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【アークナイツ大陸版】イル・シラクザーノ IS-5「永久の法則」行動後 翻訳

サルッツォ家の近辺

ベルナルド
ベルナルド

レオン。

ベルナルド
ベルナルド

私は今までお前に口出しするようなことは控えていた。お前にも物事に対して自分なりの考えを持ってほしかったからだ。

ベルナルド
ベルナルド

ここ数年、お前はよくやってくれたよ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

本当にそう思ってるのなら、なぜ……

なぜよりにもよって、こんなタイミングに手を出した?
なぜ俺にわざわざそういうことを教えた?
なぜ……ラヴィニアを裏切ったんだ?
レオントゥッツォは心の中に無数もの疑問を抱くも、どれも口にできないことを彼は勘付いてしまう。
以前から見てきたもの聞いてきたものすべてが覆されてしまい、今はただただ忽然と、目の前にいる父親が見知らぬ他人に見えて仕方がなかった。

ベルナルド
ベルナルド

なぜなら、今が最高にして唯一のチャンスだからだよ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

どういう意味だ?

ベルナルド
ベルナルド

すぐに分かる。

(ルビオが近寄ってくる)

ルビオ
ルビオ

ドン・ベルナルド、そしてスィニョーレ・レオントゥッツォ、お待ちしておりました。

ベルナルド
ベルナルド

ん?君は、サルッツォの人間ではないね。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

食品安全部部長のルビオだ。なぜお前がここに……

ルビオ
ルビオ

今晩のパーティで使用される食品はすべて食品安全部からの提供ですからね、なんならワシ自らが腕を振るうつもりでございます。

ベルナルド
ベルナルド

ほう?

ベルナルド
ベルナルド

聞いたことがある。ヴォルシーニで豪華なパーティを催す際、食品安全部からの提供は外せんとな。

ルビオ
ルビオ

恐縮でございます。

ルビオ
ルビオ

ワシはただ、ファミリーの皆様方にご満足いく食事をもてなしたいだけでございますよ。

ベルナルド
ベルナルド

なら今晩のパーティは期待できそうだな。

(テキサスが車から降りてくる)

ラヴィニア
ラヴィニア

……来てくれたのですね。

テキサス
テキサス

彼は今どこに?

ラヴィニア
ラヴィニア

サルッツォ家に向かいました。

テキサス
テキサス

そうか。

ラヴィニア
ラヴィニア

理由を聞かないのですか?

