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【アークナイツ大陸版】我が身は灯火に FC-3「燃ゆる藁ぐま」行動前 翻訳

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

歴史曰く、ドラコとアスランとの間で長らく続いた戦争があまりにも惨烈極まったため、最後のゲール王は和平協定を結ぶこととなった。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

王は戦士たちの兵装を熔炉に溶かすことでその決心を示すも、王の臣下らにとってこのような敗北が受け入れがたいものであったため、共謀し、王を殺害してしまった。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

しかしまさに伯爵様が何度も演説で話されたように、たかが一度の暗殺で赤き龍の血筋を滅ぼすことはできますまい。

ワーウィック伯爵
ワーウィック伯爵

ヴィクトリア人たちがいくら史書を捏造しようが、我々がこの目で見た事実そのものを変えることは不可能だからな。

ワーウィック伯爵
ワーウィック伯爵

アスランはかつて、ドラコにヴィクトリアの王位を享受することを誓ったが、ここ百年ついぞその冠が譲られることはなかった。

ワーウィック伯爵
ワーウィック伯爵

獅子たちの野心もすでに明るみに出た以上、あの時ゲール王を刺し殺した六ヶ所の傷痕も、多かれ少なかれアスランの手にかけられたものだろうな。

ワーウィック伯爵
ワーウィック伯爵

何よりそれから、ドラコは王城から逃げ出し、消息を絶った。統治者を失ったターラー王国は、さも当然であるかのようにヴィクトリアに編入されてしまった。

ワーウィック伯爵
ワーウィック伯爵

再び王城へ帰還しようとするドラコを食い止めているのも、さしずめ王の臣下たちでもないのだろう。

ワーウィック伯爵
ワーウィック伯爵

こういうこともあって、私は特にターラー人の歌謡を題材とした君の演目を気に入っているのだよ。君のおかげで、皆より多く歴史の真相を目にすることができた。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

光栄です。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

この物語を描くために、私は田舎で行われた演目を鑑賞したり、ターラーの伝統を受け継いだ吟遊詩人の方々を訪れはしたのですが。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

――ただ、そこで見たのはターラー文化の消滅ではなく、多くの命が消え去ろうとする場面でした。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

自らの国を持ち、ヴィクトリアと決別しない限り、ターラー人に救いは訪れないと、伯爵様はお考えになられていることでしょう。

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

しかし私は、もし我々がより良い暮らしを過ごすことになり、文字すら読めないターラー人たちに思想の種を植え付けてやれば……

質素な恰好をした詩人
質素な恰好をした詩人

いつまでも我々を貧困と無知に喘がせようとするヴィクトリア人たちに、いわば勝ったことになると思っているのですが、如何でしょうか?

セルモン
セルモン

そいつらも一緒に連れて行くだァ?なにふざけたことを言ってんだ。

セルモン
セルモン

今あいつらを休憩させて、自分の食料を分けてあげるだけなのならまだいい。

セルモン
セルモン

だがそれができたのも、アタシらがここ二日運よく巡察隊に見つからなかったからだ、もし次にでもバレたらどうする?武器は持てねえ、走っても遅ぇあの七八歳のガキたちはどうすんだよ?

リード
リード

私なら戦える……私が彼らを守るよ。

リード
リード

無人区域を抜け、トロントから脱出しようとする君たちのことも、安全が確認できるまでずっと協力してあげる。

リード
リード

バグパイプとチェン……私の同僚たちを通して、私が今所属してる企業とも連絡がついた。一番近場にあるそこのセーフハウスは、ちょうどこの先にある。

リード
リード

テントや少量の野外応急物資だけなら、きっとすぐにでも届けてくれるはず。

リード
リード

それに……向こうは優しい公爵の領地だ。そこにつけば、少なくとも君たちはこれ以上軍に追われることはないよ。

セルモン
セルモン

マジなのかそれ?本当にアタシらみたいな人間に優しくしてくれるお貴族様がいるのかよ?

リード
リード

あの公爵には……ターラー人を守る理由があるから。

セルモン
セルモン

なんでお前がそんなことを知ってんだよ?

リード
リード

……それは君たちもすぐに分かるよ。

リード
リード

だからあの人たちを連れて行っても大丈夫、きっとなんとかなるから。

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

でも、あの人たちは感染者なのよ?

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

こっちは必死に逃げ回ってるのに、なんでわざわざ傍に疫病神を置いておかなきゃならないわけ?

