撃ち方止め!一般人に気を付けて!
奴らが逃げた、コーエン!
放っておきなさい、ほかの人の保護が優先よ!
誰かこっちに来て、ケガ人が出た。
とりあえず彼らを中に運ぼう。
先生!ケガはないわよね!
ここにいます!ぼくなら大丈夫です!
足がッ!足が折れちまった!俺の足がッ!
落ち着いて、足ならまだついてます、脱臼しただけですから、歯を食いしばってくださいね。
ママ……ママ……
アルージャの母親を見かけた人はいませんか!
助けて……くれ……
包帯が足りない……
クソッ、※スラング※!
あっち火が上がってないか?
あっちの方角って、町の中心街?
どうやら襲撃されたのはここだけじゃないらしいな。
どうして、領主衛兵隊は何をしているんですか?
領主衛兵隊のことは一先ず置いとけ。
あちこちで争いが聞こえる、厄介なことになったぞ、ここにいちゃまずい、開けすぎている。
先に負傷者を建物の裏に運ぶんだ!
バケモノ!バケモノがまた来たぞォ!
助けてェ!
次から次へと!
アレキサンドル!屋上に行って私たちの援護を!
了解した。
もう間に合わないわ先生、ここを離れましょ。
行くにしてもどこに行けばいいんですか?
先生の診療所へよ。
でもあの感染者たちは……
今はそれどころじゃないわ、とりあえず今いる全員をあなたの診療所まで行かせるわよ。
……わかりました。
誰か手伝ってください!動けない人がいます!
ケッツ、屋内に隠れている人がいないか見に行って、それとこの区域内の人を全員診療所まで連れていくわよ。
気を付けて!
了解。
……
……ホント災難ね。
四十数人……全員いるわね?
はい……
ぼくたちが助けた人たちなら……全員ここにいます。
見失った人数は?
見失った人たちはそれなりに、たぶん町のほうに逃げたんじゃないかと。
でも一部のお年寄りたちは……間に合わず……
気を落とすな、お前の落ち度じゃないさ。
あのバケモノ、どっから来たんだ?訓練された戦闘用の獣なのか?
わかりません……今まで見たことがありませんでした。
あの暴徒たちが武器を取り出した直後、バケモノたちが地面から現れたわね。
(銃撃音)
どこから来たかなんてのはいい、数が多すぎる!
周囲の状況は?
ハチャメチャだ。
町のほうも騒がしかった、何が起こったかまではわからんが。
私たちに残された弾薬はあとどのくらい?
もう多くはない、私はマガジンが残り四つ、アレキサンドルの弾薬が尽きてしまったら、おしまいよ。
弾薬の問題はいい、それよりこの小屋がもうもたなくなるぞ。
あんな図体のバケモノよ、穴が一つ二つでも空いたりしたら、壁をぶち破ってくるわ、私たちじゃ防げない、方法を考えないと。
先生、病人の容体はどう?
ケガを負ってしまった人が少なくありません、ぼくは簡単に包帯を巻くことしかできませんが。
それに包帯もアルコールももう足りてません。
先に町を離脱する方法はないの?
町から離脱したところでどうする?しかもこんなに大所帯を連れて?
水も食料もなければ、彼らが荒野に逃げても死ぬだけよ。
あのバケモノどもがこちらを襲うことを諦めてくれるとは思わない、荒野に逃げ込めば状況はさらに悪化するわ、遮蔽物がないから、身を隠すこともできない、それにアイツらは地面に潜ることができる……
避難先なら一つだけ心当たりがあります……安全かどうかはわかりませんが。
町の南にすごく特殊な建築物があります、あそこが町で一番安全な場所だと思います、領主の邸宅と大差ありません。
詳しく。
以前ロドス・アイランドという医療組織が来て、町のはずれに土地を借りてきたんです。
それから大工たちを雇って、地面を掘り始めて、そこにすごく頑丈な建物を建てました。
……もしかしたらここで一番頑丈な建物かもしれませんよ?まるでお城のようでしたし。
どうしてその「ロドス・アイランド」が私たちに協力してくれるってわかるの?
そこの建物には門番さんが一人だけいて、顔見知りなんです、彼から医薬品を買ったことがありましたから。
地面を掘ったということは、十中八九地下室だろうな。
傭兵用のセーフハウスかもしれん。
信用できないわ。
俺たちにいい選択がない以上、一見する価値はあると思うぞ。
水も食料もなし、このボロ小屋に籠城しても死ぬようなもんだろ。
その建物は町のはずれにあるので、町の外から出ましょう、そうすればほかの人から見つからずに済みます。
……わかったわ……
ケッツ、盾はまだ使える?
