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【アークナイツ大陸版】我が身は灯火に FC-1「逃亡と追跡」行動前 翻訳

ターラーの流民
ターラーの流民

なあおい、その帳簿はもう仕舞っておけって。数日経ったらまた自分のあの荷車で商売ができるってまだ考えてんのかよ?

ヴィーン
ヴィーン

そんなことは……ないよ、はぁ。

ヴィーン
ヴィーン

でも悪いことをしてしまったんだ、だからせめて自分の心に留めておかなきゃならないだろ?

ターラーの流民
ターラーの流民

あの医者は賢い人間だ、どんな傷を受けたのかなんて一目見ただけで分かっちまう。そんな人があんたをとやかく言っていなかったってことなら、許されたってことだよ。

ヴィーン
ヴィーン

でもあの人、自分は医者じゃなくて、薬を売ってる会社に所属してるだけって言ってたじゃないか。応急処置の知識を少し習っただけだから、ああやって傷口を処理することぐらいならできるって……

ターラーの流民
ターラーの流民

それが本当だとは限らないだろ?

ターラーの流民
ターラーの流民

俺からすりゃ、あの女はただの医者じゃねえし、薬売りならもっとねえ。あんだけ医薬品が揃えられてんのに荒野に現れるなんざ、どう考えてもおかしい。

ターラーの流民
ターラーの流民

それとあの女が持ってるトランク、中身見たか?あんたは商売人なんだろ、中にどれだけ金目の物が入ってるか、少しぐらいは分かるんじゃねえの?

ヴィーン
ヴィーン

そこまで詳しくは見てなかったかな。

ヴィーン
ヴィーン

……ってまさか、命の恩人の荷物まで奪うつもりじゃないだろうな?

ターラーの流民
ターラーの流民

まあまあ、適当に聞いてみただけだよ。

ヴィーン
ヴィーン

はぁ、そう……なあ、そっちパンまだ残っていないか?

ターラーの流民
ターラーの流民

もうほとんど残ってねえな。

ヴィーン
ヴィーン

……じゃあ少しだけでいいから分けてくれないか、頼むよ。

ヴィーン
ヴィーン

あの、先生。

ヴィーン
ヴィーン

あっいや、先生って呼ばれるのは好きじゃなかったんだったな……その、パン食べるか?

リード
リード

大丈夫、ありがとう。

ヴィーン
ヴィーン

何を読んでるんだ?

リード
リード

これは、古いターラーの詩集だよ。

ヴィーン
ヴィーン

おお、ターラー語か……まあ私、そこまで知ってるわけでもないから、文字として書かれたターラー語についてはチンプンカンプンでね、あはは。

リード
リード

……ここに座りたかったらいいよ、私のことは気にしないで。

ヴィーン
ヴィーン

あっ、うん……実はその、昨日の夜のことで礼を言いたかったんだ。

リード
リード

私、薬を少し分けただけだよ。

リード
リード

……傷口を洗って、包帯を巻くことぐらいなら、やって当然。でも、まだ下手だった。

ヴィーン
ヴィーン

気にしないでくれ、ああいいった傷は私ならロクに触れなかったから。見てるだけでもおっかないよ。

ヴィーン
ヴィーン

……それもあるけど、もしあの時君があそこで火を放ってくれなければ、私たちはきっとあのまま連行されていたはずだったよ、助かった。

リード
リード

火……?

リード
リード

……いや、火は放っていないよ。あの時私はただ、通りかかっただけ。

ヴィーン
ヴィーン

そうか、君がそう言うのなら、本当にたまたまだったんだろうな。

ヴィーン
ヴィーン

はぁ、何がダブリンだよ、あの兵隊らは言うこと聞かない人たちをみんなダブリンって呼ぶんだ。私たちならともかく、君みたいないい人までそんな謂れのない罪を背負う必要はないのに。

リード
リード

……キミはダブリンが憎いの?

ヴィーン
ヴィーン

私は……分からない。

ヴィーン
ヴィーン

君って都市からやって来たんだろ、なら少しだけアドバイスをしてあげるよ。実はこの間、そのダブリンの人たちもここに来ていたんだ。

ヴィーン
ヴィーン

聞いた話じゃヴィクトリアの部隊とばったりかち合ったみたいなんだけど、相手は一人も生きて帰らなかったらしい。

ヴィーン
ヴィーン

そのせいで街の偉い人たちはカンカンでね。それでトロント郡からわざわざ兵を調達して、ハイストーン平原で無差別に人を捕まえたり、村を幾つも燃やしていったんだ。

ヴィーン
ヴィーン

……正直言って、本当に私たちを助けるべきじゃなかったよ、そこまでする価値なんてない。

リード
リード

……

リード
リード

もし私が人の命を顧みなければ、ロドスとの約束を果たせることなんて……

ヴィーン
ヴィーン

ん?今なんか言ったか?言いづらいんだけどその、やっぱりちょっと声が小っちゃくてさ……

リード
リード

いや、なんでもない……キミが今言ってたことなら私も少しは把握してる、道中気を付けるよ。

ヴィーン
ヴィーン

あっ、もう行っちゃうのか?

