

大祭司、状態はどうだ?


おう、正直に言うと、発砲時の音にはびっくりした上、発砲したときはもう少しで吹き飛ばされそうになったわい!

ビッグアグリーのことを聞いている。

ついでにわしの状態も話しただけじゃよ。ビッグアグリーは予想通り、連続で発砲すればオーバーヒートを起こしてしまう。

だが効果はてきめんじゃ!うむ、これだけは言わせてくれ、効果は非常に良好じゃ!確かにびっくりしてもうたがな!

とにかく部族に戻ったら、ちゃんと修理したほうがいい!

ああ、今回の祭典は急すぎた、ビッグアグリーもまだ準備が整っていない。

本来はビッグアグリーの準備が整い次第ほかの部族と相談して新たに祭典を開こうと思っていたが、結局は先ほど開催してしまった。

大丈夫じゃ、結果良ければすべて良しじゃ!

まだあの若造どもがビッグアグリーを見たときの驚いた表情が目に浮かぶわい、ハッハー、なんと愉快なことか!

そうだな、目標は達成できた。

これからは、ここは新たな秩序と、新たな時代を迎える!嗚呼、機械の時代!素晴らしい響きじゃな!

「ビッグアグリー時代」って言うのはどうじゃ?ああ、「大祭司時代」も良さそうじゃな、わしみたいにクールでまぶしく輝いてるようじゃ。

機械時代でいい。

はぁ、お前さんにとってはなんだっていいんじゃろうが、ちと古臭いんじゃよ、外の知識を学んだ以上、もっとたくさんのものを知ってるはずじゃろ!

わしを見ろ、この恰好、ファッショナブルで、とても知的に見えるとは思わんかね?

背が小さすぎて何も見えん、それにファッショナブルってなんだ?

ん、まあよいわ、すまんな、お前にこの話題を吹っかけるんじゃなかった、だが安心せい、このわしが直々に大首長に相応しい装いを選んでやるからな!

服など何でもいい、それより、部族に残っていた人からついさっき連絡が届いた、エンジンをゲットしたそうだ。

なに?それは本当か?

ああ、ガヴィルが乗ってきた乗り物から奪ってきたらしい。

それは上々、はやくそれが見たくてウズウズしてきおったわい!

おっと、だとしたら、直接見に行けばよいではないか、ということで先に行っておるぞ!

大祭司は相変わらずだな。


なあ、族長のそばにいたあのリーベリは誰なんだ?

お前新入りだな?あれは大祭司さまだ!あのビッグアグリーを操縦していたんだぞ!

なんだと、俺もビッグアグリーを操縦してみたいぜ!

やめとけよ、お前は知らないんだ、昔のまだ完成していなかったビッグアグリーは、毎日爆発を起こしていたんだぜ、何人かの兄弟たちもそのせいで傷を負っちまった、それ以来誰もあれに乗ろうとはしなかったんだ。

そしたら大祭司さまがやってきたんだ、背がちっこいからってナメるなよ、毎回爆発で吹っ飛ばされてもちゃんと生きて帰ってきたんだぜ!

あ?そんなにすげー人なんか!?

ああ、大祭司さまが昔どの部族に属していたかは知らねぇけどよ、でも今俺たちはみんな彼を大祭司さまって呼んでるんだ!

ん?あれってヨギーじゃねぇか?おーい、ヨギー。

ようお前ら。

お前兄ちゃんと一緒じゃなかったか?兄ちゃんはどうしたんだよ?

ちょうどそれについて族長と話に来た。

バカ、今は大首長だろ!

ああそうだった、ちょうどそれについて大首長と話があるんだ。

どうした?

大首長、オレの兄ちゃんが石の病に罹っちまいました。

サルゴン語で話せ。

あっ、はい、すんません、まだあまり流暢じゃないもんで。

……どうやって罹ったんだ?

昔兄ちゃんはもっとたくさんの鉱石を採るために、オレの反対を押しのけて一人で鉱山区の奥まで入っちまったためです……

あのバカ、鉱山区の奥地は立ち入り禁止だとあれほど言ったのに!

