こちら二番マグニト山に侵入した、繰り返す、すでに二番マグニト山に侵入した。
イアナ、エラ、そっちの状況はどう?オーバー。
(無線音)
すべて予定通り、すぐに終わる。
(爆発音)
エラ?
(無線音)
イアナ、接敵準備!
ポジションについた!
スキャナーを使用!
地雷配置よし!
情報が正しければ、これで最後のはずよ!
処理し終えたらそっちと合流する!
(爆発音)
Gówno!
通信終了!
(無線音)
ざっとこんな感じよ。
ポーランド人なら安心して任せられるな。
こちらもショック地雷が触発された音を確認した、彼女たちなら問題ないだろ。
じゃあ、ブリッツ、周囲の警戒に集中して。
仰せのままに、マム。
計器の数字にも気を付けて、情報によればこの建物に核廃棄物が保管されてるはずよ。
フロスト、目標まであとどれくらい?
この先にある検問所と資材貯蔵室を抜けたら、メインラボに着くわ。
傭兵が検問所とその周囲に簡易的なバリケードを建てたとこをドローンでも確認済み。
遮蔽物も、死角もなし、入口らへんも埋め立てられて、周囲に大量の鉄線が敷かれている。
人数は。
九人、おおよその位置は小隊の端末に送っておいた。
検問所から貯蔵室に向かう長い廊下の入口は完全に封鎖、ドローンによる偵察は不可能。
報告は以上。
ほかの入口は残ってる?
入口らしきところは視認できていない。
わかった、こちらで何とかするわ。
何か意見はある、Lord?
焼夷グレネードがまだ残ってる、何発か使うか?
二発ちょうだい。
了解。
検問所の入口が乱雑に塞がれてるわね、もし爆破したとしても、瓦礫が突入に甚大な影響を及ぼしそうね。
プランとして壁上方と右側面の壁を爆破、一人は上で火力制圧を、残りは右側の空け口から突入。
フロスト、制圧と支援はあなたに任せるわ。
了解した。
ブリーチングチャージが爆発後、タチャンカ、あなたは上の空いた穴からグレネードを投入、ほかの人は敵の位置に閃光弾を投入。
地上突入はブリッツ、アッシュ、タチャンカの順に行う、行動は素早く、敵に動けるスキを与えないこと。
疑問があれば今すぐにお願い。
確認は済んだ?よし、全員配置に就け。
フロスト、そっちの合図を待つ、そしたら行動開始よ。
予定位置に向かっている。
ブリーチングチャージを設置完了。
こっちも爆弾設置完了。
行くわよ――
(爆発音)
閃光弾投入!
(爆発音)
グレネードも投入済み!!
突入!突入!突入!!!
(銃撃音)
敵をダウンさせた!
ブリッツ、二時の方向!
グレネードを投げる!
(銃撃音)
(爆発音)
十時の方向、ガトリング!
(銃撃音)
俺が制圧する、お前たちは進め!
グレネードを射出!
(爆発音)
バリケードを破壊!
悪党をダウンさせた!
あと三人だ、真正面!
(銃撃音)
あと二人!
(銃撃音)
クリア!
クリア!
クリア!
クリア!
ケガ人はいないわね!
よし、引き続き前進。
フロスト、後方を警戒しておいて!
了解!
私がドアを開ける。
ブリッツ、警戒を。タチャンカ、ドローンで廊下と貯蔵室の中を見てちょうだい。
もうやってる。
わかった。
どう?
貯蔵室の中は弾薬でいっぱいだ、連中がここでしばらくたむろしていたからだろう。
資材室に敵影はなし、黒い結晶が入ったシャーレを何個か発見しただけだ。
脅威度は?
わからん。
この缶詰に入ってるのは何なんだ?
発光する鉱物、今まで見たことがない。
鉱石に、化合物か、発光してるのであれば、放射性を帯びてる可能性があるわ。
心配するな、ガイガー計測器に反応はない。
ならスルーしよう、この石ころたちは一先ず置いておくわ。
各員、もう無駄にできる時間はないわよ、オペレーションを続行する。
(無線音)
アッシュ、こちらイアナ。
先ほど敵を片付けた、けど大量の障害物を使って廊下の通路を防がれたわ。
道を変えてセントラル区画に向かう必要がある、オーバー。
今メインラボに入るところよ、なるべくはやく援護に来て、オーバー。
了解、通信を終了する。
(無線音)
どうするんだ、少しだけ彼女たちを待つか?
