城内中央区 1:20p.m.
Raidian、こちらケルシー。我々は今セントラルシティ中央区の外端にいる。倉庫区域の出口から410m、座標は17、67、西南方向だ。
配置にはついたか?作戦は順調か?
「オールクリア」?
……どうやら事態はこちらの推測通りに動いてくれているようだな。
レユニオンはすでに遊撃隊を各要衝に配置してる、その他地域は一般のレユニオン兵とサルカズ傭兵を派遣している。
全区域の敵防衛戦力はいまだ不明だ、精鋭たちはキーポイントに集中してると予測する。私がレユニオンの前線指揮官なら、そうする。
先生!
Raidianと話したいのだろう、アーミヤ。すぐ代わるからそう焦らなくていい。
わ、私も……
……私達にはまだ任務が残ってる。今度でもいいか?
う、うん……わかりました。
Raidian、アーミヤが話したいそうだ。
Raidianさん、こちらアーミヤ。
(Raidianはどんなオペレーターなんだ?)
(そうだな……アーミヤとローズマリーの表情の変化を君も見ただろう。)
(Raidianはロドスにいる若年層の人員から人気のあるオペレーターだ。大人たちからすると彼女はいささか友好的すぎるようにも見えるが。)
(一方で彼女と最も相性が悪いのが青少年期のオペレーターたちだ。)
(どうして?)
(自己アイデンティティが育つ年齢にある彼らと時外れなRaidianの母性とでは小さくない衝突が度々起こる。)
(通常、私は彼らを同じ小隊には組まないようにしている、これから配置するときの詳細は、マニュアルを参考してくれ。)
はい……見えました、Raidianさん、はい。
その通りです。はい、あれは普通の遊撃隊員の戦術配置じゃありません。どちらかと言うと……えーっと……
軍隊に似ている?
そうです!Raidianさん、ドクターが言ったように、ここのレユニオンの戦場配置は調整されているにも関わらず、まだウルサスの軍制の面影が残っているんです。
厳しい軍事訓練を行った……はい、ありえるかと。
彼らでしか大勢の感染者を招集する任務を負うことはできません。
今回の戦闘は、おそらく、簡単に勝利を勝ち取ることはできません。
え?いや、大丈夫です。私とローズマリーさん、それにロドスの皆さんも……自分たちの意思でここに立っていますから。
いえいえ、心配しないでください、Raidianさん、私の傍にはDr.○○とケルシー先生もいますから。
では、アーミヤ、始めるぞ。
わかりました。では、Raidianさん、ケルシー先生に代わりますね。
……まずこちらの通信手段を十分に利用してくれ。
R-4小隊、君たちが設置した器機を全て起動。
Raidian、ローズマリーがアーツを放ってからの十分間、今繋げてある通信は中止せざるを得ないと判断が出たとき以外は一度も途切れさせてはならない。
アーツユニットの持続運用は君に不快感を及ぼす、もし不快感が耐えられない程度まで進行したのなら、すぐに私がこの前に処方した薬を服用してくれ。
副作用は中度の眩暈を引き起こす。君の神経系を傷つけることはないが、体力は大幅に消耗してしまう。
覚えておいてくれ、過度の服用はするな、十分後、間歇に進行できる。だから絶対無理はしないでほしい。
つらい思いをさせてすまないがよろしく頼む、Raidian。
ローズマリー、すべての敵通信兵の特徴がRaidianから送られる電気信号を通して君の携帯端末に送られる。感知した後に記録をしろ。
彼らの配置は以前と変わってしまったが、耐えて欲しい。なるべく気を緩めないように。彼らの感覚を捕らえたあとにもう一度記録だ。
身体の感覚を広げるように、ローズマリー、自分がこの街を歩いていると想像するんだ。
わかりました、ケルシー先生。
アーミヤ……
わかっています。
苦労を掛けてすまない。異常が出たらすぐにアーツ展開を中止させる。もし身体に痛みを感じたらすぐに言ってくれ。
ローズマリーさん……私が傍にいます。
ありがとう、こっちも準備出来ました。大丈夫怖くなんかありません。アーミヤ、私のこと怖がらないで下さいね。
大丈夫です、ローズマリーさんは怖くなんかありません。一緒に頑張りましょう。
・二人とも額をくっつけた……
アーミヤはローズマリーの精神状態を安定させているんだ。
あれを直視するのはおすすめはしない、Dr.○○。惨劇に苛まれた戦士以外は誰であろうとローズマリーのアーツの本質が展開されるところは直視しないほうがいい。
・聞き違いか!?
