第一幕
迎春
汝の矛をもって汝の盾を攻めよ
汝の盾をもって汝の矛を拒絶せよ
汝の矛をもって汝の盾を攻めよ
汝の盾をもって、拒絶…拒絶…
拒絶…
…
…
…なんだよ、キリが無いじゃないか
どうすれあいいんだ?なんとかしてくれよ…
汝の矛をもって汝の盾を攻めよ…
汝の盾をもって汝の矛を拒絶せよ…
だめだ、「そして」が必要なんだよ。
そして、そして…あ、あった!
そして大きな爆発を起こせば、全部解決出来るんじゃないか?
11:15 P.M 天気/晴れ
大晦日の夜、龍門、国境警備指揮センター
「14区報告、変化なし」
「5区報告、変化なし、全て正常です」
「1区も正常、疑わしい痕跡もありません」
「全て正常です。お疲れ様。引き続き警戒をしてください」
「了解」
「分かりました」
ふあぁ――。
夜勤か、今の状況はどうだ?
ああ、計画通りに移動しているようだ。移動速度も正常だし、何の問題も発見されていない。
唯一報告が必要なオリジ二ウム反応はこれだけですかな。見てくれよ。
…「オリジ二ウム爆薬による爆発の疑い」?どんな状況だ?公園で不法に花火でも打ち上げられたか?
よく見てくれ、場所、場所。
東芳街122号倉庫って、ペンギン急便が借りている――あー、なら大丈夫だ。
今年も平和な年であれば良いんだけどな。
ああ、そうだったらいいんだけどな。早く勤務交代して家に帰って食事をしたいよ。
しゃきっとしろ、ウェイ長官は特に気を緩めるなって念を押していたんだから。
というよりも、俺は龍門はこんなにもでかいのに、何で毎年緊張してるんだっていう…。
一度も衝突なんて無かっただろうに、何か「年末」にでも見れるものでもあるのか?
俺も見たことは無いな。それに、この問題自体も去年も一回聞いてるしな。
実際、今の新人はみんな都市伝説程度にしか見てないって認めてるしなあ。
火を吐く100mもの巨人?本当にそんなものがいるのなら、龍門から何十km先にいても見つけられるだろうし、艦砲で解決出来るだろ。
特別大きな獣のはずだって、ずっと警備してきたけど、こんなものでこの都市を襲撃することなんて出来ないだろうしな。
まあそうなんだけど、それでもしっかりと持ち場は守れっていうのがウェイ長官御自らの命令だからなあ。
もういい、その話は良いだろ。お前たちが監視室でカップラーメンを食べることについては責めはしないし、除夜の晩餐だ。祝儀袋でも待とうぜ。
…。
ウェイ長官は年の瀬っていうのを経験したことあるんだろうか?
上司を疑うのか?
まさか!俺はウェイ長官のために近衛局に入ったんだよ!
だけど、ほぼ都市全ての人力を動員して、何十年も現れていない巨人を監視してるってどういうことだ?
んー、ウェイ長官はいつも慎重で万事周到で話をするからなあ。
そうだけども。
す、すみませんです!遅くなってしまいました!これが前の区間のオリジ二ウム監視報告です!
え?あの…ウェイ長官は?
…ええっと、ここにはいないよ?
え、え?でもチェン警官は総監視室にいるって教えてくれたんですけど…。
ここは屋上だよ…。
下に降りて左に曲がってある一番大きな部屋が総監視室だよ。
え、私は確かにさっきそこから走ってきたのに、もしかして私見逃してた…
ごめんなさい!急いで行ってきますです!
どういう状況だ?それにあれは誰だ?
新しく来たらしい、でも技術部門のはずだったんだが。
彼女が慌てているのを見て、初めて年末を迎えた時が懐かしいよ、俺もあんな時あったな――。
えっと、ええっと、すみません、総監視室はどこですか?
スノーズント?どうしてまだここにいるんだ?
