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【アークナイツ大陸版】登臨意 WB-6「瑟瑟たる秋華」行動後 翻訳

(ワイフーが次から次へと山海衆を相手にする)

ワイフー
ワイフー

(この人たち、動きの息がピッタリですね……それにまだあとどのくらい残っているのですか?)

狂暴な見た目をした生物
狂暴な見た目をした生物

(重苦しい鳴き声)

山海衆
山海衆

……

(山海衆達が立ち去る)

ワイフー
ワイフー

あれ、急に撤退し始めた?

(ワイフーがジエユンに近寄る)

ワイフー
ワイフー

あの人たち、どうしてあなたをこうも執拗に狙っているのですか?

ジエユン
ジエユン

あなた、名前は?

ワイフー
ワイフー

ワイフーです。槐の木の槐(ワイ)に、琥珀の琥(フー)。

ジエユン
ジエユン

ワイフーね……うん、覚えた。

ジエユン
ジエユン

私は截雲(ジエユン)だよ。

ジエユン
ジエユン

戻ってきたら、またあなたを探しに行くから。

(ジエユンが走り去る)

ワイフー
ワイフー

えっ、ちょっと待って――

ワイフー
ワイフー

行っちゃった……変な人……

ワイフー
ワイフー

……

ワイフー
ワイフー

それよりも、あの悪者連中を先に捉えにいきましょう。

その老人はいつまでも目線を地図の上で泳がせており、一本の航路を繋ぎ合わせている。
視線を泳がせている速度はとても遅い。この図面に描かれた一寸もの画面は、広大なる国土としてなぞらえていることを、彼は誰よりも把握しているからであろう。
机の隣に置かれた湯飲みも、すでに湯気が断って久しい。

(チョンユエが近寄ってくる)

チョンユエ
チョンユエ

この玉門の荒茶、太傅殿はあまり飲み慣れていないと思っていたのだがな。

太傅
太傅

ここに住まう将兵と市民らは皆この茶を飲んでいるのだ、儂だけ飲めぬ訳もなかろう。

チョンユエ
チョンユエ

まだ季節は寒い、そういった茶外茶を飲んでは却って身体を壊してしまわれる。

チョンユエ
チョンユエ

太傅殿は常に天下の情事に心を砕かれているが、唯一自らの身体に気を遣ってはくれていない。

チョンユエ
チョンユエ

もし貴公が倒れてしまったのなら、みなが困ってしまうではないか。

太傅
太傅

仮に儂が倒れたとしても、自ずとさらに優秀な人材が儂の席を継いでくれる。この世にはいつだって俊才らが生まれてくるものだ、炎国がそれを心配する必要はない。

太傅
太傅

水は流れる限り腐ることはなく、枢も取り換える限り蝕まれることはない。重要なのは、その時代に生きる者たちのことではなく、受け継いでいくことにある。

太傅
太傅

人生は代々なり、昔からずっとそうしてきたのだ。

チョンユエ
チョンユエ

“受け継いでいく”、か。

チョンユエ
チョンユエ

我々にとっては、おそらく理解しがたい言葉なのだろうな。

太傅
太傅

だがお主は、これまでに炎国へ尽くしてくれた多くの人材を育て上げてきてくれたではないか。

太傅
太傅

歴代の録武官が書き上げた武学書も、今では軍の訓練教材となっている。軍務においても、儂は少なからずお主から教えを得てきた。

チョンユエ
チョンユエ

しかし根底を見れば、私、私たち各々の長けた技は、どれも人を師としているのだ。

重岳は湯飲みから冷めてしまった茶を捨て、新たに熱い茶を注いだ。

太傅
太傅

ありがとう。

チョンユエ
チョンユエ

私たちはいつからそんな水臭い関係になってしまったのだ?

太傅
太傅

我々が共に筆を以て剣とし、日が明くるまで国家の大事を議論していたあの時のことなら、未だに忘れもしない。

太傅
太傅

だが昔と違って、互いの身分はすっかりと変わっていってしまったものだ、そう思わないか?

チョンユエ
チョンユエ

これは失礼致した、太傅殿。

太傅
太傅

今日、宗帥自ら儂のところへ来たのは、何も懐旧したいがためだけに来たわけでもないのだろう?