半分なくなった盾だ、殴る用として使えば……まだなんとか。
私以外にもう一人同行してほしいわ、先生を守ってやらなくちゃいけないいから。
なら俺が同行しよう、いざとなりゃ俺が先生の弾受けになるさ。
バカなことは言わないで。
私とケッツが先生と一緒にその「セーフハウス」を見てくる、ティナはここに残ってアレキサンドルをサポートしてやって。
了解。
先生、これから何が起きても、絶対私の指示に従うのよ。
わかりました。
ケッツ、ちゃんと先生を守ってやって。
ちゃんと盾になってやるさ。
光がついてないな、留守か?
まだ接近しないほうがいい、建物のドアがこじ開けられてるわ。
ここも……
あの暴徒連中の目的は何なんだ?火事場泥棒に興じようってか?
た……助けて……
助けてくれ!誰でもいい!助けてくれよォ!
ま……まだ死にたくねぇんだ……チクショー……
門番さんです!
待ちなさい、あなたはここでジッとしてて。
私が見に行くわ。
……こうなると知ってりゃこんな仕事受けるんじゃなかったぜ……
こんなとこで死にたくねぇよ……
誰だアンタ!
動かないで、足が折れてるわよ。
よ……傭兵……
殺さないでくれ!頼むッ!本当にカギの居場所はわからねぇんだ!俺はただの門番だからッ!
信じてくれ!本当に知らないんだッ!
落ち着いて!私は助けに来たのよ。
アンタ……あいつらの仲間じゃなかったのか……
助けてくれ!助けてくれェ!
だから!落ち着いてって!
ケッツ!先生を連れてきて!
オックフェンさん……足が……
アンタは……あの感染者の先生じゃないか!
神に感謝だ!
動かないで、まずは足を診させてください……
こりゃあいい、屋内が何もかもしっちゃかめっちゃかに漁られてる。
外から見るより屋内がだいぶ狭いわね。
隠し扉に、仕切り、それに強化外壁、セーフハウスなんてどこもこんなものだろ。
これはなにかしら?
無線設備じゃないか?こんなグチャグチャになるまで叩き壊されちまって。
でかい上に、ちょっと古いな。この世界にもこんな設備があったとはな。
ここには車だってあったのよ、無線があってもおかしくはないでしょ。
私たちが以前住んでたボロ小屋にも別の「廃品電機」もあったじゃない、冷蔵庫、扇風機に、湯沸かし器……あの廃品に電気が通るものは一つもなかったけど。
この無線設備も、私たちが以前手に入れた車同様ね。
そのマシンにはどれも黒い結晶を入れた装置が備わってた、きっとあれが機器類のエネルギー源なんだろう。
イテテテテテ!もうちょい優しくしてくれ先生!
我慢してください!
……これでよし、そんなにひどいケガじゃなかったです、骨も折れてませんでしたよ。
あなたはここの責任者なの?
ここは……ロドスの出先事務所だ。俺は……俺はここの門番ってだけだ。
当ててやろう、あの暴徒たちがここに突っ込んできて、お前に地下室を開けるように迫ってきた、しかし門番の責務を全うするべく、ずっとバカなフリをしていたら、タコ殴りされて、連中がお前をここに捨て去ったってことだろ?
……そんなもんだよ。
待て、なんで地下室のことを知ってるんだ?
引っかかったな、実は俺たちはその暴徒の仲間だ、わざわざお前を仕留めるために来た。
へ??
ケッツ!
そうカッカしないでくれ、ちょっと雰囲気を正そうとしただけだ。
アンタら……アンタらは一体なにモンなんだよ?
安心してください、コーエンさんたちはいい人です、ずっと感染者区域の住民たちを守ってくれたんです。
感染者区域も襲われたのか??
クソ……もうめちゃくちゃだ。
領主の衛兵隊は?トゥーラ領主の衛兵隊はどうしたんだよ?
衛兵隊はずっと現れませんでした、きっと彼らにも何かあったんじゃないかと……
門番さん、あなたの助けが必要なの。
俺に何ができるってんだよ?今じゃ立つこともままならないってのに。
病に罹った町民たちも襲われたの、感染者区域の人員も建築も損傷が激しい。
だからここのセーフハウスを開けて、彼らを避難させてほしいの。
それは……
その代わり、お前たちの安全は俺たちが守る、信用してくれ。
でも……でも……
俺はロドスと契約を結んだんだ、このセーフハウスはすべてロドスの資産に属してる。
俺にそんな権利は……
……
……クソォ……感染者だもんな……
わかったよ、職より命のほうが大事だもんな。
ありがとうございます!オックフェンさん!