
ボス、ペンギン急便が動き出しました。

…予想通り、あの女、怪我程度で済んだか…。

しかし俺にはそれよりも気になることがある。カポネ?

じ、実は一時間ほど前から連絡が取れていません。

…最後の定期連絡は何処でだ?貧民窟か?

あ、そうです。

それは残念だ。

と、言いますと?

先に全てのチームに知らせておけ。予定通りペンギン急便を阻むとな――。

だが、意外なことが起きないでもしない限り、2、3個のチームは連絡を切るだろう。

どういう意味でしょうか…あ。

まさか――カポネさんがファミリーに反旗を翻すということですか?

俺はあいつをよく分かっている、分かりすぎているくらいにな。

俺たちは子供の頃から一緒に育って、父のために裏切り者も始末した。それが俺たちの最初の殺しだ。

シラクーザでの惨敗は俺たちを変えた。唯一違うことと言えば、あいつはより弱く、俺はより明確な道を選んだっってことだ。

あいつはファミリーを裏切るつもりだ。或いはファミリーの名前を変えるつもりか。

では、私達はどうすれば?

…ペンギン急便は思ったよりも面倒だ。俺たちは同時に敵を作るわけにはいかない。

最初に裏切り者を解決する必要があるだろうな。

こちら三叉路、異常なし。。

分かった。では全て平常通り行動をする。

――ま、待ってくれ!俺たちの計画ってなんだった?

あ?お前何言ってるんだ?

いや、確認しただけだ。龍門にはあまり詳しくなくてな。

鎮魂の夜の真夜中には龍門では例年ならカーニバルが行われる俺達の任務は人だかりの中でペンギン急便を解決することだ。簡単なことだろ!

それではボスは――。

あまり多くは聞いてくれるな、これは要求なんだ。いいからやれ!急げよ!

…そうか。

俺は殺さないでくれるよな、な?

もちろんだよ、お兄さんありがとね、じゃあちょっと昼寝してて~
(殴る音)

テキサス、聞こえる~?

こちらも同じ状況だ。奴らはチームを解散した。

だが相手のリーダー自らが戦闘に参加したということは、奴らは別の指揮系統からスケジュールを調整しにくるだろう。

それを見つけられれば全て解決だ。

おーい?テキサス?

私達、もう市の中心にいるんだけど、本当に人だらけだよ。

敵チームの動きに注意をしろ。

分かった~街の知り合いにも注意しておいてもらうね…ちょっとまって、ボス?花車の上に行ってみるの?え、ま、待ってよ――。

…クロワッサン、バイソン、聞こえるか?

言っていた指揮塔のことですが、僕たちまさかの見つけてしまったのですが。

…バイソン、背を低くして、あそこの箱に隠れるで。見つからんようにしいや。

はい、テキサス、後ほど連絡をします。

俺たち、これからどうなるんだ?

知らねえよ。俺達からボスを切ったんだから…。ガンビーノ・リッキーの通信を切ってから、俺達はお呼ばれさなくなったけど。

はあ。

ため息つくなよ。カポネさんは龍門でこんなにも多くの準備をしていくれているんだ。その結果は?

ガンビーノはシラクーザから写ってきてから無闇やたらに突っかかってくる。いいこと一つもありゃしねえ。

カポネさんの本来の作戦だったら、ここまで手間がかからねえつもりだったのにな。

マウスキングとも話をしたが、何故盛大に殺し合いなんてしないといけねえんだ?ここはシラクーザじゃねえんだぞ。

ええっと、ボスは、前のボスだが。ただ腹いせに言ってるだけかもしれないな。

ふん、幼稚だな。

(あいつら内乱でも起こしとるんか?)

(それなら良いチャンスですね、僕たち――()
(発砲音)

――!誰かいるぞ!

え?今の何処からの銃声や?

またあのスナイパーだ――!あいつが僕たちの場所をバラしたんだ!

ペンギン急便のやつらか、逃さないようにしろよ!

…坊ちゃま。申し訳有りません。これもご主人さまからのお申し付けなのです。

しかし、私は坊ちゃまを手に掛けてしまった。坊ちゃまを危険に晒してしまった…。

この仕事が終われば、郷に帰ったほうが良いのかもしれません。

はあ、ああ!

…困ったことがあったようだな。

エクシア、マフィアのルートを確認してからクロワッサンと合流してくれ。

りょーかい~

ソラ。

えーっと…今の不審者の動きが複雑なんだよね。彼ら2つのチームに分かれて行動しているみたいで、罠の可能性も――。

複雑な状況では有りません。敵内部に問題があるようです。今がチャンスです。

うわ!びっくりしたあ!

