


ヘドリー
…分かった。

ヘドリー
ああ、それで問題無い。各支隊間で連絡を回してくれ。

ヘドリー
…了解。

ヘドリー
…おい。

ヘドリー
みんな、しばらくここで滞在をしよう。

イネス
どうしたんだ?

ヘドリー
先遣隊が天災雲を観測した。この付近なら天災の影響が無いから万一の時に備えて出来るだけ天災から遠ざかっておこう。

ヘドリー
いずれにせよ、こんなリスクを負うことなんて出来ないからな。

イネス
…天災か。

イネス
こんな荒野の中で猛威を振るう天災を肌で感じることが出来るなんてな。

ヘドリー
そうだがカズデルとオリジ二ウムの付き合いは歴史から見ても長いんだ。それほど慌てることじゃないさ。

ヘドリー
…Wは?

イネス
あいつ自身のチームにいる。

イネス
…探しに行くか?

ヘドリー
俺は…確信は出来ないが。Wは大きく変わったな。

イネス
Wはテレジアを失ったことで性格が大きく変わったと思う。

ヘドリー
だが今の彼女は冷静なWとはとても思えない。

ヘドリー
それに先の戦場で見かけた時の彼女はやはりこの世に対して不服というような顔をしている。

イネス
以前よりはマシにはなったと思うがな。

イネス
珍しいな、お前がこの微妙な違和感に気付くとは。

ヘドリー
…皮肉を言わないでくれ。Wが静かになるというのは、それは「微妙な」違和感では無いだろう。

イネス
Wは――あ。


イネス
山の向こうで雲が集まっていて、気圧の変化が凄まじいな…これが天災か?

ヘドリー
あの規模だとここに駐屯していても安全ではないかもしれないな。全ての支隊に通知して、元のルートに従い50km後退しよう。

ヘドリー
Wを探してくれ、急げ。

イネス
…私に命令するな。

ヘドリー
ああ…。

イネス
Wが私に与えた感じ、それと似ているな。今は。


W
――あら。

イネス
W!お前何をしているんだ――!

イネス
ここは――風が強いんだぞ!

W
何をしているって、天災を鑑賞してるんじゃない!

イネス
気でも狂ったか――

W
何言ってるの?き――こ――えな――

イネス
そうだったな、お前は元から狂ったやつだったな!

W
私はもうあいつらをヘドリーにくっつかさせて逃げさせたわよ。そこまで馬鹿じゃ――あ。

イネス
W!お前少しは気をつけろ!チッ!

W
あなたこそここに来ちゃだめじゃない。落ちたら耐えられないわよ――

イネス
お前が耐えられるとでも?死にたくなければさっさと戻ってこい――!


ヘドリー
…二人揃って何をしているんだ。

イネス
あいつに聞いてくれ。

W
彼女が私の邪魔をしてるんじゃないの。

ヘドリー
…えーっと。

ヘドリー
幸いWのチームには損失は無い。だが、レユニオンの指導者と合流する前に先にお前たちは軍事法定に行くことになるぞ。

イネス
…

ヘドリー
先に帰って休んで、通知を待て。

W
天災の中で戦うってのはどう?オリパシーが怖い?嵐が怖い?

イネス
私はただ単純に死にたくないだけだ

W
私達は全部のことを事前に適応しておかなければいけないの。

W
これは面白い体験になるわ。


ヘドリー
イネス。

イネス
やめてくれ、私は怒っていない。子供の喧嘩じゃあるまいし

イネス
Wは…チームを上手く配置している。

ヘドリー
珍しいな。

イネス
せっかくだ…あいつが更に気が狂ったのか、それとも…あいつが…ええっと。

イネス
あいつは馬鹿げた天災雲であり、あいつは天災なんだ。

ヘドリー
(悪口ね…)


W
ふんふんふん~ふんふん~。

サルカズ戦士
上機嫌だな。

W
当然よ。

W
報せがあるのよ、カズデルとかいう終わってる所から離れなければいけないっていうね。

サルカズ戦士
だからと言って合流地点を天災雲の下にする理由にはならないだろう…お前は俺の命が必要ってか…

W
まあ、そう言わないでよ。

W
狂人にでもなれば何か良いことでもあるんじゃないの?

サルカズ戦士
あまり分かりたくはないが、もう分かったしな。結局はお前の話を聞かないといけないんだってことを。

W
それで良いのよ

W
良いことに、あなたがやっていることが論理的では無ければ無いほど、ますます人に疑われないってことね。

サルカズ戦士
はあ。

W
確かにロドス号はカズデルから離れた、そうよね?

サルカズ戦士
正確にはそんな大きなサイズの船が後ろにはいないことと…テレジアが袋に入れられているということだ。

W
それで結構よ。

W
ええ、まだ手掛かりはあるはずなのだから。


タルラ
…ああ。

タルラ
歓迎しよう。

タルラ
遠方から来た戦士よ。