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【明日方舟】理想都市:常夏の狂宴祭IC-2「落ち行く」行動前 翻訳

ガヴィル
ガヴィル

ブレイズがいつも言ってた諺みたいなの?あれなんだったっけな――

ユーネクテス
ユーネクテス

点と点を結んだ直線が最短だ、じゃないか?

ガヴィル
ガヴィル

それだ。

大祭司
大祭司

大胆な予想があるんじゃが、お前さんらジャングルに生きる者たちはただでさえ運が尽きているんじゃから、ほかの面が人よりも突出しているのではないのか?

大祭司
大祭司

さもなければお前さんらが今でも絶滅せずにいることの説明がつかんじゃろ。

ガヴィル
ガヴィル

生き残るのに有効な生存方法を獲得したってことだよ、そりゃ。

ユーネクテス
ユーネクテス

大祭司、ドゥリンの都市というのはどういう場所なのだ?

大祭司
大祭司

ふむ……あまり覚えとらんな、つまりそれぐらいつまらん場所じゃったいうことじゃ。

大祭司
大祭司

百幾年前には地下にしばらく滞在したことがあったんじゃが、今思い出せることと言えば何もかもヒドかったことぐらいじゃな、アホしかおらんかったわい。

大祭司
大祭司

川辺でオリジムシが眠りにつく場面を目撃すること以上につまらん記憶しかないのう。

大祭司
大祭司

しかしまあ、若者は色々と経験するもんじゃ。ワシみたいに好奇心旺盛でないとな!

大祭司
大祭司

ついでに言うが、次は左に曲がるんじゃ、もう飛び降りるんじゃないぞ!

ユーネクテス
ユーネクテス

大祭司、もう歩いてどのくらい経つんだ?

大祭司
大祭司

いいことを聞いたな、人生の道に果てはない、ただ前へ前へと進むだけ。どうせワタシがお前さんらを見ておるから心配はいらんよ。

大祭司
大祭司

ふむ、もしその都市まで後どのくらいかを聞いているのであれば、ワシと同じように岩の隙間をすり抜けられればあと五六百メートル真下に降りると着くかもな。

ガヴィル
ガヴィル

ズゥママ、お前はいつもどうやってこのうるさいのに我慢してきたんだ?こっちはもう限界だぜ。

ユーネクテス
ユーネクテス

普段なら機械を傍に置いてやれば静かになってくれるぞ。

ガヴィル
ガヴィル

じゃあこのチェーンソーは機械に含むか?

大祭司
大祭司

ワシにそんなおっかないものを向けるんじゃない!まったく、礼儀がなっとらんのう!

(大司祭が消える)

ユーネクテス
ユーネクテス

ほら、効果抜群だろ。

トミミ
トミミ

これが……これが……!

トミミ
トミミ

その、“大水溜まり”ですか?

イナム
イナム

……ひとまずドゥリンの命名基準は置いておきましょうか。

イナム
イナム

この水上の楽園、遠くから見ても驚きだったのに、近くで見ると尚更ね……!

イナム
イナム

一体ドゥリンはいつもどういう暮らしをしているのよ!

(エリジウムが暴れまわる)

エリジウム
エリジウム

イヤッッホォォォオオォオウ!

イナム
イナム

あの人、いつから水着に着替えたのかしら?

トミミ
トミミ

え、エリジウムさん!気を付けてくださいね!

(エリジウムがドゥリンの青年にぶつかる)

エリジウム
エリジウム

おっとっと、危ない危ない!キミ大丈夫?お酒こぼしてないよね?

カチ
ドゥリンの青年

……見たこともない地上人がここにいるだなんて珍しいね。

カチ
ドゥリンの青年

それにほかのドゥリンみたくもうベロンベロンにデキ上がってるようだ。

イナム
イナム

こんにちは、私たちはスティッチ・キャンバスって人に誘われてここに来たの。

トミミ
トミミ

その、スティッチさんが言うには……とにかく私たちに少し力を貸してもらいたいとのことでして!

