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アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】オペレーターレコード「スペクター メリークリスマス!」

アオスタ
アオスタ

どうぞ、お入りください。

スズラン
スズラン

こんにちは、オペレーターのスズランです……

キアーベ
キアーベ

よぉ、アオスタ!戻ったぞ!

アオスタ
アオスタ

出てってください。

スズラン
スズラン

えぇ!?ごめんなさい、お邪魔でしたか、今すぐ出て行きますので……

アオスタ
アオスタ

あなたのことじゃないですよ、そこのうるさい奴に言ってるんです。

アオスタ
アオスタ

すぐに意味もなくあなたが聞いちゃいけないような汚い話をするんで、早めに抑止しておいたんです。

キアーベ
キアーベ

へへ、なんだよ、よく俺のことを理解してるじゃねぇか?この俺がスズランちゃんをお前んとこまで案内してやったんだぞ、お前にクリスマス人形の作り方をご教授したんだとか……

スズラン
スズラン

“スペクターのお人形”です。

キアーベ
キアーベ

そうだそれだ!お前なら楽勝だろ、アオスタ?こういう一番得意なんだしよ。

キアーベ
キアーベ

スズランちゃんが俺たちの部屋を探すのに結構時間をかけたらしくてよ、だからパパッと作っちゃってお嬢ちゃんに渡してやんな。

アオスタ
アオスタ

……楽勝なわけありますか、この単細胞生物が。

スズラン
スズラン

ごめんなさい、ご迷惑をおかけして……

アオスタ
アオスタ

……大丈夫ですよ、別に拒否してるわけではありませんから。

アオスタ
アオスタ

それで、具体的に何を作りたいんですか?

スズラン
スズラン

実は、クリスマスプレゼントの注文リストにアオスタさんのお名前を見かけたんです、だからアオスタさんに“クリスマスパーティー”でのプレゼント交換としてお人形さんを作ってほしいんです。

アオスタ
アオスタ

プレゼント交換ですか。

スズラン
スズラン

はい、実は、今回のプレゼント交換は交換対象がすでに抽選で決まっていて。

スズラン
スズラン

私が引いた送る相手はスペクターさんでした、だから“スペクター”の気質に合う一般的なお人形を作ろうと思ったんです。

キアーベ
キアーベ

おお、なら簡単じゃねぇか!アオスタ、いつまでもそんなシャカリキな様子で眉をしかめるなよ、お前ならできるだろ?

アオスタ
アオスタ

……それだけですか、スズランちゃん?

スズラン
スズラン

はい、報酬と材料の費用はこちらの貰ったばかりの給料から支払いますので!

アオスタ
アオスタ

では、ルールは分かりますよね。

スズラン
スズラン

(緊張)わ、分かってます!

キアーベ
キアーベ

ん?なんだなんだ、なんでスズランちゃんが強張ってるんだ?

アオスタ
アオスタ

ぼくはその人の気持ちを見て仕事を受け持つ人ですからね。

アオスタ
アオスタ

注文内容を提出する時、ぼくはいつも後ろに“毎年のクリスマスは一つの注文しか受け付けません”って書き加えていますので。

キアーベ
キアーベ

チッチッ、お前も“悪い大人”だな。じゃあ受け付ける条件って何だよ?まさか難しいものはお断りとかじゃないだろうな?

アオスタ
アオスタ

……どんな縫い物でもぼくからすればおちゃのこさいさいです。特殊な源石加工技術や材料を必要としないのであれば、ちょっとした時間さえあれば完成できますよ。

アオスタ
アオスタ

スズラン……ちゃん、あなたの依頼ですが……

スズラン
スズラン

ごくり……

アオスタ
アオスタ

お受けしましょう。

スズラン
スズラン

よ、良かったぁ!