え?チェンさんもう着かれたのですか?
私が君に聞きたいんだが。
チェン、龍門近衛局上級警司
史上最年少の上級警察官の一人、スノーズントの上司。
すすすすみません!道に迷ってしまって!
ここここんな重要な情報を時間通りに届けられなかったということは、私まさか処分されちゃいます…?
いいや、初めて来た君によく道を確認しておかなかった私の誤りだ。
着いてきてくれ。
はい、えっと、了解です!長官!
真夜中なのにこんなにも人がいるなんて…。
毎年こうして万一に備えているんだ。
…万一に備えるですか?あ、年獣の伝説のためです?
君はずっとクルビアにいて、近衛局が年末を迎える姿をみたことが無いのだろう?
子供の時におばあちゃんから「年」の話は聞いたことがありますが…とても怖かったので本気にはしたことがありませんでした…。
火の着いた四足のモンスターが地下に潜伏していて、人々は都市を作る際にそれを起こしてしまって、それで彼らは…ひゃあ!これは本当のことじゃないですよね!
物語、そうだな。
多くの人はこの話を嘘だと思っているが、残念ながら、それは単に自分で紛らわしているだけに過ぎない。
龍門での歴史上の損失というのは嘘を付きはしない。墓標に刻まれた筆跡は全て嘘ではない。
それはもう幾年も沈黙を保っているが、私達はそれでもまだ警戒をしなければいけない。
君は龍門に暮らしてはいるが、帰ってきてからまだ時間は経っていないのだろう。今こそ、過去に君が触れることがなかったものを学んでも良いんじゃないか。
すすすすみません!!みなさん真面目なのに、私がこんなことするべきじゃありませんよね…
えっと、そんなに緊張をしなくても良いんだが…。
実際、このビルにいる人で本当に年越しの獣を目撃した人なんてほとんどいない。
新人もよく疑っているし、近衛局に行動に疑いを持っている人だっている。それが普通だ、私はもう慣れたが。
なるほど…近衛局も大変なんですね…。
ウェイ長官に報告が済んだら、君はしばらく休んで、明日の朝また報告しに来ると良い。
まままま待って下さい!あの、チェン警官!あの、その、ウェイ長官ってどんな人なんです?
今日突然会いたいと言われてしまい…その…。
回答する前に行っておくが君はもっと自信を持つべきだと思う。
ウェイ長官の親書が自発的でも良いからクルビアから龍門に帰ってきて欲しいと招待をしたんだ。自分の能力を信じ、次の仕事で成果を上げることを信じろ。
つまり、胸を張れ。
す、すみませんです…。
…はあ。だからいつも謝る必要は無いんだ。
君は私と話をしているように、君の持っている情報を全てウェイ長官に伝えれば良いんだ。
多く考える必要はない
はい、頑張ります。うぅ…。
ウェイ長官。
お二人共、ご苦労さまでした。
文月、龍門の現最高権力者ではあるが、身分は不明。
…責任重大な夫の内務を担当していると言われているが、真偽不明。
一晩苦労をなされた同僚にはあまり言いたくはないのですが、この報告は予定より少し遅いですね。
それは、私が――。
申し訳有りません、レポートの整理に時間が掛かってしまいました。
それと、先程22区の監視室でカップラーメンを食べていた人がいました。通りすがりに怒ってはおきましたが。
私の調整不足が責任ですので、ウェイ長官の指示を仰ぎたく思います。
…ええ、分かりました。
まずはこの可愛い新たなメンバーを紹介して頂きましょうか。
この方は防衛施設のメンテナンスを担当している上級エンジニア、コードネームはスノーザント、あなたも彼女はご存知かと。
ははははじめまして!わわわわわわたしのことはスノーザントとお呼び下さい!
スノーザント、龍門国境防工部実習新人兼担当者。
史上最速の昇進記録者でもある。本人は全く自信が無さげではあるが!