いいえ、時間が惜しい、これ以上延ばすわけにはいかない、進むわよ。
あそこがメインラボのドアだ。
準備して、直接突入するわよ。
警戒を怠らないで、目標を視認したら制圧を優先。
ここに長く留まるわけにはいかないからね。
行くわよ!
(扉を開ける音と走る足音)
中に誰もいないぞ、あるのは変な機械だけだ。
警戒を怠らないで、ここの実験機材がまだ稼働している、つまり目標人物がまだここにいるってことよ。
なら先にラボに突入したほうがいい。
ここはラボのコントロール室だ、そこのガラスの向こうにある機械が見えるか?あそこが実験を行ってる場所だ。
気を付けろ……ここの敵の数はまだ不明だからな。
歓迎していない友人に限って向こうからやって来る。
(目標を発見した、まだ発砲はしないで。)
(周囲の状況を報告。)
(敵影は未だ確認出来ない。)
(敵影なし。)
両手を上げなさい、レヴィ博士、機器から離れて。
まだかまだかと考えていたところだよ。
私のボディーガードはやられてしまったのか?それは残念だ。
昨日ようやく給料を払ったというのに。
それよりあまり乱暴はよしておくれよ、ここは割れ物が多いからね。
動かないで、茶番はもうおしまいよ。
おしまい?私の新しい実験は今に始まったばかりだぞ。
動かないでって言ったはずよ……二度目の警告はないわ。
ははははは、なら私が拒否したら?
!!
どうした、年老いてヨボヨボの、ただの一般人に何を恐れている?
お前がただの「一般人」なわけがないだろ。
マグニト山二号実験ラボの首席科学者、レヴィ・クリチコ。
その設備から離れて、何をするかなんてお見通しよ。
ブリッツ、彼に手錠をかけて。
あいよ。
さすがだ、素晴らしいほどに迅速な行動……感服するよ。
しかしそれでも遅かったな。
(警報音)
原子炉が起動した!?
この黒い石たちが発光している!
これを止めなさい。
申し訳ないが、できない相談だ。
はやく停止させなさいッ!今すぐッ!
ふふふ……
クククク……ははははは!
もう止まらんよ、私を撃つのなら撃てばいい。
私はこのプロジェクトに生涯をかけてきた。
もしあの浅はかで無能な連中に次々と邪魔されなければ……
二十年前に、私はこれをとっくに完成することができたのだ。
あなたは自分が何をやっているのかまったく理解できていない!
ここのラボの設備はもう旧式よ、あなたは今核汚染災害を引き起こそうとしいるわ!
自分のやってることなど当然知っているとも。
科学の道を探索することが艱難辛苦に満ち溢れていることもな。
しかしその探索には価値がある、真理への探究は絶対的な価値があるのだよ、そしてその価値は永遠だ。
私はただ二十年前にあるべきだった私の成果を返してもらうだけさ、誰にも邪魔される筋合いはない。
あの傭兵連中め……
大丈夫?
ええ、ちょっと文句を言ってやっただけ、ちょっとでもズレてたら当たってたからね。
私たちも本来ならほかのオペレーターと一緒にラボに入れたはずなのに!
今からでも間に合うよ。
コントロール室ならもう目の前なんだし。
(警報音)
なんの音?
!?
地震?
いや、ラボからだ!
スキャナーを用意しておいて、あっちで何かが起こったかもしれないわ。
こ、これはどういうこと!?ほかのみんなは?
い……一体何が起こったの?
いやそんなことより、ラボは?
地図は?この巨大な空洞はどういうこと?
地図に間違いはないよ、このドアの奥がラボのはずなんだけど。
ラボが丸ごと……消えた?
…………きろ、目を……ませ。
コーエン、大丈夫か?
コーエン?
俺がやる。
うっ……
こりゃすげーな!