テキサス
テキサス

ベルナルドがお前にとって、とても大事な人であることはなんとなく察しがつくからな。

ラヴィニア
ラヴィニア

……

ラヴィニア
ラヴィニア

私がこの街の裁判官になった後、彼はほかの裁判官のように、後ろで支えてもらってるファミリーを守る立場にいることを私に強要はしてきませんでした。

ラヴィニア
ラヴィニア

自分の好きなようにと、そう彼は許してくれたんです。

ラヴィニア
ラヴィニア

それとレオンも。

ラヴィニア
ラヴィニア

レオンはベッローネファミリーからこの街を任されている立場にいますが、それでも彼は私の仕事を尊重してくれて、私が抱いている正義に理解を示してくれました。

ラヴィニア
ラヴィニア

私が矛先をベッローネに向けたとしても、彼は私情を挟まず公正にあたってくれました。

ラヴィニア
ラヴィニア

彼の言葉を借りると、私の正義は単純な暴力よりも効率がいいから、だそうです。

ラヴィニア
ラヴィニア

彼のそういった正義に対する解釈は嫌いじゃありませんよ。なんなら彼、暇な時は法学関連の本も少しは読んでくれていますから。

ラヴィニア
ラヴィニア

とはいえ、裁判官である以上、私はこの街で常に発生している不公平と立ち向かわなければなりません。

ラヴィニア
ラヴィニア

ファミリー同士の軋轢や、ファミリーの一般市民へ対する圧力、それに言葉を言い返せずにいる一般市民たちの不平不満……

ラヴィニア
ラヴィニア

正義を掲げて物事へあたろうとすればするほど、自分のこの行いがどれだけ難しいものなのかと痛感してしまいます。

ラヴィニア
ラヴィニア

私も昔は自分を慰めたりしていたものです、テキサスさん。少なくともファミリーに関わるような共犯者にはならずに済んだって。

ラヴィニア
ラヴィニア

けどそんなことはなかった、私の手はとっくに汚れてしまったんだわ。

ラヴィニア
ラヴィニア

なのに私は未だに、汚れて然るべきだと、認められないでいる。

ラヴィニア
ラヴィニア

あなたからすれば可笑しいのかもしれませんね。

ラヴィニア
ラヴィニア

ベルナルドが私に交わしてくれたたった一つの約束だけで、私は今もこうしてこの街の裁判官を堅持できているのですから。

テキサス
テキサス

約束?

ラヴィニア
ラヴィニア

……むかし私にこう言ってくれたんです。ベッローネ家が勝った暁には、シラクーザで新しい土地を作り上げる。

ラヴィニア
ラヴィニア

そこでは、私の信じる法がもはや純粋な権力に屈することもなく、私が思い描いている正義も真っ当に実現できるような場所なんだと。

ラヴィニア
ラヴィニア

だからそれまでの間は辛抱してくれと、そう言ってくれました。

ラヴィニア
ラヴィニア

ですのでいつも挫けそうになった時は、彼が交わしてくれたその約束を思い出すようにしているんです。

ラヴィニア
ラヴィニア

でももし、これがただの嘘っぱちだったとすれば、私の今までの十数年は一体なんだったんでしょうか?

テキサス
テキサス

……彼の立場と地位からしてみれば、そんなウソをつく必要なんてないように思えるがな。

ラヴィニア
ラヴィニア

そうですね、ですので――

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

誰だお前らは?

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

ん?お前は確か――

ラヴィニア
ラヴィニア

裁判官のラヴィニアです。カラッチが殺害された例の件について、少しドン・アルベルトに伺いたいことがあって参りました。

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

裁判官殿か……ドンはいま来客のご対応中だ、お前に構ってる時間は……

ラヴィニア
ラヴィニア

来客とは、ベルナルド・ベッローネのことですよね?

ガードマン
サルッツォファミリーのメンバー

……

ラヴィニア
ラヴィニア

ならお二方に伝えてください、急を要する一件だと。

ラヴィニア
ラヴィニア

もしお二方にお会いできないのであれば、私は今日ここから一歩たりとも離れませんから。

ルビオ
ルビオ

こちらの料理は、ワシがリターニアのコックから学んだ一品になります、どうぞお召し上がりください。

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

悪くない、実に美味しいよ。

アルベルト
アルベルト

時代はすっかり昔と違って変わってしまったものだな、なあベルナルド。

アルベルト
アルベルト

昔だったら、あれが欲しいと言えば、私たちは必ず手に入れられたはずだ。邪魔するヤツは殺せばよかったんだからな。

アルベルト
アルベルト

それが今じゃどうなった?

アルベルト
アルベルト

仲のいい役人と関係を築いて、あるいは商人でもいい、その人たちに代わりに持ってきて貰わなければならなくなった。おまけに世間にバレては面倒だからと、コソコソと声を抑えなければならないときた。