チョンユエ
チョンユエ

ああ。

チョンユエ
チョンユエ

太傅殿に、お別れを告げに参った。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

来たわよ。

モン・テーイー
モン・テーイー

リン特使、また会えたな。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

最後に会ったの、まだつい二日前だったと思うのだけれど。

モン・テーイー
モン・テーイー

俺からすりゃこの二日間は、過去の二十年と比べてもダントツに濃い日々だったよ。それだけたくさんのことが一斉に起った。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

今思い返すと、あの時あなたが手を出したのは、私を助けるためだったって言うけど、これ以上捜査させないために私を足止めしていたとしか思えないわね。

モン・テーイー
モン・テーイー

あれもお前を助けようとしていたようなもんさ。

モン・テーイー
モン・テーイー

……

モン・テーイー
モン・テーイー

しっかし、龍門からは二都市が接舷してる間の治安を維持するために、わざわざ玉門へ臨時的な督察が送られてきたって聞いたんだがな。

モン・テーイー
モン・テーイー

それがまさかこの二日間で、市場と鋳剣坊であんなデカい騒ぎを引き起こすことになるとは。その人がいま目の前にいるこの若いお嬢さんだって言われても、にわかには信じられねえぜ。

モン・テーイー
モン・テーイー

さしずめ林特使は、最初から俺をロックオンしていたんじゃないのか?

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

いいえ、つい先ほどに、ね。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

あなたがここに現れるまで、私も今回の事件はあなたが画策したものだって確信がつけなかったわ。

モン・テーイー
モン・テーイー

じゃあ、単に怪しかったってだけでここに来たっていうのか?

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

怪しいって思えるだけで十分よ。

モン・テーイー
モン・テーイー

ハッ、こりゃまた“面白い”やり方だな。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

昔からこういうスタイルよ。それとも何かしら、“汚くて卑怯なやり方”だとでも?

モン・テーイー
モン・テーイー

……

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

でもあなたは玉門の人間であるにも関わらず、これだけ汚いことをしてきたのだから、言えた口じゃないと思うわよ。

モン・テーイー
モン・テーイー

お前の言う通りだ。しかし、“汚いこと”ってのは何を指して言ってるんだ?

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

山海衆と結託し、あたかも盗賊がトランスポーターを殺害したかのような現場を偽造したこと。それから私を襲う芝居を演じ、すり替えておいた偽の天災データを“ホンモノ”に仕立て上げたこと。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

あと、ほかの者に宗帥の剣を奪わせて、衆目をそちらに向かわせようとしたことも。

モン・テーイー
モン・テーイー

剣を盗まれたことは俺にとっても予想外だったんだ、さもなきゃ昨日の夜にあんなことが起こるはずもなかっただろうに……

モン・テーイー
モン・テーイー

しかしデータを挿げ替えるところまで推理できていたとは、中々冴えてるじゃねえか。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

そっちが本当にトランスポーターを殺さなかったおかげよ、あなたにもまだほんの少しだけ慈悲が残っていたってことね。

モン・テーイー
モン・テーイー

……

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

じゃあ今度はこっちが聞く番ね――どうしてあんなことを計画したの?

モン・テーイー
モン・テーイー

もうすでにそっちで答えは出てるはずだろ。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

平祟侯に恨みがあったから、天災を引き起こして玉門を滅ぼそうとした?

モン・テーイー
モン・テーイー

俺とズオ・シュエンリャンはな、単に死線を共に潜り抜けてきた関係ってだけじゃねえんだ。“恨んでいる”なんて言葉は、ちょいと軽すぎるぜ。

モン・テーイー
モン・テーイー

それは俺たちへの扱いも同じこった、あのズオ・シュエンリャンは。

モン・テーイー
モン・テーイー

なあ、リン特使は龍門人だったな?

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

そうよ。

モン・テーイー
モン・テーイー

とても栄えているいい場所だってのは聞いたことがある。だが残念なことに、俺は一度もそこに行ったことがねえんだ。

モン・テーイー
モン・テーイー

玉門って場所ならお前も見てきた通り、一年中砂漠の中を行き交っている。天災の中で軍へ情報を届けて行ったことも、数日間水源を探し回ったことも……きっと経験したことはないだろうな。

モン・テーイー
モン・テーイー

辺境を防衛し、国家を守護する。こういうのは、誰かしらやらなきゃならねえことなんだ。

モン・テーイー
モン・テーイー

玉門にいる軍人と市民らの大多数は現地のモンじゃなくてだな。俺たちは家を離れ、ここに根差してきたが、一つも文句は生まれちゃいねえ。

モン・テーイー
モン・テーイー

だが、玉門が炎国で最も堅牢なる障壁となることができたのは、ズオ・シュエンリャンひとりの功績じゃねえ。あいつはそれを忘れやがったんだ!あいつになんの資格があって、玉門のために血を流した人たちを追い払えるってんだ!?

