さすがチームLUNG wRAThの二人だ、戦闘に関しちゃ、絶してみんなを失望させてくれはしない!
いとも容易く自分らを包囲した連中を蹴散らしてくれた。
だが、先頭のチームはすでに半分の距離を泳ぎ終えている!
チームLUNG wRATh、間に合うか!?
(チェンとユーシャの走る足音)
なにを見ている?泳ぐぞ。
一つ考えてたの。
なにをだ?
お互いエルネストを疑っている、それに彼は私たちの後方にいるのであれば、彼を優先目標にするべきだわ。
一理ある。
だが彼はまだあくまで容疑者だ。
それに、この事件の背後に誰が潜んでいようと、はっきりわかることとして、相手は私たちに試合を勝ってほしくないということだ。
だが勝ってほしくないにしても目的が広すぎてまだ掴めきれん。
要するに、相手は私たちを船に上がらせたくないんでしょ、分かってるわよ。
今は呑気に話してる場合じゃない、負けてしまうぞ。
負ける?ありえないから。
先に行ってなさい、こういうことは久しぶりだから、私はちょっと準備してくるわ。
……わかった。
二人が短い会話を交わしたあと、なぜかは知らないが、チェン選手が先に泳いでいったぞ。
一方リン選手はビーチに残り、ウォーミングアップを済ませながら、砂をかき集めだした。
みんなも知っての通り、リン選手は武器として砂をガラスに変化させるアーツを持っている、まさか、彼女は砂を使って海の上にドデカいガラスの橋でも造るつもりなのだろうか?
父さんなら、きっと砂で橋を造るはずね。
そんなこと私にはできないけど。
ただまあ、こっちにはこっちのやり方がある。
これぐらいの砂があれば十分か。
フェイゼは……ちょうどいい位置にいるわね。
ふぅ……行くわよ!
(ユーシャの走る足音)
あ、あれは……
リン選手がなんと海面を“走り”だした!
いや、あれは走ってるのではなく、跳んでいるんです。
着水するごとに、砂で作ったガラスを支えにして、次の跳躍を可能にさせている。
それに、砂を消耗しないために、ほかの人が近くにいれば、直接その人の身体を踏んで、スプリングボードにしているんですよ。
あははは、すごいすごい、面白いわね!
なるほど、まったく海を渡る方法にしちゃ前代未聞だぜ!
つまり、あの二人は事前に相談していたってことだな、なぜなら海に入るとスプリングボードがないため、チェン選手が最初のボードに成り代わり、リン選手が進むための道となったと。
あの二人はまたもや私たちに感動的なチームの友情を見せつけてくれた!
あははは、リンさんのあの方法は確かに予想外でした、けど小官が思うに、きっとあれ相談なしにやったと思いますよ。
確かにね、カメラに一瞬映ったチェンのツラときたら抱腹絶倒だったわ。
いやはや、まさかあの二人がタッグを組んだらこんなに面白いことになるとは。
一着を維持してるのは依然チームハニーサマー、猛烈な勢いでケビン選手がゴールに向かって進行中だ。
ほかのチームもすぐその後を追っている。
しかし、彼らは思いもしていなかっただろう、彼らの後ろになんと、リン選手が追い上げて来てることに!
言った傍から三着を追い上げて行った!
二着を行く選手の頭も彼女のスプリングボートに早変わり!
おっとケビン選手が彼女に気づいた、だがもう遅い!
ケビン選手も、容赦なくリン選手に追い越されてしまった!
一着、一着はなんとリン選手、一着は、依然チームLUNG wRATh!!!!!
なんという血肉踊る逆転劇ィ!
おいおい、ウソだろ、あれでも勝てちゃうのか、マジかよ、普通ならルール違反もいいとこだよ。
はは、あはははは……
さて、どうしたものかね。