龍門での防衛作戦は終了となった。繰り返す、龍門での防衛作戦は終了となった。
警察官は装備を点検、各所に返却を行い、一営業日以内に隊に戻れ。
近衛局のメンバーは自身の小隊と合流をし、近衛局に向かい次の命令を待て。
繰り返す…
ここで何をしている?
…何だその表情は?
…。
な、何でも無いわ。
…そうか。
待って。何処に行くの?
行ってくる。
見る必要はない、私がもう調べたわ。何もなかった。
そうか。
チェン、必要ないわ、戦いはもう終わったの。
ミススワイヤー、そこを譲れ。
あなたはレユニオンも特殊部隊も阻止をした!
あいつらを近衛局と同時にロドス、はては監察司にも暴露すべきよ!
あなたは彼らを阻止したの!
どけ!
特別監査チームのリーダーとしてあなたはもう十分にやったわ。
これ以上は調べないで!何が知りたいの?何も分からないだけよ!
何が起こったのか知りたいんだ。
この排水システムが何を意味するのか分かるでしょ?
今はもうこれで十分なの、後一歩前に踏み出してしまうと、あなたは龍門の裏側に踏み込んでしまう!
私達は絶対に龍門をもっとより良いものにすることが出来る、私達が新たに作ることで過去のものを全部取り除くことは出来るの!
だから、チェン、降りちゃだめ、見ちゃだめ!
正義感、責任感、帰属感、全てにおいてあなたは完遂した。今回は本当に完璧にやり尽くしたのよ!
チェン!
…。
どいてくれ。
あなたはそういう人だからこそ見てはいけない!
ある人物がお前に”排水システムは調べるな”と言っていたな。
…。
私にも同じ話をした人物がいた。
どうしてまだ調べているのよ!ここを見て欲しい人なんていないわ、誰も!
いいや。
龍門城は私に見て欲しがっている。私がこういう人だからこそ見なければいけない。
スワイヤー。私に剣を抜かせないでくれ。
…
うぅ…。
何だこれは?
これは…
…。
…。
あ、来ましたか。
敵の指揮官であるメフィストという感染者は捕まえましたか?
・君には関係ない
・…
・もう死んでいた。
…正しく言ってもらえませんか?
俺たちは分岐点にいます。それに、敵を撃たなければ…。
え?ちょっと、何処に行くんです?あなたが抱いているのは誰なんです?
…一体何があったんですか?
・感染者が一人死んだんだ。
レユニオンの残りの小隊も既に撤退に成功したはず。
これが白ウサギの欲しかった戦果かは分からない…でも最後の彼女であればもうそれを気にはしないはず。
とにかく、彼女はやったんだ。
白毛ウサギ…あなたは本当に頑固だね。
”見事な勝利”?亡霊に勝っても…あなたが死ぬ寸前でなければ私達は今頃氷の欠片だったよ
あんたは生きてたでしょ?そして貴重な戦闘経験も得られた。
経験の増加は後になって初めて効果が現れる。でも目の前で死んだ人は帰ってこない。
彼女を助けることは出来た。
…。
アーミヤはもう龍門の担当者を探しているの?
そうだと思う。それは彼女たちに任せればいいでしょ、興味ないし。
グレイスロート、手を貸して。
え?どうして?
あなた私をからかってるの?私が今どんな状況か分かるでしょ?
立ち上がれないの?顔色は良いのに。
…オペレーターグレイスロート、私を助けてくれない?出血が多すぎて全身の体温が無くなっちゃってね。見た目は無傷だけど死にそうなの。早く私を助けて本艦に戻って欲しいかな!
あ…そうだ。まあいいか、迷惑は掛けないよ。
どうして?
ロドスを離れるんじゃないの?無理してロドスで働く必要は無いんだしさ。
..どうして?
え??
私はさっきの戦いを経験して、感染者の苦しみを感じた。
それは私の身の周りで起こったこと以上のことで、気落ちしてても仕方がないなって。
感染者の苦しみを私は理解して、私にもこういうことを阻止することは出来ると思った。
あなたが見た悲劇は少なすぎると思っている。グレイスロート。言って、あなたと私の違いは何?
あなたは感染者てこと?