・……アーミヤ……?
・じゃあうさぎちゃんはもしかして……
――
君ならもう少し早く察していたと思っていたのだが。
もしくは、このことはすでに知っていて、私に言いそびれたか。
だが、そうだな、Dr.○○。
……アーミヤがその身で、あるいは意識の中で経験した戦いは、一人で背負いきれるようなものじゃない。
・君たちは……
だが二人なら受けきれるかもしれない。もしくは三人がかりで。人が多ければ、背負っているものも軽くなる。
Dr.○○、私は何も記憶や戦場での経験だけを言っているのではない、これは同時に責任と思いやりの範疇も含まれているんだ。
君がしたいのであれば、アーミヤの手を握って彼女の重荷を負担してあげてやってくれ。
・(アーミヤに手を伸ばす。)
・(何もしない。)
いや、何がどうあれ、今日のところはやめておいたほうがいい。君と私には別の緊急任務がある。
彼らがせっかく組み立ててくれた戦況で、貴重な時間を無駄にしてならないからな。
――
製薬会社は問題の原因を究明し、環境へ適応し、職務を合理的に配置し、突破口を見つけ出さねばならない。
通常の戦争に比べれば、我々の目標はより小さく見えるが、それらよりは明確だ。小隊の打撃任務に関していえば、戦争というよりは手術に似ている。
死の商人たちの畑違いの仕事が、私たちの本業範疇に収まっている。
ロドスがセントラルシティで行っているのは斬首作戦だ。我々が設立した任務目標は病源が広がることの阻止にも繋がっている。
しかし、たとえ病源を駆逐できたとしても、病因を解明できていなければ根本的な問題解決にはならない。
Dr.○○、君にもこの問題について考えてほしい。
――我々が診るべき病人は一体だれなのか?
一般の感染者か、ウルサスの感染者にされた人々か、レユニオンか、はたまたこの街なのか?
病源はどこに潜んでいるのか?
以前にも話したが、レユニオンは都市内の各通信節点を維持運用していない。
今ならはっきりと分かるのが、タルラは都市内の混乱状態をあえて継続させている、天災がもたらしたオリジニウムの塊もあえてそのまま残している。
これらは通信状況に極めて大きいな障害を起こす。
たとえ最先端の通信設備であってもこの状況下ではまとも使えなくなってしまう。
だが、エリートオペレーターRaidianの能力を駆使すれば混乱していた電波を区分することはできる。
つまり、我々には直感的で素早く情報交換ができる通信能力をもっているということ。これは戦いにおいては有利に働く。
・有利が一つだけでは足りない。
そうだ。
君もあのスピーカーを背負っていた通信兵を見ただろう。このような原始的な通信環境下で遊撃隊は暗号を使って情報と命令を伝えている。
我々はまだこの戦場での通信兵の動きを把握しきれていない。だがそれもローズマリーが見つけ出してくれる。
通信兵が伝達する情報に即時性はない。同時に距離による伝達の制限もある。だがこのような劣悪な環境下では最も安定していて、最も規律の維持に役立つ。
考えてみてくれ、敵通信の循環システムの問題点はなんだ?
・誰が最初に発令したのか?
・……発令者か。
・部隊は通信兵だけじゃない、発令者もいるはずだ。
そうだ。
真っ当な指揮官なら自分の身を隠す。
君なら、どうする、ドクター?。
・出てこさせる!!