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

それにあの人たち、いつまた発作を起こして死んでしまうかも分からないんだし……

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

そんな人たちを助ける意味なんてある?

リード
リード

……

リード
リード

それは私にも分からない。

リード
リード

でもあの時も、私を救ってくれた人がいた……私もその人に聞きたかった、どうして私を助けてくれたのかって。

リード
リード

あの時の私は……すぐに死んでもおかしくなかったのに。

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

それどういう意味?

リード
リード

私も感染者なの。

セルモン
セルモン

……

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

えっ?あっ、えっ、えーっと……

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

オホン!ま、まあ感染者って言っても別に大したことはないわよね。もしあなたが助けてくれなかったら私たち、その感染者よりもはやく死んでいたかもしれないんだし、アハハ。

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

でも……

リード
リード

傍にいるだけでは、鉱石病が移ることはないよ。

リード
リード

大丈夫、それでも怖かったら私から距離を置いてももらっても構わない、私は気にしないから。

リード
リード

だから、あの感染者たちも連れて、一緒に逃げてあげて……どうか私を信じてほしい。

緊張しているターラーの流民
緊張しているターラーの流民

……分かった分かった、もう信じるよ!ほらセルモン、あなたもいいわよね……?

セルモン
セルモン

――アタシは逃げねえよ。

セルモン
セルモン

ロクに戦うこともできねえ連中を連れて行きたいのなら勝手にしな。

 

セルモン
セルモン

でもアタシの目的なら変わらねえからな、アタシは絶対ダブリンのところに戻る。

 

巡察隊の隊長
厳格な士官

……例の二つの部隊が失踪してもう一週間になる。となれば、こういったゴーストが関わっていた事件と類似した状況には、きっとダブリンも深く関わっているはずだ。

巡察隊の隊員
勘が鋭い士官

類似してるだって?いんや、それとこれとはまったくの別物だよ。

巡察隊の隊員
勘が鋭い士官

以前なら、反乱を企てる連中は一か所に集まって、武装して襲撃を行うといったものだけだったんだが。

巡察隊の隊員
勘が鋭い士官

ダブリンが引き起こしたと思われる事件は今じゃ、ヴィクトリア南部の各地で頻発しているじゃないか。

巡察隊の隊長
厳格な士官

……トロント侯爵はまだ待機命令を出しているのか?

巡察隊の隊員
勘が鋭い士官

ああ。市外から報告された情報がどれだけ疑わしくても、我々はしっかりと真偽を把握してからこの地区の情勢をコントロールしなければならないんだから当然だろ。

巡察隊の隊長
厳格な士官

だが今は色々と小規模な衝突が新発してはいるが、やはりレッドスパイン町で起こった放火事件が一番疑わしい。後処理もされていないんだぞ。

巡察隊の隊長
厳格な士官

だからあの事件のプロファイルなんだが、しばらく置いておいたほうがいいか?それとも残しとくか?

(フィッシャーが近寄ってくる)

フィッシャー
フィッシャー

そのプロファイルでしたら、こちらに引き渡して頂けないでしょうか?

巡察隊の隊長
厳格な士官

お前は……カスター公の……

フィッシャー
フィッシャー

堅苦しい挨拶なら結構ですよ。

フィッシャー
フィッシャー

それとそのプロファイルもそうですが、以前と同じようにプロファイリングせずとも結構です。

フィッシャー
フィッシャー

今回の放火事件は……まだじっくりと調査しておく必要がありますからね。

ヴィーン
ヴィーン

さあ、水を少し飲もうか、ブランデン爺さん、果物も少し採ってきたよ。こんなに森が深いってことなら、集落からもそう遠くないところにいるってことだよね。

ヴィーン
ヴィーン

ホリーちゃんも食べる?じゃあ食べ終わったら、午後は抱っこじゃなくて自分で歩くんだよ?うん、いい子。

ヴィーン
ヴィーン

モニさん、君もどうかな?あっ、そういえば甘いものは苦手だったんだっけ……

モニ
モニ

……いいえ、ありがとう。

ヴィーン
ヴィーン

……はぁ。

ターラーの流民
イライラするターラーの流民

おい、俺たちは一体いつまでこの森にいなきゃならねえんだよ?

