火山の反対側にこのような洞窟があったなんて。
この洞窟は元々は自然に生成されたもののはずだけど、たくさんの人が黒曜石を採掘したおかげで内部は深い穴になっているんだ。
みんな準備はしておいてね、中ではかなりの長い道を歩くことになるから。
僕の本当の目的地はこの洞窟の奥にある。
研究室にいた時は思いもしませんでしたわ。まさか休暇の日に火山の奥深くに入る日が来るなんて。
今きちんと説明してもらっても良いですか。先程の通信で話していたことがあまりにも漠然としていたので。”今回の火山噴火は阻止することが出来る”というのはどういうことです?
ええっと…説明はスカイフレアに任せたほうがいいかも。説明お願い。
これは私とプロヴァンスが火山内部を探索し、エフィーとの遠隔通信を経て得た結論です
原理としては、まずはここの源石虫の生態について話したほうが…いえ、火山源石虫や溶岩源石虫と呼んだほうが良いかもしれませんわね。
姿は源石虫とほとんど同じなのだけれど、火山を巣としており、ここにある特別な黒曜石を食して、シエスタの火山内部に巣を作りそこに根付いている。
これらの源石虫は住んでいるところは火山の中心に非常に近いところで、そこは特殊な成分が混ざった黒曜石が大量に生成されているところでもあるわ。
ここの人たちはその特性を発見し、それらの痕跡を利用して黒曜石を採掘していたようね。
なるほど。私もいくつかの資料で見ました。一部の人たちは生物の特性を通じて資源を探し出すと。
人々はいつだろうと生物との繋がりから法則を見つけることが出来るからね。
問題は、この火山の前回の噴火がずいぶんと前だったということ。ここの黒曜石だって限りがあるわ。
過度の採掘は人々に影響を与えただけでなく、ここに住まう源石虫の居住環境すら破壊してしまった。
そしてこれらの行為によって彼らは暴れだしてしまった。大量に発生している火山の異常な内部活動は居住地を開拓しているが故に発生しているものと推定される。
このような行動は源石虫達にとっては単なる居住地を効果的に拡大するための手段に過ぎないけれど、シエスタ市にとってみれば滅亡するほどの被害になるかもしれない。
…”我々は自然からの贈り物に対して畏敬の念を持たなければ、自然は必ず我々を罰することになるだろう。”
それで、私達はどうすれば良いのでしょうか。
私達はどういう手段を使って、火山を止めることが出来るのですか?!
言い換えれば、ここの主人を落ち着かせる必要があるってことよ。
善は急げよ。奥へ向かいましょう。
更に熱くなってきましたわね…。
もうすぐだ、それほど遠くないよ…。
みんな気をつけて!
――――――――――!!!
この音は?何かとても…凶暴そうに聞こえます。
当然よ、これらの虫の知能程度では単独行動で居住地を拡張することは出来ない。きっと特別な女王がいるの。
あれがここの主人よ。
…こんなにも多くの源石虫からその女王を見つけるの?
何を言ってますの?この火山を爆発させそうにしている溶岩源石虫なのよ、火山全体を支配しているくらいなんだから、一目で残忍そうだと分かるようなやつに違いないわ!
環境の刺激を受けて変異した個体の可能性は大きいわ。もしかすると重装部隊を一気に溶かしてしまうほどのものかもしれないわよ?
この岩壁全体にかすかに響いている音は”源石虫”が発しているということですか…?
何を慌てているのかしら、私がここにいるのよ。これらの溶岩源石虫がいくら変異しようと――。
こ、これは?!
どういうこと….マグマがもうここまで広がっているってこと?!
いえ、例の変異した源石虫です!洞窟の下にいます!
―――――――!
――――――――!
温度が上昇している、この熱量、源石虫としては明らかに規格外の存在ね。
…これを本当に虫って言っていいの?まるで移動する火山のように見えるんだけど?
えーっと…詳しい前情報も無かったから、私の推計していた変異とはちょっと違っているわね。
私はエフィーが恋しいよ。
注意してください!近づいてきています!
――――――――!
――――――――!!!
あ、あれは地面を溶かし流動させることが出来るのですか?し、しかし、壁の上や地面の上にはこれらの波らしきものがたくさん…。
遠くに離れてるけどあれらは全部溶岩源石虫だ。火山運動を誘発させるには十分な数がいる!
それなら間違いなく目標はこいつね。
私達があいつらが忙しなく動くのを止めさせて、進行ルートを変えれば更に多くの市民の避難の時間を作ることが出来るはずだわ!
ちょっとまって!僕たちだけでこの小さな火山をどう解決するつもなの!?
叩くのよ!他に何がありますの?
こんな巨体が直接ここで爆発したら、それこそ本当に直接火山の噴火を引き起こすんじゃないの!?
その後に巣に帰ることをお願いするのよ!
えーっと…。
とにかく叩くわよ!
(戦闘)
気をつけてください!
ぐっ!
ふん!
本当に弱っているのですか?そうは見えないのですけど!
マグマに気をつけなさい!こいつの腹の中には一体どれだけの黒曜石が飲み込まれてるのよ!?
――――――――――――――!
ちょっと可愛そうだけれど手加減は出来ないね!スカイフレア!
ええ、分かっているわよ!今は力をセーブしている時では無いわ!
それなら、これはどう!?
――――――――――――――!
溶岩虫が怒っているわ…!私が防ぎますので、攻撃はあなたたにおまかせします!
でかしっぽ!!
やっとマグマの隙間から弱点を狙うことができそうだよ、でも相手のサイズ的に有効かどうか分からないけどね!
――――――――――――――!
成功よ!前の方向に戻っていったわ!
良かった!これで市民のみんなは安全になったね!
本当よ!虫一匹の解決がこんなに大変だと思わなかったわ!お陰で私のスカートもボロボロだし…。
あいつがグループ全体をリードしていたんだね。
もし誰もが彼らの生存環境を破壊していなかったら、もしかしたら…。
私は疲れたのよ!もうこんな疲れる話題に言及しないでちょうだい!
ふふ、私も疲れました。もう疲れ果てて立つことも出来ません。
ですが、シエスタに戻らなければいけません。私達を待っている人がいるのですから…。
わ!
君の考えも分かるけど、立てない時には仲間を呼んで手を取り合うことも大人の女性が身につけるべきことなんじゃない?
あ、ありがとう。
そうね、凱旋して帰るのはいつだろうと気持ちが良いものね。早く帰りましょう。まだ休暇は残っているかもしれないわ。
でも…ここは遅かれ早かれ…。
でかしっぽ?
あ、すぐに行くよ。
…スカイフレア。
分かっているわ。
でも私達はこの都市の選択を尊重するべきよ。後は私達が参加することではないんじゃないかしら?