ああ、いや、チェン警官がもう紹介してくださっていましたね…。
私達ははじめましてではありませんよ、スノーズントさん。
人は長きに会わずとも、日々進歩をしている。クルビアでの錬磨はあなたを成長させたようですね。
お…覚えていましたのですか?
覚えていないのですか?あなたの才能と人徳は多くの人を惹きつけているのですよ。
ましてや、あなたは龍門を離れる前に深く印象的な表現をしていきました。
ウェイ長官はずっと私のことを知ってくださっていたのです…?わ、私は何か聞き間違いをしているのですか?
期待するに値する若者には気を配っているだけですよ。
とととととととても光栄です!私は先輩たちのように話上手ではないので誰も私には気付いていないと思っていました…。
あいにく、私は剽窃や利己目的でごまかしているような甘言には一切耳を傾けないですから。
ウェイ長官、失礼します。私は停泊申請の合図を受け取ったのですが。
――分かりました。
スノーズント、端的に、近衛局は後何人の客人を接待しなければいけませんか?
今夜は龍門で最も堅固な時間になるでしょう。
あ、はい!
ふあ、もうこんなに遅くなってしまいました…。
本来はもっと早かったんだが
うぅ…すみません。家に帰ったらマニュアルをたくさん読んでおきます。
それがいい。
大丈夫です!明日チェン警官が私とまた会った際には、私はきっと正確に各階の構造図を描けるはずですので!
…そこまでする必要はないが。
まあ、今後は君が計画を直接ウェイ長官に報告する必要がある。だから緊張はしないように。
は、はい!
それで、あの…チェン警官は帰って休まないんです?
他にも仕事がある。近衛局は今はもっと多くの人出を出せないのにも関わらず、本当にだめなやつっていうのがいるからな。
それに、一般市民には発表はされてはいないが、近衛局は確かに…手がかりを見つけた。
く、苦労しますね…
大丈夫だ、慣れるからな。
これは君が龍門に帰ってきてから初めての正月なんだ。大切にするといい。
はい!ありがとうございます!
龍門公園
乾杯。
乾杯!!
鬼姐、一杯どうぞ、来年もあなたを頼りにしてますから!
鬼姐のお陰で今年も順風満帆!
鬼姐!俺たちはいつ寺街に行くんです?
…あ、まあ焦るな、時間はたくさんある――。
でも客人を待っているし、彼女はきっと来る。嫌な予感がするし、朝にはまぶたも飛び跳ねているだろうな。
え?客人?誰です?
…私だ。
あなたは。いつからそこに!?
公職を妨害し、公共財産を破壊し、不法に侵入をし、公共秩序を乱し、故意に人を傷つけた。去年は随分と騒いだもんだな、「鬼姐」
それが彼らは求めたものだから。
お前の言う通りにしただけだろう。
チェン殿は忙しい人ですから、きっと去年のことを今年になって思い出しただけでしょう。さあ、チェン殿にも酒を注いであげますよ。
端的にしよう、面倒はかけなくてもいい、お前たちが何をしたいのかくらい分かっている。
だがお前は何処にも行きたくない。
…
それはちょっと理不尽じゃないか、チェン殿?
去年私達がそれを認めたのは私達が悪い体。だが今は何もしていない、それで禁足だと?
貧相だな、去年のお前たちの変な祭りは最後どうなった、もう一回注意しないといけないのか?
近衛局はこれ以上人を多く引き出すことは出来ないから、これからも迷惑をかけないようにしてくれ。冗談を言うな。
冗談を言っているとお思いで?
…。
ああっと――おほん。まあ、私達は長年の知り合いになったんだから、チェン殿。
今年の年の瀬の陣容というのは確かに誇張されていて、不快ではあります。私はまたウルサス人の大砲で顔を塞がれていると思いましたよ。
あなたの話を聞きましょう、私達も規則に従いますので。
…いいだろう。
どうせ最初からそうするつもりだった。
ですが、条件を追加させてもらいます。もし私が勝てば、近衛局が何を見つけたのか教えて下さい。
「今年は特別」…ですよね、チェン殿?