アルベルト
アルベルト

考えただけでも滑稽だよ。

アルベルト
アルベルト

そうだよな、ルビオ。

ルビオ
ルビオ

それは……ドンのお力になれるのは、その者たちの幸運だと言っても差し支えないないでしょうな。

アルベルト
アルベルト

フッ。

アルベルト
アルベルト

この場に居合わせることができるルビオ殿も、さしずめ幸運の類なんだろうな。

ルビオ
ルビオ

ワシにそのような幸運は持ち合わせておりません、だからこそこのような方法を採らざるを得なかったのですよ。ワシはただ、ドンたちを楽しませるピエロに過ぎませんから。

アルベルト
アルベルト

フンッ、老いぼれめ、卑下しおって。お前がここに居合わせることができたのは、お前にもそれなりの価値があるという証拠だろ。

ルビオ
ルビオ

ありがとうございます、ごもっともで。

アルベルト
アルベルト

まあいい、ベルナルド、世辞はこのあたりにして、そろそろ腹を割って話し合おうじゃないか。

アルベルト
アルベルト

お前はあのお方を動かし、十二ファミリーがずっとやろうと思っても手が出せなかったことをおっ始めようとしているんだな。

アルベルト
アルベルト

いいだろう、私も付き合ってやる。

アルベルト
アルベルト

ただし、水はとっくにかき混ぜて濁りきってしまってはいるが、あのお方が動くにはまだまだ足りないぞ。

アルベルト
アルベルト

お前がこのパーティへ来てくれたということはつまり、今の情勢はまだお前が握っているということになる。

アルベルト
アルベルト

言ってくれ、私に何をさせたいのだ?

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

アルベルトよ、君はロッサーティ家をどう思う?

アルベルト
アルベルト

ロッサーティ?

アルベルト
アルベルト

そこのファミリーなら、まあデカい野心を持っているようには思えるな。

ベルナルド
ベルナルド

しかしだ、ロッサーティが今日まで来られたのは、一様にジョバンナがサルヴァトーレの跡継ぎであると自称してきたからではない。

ベルナルド
ベルナルド

テキサスという名が残して遺産――サルヴァトーレの求心力をとてつもない財産であると、そう考える者もいるのかもしれん。

アルベルト
アルベルト

だが、私からすればそんなものはただの負担にしかならない。

アルベルト
アルベルト

人となりの魅力も、所詮は金があるからこそだ。だから他人も一目を置いてくれる。

ベルナルド
ベルナルド

そうだな、だが間違いとも言える。

ベルナルド
ベルナルド

私や君のような席に就く以上は、他人を服する手段も持ち合わせなければならない。

ベルナルド
ベルナルド

その点において、ジョバンナは大したもんだ。

ベルナルド
ベルナルド

彼女からしてみれば、テキサスの遺産は紛れもなく一種の負担だろう。だが彼女はそんな負担を担ぎ上げ、なおかつ我が物にした。

ベルナルド
ベルナルド

ロッサーティが今日まで来られたのは、あそこが自ら築き上げてきた財力と人脈のおかげであることは事実だろう。

ベルナルド
ベルナルド

だが、それも少々行き過ぎてしまったようだ。

アルベルト
アルベルト

というと?

ベルナルド
ベルナルド

なあアルベルト、あのお方は本当に新しい街を我々どれかのファミリーに任せるつもりでいると思うかね?

アルベルト
アルベルト

……

ベルナルド
ベルナルド

私たちはこの街で随分と相争ってきた。だがロッサーティは今までに一度も関わろうとする素振りを見せてきていない、まるで本当に我関せずといったところだ。

ベルナルド
ベルナルド

だが彼女らはサルヴァトーレの遺産を受け継いだロッサーティだ。都市を建造する技術だってシラクーザに渡したんだぞ、本当にそんなことを思っていないと思うかね?

ベルナルド
ベルナルド

サルヴァトーレのために建造された新しい都市に?

ベルナルド
ベルナルド

シラクーザの未来を変えうるほどのポテンシャルを持ち合わせた新しい都市にだぞ?

アルベルト
アルベルト

もう少し分かりやすく言ってもらえないか?

ベルナルド
ベルナルド

これ以上分かりやすく言ったつもりはないぞ、アルベルト。

ベルナルド
ベルナルド

今日に至るまで、十二ファミリーはこの街で互いに噛みつき合ってきた。だがあのお方からすれば、こんなものはただのコロッセオの見世物に過ぎんのだよ。

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

ドン……(耳打ち)

アルベルト
アルベルト

ほう?ラヴィニア裁判官、それにあのチェッリーニアもか?

アルベルト
アルベルト

私とベルナルドに会いたいと?

アルベルト
アルベルト

ベルナルド、これはどういうつもりだ?

ベルナルド
ベルナルド

私は呼んでいないぞ。

アルベルト
アルベルト

ほう?

