アークナイツストーリー翻訳

【明日方舟】ニアーライト NL-2「最期の一刺し」行動後 翻訳

(イヴォナの足音)

イヴォナ
イヴォナ

……

ユスティナ
ユスティナ

……イヴォナ、おかえり。

ユスティナ
ユスティナ

顔色すごく悪いけど……

イヴォナ
イヴォナ

……当たり前だろ。

イヴォナ
イヴォナ

あのクソみたいな騎士連中の甲冑を砕けなかったんだからな……チッ。

ユスティナ
ユスティナ

……君のせいじゃないよ。

ユスティナ
ユスティナ

彼は自分の健康状態を私たちの誰にも教えてくれなかった。

ソーナ
ソーナ

あれほどの感染なら、彼は数か月前から活動を止めるべきだった――

ソーナ
ソーナ

どうにかしてカジミエーシュを出て、自分の考え方に従って、最後の日々を送るべきだったわ。

グレイナティ
グレイナティ

オルマー・イングラ……あれがカヴァレルエルキの騎士貴族です、暴虐で、無知で、人の命を軽んじている。

グレイナティ
グレイナティ

あの時に競技場でヤツの四肢を打ち砕くべきでした……

ユスティナ
ユスティナ

……君のせいでもないよ、灰豪。

イヴォナ
イヴォナ

チッ、アタシがついていたってのに……

ソーナ
ソーナ

……彼は最後……なんて言ってた?

イヴォナ
イヴォナ

知ったら後悔するぞ。

ソーナ
ソーナ

それでも知りたい。

イヴォナ
イヴォナ

……そうかい。

ソーナ
ソーナ

……

グレイナティ
グレイナティ

感染者が死んでも死にきれないことなど……珍しいことじゃありません。

グレイナティ
グレイナティ

彼の怒りを心に刻んでおきましょう。

ソーナ
ソーナ

……

グレイナティ
グレイナティ

ソーナ?

ソーナ
ソーナ

……彼の名前はジェミーだった、競技騎士になってから、事故によって感染者になったの。

ソーナ
ソーナ

バツイチで、かわいい娘さんがいた。病状を隠していたのは騎士として競技に参加し続けるためだったんでしょうね……彼にはお金が必要だったから。

ユスティナ
ユスティナ

けど病状を隠すため……彼は騎士協会へさらにお金を渡さなければならなかった。

ユスティナ
ユスティナ

彼の部屋で協会メンバーとの手紙を見つけた、あれは底なし沼だよ。

ソーナ
ソーナ

彼はとても楽観的な人だったわ、彼がそんなことを背負ってるとは察知できなかったぐらいにね。

ソーナ
ソーナ

鉱石病を罹っても、奥さんと子供と離れ離れになっても、彼はほかの人を助けようとしていた……

ソーナ
ソーナ

憶えてる?彼は毎朝あの子供たちの世話をしてくれていたんだよ。

ソーナ
ソーナ

それなのにあんな尊厳もなく死んでいくべきじゃなかった、私たちが騎士団を立ち上げた初志に反しているわ、でも……

ソーナ
ソーナ

でも……

ソーナ
ソーナ

生活に情熱を抱いていた人が、最後の最後にあんな骨に刻むような憎しみを露にした。

ソーナ
ソーナ

もしそうなら――

グレイナティ
グレイナティ

……ソーナ。

グレイナティ
グレイナティ

最近思い詰めすぎです、少しは肩の力を抜いてください。

ユスティナ
ユスティナ

……うん……

イヴォナ
イヴォナ

……そういう頭を使うまどろっこしいことはお前らに任せる。

イヴォナ
イヴォナ

アタシはもっと強くなる、あの涼しい顔して平然と人を殺すような連中を叩き潰せるぐらいに、自分で自分の道を切り拓けるぐらいにな。

イヴォナ
イヴォナ

血騎士がいい模範だ、カジミエーシュがまだ“騎士”を認めてるってんなら……アタシらもこのまま進み続ければいい。

イヴォナ
イヴォナ

だからあんま思い詰めるな、ソーナ、そうしてるとお前の進み具合が遅くなっちまう。

ユスティナ
ユスティナ

……ソーナ!