キアーベ
キアーベ

(本当のことを言うとお前のそのルール、最初にお前のとこに依頼しに来たヤツの注文を受けるってことなんだろ。)

アオスタ
アオスタ

(ふん。)

キアーベ
キアーベ

うし、問題解決っと、そんじゃあ――

アオスタ
アオスタ

まだ終わってません、今から“設計”に関する問題に直面するんですから。

キアーベ
キアーベ

……設計?そんなもん必要あんのかよ?スズランちゃんの要求に従って作りゃいいだろ。

アオスタ
アオスタ

はぁ……キアーベ、ホント常日頃から自分で鏡を見て、自分のバカな姿を自覚したほうがいいと思いますよ。

キアーベ
キアーベ

お前が回りくどい話をするからだろ、俺はお前らみたいな頭でっかちなヤツらが言ってる回りくどい話はわかんねーっつの。それのどこに問題があるってんだよ?

アオスタ
アオスタ

先に言っておきますけど、わざと困らせるつもりはありませんからね。

アオスタ
アオスタ

スズランちゃん、ぼくにスペクターさんへのプレゼントとしてお人形を作らせたいのは確かですよね?

スズラン
スズラン

はい!

アオスタ
アオスタ

では、設計図はありますか?

スズラン
スズラン

……え?

アオスタ
アオスタ

荒っぽい手書きの図案でも、詳細に文字として描写されたものでも、それかもっと直接的なものとして、その“スペクター”さんの写真も、ぼくに提供してくれていませんよね?

スズラン
スズラン

……は……はい……そうですけど。

キアーベ
キアーベ

あ?だから何だよ……?

アオスタ
アオスタ

だからですよ、キアーベもそうです、常日頃から頭を動かせていれば、普段の生活や緊急的な状況下でもはやく問題を察知できるはずです。

アオスタ
アオスタ

その“プレゼント交換形式”のクリスマスイベントがどんなものかはぼくたちは興味ありません、だからそれを知れる機会もありません。

アオスタ
アオスタ

けどスズランちゃんはプレゼントを渡す参加者が誰なのかも事前に知り得ていませんでしたよね?

アオスタ
アオスタ

そしてその肝心な問題は、ぼくだろうとキアーベだろうと、少なくとも先ほどまでその“スペクター”さんのことを知り得なかったことです。

アオスタ
アオスタ

食堂にはいないし、ジムでもどんな任務行動でも見かけたことがない相手ですからね。

アオスタ
アオスタ

あなたはいい目をしていますよ、ぼくに人形を作らせればきっとハンドメイドのプレゼントの中で一番突出して見事なものになりますよ。

アオスタ
アオスタ

今一番欠けている情報は、あなたの交換対象である――そのオペレーターのスペクターに関することです、一体誰なのか?どんな見た目をしているのか?

スズラン
スズラン

……はぁ。

キアーベ
キアーベ

はは、そう気を落とすなよ、お嬢ちゃん。アオスタは確かにちょっと率直すぎたけど、別に依頼を拒否するつもりはねぇんだ。

キアーベ
キアーベ

むしろというか、もしお前がほかのヤツにプレゼントの依頼をしようとしたら、あいつはきっと自分の“武器”を持ってほかのヤツらと鎬を削って、死んでもその依頼を完成させてくれるぞ。

スズラン
スズラン

ごめんなさい、キアーベさん、切羽詰まって尋ねちゃいました。プレゼントを渡す相手のことも全然分かっていないのに。

キアーベ
キアーベ

でもお前らのゲームも変なもんだな、全然事情を知らない参加者も混じってるんだもんよ。

スズラン
スズラン

えへへ、それがこのゲームの醍醐味だと思いますよ。みんなでお互いへの理解を深め合えるんですから。

スズラン
スズラン

でも、オペレーターの“スペクター”さんのことを知らないのは私だけだと思っていました、まさか皆さんまで……

キアーベ
キアーベ

いやー珍しいこともあるんだな、この俺でも助けにならないことがあるとは!

キアーベ
キアーベ

でもそれもいいか、だったらスズランちゃんが頑張って、みんなに“スペクター”のことを聞き入れてみようか、色んな人との関りを増やすことは悪いことじゃねぇんだし。

キアーベ
キアーベ

――関わっちゃいけないヤツじゃないって前提ではあるが。

キアーベ
キアーベ

そのイベントに参加してるヤツにそんな危なっかしいのはいないよな?