お前はそれは何をするのか知っているのか?。
誰だって知りたいことがあるんですよ。
いいだろう、問題ない、最後まで付き合ってやる。
あなたのその話を待ってしました!おい!酒をもってこい!
隣が少し騒がしいな。
放っておけ、毎年この時期はそうではないか。ごちゃまぜな儀式感というのも必要だろう。
お前と私が警察をしている頃であれば、こんな滅茶苦茶はさせなかっただろうな。
当然者。わしらは毎年獣を撃退したことがあるのじゃからな。
亜音速の巨大源石虫のことか?
わしが言っているのは軍団の時じゃ。
どうじゃったかのう?覚えておらんな?
…待て。お前さっき盤を動かしたな?
どうした、わしにいつ待ったと言った?
ああ、お前は待ったとは言っていないが、私が気づかないうちに直接差し替えただろ。
いやいや、どこをじゃ、ははは―――。
ふんふんふん~♪ふんふん~♪
気分が良いようね。
お正月なのにどうして気分が悪くなるの?
あなたの話も間違ってはいないけど…。
何か良いことでもあったの?
近衛局の試験に合格したっていうのはいい話じゃないかしら?
まあ、ずっと近衛局に入りたいと思っていたのはお父さんの影響を受けただけなんだけど、あなたがこんなにも積極的だとは思わなかったわ。
そういうこともあるわよ。自分からやりたいことを引き出せるのなら、人の言いなりになるよりかは良いでしょ。
あなたらしくないわね…
そりゃどうも。
でも、あなた本当に私だけなのにそんなに嬉しいの?
え…そんなに感情を傷つけるようなこと言わないでよ…。
あ、すみませんね。
素直になればいいのに。
私はあなたがヴィクトリア通貨の為替レートが下落したから、すきに乗じて、 甘い汁をがっぽりと吸い上げられたから暗い気持ちになってたのかと。誤解していたみたいね。
え。
それともレムビリトンに投資した産業が救われでもした?鉱業のことは覚えているだろうけど…手を回す過程はあまり良いものでは無いわね。
あ、あなたどうしてそんなにも詳しいことを…。
うん?もちろん友達だからでしょ。ス、ワ、イ、ヤー。
本気で聞いてるんだけど!本当に!本当に内緒で私を調べていないよね!
そんなことはしないわよ。
…でも近衛局は喜んであなたを手に掲げるかもしれないけど、それでも大きな功と言えるのかしら?
やめて。そういうのやめてよ。
そうよ。実を言うともう一つ嬉しいことがあったわ。
そうね、私達はここでぶらぶらしているけど、パーティもあるわ。彼女は近衛局でデータを見ながらぼんやりしていたけど、口実を作って巡回をして、風を通しに来ただけだけど、あなたはとても嬉しいのよね。
あなたどうして知ってるのよ!
直感よ、私がほとんど何の準備もしないで刑事課の試験を終わらせるために何をしたか分かる?
あ、まさか、あなた見えないような資料を使って近衛局に賄賂を…。
わ!
ああ、爆竹の音ね。ちょっと時代遅れだけど。
ん?どうして急に背を向けて…あ。
…何よ?
あなたもしかして爆竹がまだ怖いの?
まさか。ただ、こんな制御不能な爆発物が日常生活に応用されてしまっていることに不安を感じているだけよ。
爆発物?爆竹じゃなくて?
そうよ。現代の爆竹はオリジ二ウム爆薬を用いた爆発物でしょ?
ちょっと大げさすぎじゃない?
――そんなこと無いわ。
…本気で?
ええ。
あ、子供の頃の子供の趣味を振り返りましょうよ。私達も爆竹を買いに――
そうだ、急に思い出したんだけど、あなたの調査報告書はまだ引き出しの中にあるでしょ。
…わ、私達早く会場に行かないと行けないわね。
通知:各位注意、艦船が停泊します。各位注意、艦船が停泊します。
ドクター、着きましたよ。
・ここは龍門なのか?