ソーナ
ソーナ

はいはい、わかったわかった、ならさっさとシェブチックと――

ユスティナ
ユスティナ

風……風が変った、ほんの一瞬だったけど……

ユスティナ
ユスティナ

誰かがここを見ている、それに……

ソーナ
ソーナ

……無冑盟?

ユスティナ
ユスティナ

よく気配を隠している……でも敵だったらとっくに襲ってきてるはず……

イヴォナ
イヴォナ

――出てこい。

イヴォナ
イヴォナ

ここは感染者の地盤だ、一般人がここに入ってくるはずがねぇ。

イヴォナ
イヴォナ

さもないと――

(トーランが姿を現す)

トーラン
トーラン

わかったわかった、そう大声を出さないでくれ、やれやれ。

トーラン
トーラン

感染者の騎士ねぇ、まったく思いもしなかったよ。十数年ぶりにカヴァレルエルキに近寄ってみれば、騎士の旦那と商人たちも開き直ったもんだ……

グレイナティ
グレイナティ

……誰ですか?

トーラン
トーラン

誤解しないでくれ、俺はただ人を探してるため、たまたまここを通っただけだ、だがまあ、これもなにかの縁……

トーラン
トーラン

……お互い共通の話題を持ってるはずだ、感染者たち、例えば……無冑盟とか。

ソーナ
ソーナ

お生憎様だけど、こっちは今お通夜をしてるのよ、話がしたいのなら、日を改めてちょうだい。

トーラン
トーラン

そうかい?そりゃタイミングが悪かったな、残念だ。

トーラン
トーラン

ほかの場所をあたってみるとするよ、せっかく大騎士領に来たもんなんでな。

トーラン
トーラン

それじゃあ失礼するよ……まあすぐまた会えるとは思うがな。

???
???

……

(無線音)

???
???

シェブチックを連れて行った騎士を見つけた……逃走した遠牙騎士だ。

???
???

レッドパイン騎士団とつるんでいる、ああ、感染者騎士たちは生まれつき集う習性があるからな――

???
???

――そっちなんか騒がしいんだけど?また酒場にいるなの?

???
???

なるほど、夢魘の出自を調べていると、できた言い訳だな。それで感染者に関する命令はいつ出すわけ?

???
???

……なに?

???
???

シェブチックの一件は“上がまだ会議”してるからこうなったんでしょうが?ドローンまで寄越して吹っ飛ばしたのよ、今更なにが……

ロイ
ロイ

いやね……俺に言ってもよ、今はメジャーリーグ期間なんだ、そう簡単に決断が下るわけないだろ。

ロイ
ロイ

うん、そうそう、ホントにサボってなんかいないって、信じてくれよ。

ロイ
ロイ

ホントだって――あっ、店長さん、フライドポテトってない?

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

少々お待ちを。

ロイ
ロイ

わかった、もしもし?モニーク、聞こえてる?

(無線が切れる音)

ロイ
ロイ

……ありゃ、切れちゃった。

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

ご注文のフライドポテトです。

ロイ
ロイ

あっ、うん、どうも。

ロイ
ロイ

うん……!ジャガイモをスライスして揚げるって考えたヤツはマジで天才だな。現代社会はきっとそいつがいたおかげでこんな輝かしいもんになったんだ。

ロイ
ロイ

そういえば、この前頭角を現したあのマリア・ニアール、鞭刃騎士とよくここを訪ねてくるんだったよな?

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

もしサインが欲しいのなら、二人が来るかは運次第さ……

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

なんせ、この酒場には引退したヤツらしかいないもんでね。

老騎士
老騎士

なんじゃあいつ、まさか無冑盟の斥候か?