スズラン
スズラン

た、多分いないと思います。

キアーベ
キアーベ

はは、そりゃそうか、ただの普ッ通のパーティゲームだもんな。

キアーベ
キアーベ

じゃあまずは色んな人に尋ねてみようか、スズランちゃん!

キアーベ
キアーベ

ロドスにはこんなにたくさんおかしな連中がいるんだ、もしかするとその相手は名前の通りの人かもしれねぇぞ、“亡霊(スペクター)”みたいにおどろおどろしてて、怖~い見た目なんかして、声をガサつかせながら夜中を徘徊してるかもなぁ……

スズラン
スズラン

ひぃ……!

スズラン
スズラン

だ、だとしても、プレゼント交換の相手なんですし、頑張って……プレゼントをその人に渡してみせます!

キアーベ
キアーベ

その意気だぜ。

キアーベ
キアーベ

だが気を付けるんだぞ、スズランちゃん。もしマジでなんかあったら、俺かアオスタに声をかければすぐにでも駆けつけるぜ――

キアーベ
キアーベ

こういう面倒臭い仕事は俺たちの十八番だからよ。

スズラン
スズラン

うーん……そうですね、これからどうしよう……

スズラン
スズラン

キアーベさんとアオスタさんが心配してるのはごもっともです、なんせオペレーターの“スペクター”さんは、私も一度も聞いたことも、見たことありませんですし……

スズラン
スズラン

でも、イフリータさんが招待してくれて、サイレンスさんが請け負ってくれたイベントですし、危ない人はいないと思います。

スズラン
スズラン

ただ、相手は知らないオペレーターだから、誰から聞けばいいのか……

スズラン
スズラン

ううん……悲観しちゃダメ!相手が誰であろうと、このイベントに参加してるのであれば、その人もきっとイベントを楽しみたいし、プレゼントを用意する過程やプレゼントを受け取った時の喜びを体験したいはずですもんね。

スズラン
スズラン

私もいつも色んなイベントや、貰えるプレゼントを楽しみにしているんですし……相手もきっとその楽しみを心に秘めているはずです。

スズラン
スズラン

絶対に情報を集めてみせます。アオスタさんが作ってくれるお人形さんはいつも絶賛されているんですし、私も自分のできるすべてを尽くして嬉しいプレゼントを相手に送り届けてみせます。

スズラン
スズラン

じゃあ、今日は頑張ってスペクターさんと関連する情報を集めるとしましょう。

三十分後

スズラン
スズラン

お……お邪魔しまーす……

スズラン
スズラン

うぅ……あのぉ……

メテオリーテ
メテオリーテ

あれ?スズランじゃない、どうしてここに……

メテオリーテ
メテオリーテ

落ち着いて、ちゃんと話聞いてあげるから、どうかしたの?

メテオリーテ
メテオリーテ

(いつものスズランだったらこんな強張った顔はしないのに……まさか、何か大事でも起こった?)

スズラン
スズラン

そ、その、人探しをしていまして……メテオリーテお姉さん、オペレーターの“スペクター”さんってご存じですか?

メテオリーテ
メテオリーテ

えっと……スペクター……

スズラン
スズラン

その、お友だちにも聞いてみたんですけど、みんな“スペクター”さんをご存じじゃなくて、だから何か……おぞましいことにでも遭ったんじゃないかって思って。

メテオリーテ
メテオリーテ

ふっ……なんだそうだったの。

メテオリーテ
メテオリーテ

大丈夫よ、怖がらないで、いい子いい子、恐ろしいことなんて起こってないわよ。

メテオリーテ
メテオリーテ

“スペクター”さんは確かにあんまり人には知られていないわ、でも彼女もロドスの一員だから。

メテオリーテ
メテオリーテ

でもそうね……彼女があなたのお友だちと知り合ってるとは思えないわね。

メテオリーテ
メテオリーテ

でもその前に教えてもらってもいいかな、どうして彼女のことを聞いているの?