・印象が随分と違うな
・….。
ドクターは新年の龍門には初めて来たんですよね?
新春を迎える雰囲気というのはとても魅力的ではありますが、私達には仕事がありますので。
・”年越しを守る”ってことだな
・そもそも”年末”って何だ?
・…
「年」は伝説…多くの人はそう思っています。
しかし記録によれば、確かにそのようなおかしなことはあるみたいです。
年末の変わり目になると、龍門や炎国、さらにはこの近辺のウルサスの国土の一部までもが攻撃されるようで。
・襲撃か?
・おかしな現象?
・今日は暑いな
文字で確認出来る損傷の記録はあったとしても、それより過去の話ではぼやけてしまっていることも多いんです、
巨大な食人怪獣とか、怪しげな軍隊とか、何人かの奇異な術者とか言われていますが…。
一部の犯罪組織や下心のある陰謀家が「年災」や「災獣」といった看板を掲げて犯罪活動をしているだけと思いこんでいる人もいるみたいです。
…ええっと、ドクターは会議の話を聞いていなかったのですか?
・…
・…
・…ごめんなさい。
ロドスのみなさん、龍門にようこそ。
ウェイ長官が近衛局でお待ちになっています。皆さん、私についてきて下さい。
とりあえず、まずはウェイ長官の所に行きましょう。詳しいことは彼女が説明をしてくれるはずです
ですが、ドクター、ラヴァを見ていませんか?
こ、これで何本目?
鬼姐、もうそろそろ…
数字。
17!
あ…お前いつからこんなに飲めるようになった?
近衛局だとこんな交際しょっちゅうあるからな。
お前*龍門での悪口*はいつも何と交際してるんだよ…くそ…おえ…
あー、あっつ!おい、冷たい水を持ってこい、ビールでも良いぞ!
鬼姐、あんた本当にもう飲まないほうが…。
彼女の面倒を見ておけ、どこにも行くなよ。
まあ、そうするしかないよね。鬼姐、水。
ごく――ごく――はあ!
チェンとかいうやつ…今度新年の挨拶に来る時は…ゲプッ…滅茶苦茶な言い訳するなよ?
身分不相応だ。
お前が負けたからには、私は――あー。
――?チェンさん、あなたも少し揺れているような?
錯覚だ。
…お前たちも準備をしろ。万一ウェイ長官の推測が本当なのであれば、私達は隆蒸団街全体でする必要が――
ちぇんさん、あなた本当に大丈夫です?
*深呼吸*ふう――。
彼女が目を覚ましたら、近衛局が「年」の手がかりを見つけたと言っておいてくれ。
手がかり?ひょっとして巨大な足跡でも?
原因不明の巨大な穴に、溶けた廃屋、大きな焼け焦げた後が残っている。
ええっと…年の真の姿は実は源石虫だと聞いたんですけど本当なんです?
鬼は知っているだろう。
斥候にはいかなる術跡も見当たらなかったが、その痕跡は最近に残されたのもので間違いはないが。
つまり、もし本当にその万が一があれば。
お前たちにも助けてもらう。
ところで俺たちはどうして忙しい警察を手伝うんです?
お前たちは戦えるからだ。
…そういうのちょっと良いですね!流石チェンさん!
それにしても、今日暑くない?
早い春ね。
いやいや、まだ真夜中よ。春先とか言う問題?
いや、もういいわ!あの龍は返事してくれたかしら?
…まだね。近衛局の通信システムはこういうことをするためじゃないんだけども。
今日は定休日かって?大丈夫だって、どうせ私のプライベートチャンネルだから。
ふふ、下城区の路地で罵声を浴びせられるかもしれないけどね。
…ウェン、何処かで火事でもあったのか?
正月に何でたらめを言っているんだ?
いや、おかしい、太陽が落ちきったというのにどうして逆に暑くなってきている?
