彼は私達に対して誠意ある態度を示しており、ロドスを内部から破壊する動機もほとんど無い。

当然彼の能力が不足している訳でもない。鉱石病の影響で彼の現在の体調はヴィーヴルの平均と比べてやや劣ってはいるものの、戦闘能力に影響を与えるほどのものでは無い。同時に彼の煙を用いるオリジニウムアーツは隠密行動を中心とした戦いにおいては多くの利便性をもたらしている。

ただ、彼は自分のオリジニウムアーツの使い方をコントロールする必要があり、もしかしたらそれは戦い方を変えてしまうかもしれない。私たちは彼がほぼ限界に近い状態でオリジニウムアーツを使用している事を確認している。一方で彼は依然として鉱石病抑制治療の経過にあり、このような状態は彼の症状を抑制するという点においては非常に不都合だ。更には感染が進行する事で彼のオリジニウムアーツが暴走する可能性が無いとも言い切れない。

感染前からオリジニウムアーツに長けていた者が自分の戦い方や習慣を変えるというのは簡単な事では無い。ましてや性格上固執する事が多いパズルであれば尚更だ。彼は自分の論理に基づいて計画を詳細に作成し、最悪の場合に備えて応急対策を行い、その過程で彼が持っている全ての力を引き出す。彼のオリジニウムアーツは彼が用いる事が出来る手段の中では極めて重要な部分にある。

私たちは彼とコミュニケーションをとろうとしました。彼が行動の中で予備案を準備するように、自分のためにもっと多くの余裕を持たせて欲しいと考えている。人体は時計の部品のように正確に動く訳ではなく、鉱石病の発症を左右する要因を定量的に計算する事も不可能、それが最もシンプルでストレートな真実だ。

しかし、最終的には彼の現場での職務を停止せざるを得なかった。彼はこの真実を知ってはいるものの、それを受ける事が出来なかったからだ。

パズルが鉱石病に感染するきっかけとなった出来事はごく普通の調査任務だった。当時、爆破を実行しようとした者達の異常な行動には事前に気づき、安全区域に逃げるのにも十分な時間があったが、同時に自分が近づこうとしていた男がこの爆発で殺されてしまった場合、彼のこれまでの捜査はここで全て途切れてしまう事に気付いてしまった。当時は市役所の事務員という立場で調査を行っていたため、相手に直接近づいて説得をするという方法は藪蛇にしかならない。

そこから、短い時間の中でとっさに判断をし、爆風を躱すことをせずに、その男を無意識に守った。その後の二人は負傷したため、病院に運ばれる事にはなったが、パズルは相手が完全に無防備の状態でその男と接触する事が出来た。

雑談の中で言及ではあったがパズルは自分の当時の行動目的を簡単に説明した。彼は地元貴族による軍事的準備の可能性を探るよう命じられ、化学物質の発注に基づいて都市内のとある工場を追跡した。私達が「それは重要な任務だったのでは」と善意を持って言うと、パズルは首を横に振って、そこで得た情報にはあまり価値が無かったと示した。

「彼の気持ちはよく分かります。ロドスにとっての最大の敵は鉱石病はなので、私は『何のために鉱石病に感染したのか』という事で議論はしません。同様に彼は自分の指名のために払う犠牲に勝ちがあるのかどうかに他人が意見する事も受け入れません。それが信念への尊重というものでしょう」

――治療中にパズルと会話を繰り広げた医療部オペレーター

ロドスにパズルが訪れたきっかけは匿名の手紙だった。

当時のパズルはリードに対して調査を行っており、リードに同行していたバグパイプとチェンと偶然遭遇し、両者は何らかの衝突があった。職業柄、警戒心が強かったため、彼は三人の情報を多く集めたが、それぞれの背景が分かれば分かるほど、目的も身分も立場も全く異なる三人が何故友人として共に生活しているのかが全く分からなかった。

重要な手がかりを探しながら、パズルは諜報員としてのキャリアを終えて、監視の下で恵まれた生活を送りながら鉱石病で生涯を終えるか、鉱石病に罹った状態で諜報員としてのさらなる一歩を踏み出すかの選択を迫られた。パズルは彼が言っていた「さらなる」とは何なのかを明確には説明していないが、ロドスに来た時に持っていたのはカスター公爵本人の署名入りの手紙だったことを考えると、公爵直属の部下として働く機会があったのではないかと推測される。

