アビサル所属オペレーター「スペクター」とは
「スペクター」は修道服に身を包んでおり、丁寧ながらも何処か狂気を孕んだ言葉遣いが特徴の人物で現在は感染者として現在はロドスに収容されている患者でありオペレーターの人物。
スカジと同じく謎が多い「アビサル」所属のオペレーターであることが明確に明らかになっている人物なものの、オリパシーが原因により過去の記憶等が混濁しており、ロドスに訪れる前等の詳細な過去は不明となっています。
スペクターのモチーフ
スペクターのモチーフは矛盾している場所がいくつかあり、本当のモチーフというものが何なのか確定していません。
「スペクター(Specter)」とは幽霊や亡霊、恐ろしい幻影というもの意味となっており、また大陸版での表記は「幽灵鲨」、つまり「ギンザメ」のことを指しています。
ギンザメ
ギンザメは上記の画像からも分かる通り、サメという単語が付きながらも、一般的によく見るサメとは似ても似つかぬ姿をしています。それもそのはずでギンザメはサメとは遠い親戚ではあるものの、詳細に分類するとサメではありません。
学名は「Chimaera phantasma(キメラ ファンタズマ)」、つまり、キメラのお化けというような意味を持っています。英語では顔つき等からRat fishやRabbit fishと呼ばれるなどとにかく呼び名が安定していません。人によって様々な姿に見えるということでしょう。
なお、ギンザメはサメとは違い深海に生息する魚で生きた化石とも呼ばれています。
しかし、昇進2に描かれているモチーフらしきイラストはギンザメとは似ても似つかぬサメです。背びれが2つあるということやイラストに描かれているサメがあまり大きくないということなどからオオメジロザメであると考えられます。
オオメジロザメもサメとしては一般的なイメージと同じく凶暴な性格をしていますが、他の危険なサメとは大きく異なっている点があります。それは淡水の場所でも生活することが出来るため、川や湖にも出現することがあるということ。
アークナイツの世界では海は一般的ではありませんが、川や湖はそれらを内包する移動都市すらもあることから普遍的な存在であり、絶対的な隔たりが存在します。
後述しますが、スペクターの資料にはスペクターは「監禁から逃げ出した身で、ロドスにあるメッセージを伝えに来た」ということが記載されています。オオメジロザメが海から川や湖に移り住んでくるように、スペクターも海から移り住んできたと捉えることが出来るかもしれません。
オリパシーの症状
【源石融合率】14%
体に源石結晶は生成されていないが、神経系への感染は顕著。症状の原因は未だ究明できない。【血液中源石密度】0.31u/L
まだコントロールできる範囲ではあるが、もしスペクターの具体的な病状を解析できなければ、正確な
病状は把握できず、検測データも意味をなさない。また、スペクターには重症な精神障害がある。記憶障害や感情障害、認知障害、またその他にも障害があるかもしれない。
私は精神科医ではないのでそれが先天性か否かは判断できないが、彼女の心理状況を資料として記録してほしい。
――医療オペレーターサイレンス
スペクターの症状は健康診断や資料に記載されている通り、明らかになっているだけでも神経系の感染に伴う重症な精神障害、記憶障害、感情障害、認知障害、そして身体機能の大幅な低下となっています。
記憶障害、感情障害とスペクターの性格
この中でもセリフ等から特に顕著に顕れている症状は記憶障害、感情障害と言っても言え、スペクターの資料内容とセリフには一貫性がありません。
…………ウフフフ……アハハハ……ハハハハハハ……。
――スペクター 会話3
……わ、私に何をしたのですか?どうして私はよくわからない薬を飲まされたのですか?誰が私をここに連れてきたのですか……教えてください……!!!