ヴィーン
ヴィーン

もう少しだけ休憩しておこうよ。バグパイプとチェンがモノを取りに行ってくれたし、みんなも歩き疲れちゃってるしさ。

ヴィーン
ヴィーン

大丈夫、消灯の鐘が鳴る前まではきっと近くの集落に着くはずだから。

ヴィーン
ヴィーン

ここは私たちがやらかした場所からも遠いし、しばらく隠れていれば捕まるってこともないよ。

ターラーの流民
イライラする

そう、じゃあ俺の分の果物も頼むよ。久しぶりにそんな楽しそうな顔してんだし。

ヴィーン
ヴィーン

そ、そうかな?私はただリードは頼りになるなって思ってるだけだよ、彼女のお友だちもね。強いし、それに優しいしで。

ターラーの流民
イライラするターラーの流民

そうなのか?このクソみたいな日々ともおさらばだって思ってるからじゃなくて?

ターラーの流民
イライラするターラーの流民

まあ、どうせお前は集落にでも残るんだろう。俺たちならこのまま荒野を進んで、ダブリンを見つけたらそこに加わるつもりだぜ。

ヴィーン
ヴィーン

……いや、どうだろうね

ヴィーン
ヴィーン

私は……その、やっぱり君たちにあんなことはしてほしくないよ。

ヴィーン
ヴィーン

最初セルモンがまだいなかった頃、私たちはただ逃げることしか頭になかっただろ?遠ければ遠いほど、逃げられるだけ逃げようって。

ヴィーン
ヴィーン

それからイヤなことが積もりに積もって、みんな彼女に突き動かされてダブリンに入るって言い出したけどさ。

ヴィーン
ヴィーン

みんな……本物のダブリンを見たことなんて、本当はないんだろ?

バグパイプ
バグパイプ

……

チェン
チェン

まだリードのことを考えてるのか?

チェン
チェン

彼女ならこの前、私たちの目の前でロドスと連絡を取っただろ。物資提供のこともすんなりと終わっていた。ほかのことを見ても、彼女が私たちを騙してるとは思えない。

バグパイプ
バグパイプ

あはは、疑ってるわけじゃないべよ。ウチはただ心配で……本当に回復したのかなって。

バグパイプ
バグパイプ

ヴィーヴルつっても、彼女の生命力にはホント度肝を抜かれたべ……最初お互い相手のことが分からなかった時も、彼女の一撃を防いだ震動でこっちは手が痛くなっちゃったぐらいだし。

バグパイプ
バグパイプ

でもよかったよ、元気になって。ただやっぱりなんか悩んでるっぽね。自分のやりたいことなのに、なんか苦そうな顔しちゃってる。

バグパイプ
バグパイプ

それに……

チェン
チェン

それに、なんだ?

バグパイプ
バグパイプ

リードちゃんの戦い方、な~んか見覚えがあるんだよねー。

バグパイプ
バグパイプ

あの時ヒロックでOutcastさんがリードちゃんを連れ帰る前にも、どこかで会ったことがあったのかな?

(リードがバグパイプ達に近寄ってくる)

リード
リード

……

バグパイプ
バグパイプ

あっ、リードちゃんお帰り!ちょうどチェンちゃんと一緒に……

チェン
チェン

……これからの進路について話し合っていたんだ。ここならちょうど、近くにある集落にも行けそうだしな。

リード
リード

いや、この先はもう、行かないほうがいい……ほかのみんなにも伝えておく。

バグパイプ
バグパイプ

それって……チェンちゃん、九時の方向ッ!

(斬撃音)

チェン
チェン

――

低木に隠れていた騎兵のサーベルはチェンによって両断された。
しかしサーベルを持っていた人は微動だにしなかった。先ほどの一撃で本人に危害は加えられていないとチェンは確信を得ていたのだが、それにも関わらず草木には血液がこびり付いていた。すでに干からびて、暗い色をした血液が。

バグパイプ
バグパイプ

この人、死んでる……巡察隊の人間かな?

バグパイプ
バグパイプ

いや違う、駐留軍の人間だべ。あっちにもたくさんいるよ。

チェン
チェン

……

チェン
チェン

弓矢に剣やサーベル……それとアーツの痕跡も残されている。

チェン
チェン

どうやら一週間前に、ここで戦闘が発生していたみたいだ。ここにいる駐留軍なら、待ち伏せに遭って全滅したのかもしれないな。

バグパイプ
バグパイプ

でも、こいつらの相手はどこに行ったんだべ?どうして死体が一つも転がってねえんだべか?