老工匠
老工匠

さあな、あっちが手を出さない限り、こっちも下手に動けないだろ……おい、あいつもしかしてお前を見ていないか?

老騎士
老騎士

うぅむ……放っておけ。

老騎士
老騎士

昨晩からまぶたがピクピクしおるんじゃ……なにか大事件が起きそうな予感がするわい。

老工匠
老工匠

お前もとうとう不眠なお年になったのか?

老騎士
老騎士

あ?こっちはまだピンピンしておるわい、お前になにがわかる!当時のわしはこのまぶたがピクピクしてたおかげで砲兵の襲撃を察知できて――

老工匠
老工匠

お前さんに大事件だぁ?今朝寝ぼけて歯磨き粉とオリーブオイルを取り間違えたんじゃないのか?

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

――む。

老騎士
老騎士

マーティン。わしも気配を察知したぞ……こりゃ大物じゃ。

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

俺もこんな不気味な予感は初めてだ……騒ぎを起こさないでもらえるといいんだがな。

ロイ
ロイ

(もう来たのか。はやいな……うーん、ひとまず静観しておくか。)

(何者かの足音)

――
――(古い言語)若き狩人が、天へと踏み出した♪
――(古い言語)夢の中より出でて、黄金の彼方へと行かん♪

老騎士
老騎士

(この言語は……!)

老工匠
老工匠

……どういうことだ、今は酒場に来ると同時に登場曲を自分で歌わなければならないのか?ならジュークボックスがお役御免じゃないか?

(騎士が酒場に入ってくる)

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

まさか俺のこんな辺鄙な酒場が本当にニアール家の恩恵に預かったのか?だがお前みたいな騎士は見たことがない……フォーゲル?おいどうした?

老騎士
老騎士

わ……わからん、心臓が突然……

逐魘騎士
???

(古い言葉)……バトバヤル、同胞、末裔の者よ。

逐魘騎士
???

(古い言語)なぜこのような場所にいる?

老騎士
老騎士

貴様……!なぜその名を知っている?

逐魘騎士
???

……

沈黙した騎士はあたりを見渡した、その視線が及ぶ場所では、光さえもそれを避けようとしていた。

老騎士
老騎士

答えろ、なぜその名を知っている……?

老工匠
老工匠

おいフォーゲル、こいつはお前の知り合いなのか?

逐魘騎士
???

……

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

ご注文は?お客さん?もし用がないのなら武器を仕舞ってくれないか、ここは武器を携えた騎士をあまり歓迎していないのでね。

逐魘騎士
???

(古い言語)……遺憾だ。

老騎士
老騎士

待て、そう急ぐな――

(ゾフィアとマリアが酒場に入ってくる)

ゾフィア
ゾフィア

コーヴァル、マリアがあなたの工房をまだ借りたいって――

ゾフィア
ゾフィア

――えっ。

マリア
マリア

ぞ、ゾフィアお姉さん、待ってよ……痛っ!

マリア
マリア

きゅ、急に立ち止まって、どうしたの?

逐魘騎士
???

……お前は……

ゾフィア
ゾフィア

……逐魘騎士?

ゾフィア
ゾフィア

今大会で頭角を現したニュースターがここに何の用?マリアとマーガレットの情報でも探りに来たの?

ゾフィア
ゾフィア

もしそうなら――

逐魘騎士
逐魘騎士

五月蠅い。

ゾフィア
ゾフィア

――!

(斬撃音)

マリア
マリア

危ないッ!

マリア
マリア

あなた……急になにするんですか!?

逐魘騎士
逐魘騎士

……ペガサス……軟弱な種族め。黄金の血が流れる天馬でこそ我が相手に務まる。

逐魘騎士
逐魘騎士

だが天馬が退いたあと、このいわゆる“騎士の国”は……

逐魘騎士
逐魘騎士

草原で衰えた、それをお前たちは見て見ぬフリをしているのか、クランタよ?

