全ての果てには、広々とした原野があり、埃を被った大地は灰色の霧が立ち込めていた空に包まれていた。そこには密林も無く、騒ぐ荒れ地の人もおらず、何も無かった。
彼女は果てしない原野を見つめ、絶対的とも言える静寂の虚無に浸っていた。これまでの冒険と疲労には意味は無いのだと。彼女は終点に来た、旅が終わったのだ。
一瞬で空が溶け始め、まるで流体のように吹き出し、地面は柔らかくなり、ゆっくりとへこみ始め不規則な形となっていった。
濃霧は綿状となり視野内の万物を拭い去り、地平線は歪み、変形し、混ざり合って、全てがはっきりとしなくなった。
はるか遠く、よく分からない奥には色とりどりのきらびやかで、表しにくい光線が飛び散っていた。
光は次第に人の形となり、上下には混沌とした空間が漂ってきた。それは美しくも狂喜乱舞しており、それは彼女を引きつけ、目に見えない光の中を彷徨い、静けさと混乱が共存していた。
灰色の霧はいくつかの硬い巨石となり、彼女の頭に痛い一撃を与えた。
彼女は自分が落ちているような気がした。あるいは自分が巨石と一体になったのか、それとも自分は巨石なのかもしれない。
彼女が手を伸ばそうとすると、霧と輝く光は消え、静謐と混乱が消えていた。
ケオべは目を開け、よく知っている人たちを見た。仲間たちが自分の事を不審ながら見ていた。
これが現実なのだろうか?彼女の気は頭への一撃による痛みに向いていた。彼女は周囲を見回し、自分の仲間と慣れていない環境を見つめ、笑顔を見せた。
夢の中の全てが彼女の小さな頭から消えていった。
それよりも、彼女は嬉しそうに笑っていた。