数年前、私達は感染者となった。
私達は隠れ、平穏な生活は一夜にして贅沢なものとなった。
私達はレユニオンとなることで生活が改善できると思った。だが…
私達にパンを売ってくれる店は無いし、泊まることが出来る場所も無い。
だから私と兄弟たちはそこから離れて、あちこちを放浪した。だが財宝の話が飛び込んできて、ここに来たのだ。
今こそ、財宝を奪うことさえ出来れば――。
私達はクルビアに向かうことが出来る。遠い土地だが、感染者がまだ自分の町や畑を持っているんだ。
だから、グラニ。私は兄弟のためにこの宝を絶対に手に入れてみせる。
宝がそう遠くないことは知っている。君は良い人だったが、仕方がない――――
女だ!お前――
どきなさい。
ぎゃあ!
…
私はあなたが何者であろうと気にしないわ。何をしようとも。
あなた達はすぐに私の視界から消えるのだから。
君を敵にしなければならないというなら、スカジ…今日は最後まで戦うぞ。
こんな人がグラニのパートナーなのかしら?
あなた達が宝を持っていったら、滴水村はどうすればいいの?
いずれにせよ彼らはまだ生きていくことは出来る。私達にはもう道が無いんだ。
君とは知り合ってまだ間もないが、君がどんな人なのかは分かる。
君は君の周りの化物と違って、私達感染者をよそ者として扱わなかった。
(スカジは私達全員が仲間だと思って倒しに来ただけだろう。多分部外者であると思わなかっただけのはず…)
グラニ、キャロルがどこにいるのか教えてくれ!
この宝が私達にとって何を意味するのか分かるだろう!
ごめんなさいビッグボブ、もう依頼は受けているんだ。
私の任務はたった一つだけ。宝をキャロルに渡し、彼女を助け、村に平穏を取り戻すこと。
私には関係はないわ。キャロルを私に渡しなさい。
あの女の子に何をさせるつもりなんだ、化物さんは?
彼女の皮膚を剥いで、血でも飲みたいのか?
それ以前に、君もこの小さな子から聞いただろう。いずれにせよ、彼女は絶対に村長を君には渡すことはない!
だが私は違う、宝が必要なだけなんだ。彼女を傷つけることは絶対にしない!
本当にうんざりするわね…グラニ、キャロルはどこなの?
キャロルは村を守りたいだけなんだ。宝物なんてそもそもそれほど気にはしていない。
それなら私に宝をくれ!
レユニオンと賞金稼ぎなんて同じようなものよ。
私とお前たち賞金稼ぎは同類では無い!
私も以前はスカジのような馬鹿だったが、今では全て理解することが出来た。
今の世の中、どんな富や地位であろうとばかげた事なのだと。
私達はただその宝で生きたいだけ、それだけなんだ!
もう一度言うわ、キャロルを渡しなさい。
キャロルだろうと、宝だろうと絶対にあなた達には渡さない。
それが私の任務だ。
グラニ!まだチャンスはある!私はあなたと戦いたくはない!
宝さえ手に入れば、誰も苦しむことはないんだ!
この宝には君の取り分もあるんだよ、ビッグボブ!
私には兄弟がいるんだ!先に宝を見てからそれは話す!
武力を使うのであればあなた達は力の差がどれくらいあるのか分かっているはずよ。
自信は無いけど、あなたたちと同時に戦うくらいなら私にも出来るよ。
少なくとも私達の間の問題は解決できるはずだ、グラニ!
いいや。
まずは彼女を解決しようじゃないか!
話は終わった?
君とここで戦うのであれば、もう後戻りは出来ないよ!
私は――――。
グラニ!
良かった、見つけました!宝を見つけましたよ!。
やっとのことで全部の箱を引っ張り出すことが出来ました―――
ボブさん!
無事でよか――。
来ないで!
え?!
…ちっ!
はあ…はあ…。
私達は…もう振り向かない!
え?キャロル!
スカジ!
どうしてこんな威力のない爆発物を使うのかしら?
彼女に借りを返したんだ。
次からは本物を使う。
スカジ。
君は宝物に興味は無い。ただキャロルを傷つけたくないだけなんでしょ。
…。
でなければ、爆発の瞬間にあなたは彼女から宝を奪い取って、彼女を守るなんてことしないでしょ。
私は宝は欲しくない。私が欲しい答えはキャロルにある。
早く言ってくれれば良かったのに!
正直なところ、悪い人を無理に装うのも疲れたのでしょ?素直になれば良いのに。
他の人を巻き込みたくなかったのよ…任務中は。
でも、今回の目標は私にとって本当に重要なことなの。
もちろん分かっているよ。私達の任務は違っているけど。方向は同じなんじゃない?
任務を完了するために他のオペレーターを手伝うのは当然だよ!
ええ。
宝のありどころは力で決めるしか無さそうだね。
スカジ、お手柔らかに、お手柔らかにね!。
グ ラ 二 !
