PM 11:20 天気/曇り
龍門上城区、近衛局2階出入国事務所外
チェン殿、おかしくありませんか。私達は近衛局に潜り込みましたが、些か簡単すぎませんか?
ビルの外にはあれだけ多くのレユニオンが占拠していて、私達はハードターゲットの攻略の準備をしていたのに。これではまるでやつらが夢遊病を見ているかのようです。
偵察の話のよれば、やつらの装備はほとんど破損しており使い物にならないとのこと。奴らがどのような戦いを敬虔したのかは想像できませんし、今の状態も分かりませんが…。
身の毛がよだちます。
私も見つけたが、奴らは私達の存在を意識していなかった。少なくとも今の奴らは私達の脅威にはならない。
計画に従い、次は非作戦チームが逐次レユニオンの分布を調べ、再起動させる前に私達がシャットダウンさせていたセキュリティシステムを起動させる。
そして、レユニオンの包囲攻撃を防ぐ準備を行い、これらを計画が順調に実施されるまで続けることとなる。
了解です。
ビルの中に焦点を当てろ。
レポートによると、レユニオンは臨時指揮部を頂上に設置しているようです。
屋上?どのレユニオンの指導者が指揮部を屋上に設置しているんだ?
ふむ…罠の可能性が高そうだな。
ですが私達に選択肢はありません、どうします長官?
そうだな。龍門に火を付けるには頂上に落とし、レユニオン共に近衛局が再び龍門に帰ってきたことを見せなければならない。
奴らを全員引き寄せるべきだ。
まだ時間はあるだろう、準備をしよう。偵察チームとエンジニアチームを同行させ、総攻撃を始める前に私達作戦チームには少し英気を養う時間がある。
少しも無駄にせず、優れた機会を生み出すために使う。遠い敵にも死に物狂いで抵抗するという覚悟を見せなければならない。
報告ですチェン殿。近衛局のビルに怪しげなものがあると。
どういうことだ?
結論を先にいいます。最上階に近いエリアで小規模なレユニオンの人的戦力に抵抗される可能性があり、頂上にも一定の敵戦力が分布しているようです。
そして、ビルの低層階は全て空です。6階からはいくらかレユニオンの放蕩者現れ、高層に慣れば増加しますが、脅威にはなりません。
先程私の隊員が私に伝えてきたのですが、彼はレユニオンが廊下を歩いているのを見たようです。あっという間にいなくなってしまったようですが。
それと彼らはひそひそ声を聞いたものの、声が聞こえる方向を調べた時には何も無かったとも隊員が話していました。
これが今回の偵察結果です。ですが私はやはり違和感を感じます。
…。
先にいけ!うつつを抜かしている暇はないぞ。
何か変わったことがあったとしても、掃除は終わってからにしろ。
Yes sir!
ここの防火道を通れ。こういうものはいざという時に使うんだ。普段はほとんど掃除されていないが、こういう時は頼りになる。
この階段を上がれば近衛局の屋上となる。
お前たちは屋上を攻略し、視野の優位性で私達を援護してくれ。屋上に着き次第、情勢が安定したらまた合流しよう。
チェン殿は本当にお一人で行くつもりなのですか?情勢がどうであれ、私達だって少しは役に立てるのではないでしょうか。
お前たちの素養と戦闘能力は信じている。だが、この戦いで私は全力を尽くす必要があるかもしれない。
私の憂いを断ち切り、近衛局のビルを綺麗にしてくれ。それがお前たちの最も重要な任務だ。
それでは私達は足手まといにならないようにしましょう。チェン殿、龍門はあなたを頼りにしています。
違うな。龍門は私達を頼りにしているんだ。
はい!
行け!
ようこそおいでくださいました、長官。
一人で大胆に僕が用意した落とし穴に嵌りに来るなんて、あなたは一体どれだけ無鉄砲なのかな?