スズラン
スズラン

す、スペクターさんにプレゼントを渡したくて……

メテオリーテ
メテオリーテ

プレゼント?でも、相手の存在すら知らなかったんだよね。

メテオリーテ
メテオリーテ

あ、そうか……この前送られたきたチラシ、イベントのパーティでプレゼント交換をするとか書いてあったわね、それで彼女を探しているの?

スズラン
スズラン

はい、もしかして……メテオリーテお姉さんも参加されるのですか?

メテオリーテ
メテオリーテ

そうよ、私も交換するプレゼントを用意しているの。なるほどね、なら尚更怖がらなくて大丈夫よ。そのオペレーターのことだけど、私なら少しは知ってるから。

スズラン
スズラン

でも、どうして今まで誰も知らなくて、メテオリーテお姉さんしかスペクターさんのことを知らないんですか?

スズラン
スズラン

いっぱい頑張って探してきたのに……

メテオリーテ
メテオリーテ

もう十分頑張ってるわよ、スズラン。

メテオリーテ
メテオリーテ

けどね、ロドスでは、自分の情報を隠さないといけない人たちも少なくないのよ。

メテオリーテ
メテオリーテ

私がスペクターを知ってるのは、任務で――共に戦ったことがあるからよ。

スズラン
スズラン

でも、メテオリーテお姉さんが参加したのって、全部すごく危険な任務ばかりですよね……

メテオリーテ
メテオリーテ

ロドスにとって、やむを得ずだけど、私みたいな“刃”の役割をする人が必要なの。

メテオリーテ
メテオリーテ

でも、そのスペクターという“刃”は、きっと私以上に鋭いんでしょうね。

スズラン
スズラン

スペクターさんがどんな人なのか……知ってるんですか?

メテオリーテ
メテオリーテ

一回だけ作戦で一緒になったことがあるわ。

メテオリーテ
メテオリーテ

彼女はアビサルから来た若い女性で、常識的に相手の考えを理解することができない人なの。

スズラン
スズラン

え……?

メテオリーテ
メテオリーテ

戦術での相談は不可能。武器を持って、命令が下ったら、彼女は任務を終えるまでずっとそのたった一つの命令に従うだけなの。

スズラン
スズラン

スペクター……さんは、寡黙な人なのでしょうか?

メテオリーテ
メテオリーテ

一言も喋らないことが“寡黙”と言えればそうかもね。

メテオリーテ
メテオリーテ

でも、寡黙はただの現象じゃなくて、一つの選択でもあるの。

メテオリーテ
メテオリーテ

彼女はあの恐ろしく、明確な殺意を持った人たちを、それか叫びながら突っ込んでくるバケモノたちを見ても、終始その“寡黙”な様子を保ち続けている、どんな情緒も見せることなく。

メテオリーテ
メテオリーテ

そして……彼女は最も確固たる破壊を行う、まるで初めから自分だけがすべての脅威と立ち向かってるかのようにね。

メテオリーテ
メテオリーテ

たぶん、彼女は指揮官からの命令以外、自分の周りの一切に興味がないんでしょうね。

メテオリーテ
メテオリーテ

敵だろうと味方だろうと、生きていようが死んでいようが、彼女の顔から周りの物事への感情は一切読み取れないわ。

メテオリーテ
メテオリーテ

でも、そんな一言も喋らない彼女に“寡黙を保とうとする”自覚や、他者と交流したいという期待を抱いているかどうかわからないままね。

スズラン
スズラン

じゃ……じゃあ、メテオリーテお姉さん、戦場以外で、スペクターさんはほかの人たちと交流することはあるんでしょうか?