・……誘い出す。
・意地悪しないと出てこなさそうだな。
その通りだ。
今我々は目標を定める指針も持ち合わせた、これも戦術的優勢だ。
……
ドクター、ローズマリーは今アーツを開放している、すべての通信兵の位置と進行方向を特定できる。
ローズマリーは彼女の意識を膨張させ、その範囲内のすべての実体物を捕らえている。だが同時に彼女の精神状態も刻一刻と乱れていく。
アーミヤはそんな彼女の精神状態の安定を図っているんだ。
Raidianは我々の通信の核だ。彼女のアーツのおかげで、我々は短時間内でクリアに通信することができている。
あとはローズマリーが敵位置の地図を完成させれば行動に移れる。
一方遊撃隊は依然として、こちらの情報や動向を把握できていない。
彼らはこちらの遊撃隊の通信システムを瓦解させる方法を知らない。戦場に設置されたサルカズの古い儀式の対策があることも知りはしないだろう…
効果は限定的だが、対策はすでにできている。
通信兵を潰したあと遊撃隊はそれに反応するだろう、30分未満で襲撃がより困難な新たな通信兵が補填されてしまう。
その時彼らは今以上に警戒する、弱点がないほどに。
それと同時に、こちらの位置と戦術に穴が開く、あっという間に劣勢に急転直下だ。
だからこそ、こちらは一回限りの大規模な攻勢に出る。この一回のみの攻撃で彼らの指揮部隊を引きずり出す。
遊撃隊にとって感染者特殊部隊の存在は予想外のはずだ。
これが我々の戦略においての優勢だ。
・その作戦の実行過程が気になる、成功するのか?
――こんな状況下で大言壮語を吐くやつがいると思うか。
Dr.○○、たとえこちらには三つの大きな優勢があったとしても、失敗の確率は成功の確率よりはるかに大きいのだ。
・ではなぜこんな作戦を組んだ?
この作戦が一番成功率が大きいからだ。
……ローズマリーが捜索を始める。呼吸を止めろ、そして見るな。
――一回目――
まずは……三人見つけた。
ローズマリーさん……大丈夫ですよ。もっと、もっとくっ付いて。
……四人
あなたの耳。私の人差し指があなたの耳を撫でているの……聞こえますよね。これはただの想像の綴り合せですよ、見たことありますもんね。
うん……
五人。
……
ドクター、傷つくことは怖いか?
・……え?
私たちの三個小隊はこれから別々に分かれて作戦行動に移る。各小隊違う区域の敵小隊、通信兵の無力化を分担する、彼らにいかなる通信を行う機会を与えてはならない。
それに、我々の各小隊をもう一度戦力調整のために再分配を行う、私がもうすでに終わらせた、心配には及ばない
君についてだが、私と行動を共にしてもらう。
・ケルシーと!?
・……餌ということか。
・それは本当に必要なのか?
君の保険専門員と一緒に行動してもらう。君に拒否権はない、と思うが。
遊撃隊はウルサス軍と類似する優れた装備を使用し、ウルサス軍よりも厳格な規律と効果的な戦術も併せ持っている。
サルカズ、ウルサス、リーベリなどの各種族が一つの名の元に集っている。
私の保護下でないと、君の安全は保障できない。ローズマリーの過失で殺されてほしくないうえ、アーミヤがまた君を守るために気を散らせて欲しくはないからな。Raidianに至っては、まだ会ったことがないだろう。
私の傍なら、いらぬ心配も無用だ。
……待て。
――ローズマリー?
あ……うっ……
Raidian、ローズマリーとの接続を遮断しろ、今すぐ!
アーミヤ、彼女の精神状態は?
いえ、ローズマリーは……私が触れていた様子はとても安定していました、何もおかしな点はなかったのに……そんなはずは……
まさか……堕ちている?彼女は……空を見上げた?
……失くした。彼女は失くしたんです。堕ち続けています。
体温低下、呼吸が荒い……エンドルフィン分泌が急激に低下している。
・緊急注射が必要か?
(首を横に振る)
Raidianが使っている体力を回復させる補助薬と違って、ローズマリーのアーツは彼女体内環境のホメオスタシスを崩す。それに、生理バランスはまだ崩れていない。
分泌ホルモンを注入すれば数分内で分泌を促すことはできる、だがその後分泌系は暴走してしまい、外抑制機能を喪失してしまう恐れもが生じる。
私……私……
私を置き去りにした?どうして……私も……
――どうして私を置き去りにしたの……?
