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【明日方舟】緑野の幻夢 DV-7「狂気のシグナル」行動前 翻訳

ミュルジス
ミュルジス

もうどのくらい戻ってないんだっけ、サリア?

サリア
サリア

……ん?

ミュルジス
ミュルジス

ありゃ、ボーっとしてたの?

ミュルジス
ミュルジス

珍しいね……基地のことでも考えてた?

サリア
サリア

ハイドン一号実験室を憶えているか?

ミュルジス
ミュルジス

もちろん、イフリータがそこで見つかったんでしょ?それにあたしと二人で現場を調査しに行ったじゃん。

サリア
サリア

それから数百か所、似たような廃墟を見つけたんだ。

サリア
サリア

軍と提携するのは極めて高い危険なリスクが付く。過去のライン生命はそんな提携先の陰に隠れて、ああ言った危険な実験を行うその他のラボを操ってきた。

サリア
サリア

だが今回、フェルディナントは自ら公に出ることにしたんだ。

サリア
サリア

これは少しのミスでも起これば、ライン生命が次なる廃墟になることを意味する。

ミュルジス
ミュルジス

もし本当に失敗しちゃったら……フェルディナントもその廃墟に横たわる屍になるってことだね?彼の本当の死因も永遠にニュースに載ることはないと。

サリア
サリア

もうフェルディナントに逃げ道はなくなった。今回の実験で、ヤツは成功するしかほかに道はない。

ミュルジス
ミュルジス

うーん……

ミュルジス
ミュルジス

もしかして、サイレンスたちが心配なの?

サリア
サリア

……

サリア
サリア

ただリスクを分析していただけだ。

ミュルジス
ミュルジス

あなたが口ごもるとはね。

ミュルジス
ミュルジス

でもまあ、彼女ならきっと無事だよ。イフリータのために、彼女は年々強かになってきたんだからさ!

サリア
サリア

それは私を慰めているのか、ミュルジス?

サリア
サリア

そんな必要はない。

サリア
サリア

サイレンスとフィリオプシスの実力なら一度だって疑ったことはないさ。彼女たちならきっと自分の責務を全うしてくれる、我々もな。

ドクター
ドクター

・我々のコンビネーションは息ぴったりだ、心配ない。
・私もオペレーターたちを信じている。
・サリアもますます人間味が増してきたな。

我々のコンビネーションは息ぴったりだ、心配ない私もオペレーターたちを信じてる。サリアもますます人間味が増してきたな。
ミュルジス
ミュルジス

あたしずっとロドスのそういう仕事上の関係が羨ましく思ってたんだよね~、言ってたっけ?

ミュルジス
ミュルジス

ふ~ん、言うねぇ~、あたしもそっちに鞍替えしちゃおっかな~。

 

ミュルジス
ミュルジス

でしょでしょ、あなたもそう思う?

ミュルジス
ミュルジス

あたしだけの勘違いじゃないかって思ってたけど、違ったみたいだね。

Mechanist
Mechanist

……多数のパワーアーマーが接近してくるシグナルをキャッチした。

Mechanist
Mechanist

またあのリーベリの傭兵のお出ましだぞ、ドクター。

サリア
サリア

もしくは最初からヤツはここを守っていたのかもな。

ミュルジス
ミュルジス

ねえドクター、本当にクリステンはここにいるの?

ミュルジス
ミュルジス

今回の実験でフェルディナントは絶対に失敗するわけにはいかない、それはサリアの言う通りだよ、でもあたしたちも失敗を犯す暇はないはずだけど?

ドクター
ドクター

総括を世間からくらませる、それがフェルディナントの狙いだ。

ドクター
ドクター

・ならそれを実行できる場所はあそこだけだ。
・なら隠すのに最適な場所はあそこだけだ。

Mechanist
Mechanist

……ライン生命の本部か。

ミュルジス
ミュルジス

まあ、やっぱりそこだよね。

ミュルジス
ミュルジス

クリステンと連絡がつかなくなってから、彼女の自宅に行ったり、実験基地に行ったり、なんなら彼女がよく行ってた場所にも行って探し回ったんだけど、まさかね……

ミュルジス
ミュルジス

総括が大人しく自分のオフィスに残ってくれることはめったにない、これライン生命の常識ね。

ミュルジス
ミュルジス

それがまさかあたしらのすぐ上にいたとは、まさに灯台下暗しってヤツ?毎日オフィスビルの中で忙しなく総括の行方を探っていたスタッフたちもビックリ仰天だよ、まったく。

Mechanist
Mechanist

スキャン完了。

Mechanist
Mechanist

ドクター、あんたの予想通り、ライン生命本部ビルの出入口の通路で武装した連中が大量に配置されている。

サリア
サリア

今のライン生命はすでにフェルディナントが掌握したようなものだ。

サリア
サリア

わたしやミュルジスもそこに含まれている。行こう、油断するなよ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

