親愛なるグラニ:
カジミエーシュの騎士について私達はもうたくさんの話をしたな。
しかし、入り用な情報もあり、あなたにはっきりと説明することはできなかった。そして、これはあなたの任務と騎士の宝に関わるものだ。
今回の任務地近くには、亡くなったカジミエーシュの騎士の墓群が潜んでいる可能性が高いで。
カジミエーシュの騎士は近代においても伝統を維持している。
彼らは自分の莫大な財産を墓に埋める。もちろん、彼らの支援者が墓が作ってくれる前提だが。
騎士が陵墓に埋めた財宝は、しばしば「騎士の宝」と呼ばれ、賞金稼ぎとメッセンジャーのネットワークに伝わっている。
これらの財宝が強盗や墓荒らしを惹きつけるのは、騎士の副葬品が簡単な貴金属や財物だけでなく、騎士たちが秘密裏に開発した武器や設備かもしれないからだ。
あるいは一生守りたい秘密や、さらにはもっと危険なものかもしれない。
これらの副葬品は回収業者やブラックマーケットに直接販売しても巨万の富を手に入れることが出来るだろう。
ましてやクルビアのような政治団体は、高値で他者に依頼をし、これらの遺物の買い付けや、発掘を行っている。
これも賞金稼ぎがあなたの任務地で活動している理由だ。
地下陵墓は天災の影響を受けて、永久に封じ込められてしまったり、忙しなく動く大地に潰されたりする。
だが、誰にも忘れ去られること無く、発掘された陵墓も多くある。
今回の場所はそういった場所の一つかもしれない。カジミエーシュの記録には遠征騎士の陵墓群が記されていいる。それらの位置は今回のあなたの任務地と非常に重なり合っているのだ。
この記録が偽物ではないのであれば、彼らの墓の中の宝には単純な財産ではなく、危険なものが隠されているかもしれない。
この騎士が意図的に財産を有意な人に贈っていたとしても、この騎士がどのような力を持っていたかまでは後世の人には理解することはできない。
同じように、カジミエーシュの都市がその区域を最後に通過したのは20年前だ。
これは良いニュースではない。利益が大きければ大きいほど、呼びつけるリスクも大きくなる。
この財産を分けとろうとする悪党は、地元の住民と比べて嗅覚が鋭く、貪欲で旺盛だ。
都市の権威の影響が乏しい場所は抑圧から逃げることができても、法による統制が足りないため、無法の地になる。
出来ればで良いのだが、騎士の遺物の本当の中身を確認してきてくれ。
気をつけるのだぞ。
――――二アール
すこし長すぎないか?
まあ、あの子に負担を掛けるようなことはしないほうが良いだろう。きっと上手く処理してくれるはずだしな、うむ。
私はどうしてこんなにもかたっくるしいものを書いているんだ。やはり彼女にはもっと簡単な手紙を書いてあげるべきだろう。
何と書いたら…。
しまった。グラニに注意をしなければ。
グラニ、必ずこの言葉を受け取るんだぞ…!