

んで、お前はなんでこのアダクリスたちを連れて襲撃しに来たんだ?

うぅ、そこに村が見えたから、ケンカでも吹っかけたら面白いかなーって……

……さすがウタゲはんって言うべきやな。戦いの話になると、完全に人が変わってまうもんな。

ううぅ、ごめんってばぁ。

でも、言葉も通じないお前がどうやってこいつらを動かしてるんだよ。

それについては、あたしにもわかんないんだよね。


あ、ネイルが剥がれた、ウザみ。

ネイルセットも墜ちたときにどっか消えちゃったしなぁ、ウザみの2乗だわ。

ケンカで汗だくだし、ここの湿度はめちゃめちゃ高いし、服もスケスケになっちゃたし、ウザみの3乗。

それにあたしはただ歩いてるだけなのに、なんで次から次へとアダクリスたちがケンカしに来るのよ、マジウザみの4乗なんですけど~。

それにそれに、最初はここはバカンスに最適な場所だからって言われたから来たのに、これのどこがバカンススポットなのよ!

ん?誰かがこそこそ近づいてきている?あの人たちは……アダクリス?


そんで、あたしに近づいてきたその人たちを全員ボコボコにしたわけ。

そしたら、もっと人がやってきて、またその人たちをボコボコにしたんよ。

そんでボコボコにした最後らへんに、なんでか知らないけどあたしをめっちゃ敬服しはじめたんだよね。

ああ、わかったぞ、そいつらはたぶんお前が珍しい動物にでも見えたんだろうな、ここにはお前みたいな見た目のヤツはいねぇからな。

ハァ!?あたしみたいなキラキラ青春プリティ美少女のどこが動物に見えるのよ!

えーっと、本心を言うとね、アダクリスの目から見ると、あなたは確かに変人に見えるわ。

それにあなたについてきている人たちの中に、巨木部族の族長がいたから、彼に聞いてみたの、そしたら、今はあなたが巨木部族の族長だって言ってたわ。

え?

つまり、あなたは族長もろともいち部族を倒したから、あなたが新しい族長と彼らが認めたわけ、だからあなたについて来てるのよ。

うそ?あたしが何言ってるかもわからないのに、そんなのアリ!?面白そうだからあたしについてきてるんだって思ってた……

ここではね、強ければ、それで十分なのよ。

どうすればいいの、ドクター……

・自分でなんとかしなさい。
・……
・ここに残って族長を続ければいいと思うよ。

ううぅ、ドクターの薄情者!

ううぅ、そんな目で見ないでよドクター。

わざとじゃないんだもん……

えぇ、そんなのヤだよ!テレビもエアコンもないとこで暮らすのなんてヤだよ!

まあいいや、お前とクロワッサンが見つかったんだし、残りはブレイズだけだな。

ブレイズの姐さんならきっと平気だよ、事故るとこなんて想像できないもん。

せやな。せや、ドクター、これからはどないする?神殿に行ってガヴィルはんが言うてた祭典に参加するん?

ああ、そうだった、お前らが知らないの忘れてたわ、ドクター、ちょっと説明してやってくれ。
ウタゲとクロワッサンに現状を説明する。


ほうほう、なるほどなぁ、つまり今はそのズーママっちゅー人を探してエンジンを取り戻すんやな?

その通りだ。

えっ?じゃあ祭典は終わっちゃったってこと?

そうだぞ。

じゃああたしがここに来た意味ないじゃん!

まあいいや、今聞いた話だとそんな興味そそらなかったし。

それよりさ、ガヴィル、バカンスに最適ってのはどういうこと!

あ?結構いい環境だとは思わねぇか?

確かに!言われてみれば!そう!だけど!

でも、ここ全然バカンスの要素ないじゃん!

バカンスの要素ってどんなんだ?

そりゃもちろん、海に、ビーチに、パラソルに、それとアイスクリームっしょ!

そのために、あたしはわざわざ水着を新調してきたんだよ、しかも出発前に服の下に着こんで!

いやぁ、ウチはただ単にやることがなかったからついてきただけやからなあ……

えっ、アタシはさいっしょからそんなの一言も言ってなかったぞ。

水遊びできるって言ってたじゃん!

心配すんなって、ジャングルの奥に大滝があるから、そこで水遊びができるぞ。

それにズーママの部族のところに行くんだったら、絶対大滝を経由すっからさ。

お前だけじゃないぜ、アタシも水着を持ってきたぞ、ただ出してないだけだ。

ほんとに?やったー!

どうやら人は見つかったようね。

助かったぜ、イナーム、ありがとな。

どうってことないわよ。

ああそうだ、トミミはどうしたの?あなたたちと一緒じゃなかった?

さあ、なんかやることがあるみたいなんだ、あとで合流するんだ。

そう。じゃあお願いだけどこれらの本を彼女に持っていってくれないかしら?

どれどれ、『都市の麗人』、『100日で習得できる企業マネジメント』、『どうすればファッションエキスパートになれるのか』って……

なんだよこのおかしな本は!

彼女はこういう本でサルゴン語と外の知識を学んできたのよ、あ、もちろん基礎は私が教えたわ。

うっわ、これでサルゴン語を勉強するのはちとムズいっしょ。

そうね、でも彼女はそうやって習得したのよ、文字を一つずつ、単語を一つずつね。

それに、勉強の辛さよりも、最初は何をすればいいかわからない彼女の焦っていた様子のほうがよっぽど見ていて辛かったわ。

そんな彼女を見て彼女にサルゴン語を教えてあげようって私は決心したわけ。

ガヴィル、彼女はあなたに追いつくために、とてつもない努力をしてきたのよ。

……言われなくともわかるさ。

でも、私自身外にそんな詳しくないし、それに毎回持って帰れる本もこれっぽっちだけだから、本から教わった内容が役に立つかどうかはわからないわ、アハハ。

……道理であいつがちょっと変だと思ってたぜ。

待てよ、じゃあズーママのサルゴン語もお前が教えたのか?

いいえ。その点は私も気になるわ、機械に関する書籍を探すのを手伝ったことはあるけど、突然サルゴン語を習得できたみたいなのよ。

しかも彼女は部族内でほかの人にも教えているわ。

……ドクター、どう思う?

・野心が大きいな。
・……
・この石っていくらだ?

ドクターもそう思うか……

それは自分で考えろって意味なのか?

へっ、わかったよ、じゃあアタシのやり方で解決させてもらうぜ。

あなたを新しい顧客と見かねて、300サルゴン幣でいいわ。

ドクター完全にどうでもいいって感じだよ。

んー、ウチはサルゴン語を習うのは悪いことやないと思うけどなぁ、外界と交流できれば、ここの人たちも今よりもっとええ生活が送れるやろ?

確かにそうかもね、でも今の暮らしで十分だから、よりよい暮らしはなくてもいいと私は思うわ。

あなたたち都会人には理解できないかもしれないけど。

そうなんや……

あっ、あたしはちょっとわかるよ!アタシの東国の実家も田舎だったし。

あれっ、ウタゲはんがそないに流行りに詳しいから、てっきり都会育ちなんやと思っとったわ。

いやいやそんなことないよ、あたしはただそれにちょっと興味があったってだけだし。

ふあ~、眠くなってきたわ、そろそろ昼寝がしたいわ。

私の部族では、外に置いてるものは全部トレード用だから、何か気に入ったものがあったらガヴィルに通訳してもらってちょうだい。

待ってくれ。

ん?

君に一つ頼みたいことがある。