本人は今どうしてる?

ガヴィルのとこで治療を受けてます。

ガヴィルが?

ああ、ガヴィル本当に医者になったみたいで、元々兄ちゃん苦しそうにしていたんだが、彼女に二三手施されただけ見るからに楽になったんですよ。

……医者になったというのは本当だったのか。

それと彼女から言伝を頼まれてまして。

なんだ?

大首長に用があるって言ってました、それになんだかすげー怒ってました。

へっ、きっと族長にやられて悔しがってんだろ!

ああ、族長のあれ、ドガーンって!すごかったよな!

今は大首長だっつってんだろ!

お前も言い忘れてんじゃねぇかよ!

うるせぇ、この野郎、族長は族長なんだよ!

それはこっちのセリフだ!そんないきなり言い換えれるかよ!
(殴り合う音)

ガヴィルが嘘をつくような奴じゃないのはわかっている。

大首長、オレはガヴィルを信じますぜ。

ああ、私も信じているさ、お前の兄なら大丈夫だ。彼は今どこに?

トミミの部族んとこです。

トミミか……わかった、あとでお前の兄を迎えに行こう。

わかりやした。

きっとガヴィルはエンジンを取り戻しに来たに違いない!

……私に勝てればな。

認めよう、ガヴィルは強い、だが彼女は自分の拳がすべてだと思ってる節がある。

私はそうは思わない。

もしエンジンを取り戻しに来たのなら、もう一度ビッグアグリーの力を味わわせてやる。

……エンジンは絶対に譲らん、このエンジンは我々の部族の、いや、我々の未来の要なのだ。

さっき、ガヴィルって言わなかったか?

フリント、聞いていたのか。


家に帰ってベッドの上で大首長って叫んでろ!

てめぇこそ、母ちゃんに大首長の言い方でも教わりな!

お前らうるさいぞ。

げっ。

お前は……クマール?

彼女に来てほしくない、そうだろ?

来たら、私が倒すだけだ。

つまり来てほしくないんだな。なら私が彼女を止めに行く。

いいだろう。

行ってくる。
(フリントが行って戻ってくる足音)

……

なぜ戻ってきたんだ?

ガヴィルは、どこにいる?


チッ、ほんっと湿度がバカ高いわねここのジャングル、半日歩いただけ全身汗だくだし、しかも二日歩いたのに人っ子一人見かけないなんて。

先に水着を着といてホントによかった、今ちゃんと役に立ってるし、ちょうどよかった。

でも、木に登ってみたけど辺りは木しか目に入らないし、ガヴィルが言ってた祭典って一体どこにあるのよ!


おーい、誰かいないのー!

おーい、ガヴィル、あなたの尻尾すごく細いわねー!

おーい、ドクター、フードそろそろ換えたらー!

……チッ、やっぱり近くにいないか。

はぁ、もしドクターに何があったら、アーミヤちゃんにどう説明すれば……

ガヴィルが一緒にいるからたぶん大丈夫だとは思うけど……でも、あいつのあの性格で、本当に安心できるとでも?

はぁ、ますます不安になってきた、木を数株ぶった切って騒音でも起こしてみよっかな?
(フリントが草木をかき分ける音)

……ヨギーが言うには、ガヴィルはこっちの方向だ。

わっ、やっと人が見つかった!

ハァイ、こんにちは!

見ない恰好だな、誰だ?

はい?なんて?

私の言葉が分からないのか?

ちょっとちょっとぉ、ウソでしょ、ガヴィルのヤツ言葉が通じないなんて言ってなかったわよ。

でも、なんだか強そうだな。
(殴る音)

ちょっと、ここではそれがもてなし方なわけ?

やはり強いな。

ガヴィルを倒す前に、先にお前と手合わせしよう。

ん?こいつ今ガヴィルって発音しなかった?

まあいいわ、私今ちょうど不機嫌だし、やるってんなら、付き合ってあげる!