正直なところ、少し嫌な予感がするんじゃ。
今年は娘と一緒にいないから、心が落ち着かないだけだろう。
お前に何が分かる。
早く降参しろ、話題を変えるな。また手を動かすチャンスを与えると思うか?
…ちっ。
あ、交代の時間だ。
報告はまとめたか?
とっくにな、明日の朝、お前が先に来たら、コーヒーを持ってきてくれよ。
本当に…
あ、そうだ。これやるよ。暇つぶし。
何だこれは?
…『年の瀬伝説:多国災害史考証』?。
ちっ、面白くねえな。年っていうのはどうせ渦巻いた不思議な結社に違いないだろ、どうして怪獣説を信じる人がいるんだ?
何してるの、長い間探していたのに。今の人達はどうなってるんだよ、何年も経たない内にすっかり変わってしまっているじゃないか。
ああ、ここだ、見てみよ。ええっと、こんなに多くの新しい書式を作るなんて全く意味がないよね
――レユ、ニオン、ムーブメント?
ん…ん…ん?
何?情報はこれだけ?
だったら私が直接想像力を働かせたほうが…いや、もういいや。彼らが耐えられないかもしれないし…。
よし、よく考えてみるか。
あ――あの――
これで良いかな?起動してみて…
――*電流音*――。
システムの起動に成功。
実験開始ログを記録。声紋確認。所有者:スノーズント
現在の室温は14度。ロジック判定:室温正常ではありません。
今回は成功した…!うう、犠牲になった電気代も何とか報われました…待って、不正常?
うぅ…校正日誌があるとおもうんですが、何処です?
校正日誌編目数:1。
これですかね?
室温判断:エリアの同期温度より明らかに高くなっています。実験を行うところと推測。検索しましたが熱源は見つかりませんでした。以上の項目が入力されています。
えっと…オリジ二ウム反応を探る機能は後に加えられたものですが、思ったよりもずっと敏感なんですね…。
少し範囲を広げてみましょう。
検出範囲拡大に失敗。原因:範囲内に大量の反応対象が現れないことから、システムの呼称が推測されます。検査中です。
考えろ私…オリジ二ウムの反応を監視するアーツ自体はオリジ二ウムの反応を利用した波形反応であり、無反応物ということはオリジ二ウムアーツでは全く探知検出出来ないということ…。
オリジ二ウム反応を絶縁している?オリジ二ウムに対して完全に絶縁出来る素材…?
…そんなはず無いです!
えっと、ということは本当に故障したということじゃ…うぅ…電気代が…
以上が以来の全てです。
ロドスは関係問題を処理する点では常に優れています。今回の強力でも期待していますよ。
ありがとうございます、ウェイ長官。
アーミヤ、ロドスの責任者、まだ若いながらも人望がある。
(ドクター!ラヴァはまだ見つかっていないのですか?まだ?)
こほん。ウェイ長官、あの…。
龍門境内で行動するオペレーターリストについて、本人が不在でも登録しても良いですか?
…それはラヴァさんのことですか?
・ウェイ長官は英明ですね。
・私は驚いたほうが良い?
・…
ラヴァさんは災害の専門家で、彼女は古い災害に対して独自の研究を持っています。これは私達がロドスを信じる上でも重要な要因です。
もちろん、ロドスのほとんどのオペレーターは素晴らしい実力を持っていることを理解しています。ですがラヴァさんの手には年についての――
ウェイ長官!お話を中断させてしまい申し訳有りません、緊急事態です!
どうぞ
龍門市内にて識別が出来ないチームが現れました。
…レユニオンのシンボルがあるようです。
この痕跡は…。
そう言えばあいつらは都会に潜り込んでいたな
いや、一人しかいないはずだ。あいつらの中の一人、記録と同じだ。
…まあいい。
今度来るのが誰であろうと止めてみせる。
決して同じ過ちを繰り返すことは無い。絶対に。