……そいつらを捕えろ。

サニー
サニー

まずいなこりゃ……

(エレナがアーツを放つ)

エレナ
エレナ

なにボケっとしてんの!?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

全フロアに告ぐ、実験区域の入口で異常事態が発生。開拓者一名とライン生命の研究員一名が……がはッ!

(ライン生命警備課員が殴られて倒れる)

サニー
サニー

結局人を傷つけなきゃならないのか、俺は……

エレナ
エレナ

……正当防衛だよ、あとで私が証明してあげるから。

エレナ
エレナ

それよりも左手側に緊急用の脱出通路がある、そこに行こう!話はあとで――

サニー
サニー

おい、誰か追ってきたぞ!

エレナ
エレナ

備えてて。

(エレナがアーツを放つ)

エレナ
エレナ

ちょっ、なんでキミが!?

グレイ
グレイ

え、エレナさん……

エレナ
エレナ

咄嗟に撃っちゃったけど大丈夫?傷はついてない?

グレイ
グレイ

大丈夫ですよ、撃ってくるだろうなと思って、こっちも構えていたんで。

マリー
マリー

全員そこを動くな。

エレナ
エレナ

キミは……

マリー
マリー

ツリーマウンズ警察局、巡査部長のマリー・バナーよ。

マリー
マリー

今ちょうど誘拐と傷害の罪がかかった容疑者を追ってる最中なの、すまないけど協力してちょうだい。

エレナ
エレナ

容疑者?

サニー
サニー

……マリー。

マリー
マリー

あなたをとっ捕まえるのに随分と手間がかかったわ。ねえ、“隊長”さん?

マリー
マリー

武器を地面に置いて、両手を上げなさい。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

右手を出せ。

開拓隊隊員
開拓隊隊員

……

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

ほらはやく、右手を出すんだ。

サイレンス
サイレンス

……注射器?

サイレンス
サイレンス

待って、何をするつもり?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

ただの身体検査だ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

この実験区域で危険物質が漏出した可能性があると通達された。だから規定に従って、ここにいる全員に予防措置を行ってもらっている。

サイレンス
サイレンス

じゃあその注射する薬剤を先に見せてもらってもいい?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

緊急事態なためそんな暇はない、すまないがどいてくれないか。

フィリオプシス
フィリオプシス

警告、あなたの行為プロセスは以前の記録とは合致しません。

サイレンス
サイレンス

それ、まったく規定に準拠していないんだけど……

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

規定?ハッ、ライン生命から……追い出された研究員なんぞの説教を受ける筋合いはないね。

サイレンス
サイレンス

ッ……

ドロシー
ドロシー

じゃあ私はどうかしら?

(ドロシーが近寄ってくる)

ドロシー
ドロシー

私が言ったら注射器を見せてもらえる?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

フランクス主任……

ドロシー
ドロシー

私はここ359号基地の総責任者です、直ちにあなたたちの目的を教えなさい。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

……申し訳ありませんが、現在この基地はすべてフェルディナント主任の管轄内にあります。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

フェルディナント主任の命令がない限り、あなたであろうと我々の行動を詰問する権限はございません。

ドロシー
ドロシー

実験プロジェクトの責任者のポスト人事を握ってるのはライン生命の総括だけだったはずだけど?

ドロシー
ドロシー

どうしてフェルディナントにそんな越権行為ができるわけ?

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

その質問にはお答えできかねます。

(無線音)

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

よし、もうここら辺でいいだろう……

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

総員に告ぐ、任務は達成した、直ちにその場から撤退せよ。

サイレンス
サイレンス

……撤退、していってる?

フィリオプシス
フィリオプシス

はい、警備課の方々が迅速に基地から離脱していっています。

サイレンス
サイレンス

開拓者たちを連れていくんじゃなかったの?まさか私……フェルディナントのことを誤解してた?