ツボを何か所か押しただけだ、回復を助長させてくれるからな。
これで問題ない。
い……一体何が……
アレキサンドル、目を覚ましたぞ!
よくやった。
大丈夫か、コーエン?
ここはどこ……何が起こったの?
いい質問だ。
……レヴィが設備を稼働させた後、強烈な衝撃波がラボを巻き込んだのよ。
それで……ここはどこよ?
どこよここ!?
わからない。
目標人物が不明の実験装置を起動したあと、衝撃波が私たち全員を吹っ飛ばした。
目が覚めた後に見た光景は、あなたが見た通りよ。
信号もない、エラにもイアナにも連絡が取れない。
コンパスもまったく効かないわ。
唯一確証してるのは、私たちは任務の指定区域にはいないってことだけ。
こう言うとふざけてるかもしれないけど、私たちはまるで、コントロール室と一瞬に……転移したみたい……知らないどこかに。
なんですって?
彼女の言う通りだ、俺たちはロケットに括り付けられて月まで飛ばされたようなもんだ、決して冗談ではないぞ。
壁の巨大な亀裂から見えるのは、屋外に広がる果てしない荒涼とした砂漠であった、建物がまるで空から降ってきたかのように、ポツンと砂漠に佇んでいる。
……
私が偵察してこようか?
いや、今は無闇に動かないほうがいい。
了解。
レヴィ・クリチコも巻き込まれているとすれば、彼も私たちと同じ状況にあるはずだわ。
先に体力を回復させてちょうだい、あとでこれからの行動を計画するから。
なら先にいいニュースがある、傭兵連中の補給品もまとめて俺たちと一緒に飛ばされてきた、今のところ弾薬の心配はいらない。
じゃあ悪いニュースは?
悪いニュースはだな……
(何かが動く音)
……またなんの音?
気を付けろ、壁の外から何かが近づいてきているぞ!
音からして重工業用の機械っぽいが……それにしては動きが機敏すぎる!
見せてみろ。
……
……自分の目が信じられん。
※スラング※、面倒くさいことになった!戦闘準備だ!
何を見たんだよ?
一般自動車サイズの節足動物を見たことがあるか?
何を言ってるんだ?
(節足動物の軋む足音)
うおおおッ!
そういうことかよ。
撃て!撃つんだッ!!
(発泡音)
ブリッツ!後退しろッ!!
(盾が壊れる音)
うわああああ!!
俺の盾がッ!
弾じゃ殻を突き破れない!
この岩みたいなでっかいカニがコントロール室の壁をぶち破れば、私たちはおしまいだ!
(銃撃音と節足動物の軋む足音)
徹甲弾なら効くぞ!
だが足を撃っても役に立たんぞ!
ならいっそのことお入り願おう!
正気か!
撃ち方止め!
こいつに壁をこじ開けさせる!
ブリッツ、大丈夫?
ああ、怪我はないよ、ただ装備が壊れちまった。
ヤロウ、よくもこんなデッカイ風穴を開けやがったな。
クレームとして、後で殻を剥いでやるからな。
アッシュ、プランがあるならさっさと言え!
プランなんてもんじゃないわよ、ただ選択肢がこれしかないってだけ。
今はあなたが持ってる弾薬しかダメージを与えられない、それと私のグレネードぐらい。
私はあと残り……一発だけ。
こいつが壁をこじ開けた瞬間にやるわよ。
徹甲弾の殺傷効果からすれば、このグレネードでそいつの足を吹っ飛ばせれるはずよ、それで腹部を露呈することしかできないけど。
だから、あとはあなたが頼りよ。
ほかにもっといい案があれば、みんなもどんどん言ってちょうだい。
意見収集終了!じゃあ行くよ!
(爆発音と銃撃音)
リロードする!
終わったか。
何なんだ一体!
ヒュー、ようやく息抜きができるぜ。
スゥ――フゥ――
いやぁ、さっきは危なかったな。
ここってまだ地球なんかね?
その、俺たちが知ってる地球ってことだぞ?
違うって思う理由なんてないわ。
でも最悪な状況にも備えておかないといけないわ。
壁はもうボロボロね、もう遮蔽物としては使えないわ。
移動するわよ、とりあえず休憩できる場所を見つけましょ。