・だが状況はすごく危険だ
状況が危険だは己の無能を許容する言い訳にはならない。
Dr.○○、生体機能に損害を与えるような応急措置は……私は絶対他人に使用したりはしない。たとえそれにどれだけ素晴らしい効き目があるとしてもだ
ローズマリーが今立ち向かっているのは生理的な問題ではない。ならば、彼女の危機は彼女自身で解決する必要がある。
ローズマリー。
ローズマリー、私の手を見て。
ケル……シー……先生……
ほら、先生の手を見て。
先生は今君の顔に手を置いている。ケルシー先生は君の顔に触れているんだ。私の顔を見て。
……うん。
ローズマリー、ケルシーはほとんど君と一緒に居てあげれなかった、アーミヤもそうだ。
Outcast、Misery、ブレイズ、みんなも。
でも私もアーミヤも今、ここにいる。
うん……うん。
がんばれ、ローズマリー。前に向かって歩くんだ。
そうです、ローズマリーさん……ここまで来て。ここまで来てください。ここは甲板です。
踏み場は固いですけど……でもローズマリーさん、ここは甲板です。その上を歩けますよ。もう踏み外すことはありません。
ここはロドスですよ。
私たちは君の傍にいる。
私もあなたの傍にいます。
――わかりました。
・呼吸が……落ち着いてきた。
……先生……それを私に。
データ……を。
――ああ。
Raidian、ローズマリーの端末にアクセスしてくれ。もう大丈夫だ。
私が保証する。続けてくれ。
――二回目。
七人。
私も見えました……
彼女が……ローズマリーが立ち上がりました。落ち着きが彼女の意識内で花開いたように。うん……ふかふかな揺りかごみたいに、彼女の夢を覆いかぶさりました。
問題ないみたいですね。もう大丈夫ですよ、ケルシー先生。
・ふかふかな揺りかご――
・……子猫?
・かわいい。
・似合っている……ぞ。
(へ……?)
ぷっ。
アーミヤの顔が真っ赤です、Dr.○○。
……見せるつもりはなかったんです!
大丈夫、うん。もう大丈夫。
もう一回……もう一回。アーミヤさん、もう少し前まで行きましょう。今なら感じます。
三回目。
……ケルシー先生。見つけました。これで全部です。
こちらも準備できている。
うん、ありがとうございます。アーミヤさんも、ありがとう。
当然のことですから礼には及びませんよ、ローズマリーさん……本当にお礼はいいですから。私がいつも口にしてるようにしてください、ダメですか?
分かりました。でもあなたは私を艦橋から、あの山の頂上まで連れて行ってくれた……雲がすごくきれいでした。
道のりはまだまだですけど。
アーミヤさん、行きましょう。一緒に。
Raidian、これから別々で通信に入る。5分間だけだが休んでくれ。
アーミヤ、ローズマリー、引き続き通信にノイズが入らないよう。
わかりました。では、Raidianさん、先生、ローズマリー……
作戦開始。
聞きたいことはまだあるか。
・前に比べてずいぶん丸くなったな。
聞きたいことはそれだけじゃないだろう。ご希望があれば、もっとキツく当たってやってもいいのだが。
・あの子猫ちゃんについて話してくれ。
・……ローズマリーについて
・やっぱりあの銀髪の子について話してほしい。
さっきだが、君は運がいいほうだ。
よく言えば、ローズマリーは君のことが嫌いじゃないようだ。彼女自身も自分の制御を克服することが出来た。
でなければ私とアーミヤが彼女に道しるべを施してたいた時、好奇心のあまり彼女のアーツの実態を見てしまい、自分の舌を噛みちぎっていたかもしれないぞ。
……ローズマリーは研究所で産まれた感染者だ。
大多数の惨劇に見舞われた感染者と違い、彼女は日々の残忍な実験のせいで死ぬことはなかった。
プロジェクトが進むにつれ、研究所も少しずつ彼女によって摺りつぶされていったが。
研究所が彼女を壊したのではない、彼女が研究所を壊したんだ。彼女のアーツは彼女の精神状態と連結している。
彼女を見つけだしたある組織は秘密裏に彼女をロドスに引き渡した。「ローズマリーなどと言う人物は存在しない」という情報を外に流しながら。
君が何を考えているかはわかる。いや、たとえ強制だろうと勧誘だろうと、私はこのような目に合った感染者をオペレーターチームに編入することは断固として認めない。