逐魘騎士
逐魘騎士

今のカジミエーシュで、お前たちのような者どもが、騎士を名乗るだと?

逐魘騎士
逐魘騎士

皆あのような……仰々しい競技場で、武を競い合ってると言うのか?

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

今のようなマネをしてくれてたおかげで、こっちはもう大人しく話を聞いてやれなくなってしまったよ。

老騎士
老騎士

動くな……小僧、お前にはまだ聞きたいことがある、わしも今ここでお前の脳みそを射貫きたくはない。

逐魘騎士
逐魘騎士

悪くない……戦う意志は残っていたか。

逐魘騎士
逐魘騎士

では、お前はどうする?

ロイ
ロイ

えっ、お、俺?俺はただの通りすがりの騎士のファンだ、俺のことならいない者として扱って、大目に見てくださいよ。

ロイ
ロイ

俺はなにもしません、なにもしませんから、うん。

逐魘騎士
逐魘騎士

……

ロイ
ロイ

(アイアンシェイクのマーティン、ハンマー使い、フォーゲルヴァイデ、征戦騎士の弓の使い手、鞭刃騎士、怪我を負ったあとだから脅威ではない……マリアも、しばらく目を配る必要もないな。)

ロイ
ロイ

(まあ肝心なのはこいつらじゃない……うーん……やはり逐魘はフォーゲルヴァイデが目当てだったか……)

ロイ
ロイ

(よし……そんじゃこれから……どうしよっかなぁ。耀騎士も来るのかな?)

逐魘騎士
逐魘騎士

……ここに長居する意味はないな、お前たちと相対しても、気が気でない。

老騎士
老騎士

貴様、舐めているのか?

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)バトバヤル、お前はかつて戦場を駆け巡り、その身で戦争を味わった、だが守れたのはせいぜい我が家のみだったな。

老工匠
老工匠

(あいつはなにを話してるんだ!?)

老騎士
老騎士

……戦争……貴様も征戦騎士だったのか?わしのことを知っておるのか?

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)いいや、私は“騎士”ではない、そうであればあまりにも笑えてくる話だ、しかし、戦争はお前にとって唯一先祖に恥をかかせない行いだったぞ、末裔よ。

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)たとえここに……鉄筋コンクリートで覆われた都市にいようと、暗い雨はやがて虹を越えていく、末裔よ、お前がまだ草原の呼吸とハーンの誓いを憶えていればいいのだがな……

老騎士
老騎士

……ハーン?あ……?

老騎士
老騎士

いつの話をしておるんじゃ貴様は?

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)本来なら……再び道を行く前に、このいわゆる騎士の国で生き残った同胞を探そうとしていたのだが、どうやら、現実的ではなかったな。

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)だが問題はない。

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)カジミエーシュの惰弱はハーンへの不敬だ、この行いは必ず誰かによって正さねばならない。

老騎士
老騎士

待て!まだわしの質問に答えてないぞ!

逐魘騎士
逐魘騎士

……うぅむ、今はすでに衆人に混じってしまったが、少なくともまだ半人前の同胞ではいるな……その質問に答えよう。

逐魘騎士
逐魘騎士

……お前の名前はある老兵から教わった、だがその者は、すでに老いてしまい、もはや駆け巡ることも叶わなくなった。

逐魘騎士
逐魘騎士

私はカジミエーシュにいる同胞たちを探している、関係がどれだけ微弱なものでも構わん、とにかく同胞を探しているのだ。

老騎士
老騎士

はあ?同胞じゃと?ここカジミエーシュでか?

逐魘騎士
逐魘騎士

……もうお前とは無関係の話だ、カジミエーシュ人。

ゾフィア
ゾフィア

待ちなさい。

逐魘騎士
逐魘騎士

……

ゾフィア
ゾフィア

逐魘騎士……最初は大人しい新人だと聞いていたわ。

ゾフィア
ゾフィア

けどこうやって刃を向けられたのなら、そのままあなたを行かせるわけにはいかない。

ゾフィア
ゾフィア

兜を外してから話をしてみたらどうなの?

