ミヅキ選手は伏兵と相手するのを諦め、チェン選手とリン選手を匿った武器屋廃墟のところに行き、しばらく留まったあと姿をくらましてしまった。
こちらが所有するカメラもドローンも彼の位置を判明できていない。
そして先頭を行くチームの中で、チームハニーサマーは、すでにスイミングチェックポイントに一着で到達した。
先頭のほかチームも続々とスイミングのチェックポイントを通過している。
だがみんなが注目してるチームLUNG wRATh、その殿を務めたエルネスト選手は倒され、すでにこちらのスタッフから継戦能力は失ったとの判断が出された。
チェン選手とリン選手に至っては未だ動きを見せていない。
まさか本当にここで万事休す!?
おいおいチェン、ウソだろ、あの程度で倒されるタチじゃないだろ。
ホシグマさんかなり試合にのめり込んでますね。
どこがよ、彼女はチェンに大金を賭けたから、わめいてるだけよ。
もう長い付き合いしてるのに、こんな試合の勝ち負けなんて、誰が気にするもんですか。
負けてもなにか意味するわけでもないし、勝手もなにかを証明できるわけじゃないんだから。
アタシはむしろアイツに負けてほしいわね、そうすればこっぴどく嘲笑ってやれるわ。
ほら、エイヤフィヤトラさん、こっちにいらっしゃい、このフェイスクリームを試してみるといいわ、きっと合うはずよ。
はい、ありがとうございます。
(爆発音)
突如、またもや轟音が、エルネストの武器屋を映していたカメラを通じてモニターから響き渡ってきた。
ちょっと待て、あれはまさか……
モニターの中で、土煙が薄れていく、そして土煙の中から現れたのは、ロードバイクを推すチェンとユーシャだった。
来た来た、ついに来た!
(チェンとユーシャの足音)
チェン選手とリン選手が再び試合のステージに舞い戻った!
しかし、二人には一台のバイクしか残されていない、スイミングチェックポイントからもまだ少しばかり距離がある、しかも先頭のチームはすでに泳ぎ始めている。
チームLUNG wRAThに挽回のチャンスはあるのだろうか!?
お前は先に行け、私は走っていく。
乗りなさい。
?
二度も言わせないで、乗りなさい。
正気か?
私が漕ぐ、あなたは邪魔しに来るヤツを蹴散らして。
感動した、ロードバイクは一台しか残されていないにも関わらず、リン選手はチェン選手を見捨てなかった。
チェン選手を自分の後方に乗せ、自分はバイクを漕ぎ、チェン選手には自分らを邪魔しにくる連中の対処に当たらせたんだ。
二人と、一台のロードバイク、この場にいる全員を唖然とさせた見事なコンビネーション!
今なら言える、この二人のタッグは、今大会最強だ!
頭に乗っかってるんだけど。
目の前に敵がいるんだ、仕方ないだろ。
お前も蛇行運転しないでくれるか?
じゃああなたが漕げば?
チェンは忽然とユーシャの頭を押さえ、顔面に直撃しそうになったタイヤを避けた。
だがユーシャは思いっきり頭を上げ、チェンの顔をぶつけてしまった。
リン・ユーシャ、お前な!
失礼。
チームLUNG wRATh、猛スピードで最後のコースを突き抜け、ビーチエリアに到達した。
スイミングチェックポイントも彼女たちの目の前だ。
しかし、ほかのチームもそう易々と彼女らを通さんと構えている。
ビーチでの大乱闘、まもなく勃発だ!