
なんだと…雪怪が…

…酷いな。この龍門で全て死に絶えたのか。感染者の希望と伝説がまた一つ減ってしまった。

早く行こう、近衛局が追ってきている。

分かっている。

…お前の目つき少し変だぞ。

正直なところ、俺はお前は龍門側なのではないかと疑っていた。

今は?

どうせ他人は信じないんだろ。

本当にスパイであればお前たちは殺している。

お前は俺たちを殺すのが怖いんだろう。龍門の様子を見てみろ。例えお前が龍門の人だとしても龍門に帰ることは出来ない。

お前は俺達より惨めに過ごすことになるだろうしな。

…だから私は違うんだ。今はもう私には何もない。

何をしている?ん、花が咲いた?

へえ、これがお前のアーツか?少し綺麗だな。

誰だろうと彼らには少しくらい敬意を残さなければいけないからな。

ぐずぐずするな…何故こんなにも時間が掛かった。

よく出来たほうだと思いますけど。一日で龍門内のレユニオン全てを消滅させられたのだから、最高点をあげたい位なんですけどね。

ウェイ・イェンウーは大変だな。

太合、この噂は聞いたことはあります?

ウェイ・イェンウーの身の上の話でもしているのか?

上のことなぞ論ずるな。

すみませんね。しかし、あの黒い蓑の腕前は今の禁軍と比べてどうなんです?

ふん、お前もあいつらを過大評価しているのか。あいつらは確かに人を超えるところはあるが…。

気をつけろ!

――このバカども!!

――感染者か?

へえ。

――撚線?!

本当は私を殺したくはない、そうだろう?お前ならばアーツを使うことだって出来たはずだ。

線で武器を作る男は例外なく心理的には変態だと聞いたことがある。

確かにそういう人もいるでしょうけど…。

感染者、公務を妨害するな。注意しなければお前も一緒に処理する。

身分証明書も無い武装者が戦場で殺害を行っているという苦情はそちらには来ていないの?

私達はお前がこのレユニオンに関連していると証言することも出来るわけだが。

お前たちは私のパートナーの調査の許可は得ていないはずだ。

私達は”感染者の専門家”の艦船が龍門の泊地に止まっていることは既に知っていますよ。それがこのブレイズさんがまだ被害を受けていない唯一の理由です。

お前たちはいつまで見ているつもりだ?龍門人のどれくらいの生き死にの点数を必要としている?

話に重点を置け。龍門でのリスクマネジメント能力の評価はもともとお前たちを重視してしているものだ。

すまない、言い方を変えるとしようか。

お前たちの茶番劇は、3人は楽しめたのか?

ちっ。

ブレイズ、手を引っ込めろ。この3人はお前ではなく、私が持つべき相手だ。雨衣を着た奴らは確かにこいつらの同行者では無い。

すみませんね、ブレイズさん。あなたに不快感を与えていなければいいのですが。

…礼儀正しいね。でも私はあなたの話し方は嫌いだ。

あなたの炎腔の味、とても良かったですよ。

あなたは確かにお父さんの多くのものを受け継いでいるようだ。ただ、今のあなたは感染者というだけで道が狭く歩きづらいようですけど。

…お前は…?

行くぞ。

またお会いしましょう、ブレイズさん、チェン警司。

ちょっと待て!お前は何故さっき父の話をした!

止まれ!

ブレイズ!

…。

任務を忘れないで下さい!

分かっている。

チェン長官。

我々は敵司令官の跡は発見出来ていない。

誰のことです?

私達はメフィストしか知りはしない。

次の追撃では私達ロドスは完遂となります。

あまり突っ込まなくても良い。この戦いは実質的にはもう終わった。

ですが彼の犯した暴力は…償わなければいけません

お前たちに任せた。

では私達は出発するとしよう。自分の目で確かめなければいけないことがまだあるからな。

待って、近衛局。

何か用か?

…さっきはありがとう。

それだけ。

ああ、こちらこそ。

何故先程のタイミングを選んで行動をしなければいけなかったのですか?ブレイズ…あなたはこんな時に勘違いをして判断する人では無いはずです。

一つは私が本当に怒っていたということ…。

もう一つは朝には分かっていたことだけど、近衛局のチェンという人も怒っているだろうって。

私達にはどちらの発言が当事者として権利があるのかは分かりません。

だから私は好きな方を選んだ。

ごめんなさい、次はもうしないから。

…いえ、ブレイズ。この言葉は私が言うべきでしょう”次はもうさせません”。

ですが、私はそうは言いません。私には…そんな約束は出来ませんので。

雪怪は…。

…。

馬鹿ウサギ。

あの、頭を撫でない下さい。身長が…。

…あまり長く触れないでもらえますか。

分かった。分かった。

どうだ?

