ゴホッ、ゴホッ……!
龍女、あんた……意外と……やるじゃない。
この結末もお前の計画の内なのだろう?
当ててやろう、お前の計画はこうだ、“私のために演じてくれる即興爆破の自殺劇”、違うか?
お互いの時間を無駄にするべきではない。
偉そうにするんじゃないわよ……ゴホッ、ゴホッ……!こ……小娘が。いや、あんた、ほんとうにあんたなの?もう、分からなく……なってきたわ。
お前が私を定義づける必要はない
死に様を選ぶがいい。焼かれて死ぬか、投げ捨てられ落ちて死ぬか、あるいはわが鋭剣に貫かれて死ぬか。
本当に……私を殺せるとでも?
幾千万の鍛錬から生み出されたのが剣だ、剣は誕生からして武器になる定めでもある。
だがお前は、ただの死にぞこないだ。
へー、それは……光栄なことね。
その剣に、刺殺されるのは……私が……初めてなのかしら?
残念だが、お前はせいぜい二番目だ。
じゃあ……爆弾で死んだ人の中でなら……あ、あんたは……
……論外ってことね。
わたしは死ぬの?たぶんそうみたいね。
でも、死ぬぐらい何だっていうの。死ぬよりひどいことなんてわんさかあるわ。
だから、自分が終わったって思うときは……
死ぬよりやばいものを準備しておいて、自分すらも驚かせるのよ。
いま考えつくのは……自分を、爆弾に変えるということ。
(爆発音)
ゴホッ
私の手の内で爆発しただと……?死ぬことを恐れていたと思っていたのだが。
お前の寝返りは私の予想の内ではあったが、確かに……お前には驚かされたぞ。
滑稽な演劇の幕開けとは、言いえて妙だな。
お前の死により多くの苦痛を、ヴィクトリアのW。
戦闘終了後、都市の衝突まで残り31時間 6:30p.m.
……
頭領よ
ミスター、あなたの帰還を心待ちしていた。
あいさつは、不要だ。ここで、つい先ほど、戦闘があったようだが。
私を謀殺しようとしたWとだ。ご安心を、大したことは無い。
一連の報告によれば、彼女はチェルノボーグ占領から謀反を企てていたようだ。
彼女は身勝手にも敵を見逃し、サルカズ傭兵の反乱を策し、己の上司を謀殺した。
彼女の一連の行動は、背後にあるその他政治勢力の指示からだろう。
では、やつはいずこへ?
やつは、裁断されるべきだ。
彼女は自身が身に着けた爆発物を起爆させ、メイン区画に落ちた。
彼女の死体を捜索させる、ミスターが心を煩わせる必要は無い。
気には、留めぬ。
では、やつのサルカズ傭兵軍はどうする?
私が処理しよう。いま中心街は安定巡航に入った、この勢力基盤もすぐさま安定させる必要があるだろう。
…頭領よ、なぜ、わたしに中心街の起動を、通達しなかった?
通信も、途切れた。
仕方のないことなのだ。ウルサスはいつでもチェルノボーグを襲撃でき、同胞を虐
殺するかもしれない。同胞のためにも先に龍門を攻めなければいけなお。
いまは、全エネルギーを中心街の運転の維持に使用しなければならない。市内外の通信チャンネルを調整する余分な動力すらも我々は持ち合わせていないのだから。
天災が残していったオリジニウムの市内への干渉は耐えられないほどに強力だ。
あなたを呼び戻すために最後の予備動力を使い切ってしまった。今となっては、たった一か所しかオリジ二ウムを提供できる場所は無い。
であれば、時間が迫っている、我々と、相談することも、できただろう。
あなたの言う通りなのかもしれない。申し訳無い、ミスター、私はもう少し考えるべきだった。
中心街を起動、したので、あれば。
このカギに、使い道はあるのか?
この都市を止めさせることが出来る。
本当に、止めることができるのか?
起動をすれば、多くのものが、止まらなくなるぞ。
そのためあなたに預けたのだ、あなたが止めるべき時を決め欲しい。
私の独断の指揮について謝罪しよう。
…
今日のミスターはいつもより消沈しているな。
いや、なんでもない。私は、中心街の守りに入ろう。
必ず、何者かが、ここを攻撃しに来る。
それを阻止する。
手数をお掛けして申し訳ない、ミスター。
クラウンスレイヤー、フロストノヴァ、メフィストとファウストが龍門で我々の増援を待っている。何者だろうと我々の計画を邪魔してはならない。
……タルラ。
……
どうした、我が戦士?
頭領よ。
いかなる、強大な邪悪だろうと、やつらには、相応しき最期というものがある。
私は、そう固く信じている。
ああ、私も同じく信じている。
……さらばだ、頭領よ。
行け、パトリオット。
この戦いを終わらせ、感染者のあるべき地位を取り戻す。レユニオンは道阻むすべての敵に打ち勝てよう。
何だこれは?
サルカズのお守りだ。こっちに二つ落ちてるぞ。
こっちを持っていけ。もうひとつは、私が持っておこう。
何に使うんだ?重いんだが。
繋ぎ止めることが、出来るんだ、命を。
まだサルカズのあんなことを信じているのか……それって必要あるのか?
最後まで、聞け。
分かったよ。
このお守りは、長い苦難を、耐えてくれる。
]致命傷とか、臓器の破壊とかは、だめだが。しかし、命の消耗なら、耐えてくれる。
これが砕けるまでは。
お前のお守りが、砕けた時、私のお守りが、震える。
私が、助けに行く、お前を。
2つとも砕けたらどうなるんだ?
…何とか言ってくれないか?
はあ…ならば持っておくとしよう。
それでいい。
私の命はきっとあなたよりも長いんだから、あなたもしっかり生きて欲しいものだな。
…
増援だと、誰に?終わらせる、何の戦いを?
私のお守りは、砕けてしまったというのに。
…。
お前はWを殺した。
お前は何がしたい?
お前たちを解放する。二度とサルカズ人の首領を必要としないために。
そしてお前たちが望む全てを、私がもたらそう。
何をもたらしてくれるんだ?
戦争だ。
弱者を痛めつけるだけの淡白な味わいではない。玉砕による無駄な浪費でもない。
お前たちに正真正銘、平等な戦争を与えよう。
サルカズたちよ、流浪なる魔族たちよ。
お前たちの眼前に現れるのは被害者の恐怖だけではない、お前たちの数多な世代を通じた屈辱だ。血も、肉も、新たな廃墟、鋼鉄の造型も。
お前たちに、殺しと死を与えよう。
新たな時代はすでに到来した、戦争を王とする時代が。
この新時代を味わいたいサルカズ人は、一歩前に出るがいい。
――
誰を殺せばいい?