(斬撃音)
感染者治安維持隊
うぐっ……
タルラ
お前の手は斬り落とさないでやる、さあ立て!
感染者治安維持隊
……これで済むと思うなよ!
タルラ
なら今そのよく回る舌を引き抜いてやる。
感染者治安維持隊
ひぃ!!
(感染者治安維持隊が逃げ去る足音)
タルラ
……逃げたか。
タルラ
お爺ちゃん、もう大丈夫――
老人
なんてことをしてくれたんじゃ!ああ、タルラ……お前はなんてことを!
老人
タルラよ、あと二日後に村を移すというのに。なんてことを……!
老人
お前は治安維持隊に手を出したんじゃぞ!とんでもないことを招きおったんじゃぞ!
タルラ
あなたが殴り続けられてたほうが問題だよ。奴は逃げてしまった、もう遅い。今から奴を殺しに行く、ほかの人が奴の痕跡を探し出した時は、私たちはとっくに村を出ているはずだよ。
タルラ
でもそうだとしても生死は避けられない、治安維持隊が一旦集結すれば、きっと私たちを追いかけてくるはず。報復もありえるかもね。
老人
ならそれを知っててなぜ手を出した!これからどうすればいいと言うんじゃ!
タルラ
安心して、お爺ちゃん、奴らは感染者を探すだけ。奴らはまだ知らないんだ。
老人
……
老人
何を知らないと?
タルラ
私がこれからすることをだよ。
老人
なっ……タルラ!
老人
お爺ちゃん、大丈夫だって。ほら。私が支えてあげるから。
タルラ
その足は……まだ治せる見込みはありそうだね。
老人
はっ。まさかお前に支えてもらえる日が来るとはな。自分の身体はまだまだ動けるとずっと思っておったが、もう逃げることもままならなくなってしまったわい。
老人
タルラよ、お前に伝えねばならんことがある、よく聞くんじゃ。
タルラ
また何かな。お爺ちゃん?
老人
……
老人
あー、なんじゃったかな?うむ、はは、すまん、忘れてもうたわ。いやはや、日に日に物覚えが……
タルラ
……
タルラ
そりゃまたえらく忘れっぽいね。