(殴打する音)

※スラング※、つ、強い。

ほう、お前らもなかなか強いじゃねぇか、でもこのガヴィルに出会ったのが運の尽きだったな。

ま、待て、今自分のことを何と言った?

ガヴィルだよ。

ガヴィルだとぉ!?

よく見ると、その顔、その髪、ガヴィルじゃねぇか!

だからガヴィルだっつってんだろ!

おい、ガヴィルだ、ガヴィルが帰ってきたぞ!お前ら、行け、はやくユーネクテス族長に知らせろ!

ん?ユーネクテス?おい、ちょっと待て!

チッ、行っちまった。

助かりました、もう少し遅ければ、彼らに連れていかれるところでした。

操縦してたやつはどこ行ったんだ、名前はなんだったっけ、ああそうだ、ディランだ、ディランはどうした?

ディランさんでしたらさっきのアダクリス人たちに立ち向かおうとしてやられて気絶してしまいました。

あっ、ガヴィル、ディランここにいたよ!

おう、こっちまで引っ張ってきてくれ、傷があるかどうか確認したい。

わかった。

そうだ、Lancet-2、この飛行機多分直せるだろ?

はい、出発の前に、クロージャお姉さまが大量の飛行機関連の知識をインプットしてくれました。

本来なら不時着成功後に、修理キットを使えば修理できるはずです。

ですが……

けーちゃん、引っ張ってきてとは言ったが、ズルズル引きずることじゃないぞ。

あ、ごめんなさい。

……どうやら相手は容赦してくれたらしい、ん?見た目に反して、こいつのパンツはなかなかの花柄だな……ゴホンッ、半日ぐらい経てば自分から目が覚めるだろう。

それで、Lancet-2、ですががなんだ?

さっきのアダクリス人たちが、エンジンを奪い取ってしまいました。

ハァ?エンジン?

はい、私を見つける前に、機内で彼らが飛行機のエンジンを見つけて取り外して持って行ってしまったのを見かけました。

こちらに来てください。

うわ、本当に穴が開いてる。こういうのはよくわかんねぇけど、これもう飛べないんじゃねぇの?

はい、もう飛べませんね。

・こりゃ大変だぞ。
・……
・ケルシーに殺される!
さかのぼって少し前

手紙?

そっ、アタシの実家んとこから来たんだ、そこでまた「マイエヴソティア」が行われるんだ。

「マイエヴソティア」、力と栄光か?

そんなことも知ってるのか?これはアタシの故郷で行われる大首長を選ぶ祭典の名前なんだ。

その言語を使ってる人はもう随分と見てないな。

だが、確か君は故郷を離れてロドスに来たのではないか。

ああ、でもまだあるおチビがアタシと連絡を取ってるんだ、この手紙も彼女から送られてきたものだ。

確か君は、追い出されたから出て行ったと話していなかったか、なら首長選も君とは無関係なはずだろう。

そうだ、だからアタシは大首長になろうとは思っていない、ただあのおチビがすごく帰ってきてほしいそうなんだ、アタシも確かにしばらく戻っていなかったからな……

帰りたいのか?

少しな。

なら、なぜDr.●●を連れていくんだ、生物学的観点から見て、彼は君と同族である可能性は皆無だ。

ドクターも長い間頑張ってたから、連れて行ってリフレッシュさせてやりたいと思ってな。

ならこの飛行機の使用申請書はどういうことだ、ブレイズ?

ガヴィルの実家はサルゴンの無人地区にあるからね、歩いていくには遠すぎるのよ!

だからサルゴン政府に発見されるリスクを負ってでも、歩いていく代わりに飛行機で代用したいと。

ち、違う!地図をチェックしてみたんだけど、ガヴィルの実家はサルゴン領土内にある巨大な無人地区にあって、私たちがかき集めた情報によると、サルゴン政府はそこになんの防衛も施してないのがわかったのよ。

あそこ一帯は確かに名義上のみサルゴンの国土として属している、課題はちゃんとこなしているようだな。

なら、計画もすでに済んでいるのに、なぜ私のところに来る?

し、申請書にあなたのOKが必要なんで……

……

OKなのかダメなのかどっちなんだ、ケルシー、ダメならそれでいい

(小声)ドクター、やっぱりやめましょう、ケルシー絶対承認してくれないって……

いいだろう、許可する。

ほんと!?