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

多分だけど、平祟侯のことを誤解していると思うわ。

モン・テーイー
モン・テーイー

じゃあ宗帥は、あいつはなんで玉門を出て行かなきゃならなくなった?

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……それは分からないわ。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

だからこそ、どうしてあなたが自分の手で長年守ってきた玉門を滅ぼそうとしているのかが、なおさら理解できないのよ。

モン・テーイー
モン・テーイー

この幾百幾千年、玉門は何度天災に襲わてきたと思う?

モン・テーイー
モン・テーイー

たかが一回の天災で、ここが滅ぼされるはずがねえ!むしろその逆、ここにいる人たちの心をまた一つにしてくれるんだ!

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……狂っているわ。

倉庫の一角、そこにはやつれた顔をした二人の若者が、酷く怯えながら縮こまっている。

ドゥ
ドゥ

大斉(ダーチー)、小斉(シャオチー)……あんたたち……

ドゥ
ドゥ

ほかの人はどうしたの?防衛軍とトランスポーターの人は?

若い鏢客
若い鏢客

ついさっき鋳剣坊のジジイが、そいつらを解放してくれました……

ドゥ
ドゥ

そう……よかった、無事で何よりだわ……

若い鏢客
若い鏢客

お嬢……お嬢ォ……

若い鏢客
若い鏢客

オレたちのせいで、今回の仕事が……

若い鏢客
若い鏢客

オレたち、一体なにがなんだか……同じ部隊にいた鋳剣坊の人たちに急に気絶させられて、気付いたこの倉庫の中に閉じ込められていたんです。

若い鏢客
若い鏢客

あいつら、一体なにを考えていやがるんですか?

ドゥ
ドゥ

それについては話が長くなるわ。

ドゥ
ドゥ

……

ドゥ
ドゥ

あぁもう、ほら!シャキッとしなさい、なにメソメソしてるのよ!

若い鏢客
若い鏢客

]でも、今回はオレたち行裕物流会社の初めての仕事だったんですよ?なのにこんなしくじっちまって……

ドゥ
ドゥ

初めての仕事でこんな大事になったってことは、この先あたしたち行裕物流会社にもっともっとデカい仕事が舞い込んでくるってことよ!

ドゥ
ドゥ

ほら、そこで泣きじゃくってないで、あたしについて来なさい!

チョンユエ
チョンユエ

剣の行方なんだが、少しだけ目処がついた。

太傅
太傅

お主であれば、最初から分かっていたことだろう。

チョンユエ
チョンユエ

私情によって隠していたのだが、やはり太傅殿は誤魔化せられんな。

太傅
太傅

ヒトであるのなら、私情は避けられまい。

太傅
太傅

その私情が公義を損なわない限り、許されよう。

チョンユエ
チョンユエ

あの剣を誰に預けるか、大方こちらでも目処が立った。ただ最後の試験には、私自らが見定めておきたいと思っている。

チョンユエ
チョンユエ

当然、太傅殿からの許しが出ればの話だが。

太傅
太傅

しかしお主が先ほど申された別れとやらは、決してそういう意味ではないのだろう?

チョンユエ
チョンユエ

先のことを知る者はいない。だからこそ、しっかりと別れを告げておきたいのだよ。

チョンユエ
チョンユエ

此度の玉門の終着点は、京城だ。

チョンユエ
チョンユエ

ヤツもそろそろ、目を覚まそうとしている。

その言葉を聞き終え、老人はゆっくりと身を翻し、再び目線を先ほどの地図へと落とし込む。その地図から、老人は多くのモノを目にし、そして多くのモノに思考を巡らせた。
それから突如とこんな問いが、脳裏から浮かび上がった。“太傅”としてあるまじき問いが。

太傅
太傅

悔しいとは思わんのか?