逐魘騎士
逐魘騎士

……“逐魘騎士”……?ああ、あの都市の奴隷どもが勝手につけた名前だな。

逐魘騎士
逐魘騎士

笑止……騎士に名など必要なものか……

逐魘騎士
逐魘騎士

生来備わっていた信仰と命を掌握する渇望があってこそ、騎士は旅路へ出でるよう促されるというのに。

マリア
マリア

……!

ゾフィア
ゾフィア

そうやってわざと難癖を付けに来たら、騎士協会が黙っちゃいないわよ、メジャーリーグの参加資格を剥奪されたいわけ?

逐魘騎士
逐魘騎士

……もし……カジミエーシュにはお前みたいなつまらぬ騎士しか残っていないのであれば……さすがに骨折れ損というわけだ、無用な資格が剥奪されたとて気にも留めん。

逐魘騎士
逐魘騎士

しかし、お前の傍にいるそのペガサス……なにやら、私が探している人と似ているな……

マリア
マリア

……!それって……お姉ちゃんのこと……?

マリア
マリア

――耀騎士に何の用ですか?

逐魘騎士
逐魘騎士

何の用……?カジミエーシュから大騎士と奉られた優勝者の数々――もし征服するに値する相手が今のカジミエーシュにいるとすれば、おそらくはその者たちの中にいるのだろう。

逐魘騎士
逐魘騎士

もちろん……その者たちのどれもが失望に値する可能性もあるがな。

老騎士
老騎士

……狂ってるぞお前、もしやただケンカをしに来たと言うのか?

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)狂っている……?

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)そうだな……今を生きるカジミエーシュ人から、よくそう言われたものだ……

逐魘騎士
逐魘騎士

(古い言語)……ゆえに我らはもはや同胞ではなくなった。

ゾフィア
ゾフィア

待ちなさい!そのまま何事もなかったかのように立ち去るつもり!?

逐魘騎士
逐魘騎士

この行いに成果がないのであれば、自ずと留まる必要もない……

逐魘騎士
逐魘騎士

また会おう、末裔よ。

(逐魘騎士が立ち去る)

ゾフィア
ゾフィア

……チッ。

ゾフィア
ゾフィア

一体なんなのよアイツ、ブツブツと訳の分からないことを……

ゾフィア
ゾフィア

マーガレットがあんなヤツと当たらなければいいのだけれど。

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

どうやら、お前を一目見るために来たようだな?同郷の者か?

老騎士
老騎士

……

老騎士
老騎士

まさかヤツは……夢魘?

老工匠
老工匠

……は?この時代にまだ夢魘の生き残りがいるのか?

老工匠
老工匠

とっくに伝説に生きる人たちとは思っていたよ、それかサルゴンみたいな場所にひっそりと隠れながら暮らしているとか……

老騎士
老騎士

……

老工匠
老工匠

それで?お前の爺さんの爺さんの血縁の者が急にお前のもとに現れたのはどういうことだ?

老騎士
老騎士

…………わしらを呼んでおるのじゃ。

(戦闘音)

左腕騎士
左腕騎士

……チッ。

(戦闘音)

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

おお!おお!目の前で繰り広げられてるこの景色、なにやら既視感を覚えますね!

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

“左腕”のタイタス・トポラ、今回こそブレードヘルム騎士団に勝利を導き、再び十六強の位に返り咲けるのか!?

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

まさに復讐の戦い!皆様!大いに盛り上がりましょう!今まで幾度も十六強で留まっていた“左腕”のタイタス・トポラが、はたしてこの日をもって己を越えられるのだろうか!?

(大歓声)

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

そして――その相手は!!

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

トポラ家の長い騎士の歴史において、たった一度!たったその人のみ!彼へ極まりない屈辱を与えた!

左腕騎士
左腕騎士

クソッ……

左腕騎士
左腕騎士

……この数年間、貴様は一体なにをしてきたのだ……!?