メテオリーテ
メテオリーテ

難しい質問ね……でも、たぶんだけど、スペクターのあの精神状態からすれば一般的な生活には適合できないと思うわ。

メテオリーテ
メテオリーテ

少なくとも……彼女が宿舎で普通に暮らしてるところなんて想像できないし。

スズラン
スズラン

じゃあ、もしかしたら医療チームの方たちのほうがもっと……

スズラン
スズラン

あ!そっか。

メテオリーテ
メテオリーテ

ふふ、別に重要なヒントを言ったつもりはないんだけどね。

メテオリーテ
メテオリーテ

えへへ、アドバイスをくれてありがとうございます。今後機会があれば、メテオリーテお姉さんの戦場でのサバイバル物語も聞いてみたいです。

スズラン
スズラン

争いが避けられないものなのなら、他人を守るためやむを得ず戦わざるを得ないのであれば……私も、自分の大切な友だちと家族を守る力が欲しいです。

メテオリーテ
メテオリーテ

ん?戦場でのお話が聞きたいのね……なら時間をかけて準備しなくちゃね。

……

……

……

メテオリーテ
メテオリーテ

でも、そうね、スペクターともう一度作戦を共にするのはもう難しいかもね。

メテオリーテ
メテオリーテ

あの戦場から離脱して、ロドスに戻って編成を整えるまで、彼女が敵をいとも簡単に、てきぱきと引き裂いきたところが脳裏に焼き付いて離れなかったわ。

メテオリーテ
メテオリーテ

彼女の頭の中が空っぽじゃなければ、それか彼女本人がただの罪悪よりさらに危険で神出鬼没でなければ。

メテオリーテ
メテオリーテ

そうじゃなければ、自身が作り出した結果にまったく無関心でいられるはずがないじゃない?

(ノック音)

フォリニック
フォリニック

ん――どうぞお入りください。

スズラン
スズラン

お邪魔します――

フォリニック
フォリニック

あれ?スズランが向こうから私の医務室に来るだなんて、もしかして“おもてなし抜群”の身体検査をご所望なのかな?

スズラン
スズラン

イヤァ!そんな恐ろしいことを言わないでくださいよ、フォリニックお姉さん。

フォリニック
フォリニック

冗談よ、今はちょうど休憩時間だし、スズランが遊びに来てくれるのは大歓迎よ。

フォリニック
フォリニック

それで、私に何か用?

スズラン
スズラン

実は、今ちょうどクリスマスで交換するプレゼントを用意してるんですけど。

フォリニック
フォリニック

うんうん、ふむふむ。

スズラン
スズラン

それが、プレゼントを贈る相手がスペクターさんでして。

フォリニック
フォリニック

ふむふむ……ん?今スペクターって言った?

フォリニック
フォリニック

おかしいわね、彼女最近医療室から出てないはずなのに、どうして……

スズラン
スズラン

あ……やっぱり、フォリニックお姉さんはスペクターさんのことをご存じなんですね。

スズラン
スズラン

よかったぁ、自分の推察が間違ってたんじゃないかとヒヤヒヤしてました。

スズラン
スズラン

わ、私スペクターさんにお手製の記念ぬいぐるみを送りたくて、だからスペクターさんについて色々知りたいんです。

フォリニック
フォリニック

スペクターを色々知りたい……ねぇ。

フォリニック
フォリニック

私なら確かにケルシー先生の補助として彼女の治療にあたったことがあるわよ。

フォリニック
フォリニック

でも、彼女最近精神状態があんまり安定してなくて、しばらくの間ずっと医療室にいるの。

フォリニック
フォリニック

彼女は本当にプレゼント交換に応募したの?

スズラン
スズラン

だ、誰だってプレゼント交換のイベントに参加する権利はあると思います。

スズラン
スズラン

でも、メテオリーテお姉さんも言ってました、スペクターさんはこういったゲームに参加するような人じゃないって、たぶん……たぶんほかの誰かがスペクターさんの代わりに応募したんじゃないでしょうか。

スズラン
スズラン

とにもかくにも、その期待を裏切ることはできませんよ。

フォリニック
フォリニック

そりゃもちろん、スズランも良かれと思ってやってるんだもんね。

フォリニック
フォリニック

そうねぇ、彼女の見舞いに来る人と言えばたぶん……オホン、やめようやめよう、何でもない。

スズラン
スズラン

スペクターさんは重い病気に罹ってるから、ここから出られないのですか?

