私は錯覚を見ているのでしょうか、また空が暗くなってきたような?
…それが錯覚だったら良いのだがな。
時間はもう残されていない。
天災の雲はさっきよりも黒く、そしてはっきりとした形になってきている。
ちっ、裸眼でもゆっくりと形作っているのが見えるのはとてもいい兆候とは言えないな。
加えてどの通りにもレユニオンが待ち伏せされている可能性がある…
いや、この言い方では生ぬるいな。
言い換えれば路上はレユニオンで埋め尽くされているということだ。
街のほぼ全てで暴徒が破壊や強盗、交通機関や店舗を焼き払っているようです…。
あの人達は天気の良いピクニック日和か何かと思っているのでしょうか!
今ピクニックに出かけたら、きっと天災に見舞われるぞ。
それだとほとんどのレユニオンが野蛮で頭が悪いということになってしまう。
…。
…ふふ。
彼らが本当に…ピクニックをする訳ではないと思います…。
私はただ愚痴を言っただけで…そういう意味では…。
ーー
そういうことでは無い?もしかしてジョークだったのか?
あっ..
すまない、私はいつもこうだ…
あああ…だ、大丈夫ですよ…。
逆に笑いをこらえるのが少し難しかったです…!
えっと、すみません…こんな大切な時に私は…。
大丈夫です。
私達はみなさんの泣き顔を見たいがためにロドスアイランドを建てたのでは無いのですから。
ロドスアイランドのみなさんには笑顔でいてほしいのです。
ア、アーミヤ…。
大丈夫ですよ、医師さん!
それでは探索に力を尽くすとしようか。
四時の方向に敵がいる、静かに対処するぞ。
奴らの病変した器官がアラームや爆発物にでもなっていない限り大丈夫なはずだ。
反対側にいる拠点から離れた大規模なレユニオン達は俺達に任せてくれ。
雑音がひどいままだと、中で何の音が鳴っているのか誰にも分からないからな。
それでは各自行動を開始しろ!
(戦闘)
時間不明/天気不明/視認性 低
チェルノボーグ行動チームE0所在地
Dr.○○○救助活動 フェーズ3
あっ!
この診療所…
アーミヤ、私達が依然行ったことのある場所では無いでしょうか?
…本当ですね…。
ですが…どうしてこのようことになっているのでしょう?。
もう人はいないようです…どうやらレユニオン達に襲撃されたようですね。
…。
ここはまさかあの感染診療所、アズラエルですか?
…はい。
チェルノボーグの地下ネットワークを全て掌握しているのに私達には協力しなかった…
その時点では彼らとレユニオンとの関係もあいまいでしたが…。
少なくとも、彼らが情報を共有していてくれたり、提示していてくれていたら…。
私達もここから早く離れることが出来ていたかもしれませんね。
このような結果は彼らの自業自得ですよ!
それが全てではありませんよ…
アーミヤ、彼らと交渉している時にもいましたよね?
彼らの傲慢で無関心な態度に私は…。
彼らを責めることは出来ない。
ボス…。
感染者達が他者を信頼することは非常に難しい。
多くの苦難を経験したのであれば、保守的で頑なになるのは当然のことだ
少なくとも彼らのあの振る舞いは…理解出来るし、許してあげたいです。他人に用心しないと他人から傷つけられるのですから。
ましてや感染者同士なんて簡単に信頼しあうことは出来ません。みんながみんな私達のように危険を冒しても構わないという訳では無いのです…。
・感染者診療所?
えっと…彼らは感染した人々だけを治療する闇診療所なんです。
感染者の社会的地位を考えれば街に顔を出すことは出来ません。
隔離地域に放り込まれたくない感染者達は都会では自分の姿を隠して生きています。
アズラエルはこうした感染者達にサービスを提供していました。
…彼らはきっとレユニオンの要求を拒否したのでしょうね。
ドクター、私達は病気を患っていると依然に言いましたよね?
この病気は私達を殺すだけでなく、常人とは違った力を発現させるのです。
私は法杖を使わなくてもアーツを使うことが出来ます。
しかしこの病気は肉体的にだけでなく生命すらも奪ってしまう。
それは二度と正常な人と同じような生活を送れなくなるということです。正常な人の社会は全てを奪い取っていくのです。
このチェルノボーグは全ての規制の象徴です。
感染者を駆逐し、感染者を撲滅し、感染者を軽蔑し、感染者を恐れる…。
…
そしてこのような結末をむかえた。
しかし、少数の感染者には機会はありました。レユニオン、他の感染者組織、あるいはロドスアイランドを選択していれば?
ですが大多数の感染者達は全てを失ったままです。
この診療所も最後の何人かの感染者にとっては温かい家だったのでしょうね…。
鉱石病には薬はありません。少なくとも今この状況では感染者は絶望の中にいて、苦痛と共に命を失うのです。
そして彼らの遺体ですが…新しい感染源となってしまうのです。
常人とは違った特殊な力を得ますが、感染すれば必ず死ぬという恐ろしい感染症ーー
感染者は…この大地では多くの人達に恐れられています。
ーー
たったこれだけの言葉だと、ドクターはそれを上手く理解することは出来ないと思います。
ですが、あなたがこれらの問題の影響に直面したときには…理解出来ると思います。
感染者達の置かれている立場が現実ではどうなってるのか分かると思います。
ロドスアイランドのようにお互い別け隔てなく、あるいはレユニオンのように熱狂的に感染者が囲われる組織はまれだ。
私はお前が怒る理由も分かるが、あの小さな診療所の苦悩も理解出来る。
…そうですね。
もしかしたら、彼らも何か問題を抱えていたのかもしれませんよね…
少なくとも私達の怒りはこの診療所と同じく塵粉にしてしまうべきだ。
ロドスアイランドの人たちはみんないい人たちです。多くの人が恐れと敵意によってお互いにいろいろな溝ができているのかもしれません…。
ですがロドスアイランドにいれば、誤解はきっと解けると思うのです。
アズラエルと…ロドスアイランドは同じなのではないでしょうか??。
…アーミヤ…。
行きましょう、ドクター。