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【アークナイツ大陸版】我が身は灯火に FC-6「知る由もなく」行動後 翻訳

巡察隊の隊長
見張りの兵士

お前の考えはすべてお見通しだ、だからここで喚き散らしてもこっちの注意を逸らすことはできないぞ。

セルモン
セルモン

そりゃ本当か?向こうでなんかおっ始めたみたいだけど、お前ら本当に助けにいかなくていいのかよ?

巡察隊の隊長
見張りの兵士

いいから静かにしてろ。

セルモン
セルモン

ヴィクトリア人が、うるせえのはそっちのほうだぜ!

(兵士が引き金を引く)

セルモン
セルモン

くッ――!

巡察隊の隊長
見張りの兵士

静かにしろと言ってるんだ、さもないとお前の頭蓋骨が粉々になるぞ。

セルモン
セルモン

テメェら……ヴィクトリア人風情が何様のつもりだよ!

巡察隊の隊長
見張りの兵士

調子に乗らないでもらいたいな、ターラー人。私個人としては別にお前たちになんの偏見も恨みも持っちゃいない、あっても悲しい連中だと思うだけだ。

巡察隊の隊長
見張りの兵士

お前たちは所詮政治に利用された、公爵の駒に過ぎないのだからな。

巡察隊の隊長
見張りの兵士

私たちはこれでもお前たちを優しく扱ってやってるほうだ。ここで流民どもが全滅しようが、こちらからすればなんの痛みにもならないことだけは分かってもらいたい。

(無線音)

巡察隊の隊長
見張りの兵士

……どうした、命令が降りてきたのか?

巡察隊の隊長
見張りの兵士

もしそちらで支援が必要なら、こちらも隊長の指示に従って、ここにいる連中を処分してからそちらに向かおう。

(無線音)

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

ターゲットが一番隊のいる方向に逃走した。一番隊と二番隊は追撃を、残りはひとまず撤退するんだ。

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

ヤツらを合流させてから一網打尽にするぞ。

(バグパイプがリードに駆け寄る)

バグパイプ
バグパイプ

リードちゃん、どうやってあの調査官のとこから逃げてきたんだべか?ウチとチェンちゃんがちょうどおめーさんを助けに行こうと思ってたべ!

リード
リード

……

バグパイプ
バグパイプ

ねえリードちゃんってば、ぼけっとしないでよ。

バグパイプ
バグパイプ

あっち手薄だからさ、とりあえずここを突破するべ!

リード
リード

……ほかのみんなは……まだ森の中なの?

バグパイプ
バグパイプ

多分ね、でもとりあえずウチらだけでもここを突破しなきゃ。彼らの救助はその後だべ!

(チェンが飛んできた複数の矢を防ぐ)

チェン
チェン

――クロスボウ使いもいるのか?

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

貴様ら、逃げられるとでも思っているのか?

チェン
チェン

あのクロスボウ隊、攻撃してきたのはこれが初めてだな。

チェン
チェン

向こうはまだまだ待ち伏せているようだ、頭数は今のところ分かっていないが。

チェン
チェン

こんなエリート集団に迎えられるとは、私たちも中々メンツが立つものだな。

バグパイプ
バグパイプ

でもいくら頭数がいると言っても、今は一人ひとりを相手にするしかなさそうだべ。

リード
リード

いや……待って、バグパイプ。

リード
リード

向こうなら私たち以外にも、相手にしなきゃならない人たちがいる……

バグパイプ
バグパイプ

あっ、本当だ。あいつら部隊を移動させているべ。

チェン
チェン

……見たところ動きはスムーズだ、おそらく事前に作戦を練っていたのだろう。今も、わざと私たちに手薄なところを残しているのかもしれない。

バグパイプ
バグパイプ

でもさ、ほかに誰がこんな荒野に……

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

敵の武装勢力を発見!

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

投擲用意、陽動部隊に注意せよ!