・君は。
・…
・何のようだ?

通りかかっただけだ。

君たちの感情には少し起伏があるようだ。廃城では君達はレユニオンの小隊と深い交流があったようだが。

推察するに、その小隊の隊長はこの戦いには参加はしていないようだな。

・どういう意味だ…

龍門の視線は感染者を追い続けることは無いということだ。ロドスの視線は――単一の国家よりもずっと広い。

このことには、龍門は干渉はしないし、君たちも参加しないという手を選ぶことも出来る。

…だが君たちなら出来るだろう。”メフィスト”と呼ばれる感染者に対しても、”フロストノヴァ”と呼ばれる感染者に対しても。

・何処に行くんだ?

私には私のしたいことがあり。

それと、Dr.◯◯◯…。

そんな目で私を見ないでもらえるか。

・もう隠そうとするな
・…
・アーミヤはロドスには信頼関係が必要だと言っていた。

だが、君と私の間には信頼関係は必要ではない。

ロドスのオペレーターとの信頼は必要だろう。私とのではなく。

――君のことはよく知っている。だから信用はしない。昔の君が私を信じてくれなかったようにな。

・過去の私のことを知っているのか?
・過去?
・今の私に出来ることは無いのか?

…。

そうだ。

…。

失言だったな。さっきの話は気にしないでくれ。

次の行動には気をつけろ。最も危険な指揮官だけがそういう戦いの訓練をしているのだが、死ぬ寸前まで感染者の小隊は退かないだろう。

もちろん、最後までそれを見るかどうかは君たちが決めると良い。

そして、体力を使いすぎるな。後の私達には休憩する時間は無いのかもしれないのだから。。

・龍門での戦いはもう終わった。

事情はそこまで単純なものではない。少なくとも私はそう考えている。

Dr.◯◯◯、これからは君がロドスアイランドの責任を負うかどうかは君自信で決めるといい。

…”ロドスのオペレーターの信頼に値する人物になれるのかどうか”をな。

あ。フロストノヴァさん、目が覚め…。

…慌てないで!手伝いますから。

大丈夫だ。それに…そこまで堅苦しくしなくてもいい。

――。

何処に行きますか。あなたはもう戻ってはいけないんです。

…。

ならば私の兄弟姉妹たちは…。

…だからあなたは戻ってはいけないんだ!

あいつらはあなたのために…。

私の小隊を侮辱するな!

ぐあ!

彼らは確かに…ごほ、私のことを思っていた。

だが、彼らは感染者のために勇敢に死んでいった!

彼らの最後の戦いはより多くの同胞を生きていくためのものであって、誰かの命のためでは無かった!

ごほ、ごほごほ、ごほ…

ごほ、ぐっ…はあ…。

フロストノヴァさん、あなた…

意識的にさん付けで呼ぶのは、今の私は弱そうに見えるからか?

…。

すみません!

ただ彼らは確かにあなたのことを俺達に託していったんだ。

だが私は彼らに約束したことでさえ出来ずに彼らを失ってしまった。

やり直す機会さえも無くなってしまった。

フロストノヴァ…。

…あれは。

メフィストか。

彼はまだ意識を取り戻していないのか?

分からないんです。彼は今のように何も言わず、何もしようとしない。

…。

彼を送り返せ。それで十分だ。

分かりました。俺はこう思っていたのですが…

なぜ?

あなたが彼を殺すと思っていました。

もう私が手を動かす必要も無いだろう。私はスラム街の外で何が起こったのか当ててしまったようだから。

彼の目つきはただ無気力な人のように見えるが。

え…?

…それに、時には…。

突然思い出したよ。3~4年前の彼は一生懸命歌を歌いたいと思っていたことをな。

彼は歌を歌えるのですか?ファウストも言っていたことはありましたが…。

彼は努力していたのだろう。

私達感染者は最後はオリパシーに命を奪われることにはなるが…。

それでも一生懸命生きたいものだ。

彼の残りの命で彼を罰し続けるようにしておくのも良いだろう。

それで教えてくれ、幻影射手。ロドスは先程の戦いには参加したのか?

俺が知るに…。

…いませんでした。俺の知っている限りでは、いませんでした。あいつらは雪怪と戦ってはいません。

…幼稚だな。

本当に残るんですか?

あいつらは追跡を続けるとも限りませんよ、フロストノヴァ。ここで命を無駄にしてはいけない。

廃城で何人かの人と知り合ったからな。もう一度会いたいんだ。

これは私の約束だ。

そして、あいつらは必ず来ると分かっている。

フロストノヴァ…。

行け、戦友。

この戦いでレユニオンは敗北を喫した。おそらくレユニオンは間違っている。

まだだ。まだ選べるはずだ。まだ直す機会はあるはずだ。

行け。振り向くな。