チョンユエ
チョンユエ

ヒトの一生は、集合離散の繰り返しだ。いつまでも留まることを選んでも、必ずしも遺憾を残さないという訳でもない。

チョンユエ
チョンユエ

ただたまに、私はそれほど多くのことを成し遂げてはやれなかったと思えてしまうことだけが遺憾だろうか……

太傅
太傅

この玉門は、元より千年前に行われたかの巻き狩りのために建てられた城塞だ。

太傅
太傅

ゆえにこの玉門の英雄となるべき者は、草莽より出でし豪傑でも、天に愛されし卓越した才能を持つ長命種でも構わなかったのだが、唯一巨獣の化身だけは許さなかった。

太傅
太傅

こればかりは、司歳台がなんとしてでも守り通さねばならぬ秘密でな。

チョンユエ
チョンユエ

ヒトは生きている以上、毎度毎度、許しや理解を得られるわけでもないからな……

そう言い終えて、男は老人の傍へと近づき、二人は共に国土が描かれた地図に目線を落としながら、しばらくの間無言を貫いた。

チョンユエ
チョンユエ

もし順調にいけば、玉門は半年後に京城へ辿りつけるだろう。

チョンユエ
チョンユエ

地図上に記されたこれらの座標は、玉門が京城へ辿りつく前に、子民らを疎開させてやれねばならぬ場所だ。

太傅
太傅

もし事態が本当にそこまで進んでしまったのなら、玉門は歳と差し違える準備をしなければなるまい。大炎が引き受けなければならぬ代償だ。

太傅
太傅

二十年前、山海衆に襲われた玉門は混乱へ陥った。事態が収束した後、司歳台が事後処理のために玉門へ来られるよりもずっと前、平祟侯は一度私のところへ訪ねてきたことがある。

チョンユエ
チョンユエ

彼はその時から、歳は依然と大炎が抱えている潜在的な危機であることに気付いていたのだ。玉門もおそらく、いずれ再び最初に味わったあの戦場へと舞い戻ることになるだろうと。

チョンユエ
チョンユエ

しかしその時になれば、玉門は再び私や、あの有志の者らに頼るわけにはいかなくなる。最後には、皆ここから離れなければならない。多くの者が家と見なしてきたこの都市は、いずれ滅びるのかもしれないからな。

チョンユエ
チョンユエ

外から見れば、平祟侯は旧情を顧みない冷血な人間に映るかもしれないが、彼は彼なりに重く考えてくれている。それを誰にも言えずにいるだけだ。

チョンユエ
チョンユエ

私も彼も、本来なら同じ友を有していたのだが……

太傅
太傅

重任を担いし者、私情に囚われてはならぬ。

チョンユエ
チョンユエ

二十年も積もりに積もった恩讐もわだかまりも、そこから誤解やら恨みやらが生じてくるかもしれないが、いずれはそれも終わりにしなければならない。だからこそ、ここは私が行かねばならないのだ……

チョンユエ
チョンユエ

これはあくまで私情から来る所望であるため、太傅殿からの許しを得たいと言えた立場ではない。しかし、今だけはどうか目を瞑って頂きたいのだ。

太傅
太傅

……儂はそこまで人情に疎いわけではない。

太傅
太傅

“朔(シュオ)”はかの罪なる獣の一部であったが、今は“重岳(チョンユエ)”だ。炎国に尽くしてくれた恩義を、その子民らが忘れるわけはいかぬ。

チョンユエ
チョンユエ

それはつまり……

太傅
太傅

平祟侯から与えられた命令だが、その範疇はあくまで儂の安全を守ることだ。

太傅
太傅

宗帥が玉門を周到に守ってくれるのなら、儂のところに危害が及ぶわけもなかろう?

チョンユエ
チョンユエ

……感謝する。

(チョンユエが部屋を立ち去る)

男は太傅に背を向け、ゆっくりと門を閉ざしながら軍帳を後にしていった。
一方老人は屋外に目線を向け、小さく首を頷くのであった。

チョンユエ
チョンユエ

ウェイ殿?これは一体……

ウェイ
ウェイ

市中における賊どもの捕縛、私からも助力させて頂こう。

ウェイ
ウェイ

ついでに、宗帥のことも送り出してやらねばな。

その場の空気はとても静寂なものであった。砂が屋根にある瓦へ打ち付けてくる音でさえも、今はくっきりと耳で捉えることができる。
ここの倉庫は密閉されているため、外の様子は窺い知れない。しかし、それでも林雨霞は屋外の動向に耳を澄ませるよう努めている。時間は一分一秒と過ぎ去っており、遠くにある天災雲がまたこちらへ近づいてきたかもしれないからだ。
夜に吹き付ける冷風のように、その場の雰囲気も人の気分も、ますます殺伐としてきている。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……