…お前も帰ってきたのか。

何故私達のチャンネルにハッキングをしているんだ?まともに通信が出来ないのか?

このほうが早いので。

あなたは今何をしているの?

悲しきかな喫茶店です。今日は休みのはずなので賑やかしに来ました。

クロワッサンと新人の座標は既にあなた達にお送りしています。龍門のネットスピードは本当に快適ですね。

…ならば、各自任務を解決し、彼らの支援に向かおう。

反撃をするいい機会だ。

カポネさん、ボスがペンギン急便に強襲する計画は失敗したようです。

どうでもいい、あの無鉄砲に何が出来るっていうんだ。あいつにかまう必要はない。

…どうしてです。

ファミリーに必要なのは立てる足場だ。名前なんて誰のものだろうと、どうでも良い。

マウスキングはまだ見つからないのか?

はい、マウスキングは執拗なほどに痕跡を残していなくて…。

もう少しの辛抱だ。あいつはこの都市の一部のよう、まるで龍門の影だ。俺たちの時間はもう多くはないが。

慎重さが足りず、マウスキングに気づかれたら俺たちは三方からの圧力に出くわすことになる。

誰にとってもそれは同じだ。劣勢なのであればむしろ盤上を混乱させなければ。

ガンビーノからは何かあったか?

…。

何故言わない?

まさに他人行儀だな。何かあったら直接連絡してくれればいいじゃねえか?

…どうやって入ってきやがった?

全ての奴らがお前みたいに父の墓前の前で立てた誓いを後ろめたい気持ちを持ちながら裏切ることは出来ねえんだよ。

誓い?あれはただ俺たちが同じ道を歩んでいただけだ。だが、今は昔と違うんだよ、ガンビーノ。

今俺が言ったとおりだ、お前は俺を失望させたが、俺はお前に説明の機会を与えたいんだよ。兄弟。

ふん、7年前、前のボスは暗殺された。その時にお前は俺を龍門に派遣した。

遠路はるばるここに来たのは前例のない商業の橋を築くため、そして家族の後ろ盾となるため。

だがお前はシラクーザで失敗をし、逃げてきた。そして俺が苦労してきた分を一瞬にして引き継ぎやがった。

抑えろ、お前はこれぐらいの利益で怒るようなやつじゃないだろ。そうでなければお前はとっくに死んでいる。

お前がどう言おうが、俺は今日になって見つけたんだよ。ファミリーで最も勇猛な牙がファミリーを最も邪魔をする張本人ってな。

だからお前は自分でその牙を折り、自分のネックレスにしたってか?はっ!

このまま龍門でお前を勝手気ままにさせておけば、俺達は遅かれ早かれ阻んではいけない勢力共に掃除される。

なるほどな、涙が出るほど感動しちまったぜ。お前がこんなにもファミリーのことを考えているとはな。

お互い様だ。
(斬撃音)

腕が鈍ったな。カポネ。

お前がシラクーザで残してた傷にはもう耐えられねえ。ガンビーノ。

やめてくれ、俺はお前を殺したくはない。

いいや、お前がよく考えてくれ。

はっ!本当にお前は俺のことを知ってるな!
(壁が壊れる音)

なんだ――。

あらあ?壁を壊した先には…えらい現場にぶつこうてしまったみたいやなあ?

気にせず、続けてや。別の道にするから。

急げ!あの二人を逃がすな!!

…その機会は無いみたい。

…丁度良い。めんどくせえ奴らがここに揃ったって訳だ。
(壁が破壊される音)

今度は何だ!?

や~来たよ!

…偶然だな。全てここに揃ったという訳だ。

うーん、これは最終決戦ってこと?ちょっと早くない?

問題ない、こんな茶番早く解決してしまうほうが良い。

ボスの意向に従い、こいつらを川に投げ込むとしよう。

ふん、混乱すればするほど、俺の思ってたとおりのことになる。

誰がここから立って出られるのか、今夜の勝者は誰なのか。
(戦闘)
(斬撃音)

はあ、はあ…。

こっちだ、ペンギン急便!

あなた達って仲良いの?

ちっ!

何でうちんところ来るんや!?ハンマーでもくらっとけ!
(ハンマーで殴る音)

ぐ!お前はどっちを手伝ってやがる!?

ち、違います、私の手じゃありません!あの天使のです!

あちゃあ、曲がっちゃった。まあ良いよね。

今のうちに――あぶねえ!お前何で俺に斬りかかってくるんだ!?

すまねえ、だが今はボスに忠実にあるべきだろ!!

俺もそうしてるよ!

へ。

地面に横になって何をしてやがる?死んでねえなら這い上がりやがれ!

は、はい!