フォリニック
フォリニック

極々少数だけど意識がある状況の時は、外に出て身体を動かしたりしてるよ。

フォリニック
フォリニック

でも、彼女の言語機能が大きな影響を及んじゃってて、人を誤解するような言葉を言ってしまうの、だからいつも黙り込んじゃってるのよ。

フォリニック
フォリニック

そうねぇ……戦場では筋肉が記憶してる行動パターンを発揮することができるし、戦闘を心行くまで行ったあとの過度な疲労時間が彼女を安心させて休息に持って行ってくれる。

フォリニック
フォリニック

だからそんなに心配することもないわ、スペクターさんも自分で選択を行うことができる生活を過ごせているから。

スズラン
スズラン

じゃあそうでしたら、スペクターさんに会ってみたいです……!

フォリニック
フォリニック

それはぁ……

スズラン
スズラン

やっぱり、ダメですか?

フォリニック
フォリニック

たとえ私でも、普段は勝手に彼女の部屋には入れないの。

フォリニック
フォリニック

私にもわかるわ、スズランは自分の手でプレゼントを渡したいのね、でもその“気持ち”を贈るにしても、今のスペクターさんの状況からすれば、非常に困難かもしれないよ。

スズラン
スズラン

……そうですか。

スズラン
スズラン

でも私は……直接会えなくても、このプレゼントをスペクターさんに渡してあげたいんです。

スズラン
スズラン

クリスマスプレゼントを相手に贈ること、プレゼントを受け取った時の嬉しい気持ちには、きっと意味があるんだと思います。

フォリニック
フォリニック

素晴らしい、実に素晴らしい、さすがはスズランね、いつまでもその優しい心を忘れないように!

フォリニック
フォリニック

(小声)でも、あまり過度に詳しい情報を聞かないのであれば、一回だけ特例で会わせてあげてもいいわよ。

フォリニック
フォリニック

ふふん、なんたって私はケルシー先生が信頼する弟子だからね。

スズラン
スズラン

ありがとうございますフォリニックお姉さん……!もしできれば、お人形作成時に使うスペクターさんの情報も欲しいんですけど……

(ドアが開く音)

ワルファリン
ワルファリン

やあやあ!

ワルファリン
ワルファリン

おやおや、スズランではないか?

スズラン
スズラン

あ、ワルファリン先生。

フォリニック
フォリニック

げっ、面倒くさい人が現れた……

ワルファリン
ワルファリン

ここを通る時ちょうど外で話が聞こえたんでな、スズランはスペクターの人形を作りたいのだな?

ワルファリン
ワルファリン

可愛らしいアイデアじゃないか、妾が手伝おう!

フォリニック
フォリニック

それで盗み聞きしてた事実を誤魔化さないでください、ワルファリン先生。

ワルファリン
ワルファリン

実を言うとな、妾なら彼女のスリーサイズや衣服の素材を教えてやれるぞ……なんせ妾の権限はフォリニック医師のより大きいからな。

スズラン
スズラン

そ、そこまで知っちゃってもいいのでしょうか……?

ワルファリン
ワルファリン

それだけじゃないぞ、そなたの代わりに妾がその人形をスペクターに渡してやろうじゃないか。

ワルファリン
ワルファリン

もちろん、対価として……そうだなぁ、ペンギン急便のあの小売りのとこで売ってる限定トマトジュースを買ってもらおうか……

スズラン
スズラン

わ、分かりました、今すぐあるか聞いてきます――

フォリニック
フォリニック

子供をパシリに使わないでください、ワルファリン先生!

(スズランが走り去っていく足音)

フォリニック
フォリニック

あちょっと、スズラン!今すぐ行かなくてもいいのよ――

ワルファリン
ワルファリン

よし、一件落着だな!

フォリニック
フォリニック

え?どういう……意味ですか?