モン・テーイー
モン・テーイー

どうやら焦っているようだな、リン特使。

モン・テーイー
モン・テーイー

こんな長い間ジジイの話し相手に付き合わせちまって悪かったよ。きっと俺はまだ天災トランスポーターが持ち帰ってきたホンモノのデータを持っているって考えているんじゃないのか?

モン・テーイー
モン・テーイー

ほら、持って行きな。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

要件はなに?タダでブツをこちらに渡す理由はないはずよ。

モン・テーイー
モン・テーイー

ざっくりと計算してみたんだ。ここまで足止めしてやれば、いくら欽天監がホンモノのデータを手に入れたとしても、玉門が天災を回避できるはずがない。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……

モン・テーイー
モン・テーイー

それと一つだけ言わせてもらいたいことがあるんだが、今回の一件は全部俺一人が引き起こしたことだ、連れていかれたあの武人らは関係ない。そこだけはどうか、リン特使にご理解をして頂きたいね。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

いち都市の住民ら全員を巻き込んでおいて、よくもまだ“無関係な人がいる”ってことが思いつけるわね。

モン・テーイー
モン・テーイー

天災と人災。あれはあれ、これはこれだ。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

私をここまで引き留めたのは、ほかにもまだ理由があるんでしょ?

モン・テーイー
モン・テーイー

もちろん。ここまでくりゃ、もう時間を無駄にしちゃいけねえからな。

モン・テーイー
モン・テーイー

実はもう一人、そいつを都市から出す約束をしているんだ。昨日鋳剣坊であんなことが起こっちまったから、こればかりは守られそうにない。せめてあいつが無事ここから脱出できるように、俺に注目を集めさせるしかないか。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

それはあの剣を盗んだ人のこと?でもさっき、剣が盗まれたことは想定外だって……

モン・テーイー
モン・テーイー

やっぱお前冴えてるよ。

モン・テーイー
モン・テーイー

だが、今じゃこの貸し借りもなあなあになっちまった。部外者がとやかく気にする必要もない。

モン・テーイー
モン・テーイー

行かせる人を行かせてあげる、借りがあるヤツには借りを返してもらう。それだけのことだ。

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……

モン・テーイー
モン・テーイー

お前も欲しいものはもう手に入ったんだろ?ならお前も、とっとと行きな。

モン・テーイー
モン・テーイー

最後に一つだけ、推理できていなかったことを教えてやろう。

モン・テーイー
モン・テーイー

俺は何も、ズオ・シュエンリャンだけに恨みを抱いているだけじゃねえのさ。

モン・テーイー
モン・テーイー

わざわざこの時間とこの場所を選んだのは、その別のヤツらをここに誘き寄せて、ついでに古い借りも返してもらうためだったんだ。

(山海衆達が姿を現す)

リン・ユーシャ
リン・ユーシャ

……

(山海衆の頭領が近寄ってくる)

山海衆の頭領
山海衆の頭領

こそこそと隠れまわって、探すのに苦労したわよ。

山海衆の頭領
山海衆の頭領

私たちとの協力関係に背いたわね。

モン・テーイー
モン・テーイー

昨日テメェらが鋳剣坊へ押し寄せてきたのも、俺を殺して口封じをするためだったんだろ?

山海衆の頭領
山海衆の頭領

……

山海衆の頭領
山海衆の頭領

あなたたちはあの小娘からデータを取り戻してちょうだい、この人は私に任せて。

山海衆
山海衆

了解。

モン・テーイー
モン・テーイー

あとな、お前たぶん誤解してるんだと思うんだが……

その老人は腰にぶら下げていた布の包みを解き、至って平凡な、黒ずんだ鉄槌を取り出した。
彼らに睨みついているその老人は、ほぼ歯を食いしばりながら山海衆らに話しかけていたのだ。

モン・テーイー
モン・テーイー

この俺がッ、逃げも隠れもするわけがねえだろうがァ!こっちはとっとと、テメェらを八つ裂きにしてやりたくてウズウズしていたんだよォ!

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