ドロシー
ドロシー

フェルディナントは……

開拓隊隊員
開拓隊隊員

あがッ――!

(開拓隊隊員が倒れる)

フィリオプシス
フィリオプシス

注射した開拓者たちが全員昏迷状態に陥ってしまいました、サイレンスさん。

サイレンス
サイレンス

直ちに応急処置を!

サイレンス
サイレンス

フランクス主任、応急処置の知識はありますか?主任にも手をかし……フランクス主任?

ドロシー
ドロシー

……

グレイ
グレイ

マリーさん、サニーさんを助けるはずだったんじゃ……

マリー
マリー

あんな手紙ごときで考えが変わるはずがないでしょ!

サニー
サニー

……手紙を読んでくれたんだな。

マリー
マリー

同情を誘う手段は一回きりよ、二度目は通用しないわ、ロマーノ。

マリー
マリー

あなたを取り逃さなくてホントによかった。さもないと、またいつどこで私に“サプライズ”をしてくれるか分かったもんじゃないからね。

サニー
サニー

信じてくれないのか……

マリー
マリー

あなたの何をどこを信じればいいって言うのよ!?

マリー
マリー

四年前、私はあなたを信じ、収容区域に連れて行かれないようにあちこちで匿ってあげた――

マリー
マリー

それなのにあなたは……あんなのことを……

サニー
サニー

あの頃の俺は、鉱石病とバカ高い保険料でイカレる一歩手前だったんだ、だからやむを得ず……

マリー
マリー

だからやむを得ず窓から私の部屋に侵入して、金目の物を全部出せって脅してきたわけね――あのクソみたいな保険料に充分の費用を納めれば、俺はまた弁護士に戻れるんだってほざきながら!

サニー
サニー

……

マリー
マリー

お婆ちゃんがあれでどれだけショックを受けたか知ってるの?あれからもう寝たきりなのよ!あんなにあなたによくしてあげたのに、小さい頃から私よりも優しくしてくれた恩義を忘れたのか!?

マリー
マリー

それにあなたが怯えながら逃げて行った後、こっちはどれだけ心配したか……ほかの警察に逮捕されるんじゃないかって、それで仕事を失うリスクを冒しながらもずっとあなたを匿ってあげたのに……

マリー
マリー

何も知らないくせに!

マリー
マリー

あなたは最初から血も涙もない私利私欲な犯罪者よ!あなたなんかに、優しくするんじゃなかった……

エレナ
エレナ

マリー巡査部長!

エレナ
エレナ

キミたち二人にどんな因縁があるからは知らないけど、今すぐここから離脱しないと――

マリー
マリー

何よ、自分を誘拐した犯罪者を庇うつもり?

エレナ
エレナ

違うよ!よく聞いて、本当の黒幕はライン生命であって……

(地面が揺れる)

グレイ
グレイ

この揺れは……

サニー
サニー

ッ……建物内から伝わってきてるぞ?

エレナ
エレナ

……ドロシーの実験室からだ。

エレナ
エレナ

逃げて!!!

ドロシー
ドロシー

あぁ、本当に……産まれてしまった……

サイレンス
サイレンス

この強烈で……とてつもなく広範囲な揺れ……まさか天災?

サイレンス
サイレンス

いや天災じゃない、実験室からだ……

実験区域の中央、本来なら堅牢無比なる建物に亀裂が走った。
亀裂は震動で生まれたものではない。
建物は姿形のまま、そのまま引き裂かれたのだ――建物内の最深部から。
ナニかが“殻を破って産まれてきた”のだ、少しずつ、しかし素早く。
そして刹那、建物半分が丸ごと呑み込まれてしまった。
その廃墟の上、銀色が基地全体を自らの抱擁に収め込んでいる。
新たに産まれた巨大なナニかが自身の幾何学的な身体を旋回させ、冷ややかに地上の人々を見下ろしていた。

ドロシー
ドロシー

……

眼前にかような一幕が起こっても、それは彼女の予想の範疇であった。
一切の原理を知り尽くし、如何なる可能性すらもシミュレーションしたからだ。
だがそんな彼女でさえも今や呼吸を忘れ、瞬きを忘れ、足元に震える大地の存在と、周囲で吹きすさぶ狂風の存在を忘れてしまっていた。
彼女がずっと夢に描いた青写真が、彼女が口にした一言の約束が、生きた現実になったからだ。

ドロシー
ドロシー

なんて、美しいの……

だが異様にも恐ろしくさえ思えてしまったのだ。

サイレンス
サイレンス

伏せて――

ドロシー
ドロシー

……

(サイレンスがドロシーを突き飛ばす)

サイレンス
サイレンス

ボーっとしないでください!さっき立ってた場所……あと少しで瓦礫の下敷きになってたんですよ!