バグパイプ
バグパイプ

……

黒夜から姿を見せたその部隊は、ヒロックの街に現れたゴーストたちと瓜二つの様であった。
その姿を見て、バグパイプは手にしている破城矛に力を籠め始める。

バグパイプ
バグパイプ

……ダブリン。

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

敵勢力の指揮官を確認しました、やはりそちらの予想通りでしたね。

フィッシャー
フィッシャー

ヘマタイト近衛隊隊長が……ダブリンとしてあのドラコを助けに来た、というわけですか?

フィッシャー
フィッシャー

……なるほど、確かに予想通りでしたね。

フィッシャー
フィッシャー

これで事態は二人の大公爵の激突が表面化してしまったかもしれませんね。しかし、あの鉄公爵が求めている戦場はトロント郡市内のはず、こんな時にリスキーな行動を起こすとは思えない。

フィッシャー
フィッシャー

このままタイミングが来るまで待機しておきましょう。

ダブリン兵
ダブリン兵

ターゲットを発見した、これより優先的に捕縛へうつ……

(バグパイプがダブリン兵に襲いかかる)

ダブリン兵
ダブリン兵

ッ……!

バグパイプ
バグパイプ

そこをどいて。

ダブリン兵
ダブリン兵

その兵装……ヴィクトリア軍か?なぜ彼女の傍にヴィクトリア軍の者が?

バグパイプ
バグパイプ

あれ、そんなに変?ここらじゃヴィクトリア軍なんてうじゃうじゃしてるべ。

ダブリン兵
ダブリン兵

先にあの三人を引き離せ!ターゲット以外の者に固執する必要はない!

ダブリン兵
ダブリン兵

――ターゲットはすでにこちらが掌握した、三番隊は彼女を連れて撤退しろ!

バグパイプ
バグパイプ

ターゲットって……もしかしてリードちゃん?

リード
リード

はっ……!

アルモニ
アルモニ

久しぶり、ラフシニー……古い馴染が会いに来てやったわよ。

アルモニ
アルモニ

まあそう緊張しなさんな、落ち着いて。あなただって久しぶりに会った友だちに、挨拶代わりとして暴力を振るうなんてことはしたくないでしょ?

リード
リード

……

アルモニ
アルモニ

ホント残念ね、あなたならこのまま逃げ出すことだってできたはずなのに。

アルモニ
アルモニ

リーダーも随分と逃げ惑うあなたを許してやってくれていたのよ、知ってる?

リード
リード

……私を、連れて帰るつもり?

リード
リード

だとしたらそれは無理だ、あそこにはもう私の居場所はないのだから。

リード
リード

いや、居場所なんて……最初からなかったんだ。

アルモニ
アルモニ

影としての自分が嫌いで、自分がついたウソで集まってきた人たちのことも信用ならないってところかしらね。まあ、気持ちは分かるわ。

アルモニ
アルモニ

でもダブリン以外に、自分の居場所があるとでも思っているわけ?ドラコであるあなたは、一体どこに行ったらひと息つけられるっていうの?

リード
リード

私は……

アルモニ
アルモニ

ラフシニー、あぁ可哀そうなラフシニー……私はこれでも本気であなたのことを心配してるのよ?

アルモニ
アルモニ

なんせ、ああいった虚構の歌と、そこに綴られた実在しない文字の話になった時でしか、本当の古い馴染のように、あなたは私に話しかけてくれないんだもの。

アルモニ
アルモニ

詩人のように野原を渡り、あるいは小さな古家の中で本を読んだり作詩をして毎日を過ごす……素敵な夢じゃない。

アルモニ
アルモニ

となれば、あの船での生活はかなり満足するものだったんじゃないのかしら?なのにどうして、大人しくそこに隠れていようとしなかったの?

リード
リード

……リーダーは、もう知っていたんでしょ?

リード
リード

ヒロックで起こったあの野心家たちの陰謀のせいで、多くの一般人たちは命を落とした。それを……彼女はとっくに知っていたんでしょ?

アルモニ
アルモニ

あの人を一番理解してるのはあなたでしょうに、どうしてわざわざ私に確認を取ろうとするわけ?