アルベルト
アルベルト

サルッツォはいつだって客人らを歓迎しているさ。

アルベルト
アルベルト

だが客人でない輩に対しては――

アルベルト
アルベルト

サルッツォのやり方で対応してもらっても構わんよ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

……

アルベルト
アルベルト

フフッ、であればだ。おい、聞いたな?

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

はい。

アルベルト
アルベルト

ベルナルド、お前が社会情勢やら規則やら未来に関する話をするのが好きなのは分かっている。

アルベルト
アルベルト

だが私はね、それよりももっと堅実的な話がしたいんだ。

アルベルト
アルベルト

そういったものに対して、君はもうとっくに知り尽くしているからね。

ベルナルド
ベルナルド

サルッツォはそう容易く賭けに出ることはない、世間が憶えてるのはそればかりだ。サルッツォがそう容易く口を割ることがないのはすっかり忘れ去られてしまっているな。

アルベルト
アルベルト

フンッ。

アルベルト
アルベルト

ルビオ、お前はもう下がっていろ。

ルビオ
ルビオ

分かりまし――

ベルナルド
ベルナルド

その前に一つ聞きたいのだがルビオ殿、ミュージカルについて興味はあるかな?

ルビオ
ルビオ

えーっと……まあ、時間が空いてるには。

ベルナルド
ベルナルド

ならちょうどいい。

ベルナルド
ベルナルド

これを受け取ってくれ。

ルビオ
ルビオ

これは……『テキサスの死』第二幕のチケットですか?

ベルナルド
ベルナルド

そうだ、もし興味があるのならぜひ見に行ってくれ。

アルベルト
アルベルト

ベルナルド、社交辞令はもうおしまいだと言ったはずだろ。

ベルナルド
ベルナルド

サルッツォの方々にも、ぜひ見に行って頂きたいものだ。

アルベルト
アルベルト

なに?

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

お引き取り願おうか、お二人とも。

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

お前たち二人は、今日の招待リストに載っていないのでね。

ラヴィニア
ラヴィニア

……

ラヴィニア
ラヴィニア

もし今日どうしても会いたいと言ったら?

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

歓迎していないお客人のもてなし方で対応させてもらうだけだ、サルッツォ流のな。

ラヴィニア
ラヴィニア

……チェッリーニアさん、申し訳ありません。

テキサス
テキサス

そのために私を呼んだのだろ?

(テキサスが剣を抜く)

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

……サルッツォに牙を向けるとはな、気が触れたかチェッリーニア、最後のテキサス?

テキサス
テキサス

むしろその逆だ。

殺しを主とせず、ただ正直で実直な願いのために刃を抜く。これはシラクーザに来てから、初めて虚しさを覚えない戦闘だった。
そうテキサスは思った。

ベルナルド
ベルナルド

劇場の支配人から聞いたんだが、どうやらロッサーティは明晩の舞台でボックス席を予約しているらしい。

アルベルト
アルベルト

ほう?

アルベルト
アルベルト

フフッ、つまり劇場で手を下すというのが、ルーチュ・デル・ジョルノ劇団のディレクターのやり方なんだな?

ベルナルド
ベルナルド

演劇に真実という名の演出を少々加えてるだけだ。

アルベルト
アルベルト

しかし、一点だけ疑問に思うところがある。

アルベルト
アルベルト

ジョバンナの配下も、どうやらクルビアから凄腕を呼んでいるらしい。

アルベルト
アルベルト

特にこの街を代理で仕切ってるヤツ、確かウォーラックだったか、ヤツの名は私も耳にしたことがある。

アルベルト
アルベルト

それでなぜお前は、私と手を組んだら彼女を下せると思えるんだ?

ガードマン
過激なファミリーのメンバー

ドン……(耳打ち)

アルベルト
アルベルト

ハハハ、こりゃ面白い。

アルベルト
アルベルト

ベルナルド、あの裁判官とテキサス、どうやらどうしてもお前に会いたいらしいな。

アルベルト
アルベルト

もう私の部下が何人も彼女らにやられてしまっている。

アルベルト
アルベルト

あの二人はどちらもベッローネと縁のある人だ、こればかりは否定できないだろう?