左腕騎士
左腕騎士

(なぜだ……一体なぜ……)

左腕騎士
左腕騎士

(これからどう動く?距離を離すか?いや、ヤツは……チッ……なぜヤツがスピアなどを使っているのだ……)

左腕騎士
左腕騎士

(なにより……)

マーガレット
マーガレット

……

左腕騎士
左腕騎士

(……ヤツが……この私に……威圧感を与えているだと?)

タイタス・トポラは目を閉じた。
本来ならこれは激しい復讐劇になると思っていた、長い間醸してきた、価値を証明するための機会だと。
しかし怒り、願いと激情のすべては、この時跡形もなく霧散してしまった。
認めざるを得なかった、これは抗いではない。
挑戦なのだと。
頂への挑戦なのだ。

左腕騎士
左腕騎士

(ブレードヘルム騎士団の顔になってから、この感覚はいつぶりだ……?)

挑み、進む、さらなる高みへ這い上るために。

左腕騎士
左腕騎士

ハッ……ふふ、もはや笑えてくるな……

左腕騎士
左腕騎士

耀騎士……貴様は本当にあの頃の貴様なのか?

左腕騎士
左腕騎士

私をここまで追い詰めておいて……なのに貴様はまったく驕らず、まったく喜んでいないだと?あの頃の意気揚々としていた貴様はどこに行ったのだ?

左腕騎士
左腕騎士

今の貴様は、吐き気を催すほど冷静沈着でいる――

マーガレット
マーガレット

私は別にあなたを見下すつもりはない、タイタス、一度もな。

マーガレット
マーガレット

ただあなたはすでに方向を見誤ってしまった。

マーガレット
マーガレット

あの混乱とした囲い猟の中、少なくとも、最後まで立っていたあなたは、その手で幾重も連なった囲いから抜け出そうとしていたあなたは、ただ純粋に勝利のみを求めていた。

左腕騎士
左腕騎士

はは……今の貴様は説教することも覚えたのか……?追放された日々を送る中、覚えたのはその教師面だけか?

マーガレット
マーガレット

……タイタス。

マーガレット
マーガレット

なぜあなたはその企業のロゴマークに縛られているのだ?

左腕騎士
左腕騎士

――耀騎士!

左腕騎士
左腕騎士

貴様が常々そんな陳腐な伝統を口に掲げてるというのであれば……一番古式ゆかしい方法で決着を決めよう……

左腕騎士
左腕騎士

一度っきりの衝突、一度っきりの交じり、一度っきりの全力でだ。

左腕騎士
左腕騎士

貴様の……すべてを踏みにじってやるッ!

(大歓声)

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

左腕騎士が構えた!最後は必殺技で勝敗を決しようというのだろうか!?

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

耀騎士のほうは――耀騎士のほうもゆっくりとその奇妙な武器を掲げた――

ビッグマウスモーブ 
ビッグマウスモーブ 

刃を交わしたあと最後に立つのはどちらなのか、さあさおはやく、観客の皆様!皆様の行動で騎士たちへの応援を証明してやりましょう――!

燭騎士
燭騎士

……

慎重な観客
通りすがりの観光客A

あれって燭騎士のドロストさんじゃない?なんでこんなところにいるんだろ?

興奮した観客
通りすがりの観光客B

待ち合わせとかじゃないかな……ていうかボーっとしてないで、とりあえず一枚だけこっそり撮っちゃおうぜ……もしかしたらスクープが見れるかも……

燭騎士
燭騎士

……

企業職員
競技場スタッフ

燭騎士様、わざわざご足労をおかけしてしまい、申し訳ありません、どなたかお待ちしているのですか?

