
第三通信兵、武装解除!

第七通信兵、通信装備を破壊!

第八通信兵、鹵獲成功。

Raidian、直ちに陽動を仕掛けろ!君のアーツで影響範囲を拡大させるんだ、彼らの神経に直接打ち込んでしまっても構わない!

敵を全て引きずり出せ!

はぁ、はぁ……キツい。皆さん大丈夫ですか?

今はまだ大丈夫だ……でも……本当に9戦闘が激しすぎる。こんな規模の戦闘いままでやった試しがない……

もし帰ることが出来たら、絶対休暇を取ってやる!

はい。そのときはちゃんと許可します。

でもまずは……あの小隊を潰さないといけません!その後であれば、昇給、長期休暇、特派、なんでもOKです!

敵軍を発見!

歩調を乱すな!隊列を組み直せ!

東面出口で交戦中だと?油断するな。こちらは微速前進で押し上げる、敵に突破される機会を与えるな!

あの戦術はウルサスのものではないな、炎国でもない。どういうことだ?今回の敵は誰だ?

長年ウルサスを待ち伏せていた我らが今回は翻弄されているだと?

本格的な戦闘は起こっていない?……臆病者どもめ!遊撃隊を舐めるな!

祭壇に気をつけろ!大尉が俺たちに施してくれた保護はせいぜい影響を軽減してくれるだけ。必要でない場合は無闇に近づくな、との命令だ!

通信兵、早くほかの隊に知らせろ。

……応答がないだと?

迫撃砲手たちは?サルカズの連中はどこに行った?

……

いや待て。何かがおかしい。

第十二組の通信兵、通信装備を破壊!

遊撃隊が隊列を集中させた!突破するチャンスだ!

・いや!それはおそらく罠だ!

……ええ……

わかりました。ローズマリーさん、アーツで付近を捜索しましょう!

それが届かないんです。敵が……何かで私を通らせないようにしています。

サルカズの術師だ。彼らしかローズマリーのようなアーツの対抗手段を持っていない。

でしたら私に任せてください……!

Raidian、あとどれぐらい保つ?

……進攻速度を上げる。

み……見つけました。はい。彼らが潜んでいる建物内に、狙撃手と術師も大勢います。

落ち着いている……何人かは興奮状態にありますが。でも全然理性を失っていない。彼らは……拠点を死守しています。

……使命、ですか。

ドクターが言ってた通り、あれは確かに罠です。

アーミヤがいる位置の近くまで来ました。私に任せて下さい。

やれそうですか?

うん。建物自体は壊さないで、彼らがいる階の地形だけを破壊します、でなければ彼らは私たちの邪魔をしてくるから。

アーミヤ、私なら出来ます。

うん、ローズマリーさん……あなたならできると信じてます。きっと。

……じゃあアーミヤは私を「佩服(ペイフー)」してくれますか?

え、なんですか?

ブレイズから聞いたんです、アーミヤを「佩服(ペイフー)」させられる人はすごく少ないって。

ペイフー?あ……尊敬みたいなことですか?ごめんなさい、炎国も言葉はまだよくわからなくて。多分そういう意味ですよね?

私も分からないです、アーミヤ…。

……いえ。ただ私は最初からローズマリーさんのことすごく「佩服(ペイフー)」してますよ?

ローズマリーさんは本当にすごいです。私だったら克服出来ませんから……

何かを失うことと孤独ということは。

私はローズマリーさんみたいに我慢できませんから。私なら耐えられませんよ。

アーミヤの嘘つき。

……

でも私は気にしませんよ。アーミヤが嘘つきでも、アーミヤはアーミヤです。

私みたいな……人でも尊敬、してくれるのですか?

あなたが言った通りです、ローズマリーさん。ローズマリーさんはローズマリーさんだから、すごく尊敬しているんです。エリートオペレーターとしてのあなたでも友だちとしてのあなたでも。

ローズマリーさん、がんばって。

うん、頑張る。

まだ現れないのか?敵は何を待っているんだ?

いや、ダメだ!この区域からの離脱は許可できない!やつらが現れた次第、反撃に出る!

これ以上通信兵を失うわけにはいかない!
(建物の最上階に立つローズマリーの姿)

待て。向かいの建物の最上階に立っているのは、敵か?

……ネコ?小さなフェリーン人……!?

通信兵!即刻術師たちに知らせろ!敵は街道を挟んだ建物の上に術師を配置した!やつを潰せ!

――剣?武器?やつが空中から……

あ?宙に浮かぶ武器?

ここから、こっちまで。

手で……上を掴んで。剣で、横に切る。

……ジャガイモをスライスするように。
ジャガイモをスライスするように。
(斬撃音と建物が崩れる音)

ドクター!私から離れるな!

・建物全体が……真ん中で切られた?

ローズマリーが遊撃隊の潜伏地を破壊しているんだ、落石に注意しろ!

・……あれは一体何なんだ?