アルモニ
アルモニ

仮にあいつらがヒロックでの乱戦で死んでいなかったとしても、後でリーダーが直々に手を下していたわよ。

アルモニ
アルモニ

ホント、残念ね。“オラター(雄弁家)”たちみたいに、余計な真似をせず、ヒロックで大人しく命令に従っていれば、まだリーダーの傍で何日かは生きられたはずなのに。

アルモニ
アルモニ

マンドラゴラも、きちんとロンディニウムでリーダーから任された仕事を済ませて、“スパイ”を連れ戻していれば、下水道で惨めに死ぬなんてこともなかったわ。

アルモニ
アルモニ

……それにもしあなたもそうやって自分の運命から逃れようと、隠れようしていたのなら、私だってあなたをダブリンに連れ戻そうとはしなかったわよ。

リード
リード

……

逃げなきゃ、逃げ出さなきゃ。
でも、私はどこまで逃げればいいのだろうか?

アルモニ
アルモニ

だからここは喜ぶところよ、あなたを先に見つけたのが私だったことに。私だったらあなたに時間をやってあげるからね。

アルモニ
アルモニ

もし今あなたの目の前に立ってるヤツが“オフィサー(将校)”だったら、あなたが少しでも迷いを見せていたら殺されていたはずよ。

リード
リード

いや……彼らはただ私を影として扱いたいだけだ。もうあんな生活はイヤだ……

灰燼の中で振り回す長槍は、きっと血が通った肉体を突き刺すよりも容易いだろう。

(バグパイプが複数のダブリン兵をなぎ倒す)

バグパイプ
バグパイプ

どりゃ――ッ!どうだ、これでしばらくは起き上がれないでしょ!

バグパイプ
バグパイプ

リードちゃん、だいじょ――

リード
リード

……こっちを見ないで。

いつもアーツを放とうとするたびに、リードは目を閉じることにしている。
だがバグパイプまでもがそうするはずもなく、彼女の目には槍先から燃え上がる炎が映り込んでいた。
そうだ、ウチはヒロックで彼女を見たんじゃなかったのか?広場に佇むあの彫像の下で、火に燃える街と、無数の人たちの生死に冷たい目線を向けていた、あのダブリンの術師のことを。
ウチが信じているのはOutcast、それとロドスだけ……だから、あの時抱いた印象は信じたくなかった。

バグパイプ
バグパイプ

おめーさんは……

チェン
チェン

バグパイプ、そっちはどうなった?ダブリンと諜報部門の連中を一か所に集めてくれるか?

バグパイプ
バグパイプ

えっ?あっ、うん、任せて!

バグパイプ
バグパイプ

こんのー、リードちゃんを連れて行かせはしないよ!どいたどいたァ!

(バグパイプがダブリン兵を倒す)

バグパイプ
バグパイプ

……

攻撃と防御の合間でひと息つく中、バグパイプは知らず知らずのうちにまたもやリードのほうへ振り向いた。
しかしそこへ彼女の視界を遮り、バグパイプとリードを隔てようとする霧が現れたのである。

フィッシャー
フィッシャー

総員、霧に紛れながら現場に突撃してください。

ダブリン兵
ダブリン兵

アーツ攻撃だ、総員警戒!陣形を縮小しろ!

ダブリン兵
ダブリン兵

方角を再度確認!はっ、“オフィサー”様!?到着されたのですね……はい、ここからの指揮はあなた様に……

リード
リード

……

リードは逃げ出さなければならなかった。彼女は霧をチャンスとし、この局面を混戦に変える術を持っている。今の彼女はただ長槍を振り回し、火を駆使するだけでいいのだ。
しかしその後は?
彼女はダブリンの“リーダー”だ。
彼女の炎はダブリンの意志。幾度となく土地を燃やし尽くし、多くの命を奪ってきた。
そんな彼女は自らの声で虚構の許諾をそらんじ、何度も演説の中で、自分がターラー人たちの時代をもたらしてやると宣ってきたのだ。

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

一番隊はそのまま突撃、ターゲットを負傷させても構わん!