カチ
ドゥリンの青年

スティッチさん・キャンパス……帰ってきていたんだ。

カチ
ドゥリンの青年

あいつもあいつが慕ってる師匠と同じように、ボクたちの都市とおさらばしてたんだと思ってたよ。

カチ
ドゥリンの青年

ドゥリンは寛容だから、キミたちのことも歓迎してやりたいんだけど……でも残念、スティッチが後先考えずドゥリンの掟を無視することができても、ボクには無理だ。

カチ
ドゥリンの青年

自己紹介しよう、ボクはカチ・オブリクライト、この都市のデザイナーチーフだ。

(ドゥリン達が近寄ってくる)

カチ
カチ

まあそう強張らないで、すぐに終わるから。

イナム
イナム

これは一体……どういう意味なのかしら?

エリジウム
エリジウム

ん~?なんだか急に雰囲気がおかしくなったね?こんな大勢からお酒を勧められても全部飲みきれないよ~。

トミミ
トミミ

何を……!

トミミ
トミミ

ケンカですか!やるんですか!あなたたちみたいな小っちゃいのには負けませんよ!

(トミミが武器を振り回す)

トミミ
トミミ

ガヴィルさん直伝のテクを見せつけてやりますよ!ふぅ……まずは構えて、腰を落として……

トミミ
トミミ

さあ、かかってきなさい!

ベロベロのドゥリン
慌てるドゥリン

な、なにあの人!?棒を持ってこっちに迫ってきたわよ!

酩酊したドゥリン
緊張してるドゥリン

うわああああ!こっちに来るなああああ!

カチ
カチ

ちょっとちょっと!何をやってるんだ!止まれ止まれ!!

トミミ
トミミ

え?吹っ掛けてきたんじゃないんですか?

カチ
カチ

ボクたちドゥリンがそんな野蛮なことするわけないでしょ!

カチ
カチ

いいからその武器を仕舞って、ボクに着いてきな。

カチ
カチ

オホン!えーゼルエルツァに住まうみんな、ただ今より第417回目の採決会を実行する。

カチ
カチ

前々回は今月ゼルエルツァで使用する汎用BGMを、そして前回に今週点灯される街路灯の色を決定したが、また新たな問題が発覚してしまった。

カチ
カチ

今回の問題はそこまで難しいものでもないはずだから、この場にいるみんなには是非ともゼルエルツァを代表して決断を下して頂きたいと思う。

カチ
カチ

では本日の議題に移ろう、ゼルエルツァに新たな訪問者が訪れてきたが、その人たちをボクたちは迎え入れてもよいのかどうか、だ。

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

……

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

訪問者ってどこ?

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

お酒を飲まない人だって聞いたけど。

カチ
カチ

あーいや、今ボクたちの前に前に立っているのがそうで……

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

やあやあ、とりあえずかんぱ~い!お酒を飲まないドゥリンなんているはずがないもんね~。

エリジウム
エリジウム

イェーイ、かんぱ~い!そうそう、いるわけがない!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

この樽を片付けたら、水遊びにでも行きましょ!

エリジウム
エリジウム

いいね、それじゃあボクら地上の人の凄さってヤツを見せてやろう!

イナム
イナム

ねえトミミ、もう一度聞くけど、ロドスでは本当にしっかりやれてるの?

トミミ
トミミ

た、多分?

イナム
イナム

もしどうしても我慢できなかったら帰ってきてもいいのよ?悪い環境の人に与える影響はバカにできないからね!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

カチ~、早くしてよ~!アタシらやらなきゃならないことがたくさんあるんだから~!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

ねえお兄さん、サーフィンって遊び方があるんだけど知ってるかしら?

エリジウム
エリジウム

サーフィンだって?そんななの知り尽くしちゃってるよ!

???
ドゥリン達

俺は反対だ!

???
ドゥリン達

こいつらは信用できねえ!

イナム
イナム

はぁ、やっぱり、そう上手くいかなわよね……

酩酊したドゥリン
酩酊したドゥリン

やい、そこのへべれけリーベリ!

エリジウム
エリジウム

イナム、呼ばれてるよ?ボクはへべれけじゃないからね。

酩酊したドゥリン
酩酊したドゥリン

お前だよ、コップを持ってるほうの!

エリジウム
エリジウム

なーんだ。

フラつくドゥリン
フラつくドゥリン

高貴なるミード酒が好きなのか、それとくだらないリキュールのほうが好きなのかハッキリとしてもらおうか!

酩酊したドゥリン
酩酊したドゥリン

俺たちカール印のミード酒愛好家協会はお前のために門扉を開いてやるってのに、よくもそのリキュールの酒カスどもとつるんでいるな?失望したぞ!