ガヴィル、君は今まで話してくれなかったから君の故郷をよく知るいい機会だ。

ロドスの不可欠な一員として、君自ら話を持ち込んでくれたんだ、今回のためにDr.●●とエリートオペレーター一人の休暇を取らせてやることにどうってことはない。

やったー!

それと、今回の行動は実地考察として扱うことにしよう、暇なオペレーターを好きに選ぶといい。

アーミヤは近頃多忙だから、行きたいと言っても、許可はできない。それは君たちのほうから彼女に伝えてくれ。

あそこはどうであれサルゴンの領土内だ、ロドスがサルゴンに設置した連絡所は少ない、不必要な面倒ごとは起こさないように、君にとっても、ロドスにとっても。

それと、飛行機はたとえロドスであっても非常に貴重な交通機器だ。サルゴン領土内の環境は劣悪だが、きちんと傷一つ付けずに持ち帰ってこい、Dr.●●。

ああ、言われてみれば、確かにそんなこともあったな。

おい、そんなビクビクすんなって、ドクター、ここはアタシの実家なんだ、居場所ならわかるさ。Lancet-2、さっきの連中を探し出して、エンジンを取り戻せばいいんだよな?

はい……それと相手は少しだけ機械がイジれるようでした、エンジンを取り外す過程でもほかの部分に大きな損害が生じる場面はありませんでした。

エンジンさえ取り戻せれば、皆様に取り付ける指示は出せそうです。

あと、今は緊急修理で爆発を防止する措置が必要ですので、しばらくお待ちください。

あ?機械がイジれる?そんなやつ今まで聞いたことないぞ、アタシらはみんな拳で語り合ってるからな。

機械がイジれると言いましたが、せいぜい配管や電線を抜く程度ですよ。

……ああ、違う、まさか彼女の手下か……

ガヴィル、お腹すいた!

飛行機の食品備蓄に問題はなかったよな?

はい、おそらく大丈夫だと思います。

ですが不時着時に機能がいくつか壊れてしまいました、今の貯蔵室は開けられませんので、少しお時間を頂いてロックを解除しなくてはいけません

じゃあけーちゃんはもう少し待とう。

でももうお腹ペコペコだよ!

わかった、じゃあ先に……

ガ――ヴィ――ル――さ――ん――!

ん?この声は……ヤバイ。

わっ、ガヴィルさんだ、本当にガヴィルさんだ!

ガヴィルさん、髪伸ばしたんですね!

ガヴィルさん、その服よく似合ってますよ!

ガヴィルさん、なんで武器を持ってるんですか、それにその武器見た感じ殴る用ではなさそうですね!

あー、トミミ、アタシで間違いないから、とりあえず、離れてくれねぇか?

はい!

ガヴィルさん、外でもちゃんと食べていますか?

本当に医者になったんですか?

……なあ、なんでここにいるんだ、トミミ?

あれです、空から落ちてくるのが見えたんで、見に来たら、ガヴィルさんがいたんです!

そうだ、病気はもう治りましたか?本で外の世界は石の病気の人の扱いがすごく悪いって書いていましたから、大丈夫ですか?

大丈夫だ、ピンピンしてるよ。

ガヴィル、やっと戻ってきてくれたか!

無事で何よりだよ、ガヴィル!

やっぱお前が大首長にならないと話になんねぇぜ!

夢でも見てんのか、アタシは休暇で戻ってきただけだ。

ガヴィル、追い出されたから実家を離れたんじゃないのか?

そうだが、それがどうかしたのか?

ガヴィルさん、こ、この人たちは?

ああ、この人はDr.●●、ドクターって呼んでくれ、一応アタシの上司だ。

ほかの人は、アタシの同僚になるな。

上司……まさかあなたはガヴィルさんより強いのですか?

・いや。
・
・ガヴィルよりよっぽど強いぞ!

じゃあなんでガヴィルさんの上司なんですか?

ガヴィルさん、この人弱そう。

そんなのありえないです!

そんなことより、トミミ、アタシらの飛行機のエンジンが奪われた、ズーママの連中にだ、彼女は今手下を持つようになったのか?