ワルファリン
ワルファリン

さっき危ないところだったんだろ、スペクターに関することだ、スズランが知っていいことではない。

フォリニック
フォリニック

……あの子はただ心配してるだけです。あの子は賢い、今はまだ理解しちゃいけない、知っちゃいけないことがたくさんあるってちゃんと分かっていますから。

ワルファリン
ワルファリン

少しの好奇心だけでもその人を不可逆的な状況に追い込んでしまうからな、有名な諺があるだろ。

ワルファリン
ワルファリン

しかし、一体どんな熱心なヤツがスペクターに想定外の善意を受け取らせようとしているのだろうな――

フォリニック
フォリニック

おそらく……スズランがプレゼントを用意することも、定めなんでしょうね。

ワルファリン
ワルファリン

はぁ。スズランじゃなくても、たとえ誰だろうとスペクターの情報を聞き出そうとすることは、絶対的な危険信号だからな。

フォリニック
フォリニック

スペクターさんはまだこの件を知らないはず、イベントの交換プレゼントの用意は……間に合わないでしょうね。

ワルファリン
ワルファリン

スズランのために残念がっているのか?

フォリニック
フォリニック

私はただ……

ワルファリン
ワルファリン

しかし、さっき妾は別に適当に言ってたわけではないぞ。

ワルファリン
ワルファリン

その時になったら、スズランが作った人形を妾が預かって、こっちでそのプレゼントをスペクターに渡せる方法を考えよう。

フォリニック
フォリニック

しかし、もしこのことがケルシー先生に知られたら――

ワルファリン
ワルファリン

そなたも先ほど言ってたじゃないか。スズランのためなら、そなたはあの“ちっぽけな権限”すら惜しまず使おうとしておっただろ。

ワルファリン
ワルファリン

実際、スペクターのためでもあるんだろ。

ワルファリン
ワルファリン

彼女がそのプレゼントを受け取った時どういう反応を見せるのか……実験の一環として見れば、有意義な試みだとは思わないか?

フォリニック
フォリニック

でも……それってどう考えても、私が、この一件の最後にケルシー先生に謝りに行く人じゃないですか!

ワルファリン
ワルファリン

ふむ、それは知ったこっちゃないな――

二十日後

スズラン
スズラン

うぅん……

スズラン
スズラン

(あくび――)

スズラン
スズラン

もう朝だ。ジャケット、ジャケット……よいしょっと。よし!

スズラン
スズラン

今日はフォリニックお姉さんのところに行って身体検査をして、ケルシー先生のところでお勉強して……あ、午後にはお茶会と裁縫の専門家の公開授業があったんだった、今日は一日元気でいないと。

スズラン
スズラン

今から頑張って裁縫を勉強したら、いつかアオスタさんみたいに、みんなから喜ばれるプレゼントを作れるのかな。

スズラン
スズラン

えへへ、今回アオスタさんにお願いしていたお人形も、すでにワルファリン先生がクリスマス当日にスペクターさんに届けてくれた。

スズラン
スズラン

ワルファリン先生が、スペクターさんは自分の代わりにプレゼント交換のイベントに応募した人が誰なのかは知らけど、プレゼントを受け取った時、精神状態が少しだけよくなったって言ってくれてたし。

スズラン
スズラン

はぁ、クリスマスももう六日前の出来事かぁ……楽しすぎて、今も頭がクラクラする。

スズラン
スズラン

スペクターさんもクリスマスの雰囲気を楽しめていたらいいんだけど。

スズラン
スズラン

スペクターさんが良くなったら、一緒にお話する機会とか、一緒にご飯を食べる機会ができるかな、えへへ……

スズラン
スズラン

よし、カバンを持たないと、カバンは……

スズラン
スズラン

あれ?

スズラン
スズラン

机にプレゼントの箱が置いてある……昨日の夜、確かこんなのなかったはずじゃ?

スズラン
スズラン

ま、まさかプレゼントを届ける人が多すぎて、サンタさんが送るのを忘れていたんじゃ――

スズラン
スズラン

……わあ。

スズラン
スズラン

これって……

スズラン
スズラン

“深海からのプレゼント”……

スズラン
スズラン

……オルゴールだ!

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