

ユーネクテス、ユーネクテス!

あいつらを全員ぶちのめせ、ユーネクテス!

大首長、大首長!

ユーネクテス、オレと結婚してくれぇ!

……ユーネクテス、やはり来たか。

ジャングルに引きこもったきり出てこないのかと思ったぞ。

ジャングルはいい場所だ。

ふんっ、ジャングルに引きこもってるティアカは全員臆病者だ!

臆病者かどうかは、すぐにわかる。

ズーママのやつ、よくわかんねぇ装備が増えたけど、昔と変わらねぇな。

おう、ドクター、まだ詳しく紹介してなかったな。

台の上にいるあの女はズーママってんだ、アタシと同じ部族ではなかったが、小さい頃は距離も近かったし、歳もそう離れてねぇから、一緒に大きくなった幼馴染だ。

あいつは口数は少ないが、実力は確かだ。

でもいつの間にか、彼女はおかしくなっちまった、腕は落ちてはいないが、暇さえあればあの変なものをイジるようになったんだ。

そんで彼女の部族は引っ越して、会う機会がめっきり減っちまった。

まだまだケンカは強いらしいが、なんか変な病気にかかってから、人のいない場所で一人で喋るようになったらしい。

ロドスで仕事してる時にそういった症状について調べたことがある、たぶん精神病の類だと思うが、でも見た感じ今はまともに見えるな。

前回の祭典に来てくれると思っていたが、結局あいつは来なかった、残念だったなぁ。

まさか今は自分のことをユーネクテスって自称するとはな、彼女が来たからには、上のあの人はもうおしまいだな。
(殴られる音)

ぐはっ!

ハッ、やっぱりな、あいつも強くなってる、早く今のあいつとまた闘ってみたいぜ!

やっぱり、ズーママも強い、でも……

ん?あれは……

ユーネクテス、次は俺たちがお前に挑戦する。

お前たちは?

ブラストファイヤー部族の族長、ウダイ!

スカー部族の族長、アルナ!

野郎ども、上がってこい!
(たくさんのアダクリス人が舞台に上がってくる足音)

まとめて来るのか?

ヘっ、オレたちはキョウ……なんだっけ?

アホ、協定だ!

ああそうだ、協定を結んだ!

簡単に大首長になれると思うなよ!

そんなことは思っていない。だが、そんなに団結していたなんて聞いたことがなかったぞ。

こっちの事情だ。

へっ、俺はお前みたいな機械をイジってるやつが大首長になるのが気に入らねぇだけだ!

・祭典は複数人はOKなのか?
・……
・一対一ではないのか?

え?はい、そうですよ。

ドクター、その顔を見るに、祭典をプロレスの試合かなんかと思ってないか?

え?それだと時間かかりませんか?

いつもはプライドのために、みんな一対一でやるんだ、だが本来祭典の唯一のルールではどんな手段を使ってでも、最後に勝ったやつが大首長にな
る。

子分を連れてくのは一番簡単で有効な方法だからな。

・どんな手段でも?
・……
・なんか自分も大首長になれる気がしてきた。

ドクター、まさかステージに上がりたいのか、やめといたほうがいいぞ。

あ、ドクター、今絶対良からぬことを考えてんだろ。

アハハハ、ドクター、残念だけど、お前じゃ無理だ

アタシが言ったどんな手段でもだが、ドクターが想像してるやつじゃない。

ここの連中はみんな単純だからな、何をするにしても、大勢を連れることしか思いつかねぇんだ。

回りくどいハメ技を使うやつはここにはいないさ。

正直に言うと、アタシはロドスにはもう何年もいるが、そういう小細工は今も苦手なんだ。

はい、でも一対多数でもリスクはあります。

ハハ、そうだな、終わった後に内輪揉めするのも珍しくないからな。

]それにもう一つ、確かにどんな手段を使ってもいいが、ドクターのやり方でほかの人を倒してみてもいいぜ。

最後は絶対に自分がリンチされるって保証するよ。

・人のことを悪く言わないでくれ。
・……
・風情があるなぁ。

アハハハ、本当のことを言っただけだろ。

アハハ、ドクターが白目を剥いてるとこなんてめったに見られねぇぞ。

ああ、アタシも出て行ってから知った、アタシの故郷はこんなに風情が溢れてるんだって。

前までは、どこもみんなこんなもんなんだって思ってたからな。

ドクターだったら自分のしたことを誰にも気づかれないようにできるかもしれないが、でもな、ドクター、決定的な差がどこにあるかわかるか?

・筋肉?
・……
・外見?

その通り!お前は見た目からして弱そうなんだよ。

こらっ、ドクター、すねてアタシの話を聞かないのはやめろ!

そうとも言える、だってドクターって風に吹き飛ばされるぐらい弱そうに見えるんだよ。

とにかく、つまりだな、大首長になりたいんだったら、条件はたった一つ。

それは――強く、岩にも負けない拳で、闘えることだ!

そうだろ、トミミ?

えっ、あ、はい!

でも確かに変だな、あの部族の二人はそんな仲良しでもなかったはず、まさか手を組むとはな。

うーん、たぶんガヴィルさんが出て行ってから関係が良くなったのかと。

なるほど、確かにその可能性もあるな。

ん?トミミ、ズーママは部族の族長って言ってなかったか、あいつの子分はどうした?

あれ?言われてみれば、確かに、彼女の部族の人をあんまり見かけませんね。

あそこを見てください、あのちょっと違う恰好をした人たちがそうです。

おっ、あいつら結構いい装備をつけてんじゃん、でも確かに人が少ないな。

へへっ、あいつ、まさかアタシの真似して一人で全部倒すつもりか、おもしれぇ!

ていうか、トミミ、お前も参加するんじゃなかったのか?

えっ、はい、でもまだ急がなくてもいいかなーと。

ズーママはすごく強いですからね、スカー族でもきっと彼女には敵いません、先に彼女の体力を消耗させてから行くことにします。

ほほう、賢くなったな、トミミ。

えへへ、私だって本気で大首長になろうと思っていますからね!そしたら……

そしたら?

おっと、話はまた後だ、始まったぞ!