ドロシー
ドロシー

……もう間に合わないわ。

サイレンス
サイレンス

何がです?

ドロシー
ドロシー

先生、あなたは私を阻止できなかった。私の実験は……成功してしまったのよ。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

フェルディナント主任、実験区域にいるアレは一体――

フェルディナント
フェルディナント

恐れているんだな。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

恐れてるって……ハハッ、そんなまさか。むしろ感動すら覚えましたよ、あの成果に!心よりフェルディナント主任と……フランクス主任にお祝いを申し上げます。

フェルディナント
フェルディナント

フッ、歯が震えているじゃないか。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

あ……あはは……

フェルディナント
フェルディナント

だがそれでいい。

フェルディナント
フェルディナント

大いなる未知を恐れるのは、弱き者たちの本能だからな。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

そ、そうですね!主任のこの成果を前にすれば、我々の敵も……クルビアの敵もきっと恐れをなし、全身を震え上がらせることでしょう!

フェルディナント
フェルディナント

敵を震え上がらせる?

フェルディナント
フェルディナント

フッ、それは軍の仕事だ、我々のではない。向こうは私に出資し、私は向こうに武器を与えた――相互利益というヤツに過ぎんさ。

フェルディナント
フェルディナント

だが、君のおかげで気付かされたよ。

フェルディナント
フェルディナント

そろそろ次の実験フェーズに進もうじゃないか。

ライン生命警備課員
ライン生命警備課員

……しかし、それではあの物体を刺激してしまわないでしょうか?もし基地にいる人たちを襲ってしまったら……

フェルディナント
フェルディナント

彼らの貢献は偉大なものだったよ。

フェルディナント
フェルディナント

せめて名前だけでも憶えてやろう。

フェルディナント
フェルディナント

歴史にその名が刻まれる、真の開拓者たちとしてな。

フェルディナント
フェルディナント

彼らは恐れを抱かぬ精神でこの巨大な猛獣を育て上げた。そして私はその猛獣を飼い慣らし、利用し、我々の手と両目に仕立て上げる。

フェルディナント
フェルディナント

そう、我々の先祖のように。駄獣を駆使し、文明に荒野を征服させたあの勇敢なる開拓者たちのように――

フェルディナント
フェルディナント

我々もやがてはこのテクノロジーから産まれた獣を駆使し、さらなる前人未到の地を切り拓いていく。

フェルディナント
フェルディナント

――我々こそが、文明の境界を広げていくパイオニアとなるのだ。

サニー
サニー

あれは……あの銀色のバケモノなのか?なんなんだよ……あの巨体は……

マリー
マリー

――

(マリーがクロスボウを放つ)

エレナ
エレナ

通用しないよ!一般的な攻撃じゃ!

マリー
マリー

クソ――バケモノめ!

グレイ
グレイ

矢が……見えましたか?

最初に放たれた三本の矢が真っすぐ銀色の物体に迫っていくも、徐々に、そして見間違えないほどの遅さに速度が落ちていく。
だがしかし、なぜだが矢は落ちなかった。
やがて三本の矢は銀色の光に包まれてしまい、あっけなく一斉に衆人たちの視線から姿を消してしまった。

マリー
マリー

……魔術でも使えるのあのバケモノは?

エレナ
エレナ

分解されたんだよ、あれは。

エレナ
エレナ

今はまだ大人しくしてるからいいものの……

サニー
サニー

みんな避けろ!

(爆発音)

マリー
マリー

くッ……今のはなに?エネルギー砲?それともボウガンの矢?速すぎて……まったく見えなかったわ……

エレナ
エレナ

アレの移動と攻撃手段のことなら常識で考えないほうがいいよ。

エレナ
エレナ

アレからすれば、移動も攻撃も同じことなのかもしれないから……

エレナ
エレナ

もし仮にアレが……ドロシーの実験の最後の産物だとすれば、この基地全体がアレの感知範囲内に収まってることになる。

エレナ
エレナ

アレの気分次第で、瞬時にその感知範囲内にあるすべての物体の物理的な性質を変えられてしまうかもね……

マリー
マリー

分かりやすく言い換えると、私たちはやんちゃな子供が遊ぶ粘土みたいにこねくり回されるってこと?