もう何処にも行けないぞ、レユニオンの指揮官。
そうかな?僕から見れば長官、あなたのほうが逃げ場が無いと思うけど。
何を言っても意味は無いようだな。
ここはレユニオンが来る場所ではない!
(戦闘)
ごほ…ごほ。
終わりだ!
こんなにも多くの同胞を討ったの?確かに君の実力はもう一度評価してあげないとね、長官。
もういい。
いいや、まだだよ。ファウスト、彼女を少し驚かせてよ。
分かった。
――!
最上階で伏せていたか!
わっ!
レユニオンのスナイパー…。
(警戒はしていたが、やつの火力はここまでのものなのか?)
これではお前の命は救えないな。あいつが私に傷を付ける前にお前は死ぬだろう。
…待て。あいつは前に近衛局に捕まった感染者か?
…。
君たち近衛局は彼にも多くの苦労を掛けたんだよね。僕たちがウルサスに焼き付けたものと比べたら何でも無いけど。
さっきのは彼が意図的にあなたを外したんだよ、近衛局の長官。これは僕としての礼儀。ごめんね。
今は近衛局にも不安の種は埋まっている。
君たちの腐敗と油断こそ、僕たちと相性が良い。
…レユニオン、お前たちはお前たちがいるこの大地のことを何も分かっていない。
その言葉に何か深い意味があるというの?
ファウストはお前たちレユニオンが救出したと思っているのか?
近衛局にはたくさんの感染者がいるからね。
21人。
…。
お前は少なくとも4人は完全にレユニオン側だと思っているのだろう?
だがその4人でさえ私が手配したやつらだ。そいつらはお前を出迎えた跡、お前はその中の1人を監禁でもしたのか?
とっても立派なことだね、長官。彼女は逃げたよ。
それでいてお前はまだ自分の立場に気付かないのか?
そうだね。僕は意識すべきだろう。僕のチームはもうバラバラで僕だけが残っているということを。
近衛局の内外には戦力のない兵士がうろついているだけだ。僕の同胞は抵抗力をほとんど失っている。
それであなたはそれを言いたいだけ?
少しは自覚しているようだな。
それなら――来て、僕の護衛たち。
起きろ。
あ、ああ、あああああああああ!!!
お前!
やつらの体のオリジ二ウム…成長しているのか?
あのオリジ二ウムは彼らの元の体を突き破って、彼らの新しい体になるんだ。
ほら見て長官、見て。これが僕の護衛だよ。僕の不死身の護衛さ。
【うなり声】
これが僕の家畜の群れであり僕の同胞…。
さあ…
粉塵…?
同胞達には治療が必要、彼らには僕が必要なんだ。
アーツ?各チーム、気をつけろ!敵の指揮官がアーツを開放している、粉塵の拡散範囲はとても広い!
安心して、長官。君たちは僕の同胞じゃないから。関係あるのは君だけだよ。
…あ、あ――。
…う、うう!
うう、ううう…。
ううああああああ!
…血!!血を!!あああ!!!あ!!!
静かに。
――。
チェン殿、まずいですよ…。
倒れたレユニオンに粉塵が付着した後、体が大きく変化しています!
そいつらが再び戦闘に加わって、じわじわと陣地に迫ってきていますよ!
どれくらいのレユニオンが変化した?
全てです!
――!
彼らは僕にとっての家畜の群れで、僕の手足でもあるんだ。
g7,g6。
――う。
お前…。
彼らが倒れることはない。僕が彼らの全ての痛みを癒やすことが出来るからね。
自分の指を動かすように彼らを動かすだと。やつらはお前の傀儡に過ぎない。どこを見て手足と呼ぶことが出来るんだ?
僕から見れば、両者に違いは無いよ。理想のためなら何でも良いんだ。
お前がこれを理想と呼ぶのなら。解決しないといけないのはお前だけみたいだな。
目標があればやる気を出す。魅力的だね、長官。
攻撃を集中させろ!急げ!目標は敵の指揮官だ!