だが、ローズマリーは自分で責任を負い、訓練と仲間を選んだ。
彼女が無意識にアーツを放って周りに損害を与える状態を見て、術師オペレーターたちは彼女に訓練を与えた。彼女はほかより早く習得しなければならなかったからな。それは彼女自身の願いでもあった。
私たちは彼女を独り荒野に捨て去りたくはない。彼女に抑制薬品を投与したくない。だがロドスを粉々になるまで破壊させたくもなかった。
これが私たちにできる唯一の解決方法だったんだ。彼女が自分のアーツをきちんと使えるように訓練させる、彼女を放置したり、監禁して閉じ込めたりするのではなく。
彼女はアーミヤととても似てるところがある。だが、まったく違うところもある。
・勿体ぶらないでくれ。
・……はっきり言ってくれ。
・ちょっと何言ってるかわからない。
じゃあ最後まで聞いててくれ、面倒を掛けるがな。
彼女たちが似てるところは二人とも他人のために戦い続けたいと思っているところだ。
一報でまったく似ていないところだが――
君も知ってる通り、アーミヤは昔から誰であろうと敵として戦いたがらない。彼女が強制されようと、涙を流して努力しようと、敵を滅ぼした後でも、変わらずだ。
だがローズマリーに、言えることは、ドクター、ローズマリーは……
彼女は一度も任務を放棄したことがない。戦況がどうであれ、彼女は善戦して、勝利し続けてきた。
君も見ただろう。理性的だが道理が通じない殲滅戦専門員、ローズマリー。
彼女がエリートオペレーターになった理由はほかでもない、彼女の能力がテストにおいて合格している、それだけだ。
彼女を恐れていたほかオペレーターたちが彼女の実態を理解して、彼女に自分たちの命を預けるようになる……
理由はただ彼女がオペレーターたちを守ってくれる、彼女がオペレーターたちのために自分の全力を尽くしてくれるからだ。
ブレイズが自分の小隊を牽引して人々から尊敬を集めてきたと言うのなら、ローズマリーは人々からの支えによって戦ってきたと言うべきか。
彼女らは人々の期待に応え、人々の期待を超えてきたんだ。
・だが彼女が今回の作戦への参加するのに考慮の余地はあっただろう。
ローズマリーに似た索敵能力のアーツを持ったオペレーターはいる。発動条件も人それぞれだが。
だがローズマリーの力はそれだけではない、君も彼女が戦うところを見ただろう。
Dr.○○。我々が今回の任務に彼女の参加を承認したのは、彼女がこの戦場において最も適任だからだ、彼女も自分がこの戦場において最適だと考えている。
彼女のアーツは私とアーミヤで敵遊撃隊の頭領との戦闘の手助けにもなる……
「レユニオンの愛国者(パトリオット)」にも。
イェレナの……
ケルシー先生!廃棄された電車駅、煮込み料理屋の落ちた看板の後ろ、第四中学の校門入り口、それと礼拝堂鐘楼の三階に敵です!
分かった。
了解です!ケルシー先生、私は礼拝堂に行きます!
では私たちは第四中学に行くか。ドクター、行くぞ。
・ケルシー先生、指揮なら任せて欲しい
――
そうでなくてはな。
私と、ローズマリー、アーミヤは無力化された通信兵をやる。君は……
Dr.○○、各小隊に遊撃隊員を足止めするように指揮してくれ。
いいか、我々が対抗しうる能力を持った敵のみを狙うんだ。
遊撃隊が集まってきたら、すぐに撤退する、目標はその時点で達成できているからだ。我々に正面から彼らとやり合う力はない、頭の中で余計な妄想はするなよ。
これからの戦闘はとても長く続く。こちらの小隊に死傷、最悪の場合敗北もあり得る。
そうなれば、感染者の次の暗黒の未来がここから始まってしまうかもしれない。
敵指揮部隊が頑なに出てこない場合は、こちらにとって最も不利な状況になる。
その時は敵司令部とエネルギー区域に直入する。彼らを無視してレユニオン感染者に自分たちで感染者間の問題を解決させる。
だが彼はそうしない、あの遊撃隊指揮官がそのようなことをする可能性はありえない。
彼は戦況を悪化させたりはしない。自分の部隊が崩されるなんて以ての外だ。彼があの部隊を維持できているのは信念があるからだけではない、その名に相応しい力も持っているからだ。
この戦闘が終結したあと、もし全てが順調なら……彼の直属部隊には、こちらも最大戦力を以て対抗する。
あのボジョカスティとな。