エレナ
エレナ

……そんな感じ。

エレナ
エレナ

だからもうこれ以上攻撃はしないで、巡査部長さん。じゃないと、数分以内に基地全体が更地にされちゃうかもしれないよ!

(爆発音)

エレナ
エレナ

なっ……マリーさん、まさかまた……

マリー
マリー

私が大量の爆弾を搭載したドローンで攻撃したって?

マリー
マリー

そんなわけないでしょ!

グレイ
グレイ

だとしたらライン生命の人たちが……あの実験体を倒しに来てくれたんじゃないでしょうか?

エレナ
エレナ

そんなことないよ。

エレナ
エレナ

さっきも言ったでしょ?

サニー
サニー

……基地全体が更地にされることか?

エレナ
エレナ

それがもう始まってしまったんだよ……

サニー
サニー

おいおいウソだろ、俺の目がおかしくなったのか?あのクレーン車……まん丸の球体に変わっちまったぞ?

マリー
マリー

もしこの基地がダメになったら、ツリーマウンズ……いや、ほかの都市の人たちも状況が掴めない間にこの事態に巻き込まれてしまう。

マリー
マリー

自分たちが寝てる間に、バカな科学者連中が産み出したバケモノに捏ねられて肉団子にされるとか、ジョークにしても笑えないわ!

エレナ
エレナ

……

マリー
マリー

私たちもはやくここから逃げるわよ。

エレナ
エレナ

……知らせなきゃ。

エレナ
エレナ

外にもこのことを知らせなきゃ。あの人は、とっくにこの事態を引き起こそうとしていたんだ……

サニー
サニー

誰のことだ?ドロシー・フランクスか?

エレナ
エレナ

ううん、違うよ。

エレナ
エレナ

――ずっと私を騙して、振り回してきた人のことだよ。

エレナ
エレナ

彼はキミたち開拓者の存在を……この基地で起こった出来事すべてを揉み消すつもりなんだ。

エレナ
エレナ

ライン生命も、きっとすでに彼についてると思う……

マリー
マリー

警察局もその人に買収されてそうね。

サニー
サニー

どこのマスコミもこの事件に対してはだんまりだろうな、賭けてもいい。

グレイ
グレイ

ならその情報を知らせる相手のことはもう分かってますよね、エレナさん?

エレナ
エレナ

……うん、ロドスに知らせるよ。

グレイ
グレイ

じゃあ今すぐボクがサイレンス先生のところに行って伝えておきます、最重要任務ですから。

エレナ
エレナ

ダメだよ、あそこに閉じ込められたらどうするの……キミまで死ぬかもしれないんだよ!

グレイ
グレイ

……ボクはドクターとあなたを信じていますよ、エレナさん。

グレイ
グレイ

ボクたちならきっと成し遂げられるって。

(グレイが走り去る)

エレナ
エレナ

……私を、信じてくれるの?

エレナ
エレナ

私にも何かできることは……考えろ、考えろエレナ……

エレナ
エレナ

そうだ、監視所……監視所に行かなきゃ。

マリー
マリー

……乗ってく?

エレナ
エレナ

その車両って……

マリー
マリー

ライン生命から借りてきた。

マリー
マリー

私も戻って真犯人をとっ捕まえなきゃならないから、ちょうどいいし乗って行けば?

サニー
サニー

なら俺の席は空いてるか?

サニー
サニー

色々分かってきたが、それでも俺はお前の容疑者なんだろ、巡査部長さんよ……

マリーは言葉を返さなかったが、サニーに手を伸ばしてくれた。
片やエレナも同じくサニーに手を伸ばす。
そしてサニーは彼女らの手を握りしめ、唸る車両に飛び乗ったのだ。
警官一人、開拓者一人、そして研究者一人――三人が基地の端へと向かっていく。
彼女らの背後には砂嵐が舞い、追いかけてきていたが、ついぞ彼女らを留められず置いて行かれてしまったのだった。

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