――。
(うめき声)
だけど、僕の護衛は普通の人じゃないんだ。
肉体で指揮官の被爆を防いだ…それでいて無傷だと?!
今の攻撃はほとんどの街の防壁を突き破るものなんだぞ!
無駄骨を折らせないでよ。
傷は治癒し、肉はより硬くなり、命は回帰する。
君たちの武器では僕の護衛には全く歯は立たない。彼らは僕が長官あなた一人のために用意したんだ。
同胞たち、起きて。僕と長官との会話に邪魔が入らないようにして。
チェン殿、レユニオンがまた波のように私達に押し寄せてきます!いつもの方法では彼らを倒すことが出来ません!
くそ、奴らは痛みを感じないということか!
他のチームも同じ状況に追い込まれています!ビルの外を徘徊していたレユニオンも動き出しました。奴らはビルに向かって突撃しています。私達が支配下に置いていた保安施設にも次々と突撃しているようです!
お前たちは周りの敵を優先的に対処しろ!
出て行け!
チェン殿、こいつらには感覚が無いようで、近衛局のビルも包囲されてしまっています!
私達は戦闘に突入してしまいましたが、何とかしてあなたを援護します!
まずは自分たちの世話をしろ。
了解!
壮観でしょ?彼らは多くの戦いを経験し、意識は少し重責には耐えられていないみたいだけど、彼らの肉体は以前として健康でピンピンしているんだ。
実力があれば少しの意思決定のミスも補えるんだよ。
少なくとも僕たちには時間があるんだから、ゆっくりと僕たちの問題を解決しようよ。
僕はあなたともっと話したいんだ。長官、あなたはこの戦いには関係ないんだし。
必要ないな。
私が直接解決する。
速いね!
…。
でもまだ足りない。
!
剣でボウガンの弾をずらした?
――。
その通りだ、黒髪の坊や。
ふん、先に狙撃を行い私の行動を妨害して、同時に私の行動を予測、そして肉の盾で防ぐというところか?
ごめんね、長官。君の基本的な全てのパターンを見積もることは出来たんだ。次はそれを少し防げば良いだけ。
これで、もう君は僕に近づくことは出来ない。鋭い弾、滝のような弾、重い弾、どれがお好みかな?
――。
お前は確かに用意周到かもしれない。
だが、一人の棋士は棋局の全てを計画し終えたとしても、そいつは相手を奇兵ではなく異色の駒と見なすしか無い。
(ちょっと待って、粉塵がどうして彼女にくっついているんだ…?)
(なるほど、そういうことか)
私はお前のように机上の空論は展開しない。私はただ備えるだけだ。
盤面は私には通用しないぞ、坊や。私は誰の駒でもない。私はただ龍門の刃だ。
へえ…
勇敢と無鉄砲は近しいけど、それには確固たる隔たりがある。
それとも自分のカードを使うつもりなのかな?まだ君が戦闘でもう一つの剣を使っているところを見たこと無いんだけど。
それは装飾品じゃないでしょ。
はっ。
この剣はお前を相手するためのものではない。
いずれにせよ、お前にこの剣を抜く価値は無い。
だが、お前たちはツケを払うべきだ。お前たちが龍門やチェルノボーグの無辜の人たちにしたこと。
…。
さあ、時間だ。
それはお主のものだ。
私には必要ありません。
私が少し貸してやるというだけだ。
怖くはないのですか?
お主が私にその刃を向けるのではないかということか?
はい。
いいや、怖くはない。
どうしてですか?
私は死を恐れていないからだ。
…。
これは平凡な武器ではない。ゆっくりと理解するといい。
日常でその気を散らすでないぞ。竜を斬る剣には鞘にすら価値がある。
誰にその剣を出すかは、お主自身が決めるのだ。
(…まだ伏したままとは)
(こんな時ですら私は鞘から抜くことは出来ないのか)
(だが今こそ、赤霄よ、お前は血を飲まなければいけない!)