【明日方舟】ドロシー(多萝西 Dorothy)の詳細(性能やスキル、資料)

造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

【源石融合率】0%
ドロシーが現在、鉱石病を発症する可能性は無い。
しかし、彼女の体内に存在するものの中には源石感染に劣らない危険性がある事はよく知られている。

【血液中源石密度】0.13u/L
ドロシーは長期に渡って源石と密接に関連する様々な実験に関与しており、防護措置を行ってはいるものの、追加の注意が必要。

ドロシー・フランクスがロドス艦に乗船したのは、ライン生命がとレモント郊外で発生した騒乱を初歩の段階で鎮圧、エネルギー課主任のフィルディナント・クルーニーが違法実験の疑いで正式に指名手配された直後だった。

ドロシーはこのようなタイミングで、双方にとって有益な協力プロジェクトを持って、ラインライフとロドスのこれまでで最高レベルの協力を促進した――一つの課の主任が自ら責任を負い、派遣を実行したのだ。

この身分に繊細な女性について、まず明らかにしなければならないのはライン生命で享受されている主任の肩書きは決してオペレーターのドロシーが自分を飾るための誇示する手段という訳では無いという事。

私たちはしばしばドロシーを紹介する際に彼女のこの地位について言及しているが、それはドロシーの生涯と最も注目すべき才能を最も直観的に示すことができるからだ。

彼女はライン生命の多くの研究者の中で最も優れた代表の一人であり、彼女は源石技術応用分野の専門家中の専門家であり、彼女が主導した研究プロジェクトがどのような結果をもたらしたのか、私たちの中の一部は自分の目で見たことがある。

結論から言えば、かつてのエネルギー課主任のフェルディナントはこの事件の元凶とされているが、その危険な実験成果は、私たちの前の笑顔の女性が関わっていたという事は否定の仕様が無い。

ドロシーはサルゴンの移民家庭に生まれ、父親は荒野で医師をしていた民間医師、母親は開拓者だった。

父は長年あちこちで医者をしていたため、ドロシーは開拓者である母の手で育てられ、黄砂の広がる荒野はドロシーの子供の頃の生活の中で最もよく知っている風景だった。

母がいた開拓隊のおじさんやおばさんたちは、ドロシーが両親の他に最も親しい人達であり、開拓隊のメンバー一人一人を日記に書く事が好きで、彼らはみな彼女の大切な家族だった。

ドロシーの母親は開拓者の子孫として、同じ荒野で開拓者になったが、娘が自分の継ぐ事を望んでいないのは明らかだった。ドロシーは幼い頃から非凡な才能を見せ、成績は同い年の他の子供をはるかに上回った。

これは彼女の両親を非常に喜ばせ、彼らは娘に本を読むように努力し、彼女のために大学に入るための十分な蓄えを貯め、ドロシーが物質的な心配を持つ事が内容に努力した。

今のクルビアでは一人でも十分な才能があれば、開拓者の子孫でも社会階級の飛躍を実現する機会がある。天賦の才能があれば出世する事が出来るのだ――つまり、才能の無い者のクルビアでの運命も決まっているようなものだが。

少なくともドロシーの両親は彼らの娘には自分たちよりもはるかに明るい未来があると信じている。

ドロシーは両親が望んでいたように順調に成長し、彼女の優秀さは目に見えていた。しかし、アイアンフォージ理工大学のサマーキャンプの招待を受けた時に喜んでいた家族は誰も予想する事は出来なかった。この別れが永遠のものとなる事を。

天災に襲われ、ドロシーの母親がいた仮設基地は丸ごと破壊され、母親と多くの開拓隊のメンバーが無惨にも死に至る事となった。

ドロシーの父親は娘をなだめようとしたが効果はあまり無かった。部屋に閉じこもって数日後、再びドアを開けて人前に現れたドロシーは悲しみを整理したようにも見えた。

彼女はその時、心の中には既に微かながらも方向性が見えていたのだろう。

全体的に言えば、ドロシーはロドスへの派遣期間中、艦内の他のオペレーターと楽しく過ごしていた。

実験室にいる時間を除いてドロシーが最もよく行く場所は艦内の上映室で、そこで白黒映画を見るのは彼女の大好きな趣味の一つで、たまに同じ趣味を持つオペレーターに出会うことができる。間もなく、彼女は正式に映画愛好グループから招待され、この小さなグループの一員になった。

優しくて親しみやすい性格のでドロシーは周りの人の世話をするのが大好きで、多くのオペレーターが彼女に優しく念を押してもらったことがある――しかし残念なことに、ドロシーは自分を世話をしなければならない対象の中に入れることを忘れているようで、周囲の人達の事は気にしているのに自分が大変な時でもそれを忘れてしまっている。