私達が本当に戦死していたら、一般人と感染者に何の違いがある?ただ何人かが簡単に死んでしまったというだけ。
とある人は自分が神民かエーシェンツかを気にしている。ある人は自分の出身国を気にしている。ある人は血統を重視し、ある人は財産を重視している…。
感染者として私は”私は人よりも惨めな生活をしています”、”感染者は抑圧されているんです”というようなことは一言も言ったことはない。聞く人がいないから。
このスラム街の中であなたが見た全ての人、感染者だろうと、非感染者だろうと、誰も聞こうとはしない。
苦痛に程度の差なんてものは存在しない。私は感染者の苦痛を真正面から見てほしいだけ。
”感染者も人”と言うのは簡単。私は小動物を憐れむような同情の目がほしい訳じゃない
虐殺、隔離、監禁、苦役、私は何もかも見てきた。何を引き合いに出せばいいかは分からないけど、全てに”NO”とは言える。
白ウサギは私に出来ないことをした。
私は本当の死の瀬戸際の足掻きというものを見た…例え僅かな時間しか残っていなくても、彼女は私達にそれを見せてくれた。こういう毅然とした態度はいかなる時でも身分を越えるということにおいて十分なこと。
今の龍門には血も涙もないから黒い雨が乾いてしまえば関係無いのだろう。この白ウサギも彼らにとってはそれだけということなのだから。
本当は?
私は言ったとおりに死ぬことが出来る。
でも自分の信念のために戦って死ぬというのはいい結果じゃないかな。私の人生においての理想の一つだよ。
…あなたもあの二人の今の様子を見たでしょ?
え?
Dr.○○○とアーミヤ。
ドクターは何処に行ってるの?
ロドスに行って白ウサギを埋葬する。
まあ、埋葬と言っても死体の処理をするだけなんだけど。彼女の結晶の粉塵化を防がないと二次感染を引き起こしてしまう。私達感染者であれば必ず一度は通る道。
少なくとロドスのオペレーターとして私はドクターを信頼し始めている。グレイスロートはDr.○○○の目は見た?
これだよ。この目つきを持つこの人は信頼出来ると思う。
見たよ。
…私はアーミヤの目つきのほうが怖いと思うけど。
この二人の行き着く先は違っているから。
Dr.○○○は感染者の火葬炉に向かい、アーミヤは龍門の感染者の新たな墓場に向かう。
AceがDr.○○○とアーミヤとケルシーのことを不思議がっていた理由がよく分かったよ。
ケルシーは何処にいるの?
ケルシーは彼女がいるべき所にいる。
もう良いでしょ、行こう、ロドスを離れるつもりが無いならもう一回お願いするけど、私を起こして。
どうして医療オペレーターを待たないのよ?
今の私の姿は本当に弱っているからね…エリートオペレーターは強く見えるようにしないと。
…メンツを立てることに苦労してるってことね。
こんな時に人を傷つけるような言葉を発しながら喋らないでよ…!
それと、私達の随伴医療オペレーターって誰か知ってる?誰でも無いあのガヴィルよ。彼女、さっきは手を洗ってすぐに戻ってくると言ってたのに!
血が顔にかかる感覚でも好きなの?
手を貸して。
血は嫌いよ。
じゃあ私達は早く歩かないとね。
そうね。
もし私があの二人の感染者の子供を助けでもしなかったら、あなたは助けてくれなかったでしょうし、私も感染者に対する見方を変える機会は無かった。
これも感染者からの啓示なんだろうな。
え?
…また間違えてるよ。
…私があなたを救ったのとそれに何の関係が?
龍門上城区行政長官事務所
こんにちは。ウェイさんとの約束がありますので案内をお願いいたします。
あ、ウェイ長官なら先程面会を終えましたよ。こちらへどうぞ。
ええと…あなたは…。
アーミヤ。感染者のアーミヤ。
私はこれにて失礼させてもらう。
見送りは結構だ。
どうでした?
彼が怒り狂っていることは見えた。
上辺はなあなあと言ったところだが、実際は知っているようだな。
彼らはいつもそうです。なぜ龍門を鎮守しているのか彼なら理解出来ると思うのですけど。
…。
…。
感染者?どうしてここに?
あ、お客様。お気を悪くしないで下さい。こちらもウェイ先生からお願いされてまして…。
私は別にウェイさんにお願いしたいことはありませんが。
(アーミヤさん、今だけは避けて下さい…!)
その服装は…龍門と協力をしているロドスですよね?
感染者はここに長く留まらないほうが良いですよ。龍門は人を喰らうことが出来るのですから。
ご忠告ありがとうございます。ですがこの大地は人を喰らう時は好き嫌いはしませんので。
おおっと…。
私もあなたのご忠告に感謝しますよ。
…。
彼女の身分は分かりますか?
お前はまた何を考えているんだ?
ウェイさん。
おお…アーミヤ君、来ると思っていたよ。作戦は成功したのだからロドスにも功が無ければいけないな。
引き続き、龍門は契約上の義務を履行し、ロドスに必要な商業援助を提供しよう。
必要ありません、ウェイさん。
私は契約の解除をしに来ただけです。
ほう?