酩酊したドゥリン
酩酊したドゥリン

さっきまで肩を組みながら一緒にミード酒万歳と呼応していたのに、ちょっと目を離した隙にそのくだらん連中とつるみやがって!

エリジウム
エリジウム

いやいや、どっちも美味しいとはおも……

酩酊したドゥリン
酩酊したドゥリン

ダメだ!どっちつかずの中立は断固として認められん!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

ハッ、笑わせてくれるわ、比べられるほどの良さもないくせに何を比べようとしているんだか……そうよねお兄さん?

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

いいのよ、本心を言っちゃっても?偉大なるリキュールへの感想をじゃんじゃんと吐き出しちゃいな、もしゼルエルツァにまだ残りたければね――

フラつくドゥリン
フラつくドゥリン

おい、リキュールの酒カス女、脅すんじゃねえ!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

うっさいわね、ハチミツ漬けの甘党野郎が!さっさとお家に帰ってお子様用のドリンクでも飲んでな!

酩酊したドゥリン
酩酊したドゥリン

なら今晩、大樽酒場で雌雄を決しようじゃねえか!逃げんじゃねえぞ!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

はは、お子様用のドリンクを飲んでもつまらないでしょ!飲むならもっと面白いものを用意しな!

カチ
カチ

はいはいストップストーップ!円形広場で行われる採決は神聖で厳かなものなんだ!酒の話ならまた後にして――

カチ
カチ

今はキミたちの手を上げて意思表示してくれ!いつも通り、少数派が多数派に従うんだぞ!

カチ
カチ

はい、それじゃあ数えて!

フラつくドゥリン
フラつくドゥリン

お前が手を上げるなら俺は上げないね!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

あっそ!なら思いっきり手をあげてやるわよ!べーだ!

フラつくドゥリン
フラつくドゥリン

後でウォータースライダーんとこ行って、全身ずぶ濡れにさせてやる!

ベロベロのドゥリン
よろめくドゥリン

ハッ、あんなしょぼいテクニックでアタシをずぶ濡れにさせようですって?

カチ
カチ

うん、悪くない、しっかりと厳粛な採決にはなっているな。

イナム
イナム

ねえ、普通ああいうのって厳粛だって言えるの?

(ドラムの音)

カチ
カチ

票が集まったな、結果も悪くはない。

カチ
カチ

ゼルエルツァ市民の決断が今ここに下された。地上人たちよ、存分にボクたちの都市を楽しんでくれ。

???
ドゥリン

乾杯~!!

(大歓声とパフパフラッパの音)

カチ
カチ

ついでに言うと湖にあるあの派手なヤツはボクの自信作なんだ、是非とも楽しんでいってくれ。

イナム
イナム

あの“大水溜まり”のこと?

カチ
カチ

……その名称はみんなが投票で決めたものだからね、ボク個人が決めたものじゃないいよ!

スティッチ
スティッチ

あの“大水溜まり”……またなんか増えてないか?オレがここを出た時よりももっとヒドくなってるぞ。

イェギー
イェギー

ありゃカチ坊の自信作だ、本人の目の前でそんなこと言うんじゃないぞ。

スティッチ
スティッチ

フッ、あんなものオレがデザインに指摘を入れてやる価値すらないさ。ていうかもうどこも直しようがないだろあんなガラクタ!

スティッチ
スティッチ

なんなんだあのぐねぐねと曲がった構造物は……見ていて目が回りそうだ!なんであんなヤツがデザイナーチーフを務めてもここの連中はみんな我慢できるんだ?

イェギー
イェギー

坊が作ったスライダーが楽しいからだろうな。

スティッチ
スティッチ

もしこのオレがメスを入れていればあんなもの……

イェギー
イェギー

コンクリでピーンと真っすぐに張った正方形のブロックしか作れんだろうな。

スティッチ
スティッチ

まだオレのセンスを理解できていないようだな。オレならあそこにコンクリで出来た細いソイルストライプだけを設置する、シンプルこそが美しいんだ。

イェギー
イェギー

えっ、滑り台の機能すらないのか?

