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【明日方舟】ドッソレス・ホリデー DH-ST-3「自縄自縛」

ラファエラ
ラファエラ

パパ、下の人から伝言、準備完了だって。

パンチョ
パンチョ

そうか。

ラファエラ
ラファエラ

?パパ、なんか機嫌悪い?

パンチョ
パンチョ

ああ。

ラファエラ
ラファエラ

どうしたの?パパはずっとこの日を待ってたんでしょ?

パンチョ
パンチョ

カンデラは厄介な女だ、最後まで油断はできん。

パンチョ
パンチョ

ラファエラ。

ラファエラ
ラファエラ

うん?

パンチョ
パンチョ

事態が悪くなったら、エルネストと一緒に逃げなさい。

ラファエラ
ラファエラ

え?私はパパと一緒がいい。

パンチョ
パンチョ

わがままを言うんじゃない。本来なら、お前をこの件に巻き込むべきじゃなかった。

パンチョ
パンチョ

ピユーがもし預けた娘が私とこんなことをしてると知られたら、墓から這い出てまで私を八つ裂きにするだろうな。

パンチョ
パンチョ

エルネストに関しては……フンッ。

パンチョ
パンチョ

お兄ちゃんがどうしたの?

パンチョ
パンチョ

あいつはまだバレてないと思ってるらしいが、あいつの考えてることなど、私が分からんはずがなかろう。

ラファエラ
ラファエラ

お兄ちゃんは裏切ったりしないよ。

パンチョ
パンチョ

分かっている、あいつがいなければ、事は進められなかった。

パンチョ
パンチョ

だがあいつの本心はこんなことをしたいと思っておらん。

ラファエラ
ラファエラ

どうして?

パンチョ
パンチョ

誰だってあることないこと考えず、平穏に暮らしたいだろ?

パンチョは傍に立つ養女の頭をワシャワシャと撫でた。

パンチョ
パンチョ

さあ、いい子だ、パイプを持ってきてくれ、少し一人でいたい。

ラファエラ
ラファエラ

うん……

(チェンの足音)

エルネスト
エルネスト

チェンさん、来てくれましたか。

エルネスト
エルネスト

リンさんは?一緒だと思ってました。

チェン
チェン

もう隠すつもりもないらしいな。

エルネスト
エルネスト

正直、もうここまで来たんですから、今更隠す必要もないじゃないですか、違いますか?

エルネスト
エルネスト

思いもしませんでしたよ、お二人ともここまで進んでこられるなんて。

エルネスト
エルネスト

やっぱりちょっとナメてました。

エルネスト
エルネスト

それにしても、すっごく気になるんですけど、どうやって知ったんですか?

チェン
チェン

ユーシャが第一ラウンドでお前たちが爆弾を設置してる場面を見つけた、君に伝えなかったけどな。

エルネスト
エルネスト

……その時から、俺は疑われていたってことですか?

チェン
チェン

あの時はまだ疑念に留まっていたさ。

チェン
チェン

その疑念が確信したのは、君の武器ショップに同様の爆弾が置いてあったからだ。

エルネスト
エルネスト

なるほど。

エルネスト
エルネスト

まさかこんなにも早く勝敗がつくとはね。

チェン
チェン

どうするつもりだ、最後まで藻掻くか?それとも自首するか?

エルネスト
エルネスト

少し話したいことがあります、チェンさん。

エルネスト
エルネスト

聞き終えたらたぶん違う見方が出てくると思いますよ。

チェン
チェン

ありがたく拝聴しよう。

エルネスト
エルネスト

チェンさん、ボリバルの歴史についてはご存じですか?

