(殴られる音)
ぐはっ……
つ、強すぎる……
やるじゃねぇか!
ユーネクテス、調子に乗るなよ!
野郎ども、かかれ!
……
うっ、さすがズーママ、やっぱりすごく強いです。
一人だけなのに、普通のアダクリスだとまったく相手になりません、まるでガヴィルさんみたいです。
でも……
・彼女について詳しいんだな。
・……
・かっこいい女の子だ。
はい、ズーママとガヴィルさんは昔から私たちの住んでる一帯の最強の二人でしたので。
でも私の知る限りじゃ、ズーママはガヴィルさんに勝てたことがないのです!
ドクター。外でこんなに強い人はきっと全然見かけませんよね!
でも、ガヴィルさんのほうがもっと強いんですよ!
むっ、ズーママは確かにかっこいいですよ。
でも、ガヴィルさんのほうがもっとかっこいいんですからね!
ですよね、ガヴィルさん?
あれ、ガヴィルさんは?
おい、みんな見ろ、あの人は!
さっき来る道の途中で見かけた、彼女は――
彼女が本当に戻ってきたぞ!
ガヴィル!
うわああああ、ガヴィルさんが直接ステージの上に!
久しぶりだな、ズーママ!
今はユーネクテスのボスって呼んだ方がいいか。
戻ってきたのか、ガヴィル。
ああ、トミミに呼び戻されてな。
ん?待てよ、お前サルゴン語が話せるようになったのか?
……お前もこの言語が話せるということは、どうやらこの言語は確かに外のもので間違いなさそうだ。
今までたくさん学んだんだ。
……お前はもう戻ってこないのかと思っていたぞ。
戻るさ、だが今じゃない、いつか必ず戻る、なんせここはアタシの家だからな。
……大首長になりたいのか?
いいや、本来はお前に用があるってだけだ、闘い終わったあとにお前を探しても別に良かったんだが。
だが、お前がこんなに強くなっちまったら、アタシだって我慢できっこねぇ!
本当に医者になったのか?
ああ。
へっ、アタシは外では超有名な医者なんだぜ!
意外だな。
お前はどうなんだ、前回お前は自分のものをイジってて参加しなかったんだろ?ようやくイジり終えたのか?
……ああ。
すぐお前に見せてやろう。
ううぅ、ガヴィルさん手は出さないって言ってたじゃないですか……
・あのガヴィルは君の予想外だったのか?
・……
・これこそがガヴィルだ。
えっ?そ、そんなことありませんよ!た、ただ……
ドクターも夢中になってる……
うぅ、確かにかっこいいですけど、でも……
うぅ、確かにそうですけども。
(殴り合う音と歓声)
相変わらず強いな、ガヴィルは。
へっ、お前もな、ズーママ!
だが、お前は自分の拳に頼りすぎだ。
あ?
お前の拳はお前に色んなことを可能にしてくれた、だからお前は一度も拳以外でものごとを考えようとはしなかった。
それがお前の限界だ、ここにいる我々の限界でもある。
一体何を言ってやがるんだ?
私が言いたいのは、そろそろ変わらねばならないということだ。
「プシュー」、「プシュ―」と規則正しい大きな音とともに、林から巨大な何かが神殿に近づいてきている。
それはゆっくりとだが、確実に「歩いている」のがわかる、その全貌はまだ知る由もないが、すべてを破壊しうるほど強大だと誰もが直感で理解した。
お前は確かに強い、ガヴィル。
本来は、大首長になった後にこれを使いたかったが。
だが今は、お前を相手にするために使わざるを得なくなった。
だが、結果は同じだ。
こいつはいずれここを変えてくれる。
お前が何を言ってるのかさっぱりわからなぇが、アタシはそう簡単には倒されねぇぞ!
いいや、お前など造作もない。
……大祭司、照準、撃てぇ!
なんだ、ありゃあ!?
ほら見ろ、言ったはずだ、ガヴィル。
だが、私の本来の目的は、こいつでお前を相手にすることではない。
拳に頼ってばかりでは未来は来ないのだよ、ガヴィル。
これからは、機械の時代だ。