スティッチ
スティッチ

傾斜が少しだけ欲しいのなら付けられなくもないが――

イェギー
イェギー

オホン、まあそんなことより本題に入ろう。

イェギー
イェギー

今ワシらの上を覆ってるドーム、見たところ大きな問題は抱えておらんように見えるが、それでもはやり心許なくてな……

スティッチ
スティッチ

半年ほど前に起った地震でますますドームから水が漏れ出してきているだろ、どこが大きな問題は抱えていないって言えるんだよ?

イェギー
イェギー

少なくともゼルエルツァの住民たちはな、水流が激しくなったらウォーターコースターがより刺激的になり、温度管理システムが壊れたら常夏の到来だとしか思っとらんよ。

イェギー
イェギー

源石測量システムは……どうせここじゃもう二十数年は活性源石を検知していないんだ、だから問題はない!

スティッチ
スティッチ

フンッ、短絡的だな。

イェギー
イェギー

じゃああのドームは……

スティッチ
スティッチ

やらん、あんなボロボロのドームなんかを直してやるもんか。もう百万回はそう答えたぞ。

イェギー
イェギー

お前が最初地上に上がったのは、それを解決するためじゃなかったのか?ドームを修復できる方法を。

スティッチ
スティッチ

いいや、主にアンタから避けるために上がっただけだ、鬱陶しいったらありゃしないからな。

イェギー
イェギー

それはちょっと言い過ぎなんじゃないのか?こっちはつい数か月前にゼルエルツァで最も優しそうなお年寄り100選に選ばれたばかりなんだぞ?

スティッチ
スティッチ

もういい、アンタがドームの状態を心配してることはよく分かった。

スティッチ
スティッチ

もしカチが今のドームの抱えてる強度の問題すら片付けられないのであれば、デザイナーチーフを務めるどころか、さっさとこの都市から出ていってもらったほうがいい。

スティッチ
スティッチ

結果から伝えてやろう、ドームのことならまだそこまで心配する必要はない。

スティッチ
スティッチ

温度管理システムなら放っておけ、みんなしてバカみたいに今を楽しんでいるからな。もし飽きたら、全員両手を上げてまでゼルエルツァを冬にしてくれるかもしれないし。

スティッチ
スティッチ

それとその源石測量システムだが、最初からまったく役に立ってないぞ。アンタがいつもオレを追い掛け回してたのはそれを一番気にしてたんじゃないのか?なら一ついい方法がある。

スティッチ
スティッチ

以前地震で倒壊した鉄道橋をもう一度繋げて、崩落したトンネルを掘り返してそこに源石を検知する装置を埋め込むんだ、そうすれば数値の精度も上がるはずだろう。

スティッチ
スティッチ

そもそもあのドームはいらない機能が多すぎるんだよ。

イェギー
イェギー

地上まで上がったのに、それでもゼルウェルツァのドームを修復するつもりはないのか?いくらヴィンチが何も言わずに姿を消したと言っても、お前たち二人は師弟関係だろ……

スティッチ
スティッチ

そこまでにしろよ。

スティッチ
スティッチ

ジジイ、オレを怒らせるんじゃないぞ。

イェギー
イェギー

……分かった。

イェギー
イェギー

となれば、今は源石測量の問題が肝心だな。

スティッチ
スティッチ

地上で何人か役に立ってくれそうな連中を探してきた、原始的なテクノロジーしか持ち合わせていないが鉄道を修復するだけであれば十分だろう。

スティッチ
スティッチ

あとは……

イェギー
イェギー

話の腰を折ってすまないが、その地上から連れて来た連中って……

イェギー
イェギー

今あそこで空を飛んでる人たちのことか?

スティッチ
スティッチ

は?

(エリジウムが大水溜まりに飛び込む)

エリジウム
エリジウム

イヤッッホォォォオオォオウ!

イナム
イナム

最初あなたやズゥママとガヴィルがロドスに入った時はなんとも思わなかったんだけど、あの人を見てるとねぇ……

イナム
イナム

トミミ、本当のことを言いな。本当はロドスの見てくれだけはいい給料に騙されてるんじゃないの?

トミミ
トミミ

あんな感じではしゃいではいますけど、エリジウムさんはナビゲーターのプロフェッショナルで、通信の専門家ではありますから……

トミミ
トミミ

いやっぱいつもあんな感じの人ですね!うん!

???
ドゥリンの売店

ご注文の果実酒で~す。

トミミ
トミミ

ありがとうございます!