巡察隊の隊長
特別行動隊の隊員

ドラコの耐性は優秀だ、少しの傷口じゃ死にはしない!

彼女は一人のドラコであった。
その血筋によって、彼女の両親は大雪が降る祝日の夜に死んでしまった。彼女は姉と共に幾度となく都市を放浪し、往日の王朝を復興せしめんとする野心を抱いた政治家らによって育てられた。
生まれつきもたらされた彼女の炎も、今でも彼女自身の五臓六腑を焼き焦がしている。
彼女はどこまで逃げれば、こういった運命から逃れることができるのだろうか?
かつてロドスの病床で目を覚ました時、彼女は手すりにもたれかかって読書に耽っていた。そこに綴られた文字はヴィクトリアの精巧な平和を語り、ターラーの抑揚的な牧歌を謡っていた。
しかし、傷つけられた仲間たちはそんな病床のある部屋の窓から去って行ってしまったのだ。
たとえ目を閉じたとしても、彼女はあの都市の焼け焦げた廃墟が見えていた。彼女自身は救われたが、多くの者たちはそこで命を落としてしまったからである。

巡察隊の隊長
見張りの兵士

よし、そろそろこいつらの首を斬り落としてやれ。隊長から命令が出た。

巡察隊の隊長
見張りの兵士

ダブリンの処分はこいつらの後だ。

巡察隊の隊長
見張りの兵士

心配するな、ターラー人。苦しませはせんよ。

セルモン
セルモン

――

(ヴィーンが見張りの兵士を殴る)

ヴィーン
ヴィーン

ふぅ……危なかったぁ……

セルモン
セルモン

ハッ、やっぱりヴィーンだったか!

巡察隊の隊長
見張りの兵士

――なっ、どっから湧いて来たんだこいつは?

(見張りの兵士がサーベルを振り回す)

ヴィーン
ヴィーン

ヒッ……!

ヴィーン
ヴィーン

……た、助けてくれ!

セルモン
セルモン

みんな起きろ!起きれるもんは全員立ち上がるんだ!

セルモン
セルモン

手が縛られてるだけじゃねえか、頭数ならこっちのほうが上だ!相手は三人だけ、おまけに一人は負傷してる、アタシだけでも倒せるはずだぞ!

ターラーの流民
興奮したターラーの流民

わ、分かった!俺たちもやろう!

ターラーの流民
憤るターラーの流民

あの日と同じだ!俺たちだけで村にやってきたヴィクトリア兵を倒せたんなら、こいつら数人なんか屁でもねえよ!

セルモン
セルモン

ていうかヴィーン、どうやって抜け出してきたんだよ?

ヴィーン
ヴィーン

えっと……向こうで隠れてリードたちの様子を見ていたんだけど、誰にもバレなかったものだったからさ、こっそり石で縄を切っておいたんだ……

ヴィーン
ヴィーン

……はぁ、でも考えただけでもゾッとするよ。もし私が一歩でも遅かったら、どうなっていたことやら!

セルモン
セルモン

なら考えないほうがお前のためだぜ。いいからアタシの縄を解いてくれ、そっからほかの人たちんとこへ行って手を貸してやりな。ほら、はやく。

セルモン
セルモン

こっからはアタシらの番だ、あの調子に乗ってるヴィクトリアのクソ野郎どもを懲らしめてやる。

セルモン
セルモン

アタシらはただ利用されるだけの哀れな存在だって?

セルモン
セルモン

ケッ、アタシが受けた傷も、今まで拭ってきた血と汗も、全部全部ホンモノだったぜ。

セルモン
セルモン

これも全部テメェらのせいで――何様のつもりでターラー人に指図して来やがるんだ!