――スペクター 信頼上昇後会話1
戦闘中のスペクターの姿は日常生活とは真逆であることだ。戦闘でのスペクターは従順で静か。たまに出る独り言以外、彼女はただ妨害してくるものを排除し、全ての命令を遂行することに集中する。
――スペクター 第三資料
資料やセリフを見る限りではスペクターは何故ロドスにいるのか分かっておらず、どうやって来たのかすらも分かっていません。
一方でよく分からない薬を飲まされたことは覚えており、このよく分からない薬を飲まされたタイミングがロドスに来る前なのであれば、スペクターからすれば過去の記憶と現在の記憶が分断されてしまっていることになります。つまり、ロドスを訪れた以降の記憶はスペクター本来の人格には一切ありません。
そして、ロドスに来た直後と現在の日常での会話、戦闘時の態度は全てが別人とも言えるようなものとなっており、果たしてどれがスペクターの本当の性格なのか分からないほどで多重人格の類いにすらも見えます。
先述したスペクターという名称とモチーフとなって描かれている生物が異なっている点は、スペクターの今の性格や姿と過去の性格や姿を表しているのかもしれません。
ロドスに来た経緯と発言の矛盾
スペクターがロドスに引き取られた時、自分は監禁から逃げ出した身で、ロドスにあるメッセージを伝えに来たと話した。その時の言葉遣いは丁寧で、態度も誠実だった。
しかしそのメッセージを伝え終わる前に、スペクターは黙り込んだ。正気を保っていられるギリギリの最後、彼女は迎えに来るオペレーターに陰謀者が企てる暗闇に、彼女は再び闇に堕ちるかもしれないと伝えた。
彼女が着ていた修道服を脱がすことに失敗した後、彼女の精神はついに崩壊した。――スペクター 第四資料
スペクターは資料を見る限りではロドスに来た時点では心神喪失状態ではあったものの、ギリギリ正気を保っており、修道服を脱がすことに失敗した後にスペクターの精神は崩壊、今のような状態に陥ったと取れる記載がなされています。
しかし、これには疑問を感じざる負えないセリフがスペクターには存在しています。
……わ、私に何をしたのですか?どうして私はよくわからない薬を飲まされたのですか?誰が私をここに連れてきたのですか……教えてください……!!!
――スペクター 信頼上昇後会話1
夢を見ると、理解できないものが出てきたりしますわよね?そう、それはあの御方からの絶望の知らせ。そして私はあの御方のお使いとして、それを届けに来たのです……フフ……。
――スペクター 信頼上昇後会話3
信頼上昇後会話1のスペクターの本来の人格と思われるセリフは「誰が私をここに連れてきたのですか」と発言しているように、何故自分がロドスにいるのかよく分かっていません。しかし、資料では自分は「監禁されていたが逃げ出した身」だと話しています。
「私は監禁されて逃げ出した存在だ」と発言した人物が、何故ロドスにいるのか分からないという発言をするでしょうか。ロドスの事を「ここ」と表現していることからロドスアイランドという名称すらもこの人格のスペクターは分かっていない可能性があるのにも関わらず。
そして信頼上昇後会話3では「あの御方のお使い」としてそれを届けに来たと発言しています。あの御方が誰なのかは分かりません。しかし、「お使いとして届けにきた」というのは資料の「逃げ出した」という記載とは矛盾しています。
だが、ケルシー医師の推測では、スペクターの過去は当該教会と深くつながっており、現在の証拠と真逆の真相が存在する可能性があるという。
――スペクター 第二資料
本来の人格のスペクターは何者かに監禁をされていた可能性はあります。ですが、監禁から逃げ出してロドスに訪れた際のスペクターは本来の人格が身体を動かし、監禁から逃げ出してきた存在なのでしょうか。
先述した通り、スペクターの本来のモチーフである生物はオオメジロザメで、オオメジロザメは海から川に容易に移り住むことが出来る生物でもあります。「あの方のお使いとして絶望を届けにきた」という発言と掛け合わせるのであれば、あのお方にとっては容易に海以外での生活に適応することが出来る存在はお使いをさせるには絶好の存在なのかもしれません。
スペクターの武器のモチーフ
スペクターの武器は非常に特徴的なものとなっており、回転ノコギリや啓蒙高まる武器等色々言われています。当然このような武器は現実には無いので今回は回転ノコギリという名称で統一していきます。
この回転ノコギリとスペクターのモチーフなのではないかとされているものは2つあり、1つは既に絶滅したサメ「ヘリコプリオン」です。
ヘリコプリオンの歯の化石