ビッグボブさん、ごめんなさい、ちょっと痛くするかも!
(戦闘)
はあ、やはり…。
ボブ!しゅ、出血が!。
ここで無駄に血を流すわけにはいかない!俺はまだ――
十分だ。
ボブ..。
私達はもう十分血を流しただろう?
まだやるつもり?
いや、私達は生きるために戦っているのに、どこに戦いの中で命を落とす必要があるんだ?
私はあまり強くない。運命なんだろうな。
…。
ボブ、ごめんなさい….この宝がなければ私達の村は終わってしまうのです。
あの箱からは少し遠い。鍵を私に渡しなさい。
え、え?
その鍵で宝箱を開けた瞬間にあなたは命を落としてしまうわ。
私――――
これは我が家に代々伝わる貴重品です。私達の最も重要な役割の一つはこの鍵を保管することなのです――
――鍵は使われると手を切りつけ、あなたの血を吸い始める。あなたがクーランタ人の血筋でなければ鍵は壊れる。
鍵を渡しなさい!
だめです。これは村のすべての人にとっての希望なんです。
うーん。
それって全部本当のことなの、スカジ?
騎士の宝を隠した者は、騎士の秘密を守るために、手段を選ばない。ただ――
ただ、カジミエーシュの血脈だけがあらゆる障害を打ち破ることが出来る。
”犠牲を恐れず、危険を恐れないカジミエーシュの血脈こそが、あらゆる障害を打ち破る”
いくらかの代価が掛かるかもしれないということは分かってはいましたが、こんなことになるとは思いもしませんでした。
…。
村のすべての人のため、私はとっくに覚悟は出来ています。私がこの箱を開けなければいけないのです!
グラニ、私にもし何かあれば、この財宝は村人達に持ち帰ってください!
ごめんなさい、お父さん…。
ちょっと待って!
え?
キャロル。鍵を見せてもらえる?
私…はい。
この鍵、大きすぎない?
大きくはないと思うけど、吸う血の量は一般人がとても耐えられるものじゃないと思うわ――。
だから、この化物の鍵は吸える血に限りがあるってことだよね?
キャロル。
私が箱を開けるよ。
!!
え?でもそれだと、グラニーが。
大丈夫。
ごめんね。キャロル
スカジ、気絶したら私の身体を受け止めてね。
グラニ、やめて!そんなことしないで!
あぅ!!!
グラニ!
数日後
晴れ/視界度 12km
賞金稼ぎキャンプ外
…お前たち…お前たちはよくも大胆に帰ってこれたな!
集合!全員こっちに来い!
本当に面倒ね。どうして私達がこいつら賞金稼ぎの手伝いをしないといけないの?
しょうがないよ。鍵をもらった以上、仕事はしないと。
実際、あなたがいる限り、わざわざ他の人を雇って村を助けなくても良いんだし。
ちっ。私の知ったことじゃないのに。
人数が多いわね。あなたも一命を取り留めたし、どうにかやっていけるんじゃないの?
あなたもいるよね?
早くしなさい。急いでロドスアイランドに戻るわよ。
うん、それじゃ始めようか!
キャロルが待ってるからね!
すまない、最後まで手伝ってもらうとは――。
大丈夫です。村の人も感染者を怖がっていますし…
このことは私達が知っているだけで十分です。
とにかく、君には感謝するよ。
グラニも決断してくれてありがとう…。
関係ないよ!
ようやくこの件は一段落したのね?私はもう出発するわ。
え、待ってよ!
ごめんね、キャロル!先に村に戻ってるよ、村にはまだ手伝いが必要なことはたくさんあるから…
はい!
それとボブおじさん、身体は大切にしてよ!治療が必要なのであればロドスアイランドに来てよね!
おちびさん、ちょっと待ってくれ!
この金貨、確かに受け取ったぞ!
うん!
この記念品、大切にするよ!。
数カ月後
【ビッグボブの手紙】
拝啓
ボブだ。私は今、クルビアにある辺鄙な邸宅で手紙を書いている。
みんな元気に過ごしている。感染者という身分は不便だが日の下での生活は想像以上に素晴らしいな。
キャロルのお嬢さんとグラニが村を修繕してくれたおかげで、余った財宝を全て私に残してくれて、無事に兄弟たちも住むことが出来るようになった。
今は自給自足をしていて、ホップの花を試すことを計画しているんだ。
全て滴水村の宝のおかげだよ。
一つとてもおもしろい話があるのだが、それは手紙にぞんざいに書いていい話じゃないんだ。
私は少し考えを改めたよ。
君は知っていて、私も分かってはいたのだが、レユニオンは感染者にとって落ち着ける唯一の場所では無い。
君はきっと自分で選択することが出来る。
君に会いたいよ。またクルビアで会おう。
ボブ
…。
それは良かった。