リード
リード

その人たちなら……ここから離れていったよ。

バグパイプ
バグパイプ

ここから離れた?でもどう見ても激しい戦闘だったはずだべ、損害も双方ともに激しかったはずなんじゃ?

チェン
チェン

バグパイプ、私たちがリードと出会う前に会ったあの兵士たちのことはまだ憶えているか?

バグパイプ
バグパイプ

あっ、うん……変なアーツにかかって、目の中で火みたいなのが燃えていたあの……

バグパイプ
バグパイプ

そういえば、リードちゃんもあの時ヒロックにいたよね。じゃあ、今言ったのと同じような兵士らは見なかったべか?

リード
リード

……うん、その人たちのことなら知ってる。

リード
リード

彼らこそが……ゴーストだ。

リード
リード

死んでしまってもなお、安らぐことすら許されない可哀そうな人たち……

バグパイプ
バグパイプ

もしかしたらさ、この駐留軍を殺した人たちも実はみんな死んじゃってて、でもまだどこかを彷徨ってるってのは考えられねえべか?

バグパイプ
バグパイプ

ウチらが前に見つけた交戦があった痕跡も、似たようなヤツだったべ。

チェン
チェン

……それしか考えられないな。

バグパイプ
バグパイプ

ねえチェンちゃん、おめーさんがどう考えてるかは分からないけど、でもウチ……こんなの受け入れられないよ。

バグパイプ
バグパイプ

人が死んだあとも操り続けようとする人間なんて、一体どういうヤツなんだべか?あんまりにもヒドすぎるべ。

リード
リード

……

(セルモンが近寄ってくる)

リード
リード

……セルモン?

セルモン
セルモン

そいつらなら死んじゃねえよ、お前らみんな誤解しちまってるんだ。

バグパイプ
バグパイプ

えっ、でもウチらこの前に……

セルモン
セルモン

お前らはそう見えたのかもしれねえが、アタシゃ自分の目で見たものしか信じねえタイプでな。

セルモン
セルモン

ダブリンならヴィクトリアの軍に勝ったんだ。あいつらは他の場所にいるターラー人たちを解放するために移動したってだけだぜ。

セルモン
セルモン

だからアタシは必ず……

リード
リード

……何か心配事?

セルモン
セルモン

うっせ、アタシのボスみたいな口を利くんじゃねえよ。

セルモン
セルモン

ヴィーンたちはアタシについて来ようとしてるが、んなモン勝手にすりゃいい。お前が本当はアタシらの味方じゃなくて、そこにいる二人の仲間なのも分かってんだ。

セルモン
セルモン

お前はただアタシらに、せいぜい死なない程度の毎日を、ヴィクトリアがアタシみたいな人間のために用意した、明日の見えねえ生活をあてがうつもりってだけなんだろ?

セルモン
セルモン

そん時になりゃ、お前はどうせアタシらを見捨てるつもりさ。

リード
リード

……

セルモン
セルモン

違うか、“リーダー”よ?

リード
リード

やめて、私をそんな風に呼ばないで……

セルモン
セルモン

フッ、「いや」だの「やめて」だの、お前はそればっかりだ。

セルモン
セルモン

いいぜ、ならお前がアタシらに一番歩んでほしくない道から歩んでやるよ。たかが戦場とかで死ぬだけだろうが。んなモン、ターラー人は死ぬほど見てきたっつの。

セルモン
セルモン

それとよそ者なんかに、もう金輪際「いや」だの「やめて」だの言われたかないね。

(セルモンが立ち去る)

バグパイプ
バグパイプ

あの人すっごい怒ってたべな~。でも、リードちゃんのせいで怒ってるってわけじゃないからね。

リード
リード

うん、分かってる。

バグパイプ
バグパイプ

リードちゃん……大丈夫?

リード
リード

ごめん……私、彼女について行くよ。

リード
リード

戦場には……まだ処理しきれいていない地雷とか、アーツが残ってるかもしれない。あのまま渡っても、危ないだけだから。

リード
リード

だから二人には、ほかの人にも伝えておいてくれる?

チェン
チェン

あのターラー人たちに戦場を迂回させるつもりだな。

リード
リード

うん。

リード
リード

でも、これは自分たちが決めたことだって、セルモンが言ってた。

リード
リード

なら、私も約束を守らなきゃ。

リード
リード

……

リード
リード

私が必要にならなくなる時まで、彼らの護衛を続けるよ。

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