イナム
イナム

しまった、ここだとどうやってお金を払えばいいのかしら?というより、さっきまで買い物してたあなたたちはどうやってお金を払ってたの?

トミミ
トミミ

仕立て屋のお婆さんにはガヴィルさんの話を幾つかしたげたら、喜んでタダにしてくれましたよ!

エリジウム
エリジウム

ボクは……お酒は愛好家協会の人たちに、料理はスティッチにそれぞれつけておいたよ。

イナム
イナム

……あなたはどこに捨てられても生きていけそうだから安心ね。

エリジウム
エリジウム

やだな、ナビゲーターのプロなんだから当然じゃないか!

イナム
イナム

じゃあお嬢ちゃん、この二杯のお酒もスティッチにつけておいて、彼があとで払ってくれるから。

???
ドゥリンの売店

分かりました!

カチ
カチ

あはは、あいつはとんでもなくケチだから払ってくれるとは限らないよ、お酒の類はとりあえずボクが奢ってあげよう。

カチ
カチ

なんせここはボクの自慢のリゾートだからね、みんなには存分に楽しんでもらいたいんだ。

トミミ
トミミ

カチさんはスティッチさんとお知り合いなんですか?

カチ
カチ

その知り合いをどう定義するかによりね。

カチ
カチ

若かった頃はよく色んなプロジェクトで競い合ってたよ。こっちが勝ったり、あっちが勝ったりしてさ。

カチ
カチ

でも今ボクたちの頭上にあるこのドームに関してだけは、どちらも勝つことはできなかったかな。

カチ
カチ

何年か前、ゼルウェルツァの象徴とも言えるこのドームに色んなアイデアを思い浮かんでは、ほぼ毎日彼と顔を合わせていた頃があったんだ――

カチ
カチ

採決会で双方とも必死に自分たちのドーム改造案こそが最高なんだってアピールしていたよ。

カチ
カチ

けどまあ結局、ボクも彼もほとんどの人を納得させることはできなかったけどね。

カチ
カチ

だってこのドームはあのマスター・ヴィンチ、つまりボクの前任者だった人の作品なんだから。

カチ
カチ

そういうスティッチもその人の弟子なんだけど、でも……

カチ
カチ

まあいいや、ボクの口から言っていいことでもないんだし、詳しいことは本人に聞いてよ。

エリジウム
エリジウム

カチく~ん、そんなベビーフェイスしてるのに、ジジ臭いぞ~?なんだい“若かった頃は~”とか、事実として若いんだからもっと若者らしくしなきゃ。

エリジウム
エリジウム

さあ、このエリジウムのお兄ちゃんが教えてあげるよ、どうやって童心を忘れずに、笑顔で暮らしを過ごすのかをね!過去に嘆くよりも、今ここで美味しいお酒を飲み交わそうじゃないか――

???
ドゥリンの売店

リーベリのお兄さーん、特大ヒンヤリ麦酒の樽ごと、お待たせしました~!

エリジウム
エリジウム

さあみんな、遠慮しないでくれ!ボクたちの友人カチくんが楽しんでくれとの仰せだ、ご好意に与ろうじゃないか!

エリジウム
エリジウム

だからさ、カチくん――もっと頼んでもいいかな?ほかのお酒も飲んでみたいんだけど、愛好家協会が他のとこの酒代をつけてくれなくてさ……

カチ
カチ

……

カチ
カチ

キミ、本当にここの人間じゃないんだよね?

思考に耽るループス
思考に耽るループス

……ほかに書かなきゃならないキャッチコピーは……あぁそうそう、これでしたわ。

思考に耽るループス
思考に耽るループス

「どうすればこの甘露が喉を潤す感覚を言い表せられるのか?どうすればより優雅にソレを賛美することができるのだろうか?」

思考に耽るループス
思考に耽るループス

「もし雲を食み、春の雨をも飲み干すことができるのであれば……」

思考に耽るループス
思考に耽るループス

「もし冬に舞い散る最後の雪片を肌で感じることができるのであれば……」

思考に耽るループス
思考に耽るループス

うーん、冬の雪片じゃ向こうは理解してくれそうにありませんわね、もっとドゥリンらしい表現に変えましょう。

思考に耽るループス
思考に耽るループス

「チョー清涼なフルーツ味の氷塊がチョー美味しいカクテルの湖にドボン――」

(ガヴィルとユーネクテスが落ちてくる)

