プロヴァンス。
プロヴァンス、本当にこの場所をきれいさっぱり焼き払ってはいけないの?
この意味もなく生えている枝や草が邪魔なんだけど。
その文句、もう1時間で10回目なんだけど、ミス.スカイフレア。
元々は私の疑問を検証しに来ただけなんだよ。ついでにエイヤフィヤトラさんのためにサンプルも集めてるけど。
それに、あなた自身が一緒に実地調査をしたいって言ったんだよ。ここの環境に耐えられないのなら無理をしなくても良いんだけど。
今ならみんなも海で遊んでいるだろうし、このまま帰ってみんなと合流したほうが良いんじゃない。わざわざ私とこんなことをする必要は無いんだよ。
いいえ、私はあなたが無茶しないか心配なの。
あなたのような天災特使は、私の知識で準備を行ってこそ、炎の環境下であろうと予想外の出来事を起こらないということを保証出来るの。
それでかえって山火事が起こったら元も子もないけどね。
君がそういった状況に対処出来るっていうのは知っているけど…今回は休暇で来ただけなんらからあまり騒ぎは起こさないでよ。
ちゃんとしないとその時はまたドクターに迷惑を掛けてしまうんだから。
そうね、ドクターとアーミヤの顔を考えたら我慢なんて問題じゃないわ。
ねえ、あそこに黒い石があるんだけどあなたは見た?
黒曜石のように見えるけど。行ってみましょう。
気をつけて。この近くでは走り回っちゃだめだよ。特に勝手に火は使わないでね!
おーい…実地調査するよりもこのお嬢さんの相手をするほうが遥かに疲れるよ。
それにしても…奇妙だ。夏だとはいってもここの気温は…明らかに異常だ。
でかしっぽ。
…。
ちょっと、でかしっぽ!
ん?え、僕を呼んでるの?
さっきから何か変な臭いがしない?
そういえば、確かに少し…。
うん、少しだけだけどきっと気のせいじゃないと思う。
火山ガスの排出量が思ったよりも多いみたい。エイヤフィヤトラから渡された測定ルーンも反応しているわ。
見たところ私が何もしなくても、更に時間が経てばここは自然と火の海になるわ。
この火山には確かに問題がありそうだね…。
でももっと多くのことはエイヤフィヤトラさんしか確認は出来なさそう。
ここに岩壁のサンプルがあるわ。
お!
よし、これで十分だよ!
サンプルデータを臨時の計測器で計測してロドスに送信するわ。
エイヤフィヤトラに一刻も早く次のデータ分析を行ってもらう必要があるわね。
それにしても、この黒曜石の感触は…僕は知らない。ここの黒曜石は少し変わっている感じがする。普通の黒曜石とは違う。
それにさっきの臭いとここの気温…。
僕にもよく分からないけど、でも…。
あなたは一体何を言いたいのかしら。ちゃんと言ってちょうだい!
来るなら来なさい!虫が何匹かいようとも!私はここで全部片付けるわ!
くっ、スカートの裾が引っかかって…。
こ、この近くに誰かいるの!どうしてここに源石虫がこんなにもたくさん集まっているのよ?!
いや、来ないで!誰か私を助けて!
助けを求める声だ!ビーチの方から聞こえたよ!
見に行こう!
ち、ちょっと待ちなさい!
(戦闘)
・なるほど…。
そういうわけで僕たちは火山のふもとの森林の中でセイロンさんと会ったんだ。
質問があります。
あなた達が私の前でここまで過程を詳しく説明する意味はあるのかしら?
このお嬢さんの言っていることは正しいわ。でかしっぽは言ってくれたけど、私は面倒なことだと思うのだけれど?
え、あ、そんなことは無いよ!
・それはともかく、みんな無事で良かった。
ええ、それじゃ、遅くなりましたけどきちんと自己紹介をさせてもらいますわ。
私の名前はセイロン・ダルコス。ヴィクトリア大学を卒業、専門はオリジ二ウム研究です。この都市の市長の娘です。
・市長の娘?!
市長の娘が一人で未開の火山林に行くとはね。
学者をするのであれば冒険はしなければならないものですので…。
それでさっきは火山のふもとに…。
ごほ。ごほごほ。
ありがとう、見知らぬ人たち。
どういたしまして。
それで、どうしてここに一人で来たの?
ビーチを散歩するだけなのであればここはちょっと遠いけど。
それに持っている道具を見ても…。
プロヴァンス、彼女も私達と同じみたいよ。
え。そういうこと?
ノートを持って洋服とブーツを履いてるけど。
単純で馬鹿じゃなければ、それは――――。
突然考えが湧いてきて、服を着替えることを忘れて、面倒なことになってから服装に問題あがったことに気付いたってところかしら。
それで私もスカートをいくら焼いてしまったことか。
うん、それはさも当たり前というような口調で説明するようなことじゃないよね。
スカートのことはともかくとして、大体あなたの考えで間違ってはいませんわ。
なんと言えば良いのか。ともかくそういったことは危険だよ…ちゃんと準備はしないと。
大丈夫よ。私がいるかぎり、例え手ぶらで出かけても安全だから。
ともかく、助けてくれてありがとう。
市内に帰ったら私を訪ねてきてくれるかしら。お礼がしたいわ。
でもごめんなさい。今はとても忙しいの。大事なことがあって。
まだ用事があるの。時間は無駄には出来ないけど、一人で火山には行かせられないよ。
さっきも源石虫に襲われたし、一人じゃ危ないよ。
いえ、さっきのことはただの事故ですわ。あの時私は急いで山を登っていて近くの状況に注意を配っていなかっただけ。
私はこの都市で育ちました。ここの源石虫がそんなにも危険であれば市長はとっくに対策を取るべきです。
…うん、そうだよね。でも、もしかしたら源石虫が集まったのには何か原因があるのかもしれない。
ここはいつもそうなの。どうしてかしら…。
待って、環境の変化によってもたらされた凶暴化…なるほど、ありがとう。証拠をまた一つ増やすことが出来ました。
…プロヴァンス、彼女はあなたと同じものを見つけたようね。
私は火山にはあまり詳しくはないけど、専門的かつ包括的な学者としては大体の理解は出来るわ。
もしかして、あなた達も証拠を探しに来たの?
この火山が爆発するのかもしれないという証拠を?
・火山が爆発?!
・冗談だろ?!
変わった刺激臭、異常な温度、源石虫の凶暴化…。
火山の周囲に感染生物が広がっているということもこの火山では一般的じゃないことだ。この山体にオリジ二ウムがあるのであれば、鉱業採掘業者は頭打ちになるだろうね。
火山の実態はあまり知られてはいない。市役所や関係機関に管理されているから。
環境の変化による生物の凶暴化…少なくとも以前の状況と比べて今の異変については多少の憶測は出来ます。
市民と都市の安全を保障するために、私は専門的な経験を持つ人を探しているのです。
ぜひとも助けて頂けませんか。シエスタ市にこの難問を乗り切らせてください。