ヘリコプリオンは螺旋状に生えた牙下顎にを持っていたとされるサメで非常に特徴的な、まるで回転ノコギリのような形をしたものとなっています。
もう一つは「バケットホイールエクスカベーター」という非常に巨大な採掘機であり、採掘部分がスペクターの回転ノコギリと非常に似通った形をしています。
バケットホイールエクスカベーター
そして、回転ノコギリの中央付近にはレム・ビリトンの企業ロゴがプリントされており、レム・ビリトンは採掘企業でもあるので、関連性としてはこちらのほうがかなり高いかと思われます。
スペクターの修道服
スペクターの修道服はウィンプルと呼ばれる頭巾の部分が非常に特徴的な形となっています。これはおそらくはギンザメのヒレの部分とギンザメがRabbit Fishと呼ばれていることを表現したものと推測されます。
修道服は神と人びとへの奉仕にささげられた人の印としての意味があり、これはスペクターも例外では無いでしょう。
彼女が着ていた修道服を脱がすことに失敗した後、彼女の精神はついに崩壊した。
――スペクター 第四資料
修道服を脱がすことに失敗したという非常に違和感のある記載があり、これを見る限りではこの修道服はスペクター本人の力では脱ぐことは出来ないのかは不明ですが、他人の力では脱がすことが出来ないということが伺えます。
この精神の崩壊が修道服を脱がそうとしたことが起因となっているかは分かりませんが、修道服がスペクターをシスターという枠組みに縛り付けていることは明らかで、何らかの力がこの修道服を通してスペクターに流れ込んでいるのかもしれません。
あれは、もしかして?いや、今はスペクターと名乗ってるだったはね。シスターの恰好なんてして、いったいどういうつもり?記憶がない?それは厄介ね……ドクター、彼女には気を払っておいてね。自分の本当の役目を忘れるなんて、ダメに決まってるわ。
――スカジ 会話3
ロドスが様々なルートから集めた情報によると、かつてスペクターはとある教会に所属する修道女だった。
――スペクター 第二資料
そして、スカジのセリフからも分かるように、スペクターはスカジが知りうる限りでは以前のスペクターは修道服を着ていなかったことが分かります。
一方で資料にはスペクターはとある教会に所属する修道女だったとも記載されています。これはスカジからではスペクターの足取りが追えない時期があったということを示しており、この教会がスカジの知らない存在かこの教会が何をしていたのか窺い知ることが出来ない存在だったということが伺えます。
つまり、何処かの場面、スカジとスペクターが出会うことが出来なかった時期にスペクターはこの教会と何らかの出来事があり、修道服を着た又は着せられたということになります。
スペクター本人が自らの手で修道服を着たのか、それとも着せられたのか。どちらにせよ修道服は神と人びとへの奉仕にささげられた人の印から分かるように、スペクターも「あの御方」やそれに付随する「何か」に身を捧げる存在となってしまっていることが伺えます。
クトゥルフ神話との関係
当然ながらスペクターもクトゥルフ神話との関係性があると考えられています。
満天の星が見える部屋をお願いできますでしょうか……。
スペクター 建設施設
クトゥルフ神話には「星辰が正しい位置についたとき、クトゥルーは目覚め、ルルイエは再び浮上すると伝えられている」という一説が存在します。
星辰とは星の位置、つまり星座の形のことで、神々達はこの星座の位置が狂ってしまっている現在は死ぬことは無いにしても生きていることが出来なくなったとのこと。そして、この星辰の位置が再び正しくなった時には海底に沈んだ都市「ルルイエ」が再び浮上し、クトゥルフが地上を支配するとしています。
わたしの担当しているキャラたちの誕生日お祝い絵シリーズ
スペクター、彼女に月を#アークナイツ #明日方舟 pic.twitter.com/DNhSIhCrYQ— Skade (@skadels) February 12, 2020
クトゥルフ神話の世界でも月は存在しています。月の裏側には都市が存在しており、ムーンビーストと呼ばれる化物が存在し、この化物達はレンと呼ばれる人間もどきを奴隷として扱って地球等に取引を行っています。
最も肝心な点はレンはこのムーンビーストを信仰の対象としていること、そしてムーンビーストはニャルラトホテプを信仰の対象にしているということです。
Skade氏はナイチンゲールの衣装「挽歌」からも分かるように断片的な情報を様々な場所に配置してきます。上記のイラストにも意味があるのであれば、「彼女に月を」という文章に意味があるのであれば、スペクターの現在の信仰対象と思われるあの御方はクトゥルフ神話においてのムーンビーストなのかもしれません。