ロドスはそこまで恨みを持つ敵をおびき寄せる戦略でもあるのかな?もし私のしたことに何か不正があるのであれば出すが良い。
私は心からあなたにお詫びをしよう。アーミヤ君
…。
ウェイさんはいつも礼儀正しい態度をしているのでこちらが戸惑ってしまいますね。
しかし、私はあなたの武装力と計画を見てしまいました。
戦局を過度には解きほぐすな、アーミヤ君。これは非難では無いだろう?
ええ、ウェイさん。私にあなたを非難する権限はありません。私は単純に後の手続きをしに来ただけです。
何故に契約の解除を?
龍門との協力関係はロドスには向いていないと判断したからです。
相互利益、これでは一つの企業としてはまだ足りないと?
企業としても方向性というものがあります。
では君は貴社の感染者の一面ということで君は龍門には何か貸しがあるとでも?
違います。ロドスにはこれまで”感染者”であるという側面が足りていませんでした。
ロドスは感染者のためだけに戦っているのではありません。
私は感染者というだけでなく…この大地の一員でもあります。
私達ロドスは感染者問題を解決する専門家です。これは私達の多くのオペレーターが感染者であり、感染者の境遇や環境をよく知っているから――
ですが、私はこの大地のオリパシーの煙霧から解放したい。感染者のためだけに戦っているという訳ではありません。
ウェイさん、私達を一定の武力を備えているだけの単純で幼稚な感染者権益組織だとお思いでしたら、それは残念に思いますし、誤解でもあります。
私達ロドスは、あなたたち、私達という区別無く、この地上の全ての人のために戦っています。
…。
龍門には私達の助けは必要ありません。今契約を解除し、ロドスもこれで龍門を退出させて頂きます。
ロドスは既に責務を果たしましたので、契約が中止となった後は他の条件も同時に無効となります。ここにも書かれています。
ロドスには龍門の利益を分かち合うことを贈り物としようとしていたのだが。
必要ありません、ウェイさん。これらの”利益”よりも私達ロドスは経歴者との行動方式を重視しています。
ウェイさんは私達を最初から駒として扱っています。今、この駒はその価値を証明しました。私達の脱退もあなたの計画の中にはあるのでしょうね。
ただ、ウェイさん…。
…。
話してくれ。
もし欺かれていたのがロドスだけであれば契約は中止しなかったでしょう。変に聞こえるかもしれませんが、パートナーへの不信というのは理解が出来ます。
ですが、龍門が真実を隠す対象は私達だけではありませんでした。
近衛局、龍門市民、スラム街の感染者…彼らは物事を整理する背後にある裏の手段を知らない。
アーミヤ君は心を読めると聞いた。
ウェイさんは私には出来ないことでも私が出来ると仮定するのでしょう。
やはり君の推測は非難では無く、警告のように考えられるのだが?
私は龍門の策略と未来計画に指摘はしません。ウェイさん、しかし私はオペレーター達が参加することを阻止する権利はあります。
ウェイさん、ロドスのオペレーターであれ、レユニオンの一分子であれ、チェルノボーグからの亡命者であれ、龍門市民の市民であれ…。
彼らも生身の人間です。自分の知らないことで命を左右されるのは私は当たり前だとは思いません。
役割を果たすことは自分の役割を認識するかどうかよりずっと重要だと思うが。
…いいえ。そんなことはありません。
これらのことはウェイさんにとっては…普通のことなのかもしれません、一般人にとっても感染者の隔離というものはごく当たり前で議論に値しないものでしょう。
しかし、これらのことがどんなに”普通”のことだとしても、それが”正常”なことだとして扱われるべきではありません。
一つのことが私達の前で何度も起こってしまったので、私達がそれに慣れているとでも…?そんな道理はありません。
そうでなければ私達がオリパシーを撲滅させても、紛争は減りませんし、平穏は訪れません。
それには利用され、拘束されている人の群れを変えるしか無い…ただの”感染者”から。
それは君の要求か…それとも理想か?
これが私の基準です。
ウェイさん、私にはもう一つ話したいことが、話さなければいけないことがあります。
――生きている人を駒にすべきではありません。人は人です。
碁は出来るかな、アーミヤ君?
ウェイさん…
あなたは黒子ですか、それとも白子ですか?
ウェイ長官、あなたは何をしている!
チェン警官、客人がいるのだぞ。
チェン警官?
あなたは何をした?そもそもあなたなのか?
いいや、あなただけだ…あなただけだろう。
あのネズミと彼女の狡猾な父親はせいぜいあなたにとっては小さなな手段なのかもしれない。
私はレユニオンに打ち勝てば、全ての龍門人が新たに団結しさえすれば、私達はこの困難を乗り越えられ、龍門人の誤解も解くことが出来ると思っていた。
思いもしなかった。私はとっくに思いつくべきだった。
あなたはこの時に自分の身分を再確認した。自分の身分は龍門の主人だと。あなたはいつもそうだ。
それでも、そうだったとしても…どうしてそんなことが出来る?