(セルモンが兵士を殴り飛ばし、モニも兵士を棒で殴る)

巡察隊の隊長
見張りの兵士

隊長に報告しろ!人質たちが暴動し――ぐはッ――

モニ
モニ

――こ、これで倒れたのよね?ごめんなさい、あんまり目がよく見えないものだから。

セルモン
セルモン

ハッ、中々いい力加減だったぜ。

セルモン
セルモン

ほかに誰かまだ縛られてるヤツはいないか?このヴィクトリア人から拝借したサーベルで縄を切ってやるぞ。

セルモン
セルモン

ほら急げよ、さっきのヤツが情報を伝えに逃げちまったからな。

セルモン
セルモン

フェガール、向こうで追っ手が来ていないか見てくれ。ヴィーン、ケガ人を運ぶから手を貸せ。

セルモン
セルモン

よし、ほかの動けるモンは先に行け!

逃げ惑うターラー人たちはぎこちなく手探りでありながら、森のさらに奥へと入り込んでいく。
彼らはみな故郷から、あの泥沼から逃れた者たちであるが、はたしてどのくらい逃げ回れば、あの戦火と死を撒くことができるのかを分からないでいた。
この夜から逃げれば、また再び穏やかな故郷を築くことはできるのだろうか?

ターラーの流民
ターラーの流民

なあヴィーン、あんた確か文字が書けただろ?なら今度さ、代わりに手紙を書いて送ってくんねえか?家のモンに俺はまだ生きてるって伝えたくてよ。

ヴィーン
ヴィーン

わ、分かった……

ターラーの流民
ターラーの流民

それとニワトコ酒も造らなきゃならねえから、市場に行って醸造用のモンもあんたに買ってきてもらわねえとな。

ヴィーン
ヴィーン

分かった、憶えておくよ。手帳はないけど、絶対に憶えておくよ。

それからして、彼らは次々と逃げ足を止めていく。
誰かがそっと口笛を吹き始めたからである。
ターラー人たちは言葉では言い表せられないことをたくさん抱えこんでいる。言葉が見つからない時、彼らは代わりに歌を歌うのだ。
酒の入っていない盃に、ここにいない愛する者たちのために歌うのだ。

ヴィーン
ヴィーン

……セルモン。

セルモン
セルモン

言わなくても分かってる。

ヴィーン
ヴィーン

……向こうで戦いが始まったよ、ダブリンの人たちもやって来た。みんな、リードを捕まえにきたんだ。

ヴィーン
ヴィーン

バグパイプとチェンが加勢してくれているが、彼女ら三人だけじゃ力不足なんじゃないのか?

モニ
モニ

臭いがするわ。あっちでモクモクとすごい煙が上がってる、きっと薪がうまく燃えていないんだわ。

ターラーの流民
ターラーの流民

だったらその煙に紛れ込めるかもしれねえな、そうだろセルモン?

セルモン
セルモン

分かった、なら行くぞ。ヴィクトリア人が残していったサーベルを持つんだ、途中で武器らしいものがあったら全部持っていけ。

……私たちはどこに行けば、ターラー人の命運から逃れることができるのだろうか?

ターラーの流民
ターラーの流民

さっきあの兵隊の何人かを俺たちだけでやっつけたんだ、もうなんも怖いモンはいねえぜ!

ターラーの流民
ターラーの流民

俺たちは別に戦争しに来たわけじゃねえんだ!全員ぶっ倒さなくても、リードたちを助けてやりゃそれでいい!

セルモン
セルモン

聞こえたろモニ?もしあっちの火が明るくなくても大丈夫だ、アタシがお前の手を引いてやるからな!

煙はどんどん濃くなっていき、熱気が徐々に近づいてきた。
木々は燃え、命が消えていく。
その者たちの名であれば、誰も口にしたことはない。
その者たちの夢や、今その者たちが夢見ていた暮らしに背いて駆け出しているのではないかという事実も、問いただしてくれる者は誰一人としていない。
それでも彼らは、目の前にある唯一の火光に向かって駆け抜けていくのであった。

リード
リード

……

リード
リード

……“リード”。彼らが、私を呼んでいる?

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