


スズラン
フォリニックお姉さん……怒ってるんですか?

フォリニック
彼らのあの態度が何を意味してるのか、はっきりとわかったわ……

フォリニック
でも、でもアントならきっと大丈夫、彼女は私たちの誰よりもリターニアのことを知り尽くしてるんだから!

スズラン
うん!アントお姉さんならきっと大丈夫。

スズラン
きっと……

町民
……

スズラン
でもやっぱりここら辺はちょっと静かで怖いような……?

フォリニック
そうね、私から離れないでね。

フォリニック
どうやら一般の住民だけでなく、感染者もたくさんいるようね、でも重要なのはそこじゃない。

フォリニック
さっきの暴徒を阻止するときに思ったのよ。この大通りの様子は、どう見たって普通の街並みと変わらないわよね?

スズラン
ただ感染者を一か所に集めて生活させている、明らかな差別の待遇は見られない。

スズラン
うん……

フォリニック
でも実際は、感染者たちの自由は奪われ身動きができない、一部の「物に困らない」感染者を除いて、ほとんどの人は収監されてるようなもの……

フォリニック
ただ牢獄が町となって連なり、収監された仲間が数十倍に増えただけ。

フォリニック
ここを見て、このパン屋はもうどれぐらい店を開けてないんだろう?

スズラン
あ……オリジムシが通っていったのが見えました……すごく汚くなっていますね。

フォリニック
店口の埃と落ち葉が掃除されてない、このエリアは正常に使われてないのよ。

フォリニック
特殊な事態とは言ってたけど、街中でパンを売る人すら見えないのよ?公共交通機関も止まっているわ、不自然すぎる……

スズラン
き、きっとこの前の出来事?で店主さんがびっくりして店から飛び出しちゃったとか?

フォリニック
でも少なくとも彼らにも生きる権利があるはずよ、彼らだって――

スズラン
フォリニックお姉さん……!声を小さく!シーッ!

町民
……

フォリニック
……彼らを責めているわけじゃないわ。私はただ……「武装した感染者」について喋っただけよ。

スズラン
彼らはもしかして……

フォリニック
あの憲兵は「サルカズ」って口にした、それを先に確かめなければいけない。

フォリニック
もし本当に私たちの知っている「感染者武装組織」と関係があるんだったら、警戒しなくちゃならない。ここの状況はあの憲兵が言ってたのよりももっと複雑なのかもしれないわね。

スズラン
そうなんですか?

フォリニック
感染者の様子が良好ってことは、事態はまだ絶望的ではないってこと。

フォリニック
彼らはきっとまだ私たちに何かを隠している。

スズラン
フォリニックお姉さん?

スズラン
そう気を張り詰めないでください、アントお姉さんはとても賢い人ですから。

フォリニック
私が……

スズラン
さっきから、フォリニックお姉さんはずっと見てて怖い様子でしたよ。

スズラン
大丈夫です。私たちも一生懸命頑張ったら、ちゃんとこの事件を解決できますって、先輩オペレーターの皆さんのように!

スズラン
だから少しはリラックスしてくださいね?

フォリニック
……ふふ、またリサちゃんに慰めてもらっちゃったわね。私ったらどうしちゃったんだろう?

スズラン
えへへ、悩みに歳は関係ありませんよ。

タジャーナ
お二人とも、お待ちください――!

フォリニック
あなたでしたか。

フォリニック
助けて頂かなくても結構ですと言いましたよね、ただ許可を頂ければいいと……

タジャーナ
すみません、フォリニックさんはそうおっしゃいましたが、なにぶん状況が特殊でして、お二人にとってここは未熟の地、何か事故でも遭われたら、こちらも責任を負いかねませんので。

スズラン
……フォリニックお姉さん。

フォリニック
わかりました……現地の方が傍にいらしてくれれば、ここの住民たちにも怖がられずに済むかもしれませんしね。

タジャーナ
そうですね!おほん!ドデカフォニー通りはもともとヴォルモンド内で最大の感染者集中地区でありまして……

フォリニック
しかしとある原因で、抗議者が最も多い地区になってしまったと。

タジャーナ
ではフォリニックさんは、これからどうするおつもりですか?

タジャーナ
私としてはここに深入りするのはあまりおすすめしません……けどヴォルモンドの現状を知りたいのでしたら、よい選択かと思います。

フォリニック
……先にあたりを見て回りましょう、まだ急ぐ必要はありませんので。

フォリニック
もしアント先生のことについてお話していただければ、こちらも嬉しいのですが。

タジャーナ
フォリニックさん……アント先生のことをとても気にかけてらっしゃるのですね。

フォリニック
彼女は私の同級生で、数少ない私の親友です、ロドスにとっても欠けてはならない人員でもあります。

タジャーナ
……そうでしたか。

タジャーナ
あ、こちらを歩きましょう、シャオケル広場への通り道です。


フォリニック
アントはここで何をしていたんですか?

タジャーナ
あぁ……ここの感染者の治療と、感染された人たちの心理ケアを手伝っていただいてました。

タジャーナ
天災トランスポーターの誤りで、ヴォルモンド町は大峡谷が出現する前に回避できなかったんです、それで多くの損害を受けてしまいました。

タジャーナ
アント先生はここから離れることもできたんです、でも彼女は残ることを選びました、彼女はヴォルモンドが現在地に停泊したあと臨時医療拠点を立てたんです、感染者たちをよりケアできるように。

タジャーナ
アント先生は……ここの感染者たちにとっては女神なんです。

フォリニック
……彼女は当然のことをしたまでです。

フォリニック
うん、そうね、座学より、彼女はやっぱり実践のほうがお似合うね。

タジャーナ
……

フォリニック
……ふふっ、そうね、まったく、彼女がドヤ顔してるところが目に浮かぶわ。

タジャーナ
フォリニックさん、ヴォルモンドに来てから初めて笑顔を見せてくれましたね。

フォリニック
……そうですか?

スズラン
今日のフォリニックお姉さんはほとんど怖い顔をしていました。

フォリニック
はぁ……

スズラン
前に……前に人がたくさんいますよ、ここらへんの人たちがみんな集まってきたんでしょうか?

フォリニック
……放っておいていいのですか?

タジャーナ
一か所に集まってるだけですし、逮捕する理由にはなりませんよね?

タジャーナ
こっちを見てきました……

住民
……

住民
……

スズラン
急に静かになりましたよ?

フォリニック
……いや、何かおかしい……彼らは誰か話しているのを聞いている?

タジャーナ
え?

フォリニック
彼の後ろに、集まりの一番後ろにいる人って――


フォリニック
あれは、サルカズ……?

フォリニック
サルカズ?

スズラン
フォリニックお姉さん!

フォリニック
わかってる!誰かが突っ込んできてる!ねえ、あなた、ちゃんと自分のことは自分で守ってください!

タジャーナ
は、はい!