
マウスキングさん。

ほう、お主たちか。

奴らはどうしますか?

儂はこの都市は血を流す必要は無いと言ったじゃろう。彼らが逃げられるのなら、逃げさせるが良い。

昔の主を懐かしむことは良いことじゃ。お主達は自分達で他の仲間の生きる権利を交換してきた。お主達はまだ良識はあるようじゃが、くれぐれも過度な要求はしてはならん。

…は、はい。しかし、その後のことは明らかに龍門のルールを越えてしまっています…。

お主達は学ぶのがとても速い。

聞いた所によると、シラクーザが今日の姿となる前には一時的に生き延びる必要があるマフィアの間には暗黙のルールがあるようじゃな。

誰もが遵守し、黙秘をし、怒涛の時勢の中において、マフィアはむしろ最も信用できる団体になったとか。

彼らは人情を売り、戦争を売り、今日に至った。

龍門には龍門の規律があるが、儂には儂の規律がある。

ペンギン急便にも彼らなりにやりたい放題をするルールがある。ただそれだけのことじゃ。

――。

マウスキングさん、当時のボスが…ガンビーノさんが初めて会った時に剣を振り回していなければこうにはなりませんでしたか?

儂はそいつらにチャンスを与えた。それは何もあれ一回だけという訳ではなかった。

しかし時には、特にビジネスの場では第一印象というものは非常に重要じゃ。そうじゃろう?

…そうですね。

…はあ、はあ。

出口は…何処だ…!すぐに!

――誰だ!?出てこい!

お前が死んでいないとは意外だな。マウスキングは仕事をあまり徹底してはいないようだ。

…てめえに刺された傷はまだ微かに痛みを感じるが、カポネ。てめえが自発的に俺の前に現れてくれてとても嬉しいぜ。

俺の手でお前を殺せるからな。

龍門全体が俺たちを追跡している。お前に時間を無駄にはしたくねえ。

だから、さっさと決めようぜ。

お前は家族を裏切った代価を支払え――。

ははは、ファミリー、ファミリーねえ。

懐かしい言い方だ。ああ、テキサスにでも会った?

こ、この臭いは…!

…一匹狼が何故龍門にいやがる?

テキサスがここにいるんだ。当たり前だろう?

それよりも、ファミリーを引きずってシラクーザを脱出したのにファミリーを名乗る資格なんかあるのかな?それに自称でも「シシリアン」を名乗る価値はあるのかな?

そしてあの方はお前たちの自慢の栄光と歴史を奪い取ったわけだけど、シシリのあの方にはちゃんと同意を取ってる?

黙れ!俺の前であの女のことを言うな!

お前はただの裏切り者だ。俺たちに対してそんな資格はな――。

黙れ、ゴミが。

あ、君たち怪我をしているんだね。知っている血なまぐさい狼の血だ、うん、これが故郷の味っていうのかな?

テキサスは変わったのかなあ?

彼女は本当に変わりすぎて、シラクーザから旧友が尋ねてきたというのに、彼女は君たちを生かし、龍門を離れさせてしまったのかな?

これはあまりにも無作法だ、ありえないよね?でも大丈夫、彼女がしなかった後始末を僕がしてあげるから。

シラクーザの同僚の首を彼女の前に置いておけば、彼女を少しでも刺激できるかもしれない。そうだ、良いアイデアだね。

彼女が逃げられると思うかい?彼女の家族の影から、あの過去からさあ?

…カポネ、しっかり立ちやがれ。

ふん、俺と肩を並べて戦うのか?お前の栄光とファミリーはどうした?

お前が急所を避けたことは忘れねえぞ。

ふん、怖いのか?

俺はあの女の手で死にたくはねえだけだ。

…一理ある。死んだとしても死体は残してえからな。

あはははははは、君たち震えてるのかい?

立っているのもやっとなのに僕と戦うの?

良いね、本当に良いね。この目で死にかけの足掻きを目に出来るのはとても悪くない気晴らしだよ。

今から10秒あげるよ。

逃げると良い。