チェン
チェン

あまり。

エルネスト
エルネスト

まあですよね、あなたはヴィクトリアに留学していた、ヴィクトリアはあまりボリバルに干渉してこなかったですし、調べもしない限り詳細を知ることはないでしょう。

エルネスト
エルネスト

イベリアがこの地を見つける前、ここはボリバルと呼ばれる平原しかありませんでした。

エルネスト
エルネスト

ここで大量の源石鉱脈を見つけたイベリア人は、この地に駐留し、ここを自分たちの付属地にしたんです。

エルネスト
エルネスト

それから、途中色々あって、イベリアの統治は終わりを迎える。

エルネスト
エルネスト

130年間の混乱を経て、今度はリターニア人が入ってきました。

エルネスト
エルネスト

そのため今度はリターニアの付属地となってしまいました。

エルネスト
エルネスト

二百年前、ボリバルは付属地から属国へ変貌した、ツァインゼッセ王朝のね。

エルネスト
エルネスト

つまり、ボリバルはあの時から今のボリバルに変わったと言えます――ツァインゼッセ王朝の人たちは絶対に自分たちをボリバル人とは呼びませんけどね。

エルネスト
エルネスト

それから、巫王の時代、リターニアはボリバルを通じてクルビアで内乱を引き起こそうと企みました。

エルネスト
エルネスト

しかし、そうした結果、内乱は失敗に終えただけでなく、ボリバルはクルビアに侵攻されました、連邦政府もその時に立てられたものです。

エルネスト
エルネスト

それからボリバルはリターニアとクルビアが分割する状態に入りました。

エルネスト
エルネスト

リターニアはボリバルをそれほど重要視していませんし、クルビアに至っては野心に満ち溢れているが結局全土を掌握することはできませんでした。

エルネスト
エルネスト

そのため双方は一進一退の泥沼状態に突入したんです。

エルネスト
エルネスト

それから、こんな世情に耐えきれなくなったボリバル人たちが反乱を起こしました。

エルネスト
エルネスト

彼らはレジスタンスを結成し、シエルト・ボリビアンと名乗り、ボリバルを真の独立国家にするための誓いを立てたのです。

エルネスト
エルネスト

ただし、事態が好転することはなく、シエルト・ボリビアンの結成はボリビアを更なる泥沼に引きずり込むになってしまいました。

エルネスト
エルネスト

そしてその結果、今の有様の出来上がりです。

エルネスト
エルネスト

連邦政府、ツァインゼッセ政府、シエルト・ボリビアン、三つの勢力は永遠に消えぬ戦火の渦中に陥ってしまったのです。

エルネスト
エルネスト

それだけじゃなく、こんな環境下で、ドッソレスみたいな都市も生まれてしまいました。

エルネスト
エルネスト

ミス・カンデラの治政のもと、この都市は三政府の間で肥えていき、さらには三勢力ともミス・カンデラに恩を売る始末です。

エルネスト
エルネスト

なぜならこの都市はあいつらからしたら無視できない資源を持っていて、ミス・カンデラにもこの都市を守ってやれるほどの力を有していましたからね。

エルネスト
エルネスト

そしてこの都市はボリバル人たちの憧れの地となった。

エルネスト
エルネスト

戦火に虐げられてきたボリバル人なら、ここに来て金を稼いだり遊んだり、あまつさえここに移住しようと考えるぐらいにね。

エルネスト
エルネスト

けど、あなたやリンさんみたいないい人なら分かっていると思います、チェンさん。

エルネスト
エルネスト

この都市が一体どういうところなのかを。

エルネスト
エルネスト

仮に三勢力ともにボリバルを統一する考えを持っているのであれば、ミス・カンデラはその逆でまったくそんな考えは持ち合わせていない。

エルネスト
エルネスト

正直に言うと、チェンさん、この都市の繁栄はボリバル全土が受けてる苦しみの上に建てられているんです。

エルネスト
エルネスト

ここが繁栄すればするほど、国としての希望は失われていく。

エルネスト
エルネスト

ボリバルの地を本当に愛する人たちからしたら受け入れられないことです。

チェン
チェン

君もその一人なのか?

エルネスト
エルネスト

はい。

エルネスト
エルネスト

この都市はボリバルという地にあってはいけないんです。

チェン
チェン

君の目的はこの都市を滅ぼすことか。

エルネスト
エルネスト

いえ、滅ぼすには、勿体なさ過ぎますよ。

エルネスト
エルネスト

俺たちの目的は恐慌を起こすことです。

チェン
チェン

つまり長々と語ってくれたのは、私たちの力を借りたいと?

