
早く!こちらへ!

ありがとう、本当にありがとう!
(住民が走り去っていく足音)

フォリニックお姉さん!

リサ!先に住民たちを連れて行って!
(爆発音)

くっ――!

この暴徒たち……見境なしに街道を攻撃している?

おい!このブツは俺たちがせっかく奪い取ってきたんだ、少しはちゃんと狙え!

うるせぇ!そう簡単に扱いきれるかよ!俺が昔音楽学院で習ってたおかげで――

どこの学院入ってたらそうなるんだ!?おい、憲兵!動くんじゃねぇ、こっちには人質がいるんだぞ!

どこに人質がいるんだよ?

※リターニアスラング※!街中で逃げまわってるのがそうだろうが!

チッ!

フォリニックさん!彼らにこれ以上破壊行為をさせてはなりません!

ここら一帯の家屋は全て木造建築なんです、このままだと全街道が火の海になってしまいます――!

火だ!はやく火を消せ!ほかの人は早くここから離れるんだ!

避難が間に合わなかった住民がまだたくさん残っています、彼らを助けないと!

でもこれだと全然近づけないじゃない――!

――くっ、炎の勢いが強すぎる!

フォリニックさん、すみませんがケガ人を見ていてください!
(タジャーナが走り去っていく足音)

ちょっと!?

この冬霊人め!感染者!ウジ虫どもが!

なぜ俺の家を焼いた!どうして!俺達が貴様らを養ってやってるんだぞ――!
(タジャーナが走る足音)

頭に気を付けてください!

ん?
(爆発音)

うぅ……ん、タジャーナ?お、おい大丈夫か!?

うっ……平気です、彼らはあの自律アーツユニットをコントロールできていません、ここは危険です!

なら共に抗おう!やつらを追い出すんだ!

今は――そんなことをしてる場合じゃ――!うぐっ――!

お前足が――!わ、わかった、お前の言うことを聞こう!
(頑固な住民が走り去っていく足音)

早くここから離れてください!

(くるぶしに刺すような痛みが……骨折?いけない……)

(早くほかの皆さんと合流しなくては……)

この、貴族の犬が!

――!?
(殴られる音)

……全員避難できたか?

は、はい!
(スズランが駆け寄ってくる足音)

チェフェリン長官、ケガ人が多いです、人手が足りません……!

先生たち、こちらのヴァルポのお嬢さんの指示に従ってくれ、怪我していない若者も手伝いに行ってくれ。

わかりました!
(住民が走り去っていく足音)

フォリニックお姉さんが居てくれれば……!

待て……彼女らは戻ってきていないのか?

おい!フォリニックとタジャーナは?

か、彼女たちならまだドデカフォニー通りにいるようですが……

――さっき「全員避難できたか」と聞いたではないか!?

ひぃ!も、申し訳ありません!でも、フォリニックとタジャーナならきっと大丈夫ですよ、あんなにたくさんの人を救ってくれたのですから!

反乱者どもが都市防衛施設を占拠した上、まともな武装能力を持たない彼女らが大丈夫なわけ――ゴホッゴホッ、ゴホッゴホッ!

――ゴホッ、何人か力持ちを探してこい、私が行く。

あいつらは火力的に優勢で、人質も取っているはずですよ、もうこれ以上彼らを刺激してはいけません、交渉できる機会を待つべきです!

機会だと!敵が機会を与えてくれるのをのうのうと待ち続けるのか!知った風な口で戦場を語るな!

も、申し訳ありません!
(何者かが駆け寄る足音)

でも彼らの心配も道理にかなってないわけではない。大峡谷が残した活性オリジニウムがヴォルモンドの都市基盤に残留してる可能性は極めて高い、彼らの破壊を野放しにしてしまえば、あとのことは想像もしたくない。

お前たちはどこから入ってきたんだ!無関係者は早くここから離れろ!

……いや。

憲兵隊を持たない私たちのほうがよっぽど無関係者に見える……君は一回会ったことがあるな、ロドスのオペレーター。

ご理解感謝するわ、エアースカーペ?

……簡潔にまとめる、彼らがあの装置を使って街道を爆破し続ければ、10分から30分以内にヴォルモンドは座礁する。

最善の処置はこの街道と都市区の連結を切断することだ、ヴォルモンドはほか移動都市と違って、街道は独自の移動動力源を持っていない。

トラクターにならできる……だがその前に、街道に反乱者はそれほど多くない。

武装介入するのに手続きが必要なの?

……やってくれ。

お二人は……どうかタジャーナとフォリニックさんを救助してくれ。

チェフェリン長官――ここにはまだ人手が――あ!

……リサ?

グ……グレースロート先輩?それとこちらの方は?

オペレーターエアースカーペだ、天災トランスポーターのレオンハルトの護衛を務めている、彼はほかの任務があるため、俺はここに連れてこられた。

リサ、アントとフォリニックは?

フォリニックお姉さんはまだ中にいます!アント……アントお姉さんは、その……

無理しなくていいよ、もうわかった、ちょっと確認したかっただけ……この話はまた後でね。

……ううぅ……ロ、ロドスの先輩方が駆けつけてくれて本当によかったです……

――ダ、ダメダメ、まだ気を緩めちゃダメ!

ケガ人は私が診ておきます、どうか必ずフォリニックお姉さんを助け出してください!

うん、必ずね。

あんなに幼い子供も……オペレーターなのか?

アーミヤだってリサより何歳か上なだけよ、忘れないで。

……なるほど。

今回の救出は完全に計画外だ、なんの防護措置もないが、問題はないか?

ない。

――意外だな、噂のミスグレースロートはあまりオリジニウムを持ってる人に熱く接するような人じゃないはずだったのだが、いらぬ心配のようだったな。

……私はただもうこれ以上悲劇を繰り返したくないだけ、救出が先よ、おしゃべりはもうおわり。

なんだぁ、まだ誰か突っ込んできたぞ?

動きが速いぞ!は、早くあいつらを蹴散らせ!

現地の人も少なくないが、いいんだな?

急所はなるべく避けて、始めよう。