ローズマリーのアーツのことか。君はもう数回目にしたから、説明してやったほうが良さそうだ。

あれ彼女の精神状態が形になったものだ。ローズマリーの「観察できない、作用も与えられない巨大な形体」と解釈してくれればいい。

実体のないあれは彼女の触感を広げる。それで彼女はモノを掴んだり、握りつぶしたり、摘まんだり、投げ出すことができる。

だが彼女の主観的精神と比べて、この類のアーツは客観的体現に欠けている。

アレは私たちを好きなように扱える、だが私たちはアレを触れることすらできない、特殊なアーツを通して「アレは確かに存在する」と分析することしかできない。

難解なことだと思うかもしれないが問題ない、君の専門分野ではないからな。

武器を預ける前の彼女は、大規模な破壊行為しかできなかった。残ったのはまるで移動都市に蹂躙された光景と、廃墟と、そこに膝を付いて大泣きする幼い少女だけだった。

そんな光景は二度と起こしてはならない。

……ドクター、行くぞ。

見えたぞ。敵指揮部隊がまもなく姿を見せる……

廃墟になった公園の噴水。その下に水道があるはずだ。

あんな微塵も目立たないところに隠れていたとはな。

……灰鬣峰に七日七夜身を寄せた、当時最強を謳った征戦の騎士たちすらも彼に欺けられたあの伏撃戦は、どうやら本当らしい。

今だ、行くぞ。Dr.○○、時間は待ってはくれない。

Raidian、攻撃中止だ。一旦隠れろ、今から君に情報伝達に専念してほしい。

Mantra-2、私たちの交信を記録してくれ。一文字も漏らすな。

第十四組の通信兵、鹵獲に成功。

アーミヤ、ケルシー先生、準備出来ました。

(無事か……口を開けろ!私を見ろ!)

(よし、意識はあるな。私は平気だ。大丈夫。お前は隠れていろ、見つかるなよ……お前には隊を新しく組織化てもらいたいからな。)

(わかっている。我々が敵を食い止める。声は出すな!)

(俺は大丈夫だ、怪我はない。こんな石ころ、ウルサス人の破城槌に比べれば、どうってことない。)

(おい慌てるな!俺に任せておけ、お前はチャンスを窺え!)

――

おい貴様ら!何をウロチョロと見ている!進攻はどうした?

貴様らがどこの部隊かは知らんが、先ほどまでの攻勢はどうした?パトリオットの血筋たちと巫術に怖気づいたか?

サルカズ人との戦争を思い出したのか?サルカズ軍より多勢で、優勢に立っているのも関わらず、最後は無数の死傷者が出るからな!

だが我らを見くびるな!貴様らは我らの盾と、我らの鎧すらも穿っていない!不動のパトリオットの前であれば貴様らは何者でもない!

ウルサスの最も偉大な戦士は……槍も盾も必要ない、ひと踏みで、貴様らを木っ端微塵にしてくれる。

貴様らは……虫けらにも及びはしない!

我らの戦士はもうじきここに再び集う!逃げられると思うな。レユニオンが貴様らを骨の髄まで苦しませてやる!

貴様ら迫害者……我ら感染者を隷属する迫害者どもめ!貴様らは必ずやレユニオンに呑まれる!

レユニオンは――

レユニオンはあなたたちを裏切ったかもしれませんよ、戦士さん。

――女の子?

……

二人の……感染者の女の子?

何のつもりだ!?何の小細工のつもりだ!!

どいて。

あなたの後ろの彼が背負ってる装置を破壊する。

……

お前がそんななりをしているからといって手加減をするとでも?

パトリオットの盾衛兵を舐めるな!我らは感染者の盾……俺がここに立っているのは、お前の攻撃を防ぐためだ。

感染者を攻撃してみろ、生きたまま捻りつぶしてやる!

じゃあ武器で話し合うしかないね。

お……お前はさっきのネコか。

お前のその剣は……

衛兵、早く行け!早くほかのやつらに知らせるんだ!俺のことはいい!)

(それはお前の使命だ、俺のではなく!お前は生き延びろ!)

どうした、この盾を貫けるとでも思っているのか?私の甲冑に傷をつけれるか!?

アーミヤ。ほかの方法は無理です。

ですが……

死なせたりはしません。これから立つことはできなくなるかもしれませんが。

・待っ――

さあ。穿て……
(斬撃音)

いや、ならん。
(衝撃音)

!?

そんな……素手で私の剣撃をずらした?

うっ……手が……痺れる……

いつからここに?感じ取れなかった……

いや。それとも……私が感じ取っていた建物が崩れるようなあの感覚は、あなたの近づいてくる感覚だったという訳ですか。

あなた一人の、いや、あなたとあなたの隊列が……連ねる…

…山。

……

ローズマリー、撤収しろ。

でも私はまだ……

ローズマリー、これ命令だ。

命令に従え。

大尉……!

良く、やってくれた。行け、隊に戻れ。

そして、お前たちが……

ロドスだな。

今の私は、お前たちがどんな身分で、あろうと。

お前たちは、私の戦士たちを攻撃した、であればお前たちには、死あるのみ。

身分はどうだっていい、だが立場はどうなんだ?

それもまた、関係ない――

いや……待て。

お前は……

……ボジョカスティ。

な……なぜあなたが……

久しぶりだな。

あなたは……ケルシー、卿?