エルネスト
エルネスト

とんでもない、ちょっとした言葉で他人を説得させてこちら側に引きもうなんて、まだ自信ありませんよ。

エルネスト
エルネスト

ただ、あなたやリンさんには少なくとも傍観に徹して頂きたいんです。

エルネスト
エルネスト

あなたたちもお気づきでしょう、俺たちのやってることは正義なんです、チェンさん。

チェン
チェン

……

エルネスト
エルネスト

お二人が手出ししてこない限り、こちらも絶対お二人に手出ししないと約束しましょう。

エルネスト
エルネスト

お二人はとてもお強い、この点については、お二人と一緒に試合に参加した俺が一番よく知ってますからね。

エルネスト
エルネスト

お二人と衝突してしまっては、不必要な損失を招きかねませんから。

エルネスト
エルネスト

どうかお二人にはこの件についてご考慮頂ければと。

チェン
チェン

エルネスト。

エルネスト
エルネスト

なんでしょう。

チェン
チェン

私はついこの間、今回のよりさらに複雑な陰謀を経験した、あの陰謀で、私は自分の弱さを知ったこと以外、なにも得られなかった。

チェン
チェン

しかし、それでも一つだけは断言できる――他人に恐怖を与えるものに、正義と名乗れるものはない。

エルネスト
エルネスト

……

チェン
チェン

それに君、まだ本当のことを話していないだろ。

エルネスト
エルネスト

なんのことでしょうか、チェンさん、俺はもう自分が今回の首謀者と認めましたけど。

チェン
チェン

いいや、君ではない。

チェン
チェン

私の疑いは君が私たちを自分の武器ショップに閉じ込めたあの行為から始まった。

チェン
チェン

とても有効的な行為だったが、無茶でもあった、君が自分の正体がバレるかもしれない可能性を考慮しないとは思えない。

チェン
チェン

だから考え始めたんだ、君はまだ奥の手を残しているのではないかと。

チェン
チェン

もし君が今回の首謀者で、かつ正体がバレてしまったら、それらを補える奥の手などあるはずもないだろう。

チェン
チェン

だからピンと来たんだ、もし君の正体が重要でないのなら、つまりだ、君は実際バレてもさして問題はない。

チェン
チェン

もしそうなのであれば、話の筋が通るはずだ。

チェン
チェン

君からすれば、私たちを止められるのであれば一番いい、だが止められなかった上に正体もバレたとしても、今のような状況になるだけだ。

チェン
チェン

君の目の前に立ち、君をすべての首謀者として見なし、君の背後に潜んでいる何かから目を逸らさせるためにな。

エルネスト
エルネスト

……

チェン
チェン

今でも、私は未だに君の手で踊らされてる、そうだろ、エルネスト。

エルネスト
エルネスト

本当に手に踊らされてる人なら、そんなこと言いませんよ、チェンさん。

チェン
チェン

だがこちらが掴んでいる情報はあまりにも少ない、たとえ事件が発生すると知っていても、そこに飛び込むしかなかったがな。

チェン
チェン

しかし、そのあまりにも少ない情報だけで、短い一週間で俺たちが何年もかけて練り上げた計画の尻尾を掴みそうになった。

エルネスト
エルネスト

チェンさん、あなたとリンさんはやっぱりすごいよ。

エルネスト
エルネスト

本当です、周りのみんなからは気にしすぎだと言われてるんですよ、お二人を要注意人物として扱うことをね。

エルネスト
エルネスト

けど俺から見れば、警戒しておいてすごい助かった、でないと、もし俺がヘマをして、ちょっとでもなにか漏らしたら、すぐお二人に嗅ぎつかれますからね。

エルネスト
エルネスト

けど残念、お二人はそれでも失敗しちゃいました。

そう言ってエルネストは、テレビをつけた。

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