ひこうきえんじんってなんですか?あのエンジンなんちゃらと一緒なんですか?待って……え?ズーママ?

どうした?

あ、はい、今ズーママはある部族の長を務めていますよ、今回の大首長も彼女が選ばれるってみんな思っています。

ほう――ってことは、アタシらを撃ち落としたのもあいつらってことだな、ああいうヘンテコな武器にのめり込んでるのはあいつしかいねぇからな。

……はい、そうですね!ズーママを探してるんだったら、明日祭典が始まるんで、首長の座を競う人たちは全員神殿に集まります、ズーママもきっとそこに行きますよ。

つまりそこに行けば彼女が見つかるってことだな、ハッ、そいつぁいい。

それにおチビちゃんも首長選に出たいって言ってたじゃんか、ここ数年でどれだけ成長したのか見せてくれよな!

(小声)本当はまだガヴィルさんが首長になってほしいだけです。

ん?なんか言ったか?

な、なんでもないです!

……

ドクター様、緊急修理が完了しました、出発致しましょうか?

ありがとう、Lancet-2、その通り、アタシたちは次に神殿に向かう。

うわあ!機械がしゃべった!

覚悟はしていましたが、いつもこんな反応されるとやはりちょっと悲しいです、人じゃないですけど……

飛行機はもう爆発する心配はないんだよな?

はい、でもここまま野ざらしにするわけにもいきません……

確かにそうだな、アタシだってケルシーにだけは睨まれたくないぞ。

あ、あの、私が子分を呼んで私の部族のところにまで持って行きましょうか、そうすれば皆さんも安心できますよね?

お前の部族?ん?ってことは、さっきは分からなかったけど、お前、もしかして族長になったのか?

はい!前にガヴィルさんがいた部族ですけど。

なるほど、どうりで知ってる顔を見かけるわけだ……

そうだ、ガヴィルさん、今部族名が変わったんですよ、「ワイルドマインド」から「ガヴィルズマインド」に改名したんです!

は?

みんなガヴィルさんがナンバーワンだって思ってるからです!

あー、ゴホンッ、とりあえず、お前に任せるわ。

お前たち、聞きましたか?

おう!

あ、でしたら、私とディランさんは飛行機についていきます。

ドクター様たちはどうやら人が大勢いる場所に向かわれるようですので、私がいるといろいろ面倒だと思います。

それに飛行機も誰か修理しないといけませんしね。

なんだ、祭典を見に行かないのか?面白いぞ。

大丈夫です、静かなところのほうが好きなので。

わかった、じゃあ、アタシとドクターとケーちゃんで祭典に行こう。

私もいますよ!子分も数人連れてお供します!

・しゅっぱーつ!
・……
・ケーちゃんはどこ行った?

お待ちください、ドクター様、ケーちゃんがいませんよ?

ドクター、どうした?

ん?ちょっと待て、ケーちゃんどこ行った!?

あっ、確かに、さっきまでいたのに、あの子ったらどこに行っちまったんだ?

お前らの言ってるケーちゃんってのは、あそこのちょっとやばいヤツのことか?

ドクターには触れさせない、レユニオン!

イヤッー!おいらのおやつを取りやがったな!待てー!

ケーちゃんが一人で空気と戦っています……ハッ、まさか毒にやられて錯覚を起こしているのでは?

あっ!ヤベッ!言うの忘れてた!ここら一帯の道端に生えてるキノコと果物、大半は食べられないんだった、食ったらああなっちまう。

あの子がアタシよりやんちゃなのすっかり忘れてた、十中八九アタシらが話をしてる時にあたりをウロウロして口に入れたんだろう。

あー、とりあえず、彼女を縄で縛っておこう、Lancet-2一緒に連れて行ってやれ、しばらくしたら収まるから。

お任せください~

あと、ご注意してくださいね、ここ周辺の気温は比較的高いです、それにこういう環境は通常昼夜の温度差が大きいので、水分等の補給は忘れないようにしてくださいね。

ああ、そうだな、ドクター、それとトミミ、飛行機から補給品を多めに持っていこう。

ここから神殿まではかなり時間がかかる、それにジャングルにはまともな寝る場所すらないから、野営の準備もしてくれよな。