あなたなら全ての障害を取り除くことが出来るんじゃないのか?あなたならあらゆる茨の道を焼き尽くすことも出来るんじゃないのか?一体何があなたの頭を下げさせている?
あなたがた全員の感染者に対する態度は知っている。しかしなぜ、どうして…それだけじゃ…それだけじゃない。
…。
あなたは自分の後にさえ責任を持つ勇気がない。
名前を消し、跡を消し、命令を消し、全ての跡を消した。
ウェイ・イェンウー、林とあなたの種族は入れ替わるべきだ。
口からでまかせを。
チェン警司、何を指しているのか私には分からないな。納得できるように説明してくれないか。
…。
いいでしょう、では単刀直入に…。
お前はタルラの父親を殺したのか?!
…チェン警官?
私達の母をあの気の弱い男と結婚をさせるためか?
そんなことを誰が君に吹き込んだ?
当ててみろよ。
口には気をつけたほうが良いぞ。
龍門の全てを支配してきたウェイ様の長年隠し続けてきた秘密はとっくに秘密では無いんだがな?
チェン警官、度を超えてはいけない。侍衛!
タルラが教えてくれたんだよ。
…
もちろん、タルラが知っているということを知る人はあまりいないだろう。
お前は怒るだろう。お前がそれを見つけただけで、お前の支配は再び脅かされるかもしれないからな…。あのじいさん、あのコシチェイ公爵はお前にとって最初から最後まで悪夢だからな。
お前はタルラに対して一度も謝ったことが無いだろ、違うか?
チェン警官、君は知る権限の無い事実から推測をしてはいけない。出どころが分からない情報を軽々しく信じるな。
君は疲れているんだ。
もちろんあの公爵のじじいは信じてはいない!彼は危うく龍門を全壊にさせるどころか、タルラを攫っていったんだからな!
なにを――。
覚えているか…あの日は晴れていた。その夜は月が無くて、星もいくつかしかなかった。
じじいはタルラを捕まえて、断橋の向こうに立っていた。
お前の背中には…。
お前の背中には黒い雨衣を着た人がたくさん立っていた。
…。
私はタルラを信じている。彼女を信じている。彼女は嘘で目が眩んでしまっているのかもしれないと私は思っていたが、お前は正にそういう人だったんだな!
お前は自分の目的のためならば何でも犠牲に出来る人では無いのか?
陈晖洁!
お前はスラム街全体を掃除したいと思っている、そしてスラム街を破壊したいともな!龍門人は多いから、私達を信頼してくれる龍門人も多い。今まで歩けてきたのも龍門人が支えてくれたからだ…。
お前は本当に龍門を守っているのか?お前は龍門の命を脅かすものじゃないのか?
数匹のネズミがお前の前で遮っていると思うなよ、お前は完全に切られるのだからな!
…お前の許可なしに林という人はこんなこととても出来はしない。
チェン。
君は私が龍門のためにしたことは全て…。
ほぼ何も知らないのだろう。
…。
これまでずっと私が君を最も嫌っていた部分は、全てのことを自分の手で握っているという君の態度だ。
もし二人に少しでも暇があるのであれば、二人には私からの言伝を聞いてもらいたいのですが。
ケルシー先生?
端末を見ろ、具体的なことは既に送ってある。
あ…はい。
…これは?
私は君がこのタイミングで私のプライベートルームに入ることを許可した覚えは無いのだが、ロドスの先生。
私が彼女を中に入れました。
…
何年も経ったことを、どうしてそんな風に返しているのです…。
何もかも彼女に隠して、何もかも自分でやるのは疲れるでしょう?
この客人の話を聞きましょう。私も同じ報せを受け取り、3分前に知ることが出来ました。
では、ケルシー先生、教えてもらおうか。
龍門内のレユニオンを撃退した時、敵の最高司令官は現れはしませんでした。
理由は単純、彼女はずっとチェルノボーグにいるからです。
彼女は私達を見てなお、落ち着いているのか、それともやきもきしているのか…とにかく彼女は十分な注意を払っていなかった。
現在、チェルノボーグの一部、正確に言えば城の中心は…。
龍門に近づいてきています。
後36時間でチェルノボーグの中心は龍門に衝突するでしょう。
些細なことだ。龍門には移動都市と軍艦という防ぐ手段があり、城の中心だろうと恐れるに足りん…
…。
お分かりになりましたか、ウェイ長官?
…これが始まりということか…。
絶え間なく自身の都市の国の認証コードを送信している?
いや。
そうです、あなたの直感と推測は正しい。
城の中心は各所に認証コードを送り続けており、龍門は全域においてその電波を受信しました。
宣言していることは――。
”この都市はウルサスの領土である”。