そんな部下に無理させちゃだめだよ。医療手当は無いのかな?

…少し混乱するが、要するに黒い服を着た奴らを全員討てば良いのだろう?
(斬撃音)

まさにごちゃまぜ状態ってやつだね。

そうです――へ!?モスティマさん?

君たちは元気そうで何より。

…いつ来た?

ボスが私をここに呼んだんだ。
(斬撃音)

ちっ、あの奇妙なラテラーノ人まで。

どけ!
(斬撃音)

――

はいはい、冷静にね。

ここで勝って何があるって言うんだい?一回下がったほうが良いんじゃないの。

あいつ、ボスを防いだ!?

まずい!あれは法杖だ!ボス気をつけて!あいつは術士だ!

…あいつと正面から戦うのは得策じゃない…おい、あいつらに近づくな!

…お前のようなサンクタ見たことねえな、いやお前サルカズか?お前は一体何なんだ?

ただのトランスポーターだけど、何か?

はったりを!
(斬撃音)

くそ――。

ハーフタイムにしようよ…あなた達きっと聞く耳を持たないでしょ。

てめえ見下してんのか!?
(斬撃音)

こっち来ないでよ、みんな、この前会ったのってどれくらい前だっけ?

何見てやがる!?
(斬撃音)

何年前やったっけ?それとも何ヶ月前やったか?
(打撃音)

ぐは!

充実した生活をしていると、時間が経つのなんて忘れちゃうよね。
(銃撃音)

…大体4年と3ヶ月じゃなかったっけ、モスティマ。

ふーん、本当に久しぶりだね。

――

そんな顔しないでよ。そんな顔されると君が病気にでもなったと思うじゃないか。

感動するところなのに強がってるの!?

感動するかどうかは別として、今は話せる時じゃないよ。

本当にここでやるつもりなのか?

適当に運動するだけだよ。

…ではお手柔らかに。

大丈夫だよ。

それに、もう一人のお客さんが私を待っているし。

――?
(アーツが発動する音)

何度見てもモスティマさんは杖を軽々振ってるだけなのに、何か大げさに見えるよね。

あのマフィアもぽかんとしとるで。

ねえ、今のうちにあの2人以外も叩いたほうが良いんじゃないの?
(銃撃音)

どうしたの?もうやめる?

…お前には確かに力があるのかもしれない。だがここから簡単には離れないと誓ってやる。

そんなに殺気立ってないで、食後の運動程度に思ってよ――あ。

な、なんだ、さっきの炎が固まってるぞ?

…イースがこの近くを通りかかったみたいだ。やっぱり速戦即決すべきだね。

何ぶつくさ言ってやがる?こっちを見やがれ!
(斬撃音)

ますます苛立っているみたいだけど、それじゃあファミリーのボスとして、戦局を制御するには良くないよ。

ちっ!余裕あるてめえの姿が本当にムカつくぜ!
(アーツが発動する音)

アーツ!かわせ!

俺を助けてねえで、ペンギン急便の対処をしてくれ!

…私達は過小評価されているようだ。あいつらに見せてやれ。

あいよ!おりゃーー!。

あれがトランスポーター、モスティマ…。

トランスポーター…外のトランスポーターってみんなあんな感じなのか?

――風が出てきた?

――風?

テキサス、撤退だ、急いで!

――分かった!

おい!何で地震が始まりやがったんだ!?あの術士が何かしたのか?

まったく、年寄っていつもいらいらしているよね。

何が――。

おい――

ちっ、これはアーツだ、撤退するぞ!

砂嵐?ここか?

これちょっとあかんのちゃうんか!?

テキサス!ここが出口だよ!

バイソンとモスティマは?おい!

砂嵐で分断されちゃったよ、私行ってくる!

待て、エクシア!

――

まったく、モスティマと関わるとあいつはいつも頭が熱くなるな。

テキサス!モスティマ!何処にいるのですか!?

あ、目に砂が――。

慌てないで。

モスティマさん!

砂埃を防いで、私に着いてきて。

…ところで、この近くに感じられるのは確かに一人だけだけど、それにうっかり手を出して、お年寄りを怒らせちゃだめだからね。

地面が陥没したぞ!流砂だ、撤退しろ!巻き込まれないようにしろ!

ボス!早く指示を!

他の奴らは!カポネは!?

砂嵐に乗じて何処かに行きました。私達のチームの人も奴らの列に一部混じっているようです…。

ボス!ここも崩壊してしまいます!

…いくぞ。まだチャンスはあるはずだ。
(何かが崩れる音)

くそ!一体何が起こってやがる!?

機会、機会…ああ…。

奇っ怪な…何故覚えておらんのか、どんな機会が残っているというのだ?