そして、彼は手紙を受け取った。封筒の中にはロドスの名刺一枚しか入っていなかったが、それが偶然にも彼の混乱への答えとなり、新たな可能性を与えた。

「私はもちろん差出人が誰なのか知っていますし、彼女が何故そんなことをしたのかも分かっています。善意のシグナルを放ち、協力を求め、人間関係のネットワークを構築する事は一部の情報員においては本能的に行っている行動様式です。しかし、過去の任務は終わりましたので、今の私はあなた達のオペレーターであるリードを調査する事はありませんし、そのコードネームの女性にも興味がありませんのでご安心を」

その後、パズルは自身の諜報活動に対する考え方を語った。

ロンディニウム事件の期間中、パズルはロドスとの協力協定を厳守していかなる形でも関与していない。しかし、私たちは彼に事件についての見解を聞いていると彼は突然情報員としての経験を話した。

諜報活動に携わる前のパズルは普通の学生でオリジニウムアーツの才能はあったものの、その厳しい完璧主義の性格から他の大部分の学生からは敬遠されていた。貴族階級に関わる事、軍と協力をする事、諜報部門に勤める事など、当時の彼は全くもって予想だにしていなかった。しかし、彼の後の上司、とある諜報組織の責任者が彼に育成を受けてみないかと声をかけられた時は彼はほとんど迷うこと無く承諾をした。

細心の注意を払い、細部に渡ってミスをしない諜報の仕事というのは確かに彼の才能を発揮するのに適してはいるが、それ以上に戦争を起こそうとするものを敵として扱い、社会の平和と秩序を保つという思想に賛同したのだ。

彼にとって「物事には秩序がある」という考えは追求した所にあるものでは無く、偏執的な認識にある。このような認識は偶発に満ちた現実とは矛盾したものだ。公爵同士は対立をし、動乱が迫っているヴィクトリアでは彼は秩序が変わる事によって生じる不当な暴力や混乱に絶えず不快感を覚え、戦争の可能性におびえていたのだ。

「戦争には道理がない。人々はそんな理不尽な生活に耐えるべきじゃない。過去数年間、私たちの仕事の最大の目標は人々の生活がそのような悲惨な状況に陥るのを避けることだと思っていた」

「しかし、結果として成果は期待外れのものとなってしまいました。結果的に戦争は起こりました。私達の黙認の下で。大抵の場合において私達は自身の行動上の小さなミスが何百、何千もの命が巻き添えを受けないように注意を払っていましたが、戦争が本当に起こる兆しを見せた時、私に出来る事は何もなく、それを振り払う事も出来ないと悟りました」

「……あなたのそのような打診は時間の無駄です。私の忠誠心が変わる事はありません。ただ、いくら考えても私はこの事実に妥協することは出来ません。だから私は今ここにいます」

ああ、俺たち何人かでやっていたんだが、彼にパズルのタイムアタックの審判をしてもらったんだ。

彼はとにかくパズルが好きみたいで、二週間毎に物流部門には購入依頼を出し、休みの日は一日中デスクに座ってる。

――もちろん彼の正体は知ってるさ、「ロドス協力オペレーター」という身分にもまだ慣れていない事はわかっている。以前、彼は市役所の事務員、骨董品鑑定士、貴族の秘書になった事があって、そういった職業であれば信用を得る方法を知っているかもしれないが、ロドスではそういったやり方は通用しないんじゃないかな。

まあ、彼を招待したのはあまり良い考えじゃなかったかもな。彼は時間制限が好きじゃないし、人が物事をメチャクチャにする様を見るのも好きじゃない。パズルをしているのは集中するための手段だと言っていたのも多分本当なんだろう。でも少なくとも彼が私たちと一緒に机の下にしゃがみ込んでで、とあるオペレーターが我慢の限界に達して床にぶちまけたパズルを拾っている時の彼は初めて緊張が和らいでいたように見えたな。