ベルナルド
ベルナルド

……

ベルナルド
ベルナルド

サルッツォの面々はみな、戦いを好むと聞き及んでいる。

ベルナルド
ベルナルド

アルベルトよ、もしロッサーティが君のこの屋敷へ攻め込んだとしよう。

ベルナルド
ベルナルド

その際向こうの勝機はどのくらいかね?

アルベルト
アルベルト

勝機などない。

ベルナルド
ベルナルド

そうか。ならチェッリーニアは、ロッサーティを穿つ刃になれるかもしれない人物といったところかな。

アルベルト
アルベルト

ほう?

ベルナルド
ベルナルド

もしロッサーティですら入り込めないような場所に、チェッリーニアが入り込めたとすればだ。

 

ベルナルド
ベルナルド

そんな彼女がロッサーティに止められてしまうなど、そんな心配をする必要はないと思わないかね?

 

(テキサスがマフィアたちを切り倒していく)

テキサス
テキサス

お前のことは憶えている。

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

ここでの暮らしはもう忘れてしまったのかと思っていたよ。

テキサス
テキサス

サルッツォでの暮らしなら、そんなに悪くはなかったさ。

ガードマン
忠実なファミリーメンバー

なら尚更だ、お前が今何をしているのか分からないのか?

テキサス
テキサス

分かっている。

(テキサスがファミリーメンバーを突き飛ばす)

ラヴィニア
ラヴィニア

テキサスさん……

周りで気絶しているファミリーの面子を見渡して、ラヴィニアは思わず言葉を失った。
こんな状況下でも、テキサスは手加減をしているからだ。長年ファミリーと関わってきた彼女でさえも、このことには驚きを隠せないでいる。

ラヴィニア
ラヴィニア

あなたが敵じゃなくて本当によかった。

テキサス
テキサス

だが、私たちもここまでのようだ。

ラヴィニア
ラヴィニア

え?

(レオントゥッツォが近寄ってくる)

ラヴィニア
ラヴィニア

レオン!?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

……ラヴィニア、こんなとこに来ちゃいけないのに。

ラヴィニア
ラヴィニア

面と向かって、ベルナルドと話しがしたいからですよ。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ロッサーティのドンへの暗殺が決まった。

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

サルッツォとベッローネが手を組んでだ。

ラヴィニア
ラヴィニア

彼がそう決めたのですか?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ベッローネが決めたことだ。

ラヴィニア
ラヴィニア

……

ラヴィニア
ラヴィニア

彼は今どこなんです?

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

ちょうどパーティが終わった頃だから、まだ上にいる。

 

レオントゥッツォ
レオントゥッツォ

会うことはできるが、何も変わらないぞ。

 

道すがら、ラヴィニアは幾つもの話しかけるきっかけを考えていた。
ベルナルドへ聞きたいことは山積みだ。
彼と口論に発展するシチュエーションやその結果も、彼女は幾度となく考え抜いた。
自分は十二分に怒れると信じていたからだ。
しかし、部屋へ踏み入れた際、彼女は目の前にある光景に打ちひしがれてしまった。

ベルナルドが豪華な椅子に腰かけている。
茨で着飾られた法典を手にしながら。
それは彼女が所持してるものと瓜二つだった。
ベルナルドは顔を下げ、掌で軽く法典をさすっているが――両手が棘に刺さり、血がゆっくりと滴り落ちるも、彼はまったくそれに気付いていない素振りでいる。
脳内の煩雑とした数々の考えが、ここでようやく固まった。
そしてついに、言いたいこともすべて一言へと置き換えられてしまった――

ラヴィニア
ラヴィニア

どうして……?

ベルナルド
ベルナルド

遊びはもうおしまいだ、ラヴィニア。

たったその一言だけでも、ラヴィニアからすれば十分であった。ほんの数秒間の沈黙で、彼女はすべての気力を失ってしまったのである。
そしてラヴィニアは身を翻し、振り向くこともなく部屋から立ち去って行った。涙が溢れ出ないように。
しかしベルナルドはただその場に立ち止まり、一言も返さず、血を数滴地面へと滴らせるがままであった。

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