リード
リード

うん、空が明けてきたからね。私の案内も必要はないだろう。

ヴィーン
ヴィーン

そっか、分かった。まあ分かるよ、君みたいな標準なヴィクトリア語を話すターラー人でさえも、私たちと話なんてしたくないはずだもんな。

(セルモンが近寄ってくる)

セルモン
セルモン

なあお前ら、ケリーは見なかったか?こんぐらいの背丈の女で、歩いてる時いつも尻尾を振ってる癖があるんだが。

セルモン
セルモン

ない?じゃあこの辺りで少し探してみてはくれねえか、先生?もう一晩帰ってきてねえんだ。

ヴィーン
ヴィーン

セルモン、急に態度が変わったけどどうかし――

セルモン
セルモン

ヴィーン、お前はこっちを手伝え。

リード
リード

……

バグパイプ
バグパイプ

あれ、こっちに信号がある?じゃあもしかして、ウチらまた方向を間違えたとか?

チェン
チェン

そうみたいだな。この近くにある通信設備が破壊されていないということは、連中はこっちに向かわなかったってことになる。

バグパイプ
バグパイプ

う~ん……ロドスからは何か言われなかったべか?

チェン
チェン

ニュースで言ってる事とさして変わらん。昨晩ダブリンの部隊がレッドスパイン町で放火し、軍が駐在してる家屋が燃やされた。

チェン
チェン

だがその部隊、どうやらまだここの荒野には逃げていないみたいでな。

チェン
チェン

ほかに入手した情報ならすべてデマの類だ。ここ一か月、偶然にもこの荒野に接近した移動都市はなかった上、外勤オペレーターたちからも異常は報告されていない。

チェン
チェン

戦闘の痕跡ならこちらで少しは確認できたのだが……あの程度の痕跡では戦闘の規模は測りかねん。

チェン
チェン

ただ双方の実力に大きな差が開いていたことだけは見て取れる。ヴィクトリアの部隊なら、きっと短時間で壊滅させられたのだろう。

チェン
チェン

……っておい、聞いてるのか?

バグパイプ
バグパイプ

はえ?

チェン
チェン

パーツの向きが間違ってるぞ、またボーっとしていたな?

バグパイプ
バグパイプ

おおすごいね、チェンちゃん!破城矛の構造も把握しちゃってるなんて!こっちはあの頃必死こいてやっとメンテナンスの方法を覚えたっていうのに。

チェン
チェン

……構造なら完全には把握していない。

バグパイプ
バグパイプ

さっきまでね、なんでヒュースさんは手紙じゃまるで人が変わったみたいに口調が変わっちゃったのかなって気になってて。まあ、別にそんな大したことじゃないとは思うけど……

チェン
チェン

いや、お前の直感はいつも当たるほうだ。

チェン
チェン

相手はもしかしたら言いたくても口に出せない状況にあると、そう考えているのか?

チェン
チェン

……私たちがこの前彼に会った時も、まるで誰かに監視されていたような振る舞いだったしな。

バグパイプ
バグパイプ

そうそう、そんな感じ!

チェン
チェン

なら、私たちが今向かってる方向は間違ってはいなかったということになる。ヒュースが私たちにくれた情報も、敵が警戒してしまうほどに精確だったことを意味する。

チェン
チェン

進軍ルートは隠蔽できても、戦備関連物資等々の流れは情報が漏れてしまったといったところだな。過去数か月以内に、私たちがマークしていたダブリンの部隊ならみんなここら一帯を通っていったはずだ。

バグパイプ
バグパイプ

トロント郡の外にある……無人の区域を?

チェン
チェン

……

バグパイプ
バグパイプ

どうしたのチェンちゃん?急にそんな警戒……

チェン
チェン

三時の方向だ。

ダブリン兵
ダブリン兵

――

バグパイプ
バグパイプ

あれはヒロック郡の時と同じ格好の……亡霊の連中だべ!

バグパイプ
バグパイプ

はやく追いかけ――

チェン
チェン

待てバグパイプ……あいつら、なんだか様子がおかしい。

バグパイプ
バグパイプ

あっ、ホントだべ。何人か荒野に突っ立ってるだけで、なんだか見張りをしてるみたい……もしかして誘われてる?

チェン
チェン

いや、おそらくは違う。あいつらを見てると……龍門で起こったことを思い出す。

チェン
チェン

油断はするな、ゆっくり近づくぞ。

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