そんな心配性のドロシーに対して、ライン生命で交流があったオペレーター数人はすでに慣れてるようだ。オペレーターのアステジーニはドロシーの世話をする役割を自発的に担うことが多いが、世話を受けたドロシーは少し恥ずかしそうにしている。

しかし、時には彼女は姉としての態度を捨て、少女のように目を輝かせながら、オペレーターのアステジーニに引きづられながら、小さな無害な要求をする姿を見る事がある。

しかし、同様に注意しなければならないのは、サイレンスの観察と報告を通じて、ドロシーの会話の中のいくつかの観点には確かにある程度の偏屈さが存在していることに気づく。特に「すべての人を守る」「みんなを幸せにする」という点だ。ドロシーはこのような話題に触れると、時折感情の軽微な暴走を見せることがある。この執念は彼女の家族が遭遇したことで発端であり、それは根強く、なだめる事は厳しいだろう。

ドロシー本人によれば、彼女は会社の元トップのサリアやフェルディナントらとは異なり、ライン生命の主任級のメンバーの中で最も遅く加入したようだ。

もともとのライン生命は九つのセクションのみだったが、政府研究機関からクルビアの重点的支援科学技術企業計画に採用された後に、ライン生命に源石技芸応用課が設立され、十のセクションという形となった。

ライン生命の社内では、ドロシーと他の科主任との関係は全体的に悪くなく、少なくとも表面的な親睦を維持している。

彼女の実験分野では、付き合いにくいと言われているフェルディナントでさえ、彼女に多くの助けを施した事がある。フェルディナントの助けが常に「大きな価値がある」ことを知っていても、自分が達成したいその目標の前では、払うべき代価は当時のドロシーの眼中には映らなかったのだ。

【音声記録】
「ええ、私が最後に加わった一人よ。クリステン、サリア、フェルディナント、そしてパルヴィス、彼らは初期からのメンバー」

「そう、誤解するかもしれないけど、最初はクリステンとサリアの二人が会社を設立したの。フェルディナントとパルヴィスは最初に応じた人」

「私と同じように、二人共自分のプロジェクトを彼女たちに持って行ったわ。ライン生命はそういった形でメンバーを受け入れ、私たちは安定した形を持つ、実施性の強いプロジェクトを持っていき、クリステンは私たちにプラットフォームを提供してくれて、私たちは成果でライン生命を育てていったの」

「当時、私の研究を理解し、補助を惜しまないクリステンに声を掛けられたの。私が参加した時、パルヴィスがオリビアに任せたプロジェクトは上手くいっていなかったわ……あ、何でも無いわ、ただ実験が失敗していただけ」

「社内はサリア主任のことで混乱していたわ。キリステンのあんな姿を見たの初めて。その時から、フェルディナントは既にいくつかの計画を持っていたのかも」

「今回のことは……フェルディナントにも彼なりの考えがあって、私は彼のしたことを評価することは出来ない。私もそれに関係しているから」

「パルヴィス？えーっと…」

「大体の時の彼はとても話しやすい人で、他の人の機嫌を損ねることは無いわ。パルヴィスと一緒にお茶を飲んだり、音楽を聴いたりすることが出来るから」

「でもパルヴィスも研究者よ。フェルディナントも、クリステンも、そして私も」

「えーっと、本当はこんな事言いたくは無いのだけれども……」

「ドクター、あなたは私の意味を理解してくれると信じているの。結局の所……私達は似ているから」

ドロシー・フランクスの言動はすべて誠実であることに間違いは無い。しかし、このような誠実さの中に彼女の穏やかな笑顔や集中した視線、真っ直ぐな心配があるからといって、この研究者自身が持つ隠れた危険性を過小評価してはならない。

これまでの実験の波紋が収まったとしても、現在のドロシーは私たちとの協力の中で何の危険な傾向も示していないとしても、ドロシーはこれまでも、そしてこれからも、その考えを変える事は無いと明確に理解しておかなければいけない。

――彼女はすべての人が平等に幸せになることを心から望んでいる。

大学時代からドロシーはすでにローキャン・ウィリアムズの研究プロジェクトに注目しており、ローキャンが大学で講演していたとき、ドロシーは壇下に座っていた可能性があり、いくつかの理念は影響を受けているものと推測できる。

特に実験倫理観という面では、これまでの事件から手掛かりとしては十分だろう。ライン生命が「ローキャン水槽」事件でどのような役割を果たしのか、ドロシー本人がどのような役割を果たしたのかは分からないが、すべての憶測は楽観的ではない方向を向いている。

注目すべきは、ドロシーの加入に対して、逆にライン生命の時期に最も交流が少なかったオペレーターであるサリアが真っ先に自分の意見を言ったことだ。

「私は彼女たちのような人物を知っている」

サリアは私たちにこうも注意をした。「彼女たちは『素晴らしい』考えのためには何だってする。そこには注意しろ」