ガヴィル
ガヴィル

ッッッ~~、痛ってぇ~――

ガヴィル
ガヴィル

今回は下に飛び降りるんじゃなかったな、大祭司の言ってた通りだぜ。

ユーネクテス
ユーネクテス

前回お前とやり合ってから、久しぶりにこんな骨がガタつく感覚を味わったよ。

ガヴィル
ガヴィル

まったくだ、幻聴すら聞こえてくるぜ、フルーツ味のお酒とかなんとか。このひとっ飛びで変な後遺症を残さなきゃいいんだけどな。

ガヴィル
ガヴィル

あ?なんでこんなとこにループスが寝てんだ?

ユーネクテス
ユーネクテス

もしかして……私たちの下敷きになってしまっているんじゃないのか?

ガヴィル
ガヴィル

……そんな偶然があるかよ。ともかく、ちょっと診ておくか。

ユーネクテス
ユーネクテス

救急キットを持ってきているのか?

ガヴィル
ガヴィル

真に傑出した医者とは己の両手さえ要すれば大半の問題は解決できるってケルシー先生が言ってた。

ユーネクテス
ユーネクテス

そんなこと言ってたのか?

ガヴィル
ガヴィル

詳しくなんて言ったかは憶えてねえが、ともかくアタシはそう解釈してるぜ。よし、そんじゃどっから診てやろうかな~……

思考に耽るループス
思考に耽るループス

はッ!?

ガヴィル
ガヴィル

あっ、起きた。診るまでもなかったか。

ユーネクテス
ユーネクテス

お前……大丈夫か?

思考に耽るループス
ループス

うぅ、頭がクラクラする……

ガヴィル
ガヴィル

さっきは下敷きにしちまってすまねえな、どっか診てほしいとこはあるか?

思考に耽るループス
ループス

なぜ、あなた方がこんなところに?

ガヴィル
ガヴィル

お前は誰なんだ……?

思考に耽るループス
ループス

どうやってここを?

ガヴィル
ガヴィル

なあ、ちょっと道を尋ねてもいいか?この近くに地下都市があるって聞いたんだけど、知らねえか?

思考に耽るループス
ループス

……あなた方、地上からいらしたんですのね。

ガヴィル
ガヴィル

お前は違うのか?

ユーネクテス
ユーネクテス

地下にやがてとても恐ろしい災いが降りかかると聞いてやってきたんだ、だから……

思考に耽るループス
ループス

そう……やっぱり地上の人が来てしまったのね。

思考に耽るループス
ループス

「無論、純潔なる楽園を訪れてきた斧とチェーンソーは須らくして災いそのものである。」

思考に耽るループス
ループス

……「文明の獣はついぞその鋭い牙を隠すことはなくなり、私たちへ人をも呑み込んでしまう血腥い大きな口を見せつけるのであった……」

ガヴィル
ガヴィル

なるほど、地下におっかねえ獣が現れるんだな、ならアタシらに任せときな。

思考に耽るループス
ループス

え?あっいや、そういう意味ではなくて……

ガヴィル
ガヴィル

サイズが10メートル以下のヤツなら、あっさりやっつけられる自信はあるぜ?こりゃちょうどいいな、久しぶりに身体を動かせられるんだしよ!

ユーネクテス
ユーネクテス

ループス殿、すまないが道案内を頼みたい、こっちで合ってるか?

ガヴィル
ガヴィル

このまま下に飛び降りたほうが早いと思うぜ?

思考に耽るループス
ループス

いけません、地上のお方!あなた方の身に染みついてる血の汚れを地下へ持ち込んでしまえば……

ガヴィル
ガヴィル

平気平気、加減はしておくよ、そこら中に飛び散らせはしねえって。

ガヴィル
ガヴィル

よしズゥママ、もういっちょひとっ飛びするぞ、準備はいいか?

ユーネクテス
ユーネクテス

問題ない。

ガヴィル
ガヴィル

よし、そんじゃあループスの姉ちゃん、しっかりアタシに掴まってろよ。

ユーネクテス
ユーネクテス

ガヴィルのことなら問題はない。ケンカにしろ彼女はプロだからな。

思考に耽るループス
ループス

いや、実はほかにも道がありまして……ちょっ、イヤ~~~!!

(ガヴィルがループスを抱えて走り去る)

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