燭騎士
燭騎士

お気になさらず、思いつきで来ただけです、こちらこそそちらに一声かけてなくて申し訳ありません……ただ耀騎士のお姿を一目見ようと思いまして。

燭騎士
燭騎士

試合、そろそろ終わりそうですかね。

企業職員
競技場スタッフ

……ええ、左腕騎士のタイタス・トポラ様は、十分前に耀騎士に負けてしまわれました。タイタス様はかなりの実力をお持ちですが、一試合目で敗者となってしまわれたことにつきましては、あまり楽観視できないかと……

燭騎士
燭騎士

……ええ。

企業職員
競技場スタッフ

……本当にただ耀騎士を一目見ようといらっしゃっただけなのですか?

燭騎士
燭騎士

見てみたかったのです、今の彼女の姿と、騎士たちが口々にしてるあの彼女は、一体どれだけの違いがあるのかを。

(大歓声)

燭騎士
燭騎士

人がみんな向こうに流れてしまいましたね。

企業職員
競技場スタッフ

そ、そうですね、耀騎士が正式に試合へ帰還されたあと、あまりこちらが運営するイベントに協力して頂けなくて……

企業職員
競技場スタッフ

よく一言も発せずそのまま競技場を後にすることもあるんです、予定していた会見や各種宣伝活動も尽く拒否されるものですから、こっちは今まさに頭を痛めていますよ……

企業職員
競技場スタッフ

しかし、今日耀騎士を取り囲んでいる記者たちが普段よりかなり多いようですね、一体どうしたんでしょうか?

マーガレット
マーガレット

その……すまない、通してくれ……

???
興奮した記者

マーガレットさん、感染者騎士が試合会場で死亡した件についてどうお思いですか?それでマーガレットさんの試合にも影響が及ぼすのでしょうか?

???
先を争う記者

耀騎士様、最近の騎士協会の動きについて、なにかコメントはありますか?感染者は本当に不公平の要因になり得るのでしょうか?

???
興奮した記者

あっ、マーガレットさん、直近の感染状況を教えて頂けますか?騎士協会がその点について守秘措置を行うとのことですが、観客やほかの騎士たちからすればあまりにも無責任ではないでしょうか?

???
興奮した記者

それとあなたが数人のサルカズ人と仲良くしてる場面の目撃情報があります、彼女たちは何者なんですか?ご説明ください!

???
先を争う記者

耀騎士様!お答えください――感染者騎士たちの精神的な支柱になるおつもりなんでしょうか?

???
先を争う記者

――それこそ第二の血騎士になったりは――

マーガレット
マーガレット

……質問にはお答えできません。

???
興奮した記者

それって黙認ってことでよろしいですか?ではあのサルカズ人たちとの関係も――

(燭騎士が近寄ってくる)

燭騎士
燭騎士

お初お目にかかります、ニアール様。

マーガレット
マーガレット

……あなたは?

???
興奮した記者

……燭騎士のドロスト!燭騎士が会場前で耀騎士を待っていた!

???
先を争う記者

はやくスケジュールを渡せ……間違いない、二人はこの後試合で戦うことになってる……おい、はやくこのシーンを収めるんだ!はやく撮れ!

燭騎士
燭騎士

少し、お話できますか?

燭騎士
燭騎士

(そちらもメディアに着け纏わられたくはないのでしょう?)

マーガレット
マーガレット

あっ……ああ。

マーガレット
マーガレット

……わかった、では場所を変えよう。

企業職員
競技場スタッフ

ちょっ、申し訳ありませんが、これ以上近づくことは――メディアの会見はこの後予定しておりますので、今回はお引き取りください!お引き取りください!

燭騎士
燭騎士

……

マーガレット
マーガレット

……その……

燭騎士
燭騎士

ご苦労なことですね、カジミエーシュの伝説は。

燭騎士
燭騎士

あなたが“追放”されたおかげで、“耀騎士”はむしろさらに神秘のベールに包まれるようになりました……聖なる光を纏いし騎士、威厳たる黄金の天馬、流星の如き舞い戻った英雄……

燭騎士
燭騎士

今日こうして近づいてみれば、まだまだお若いのですね、だからああいった突発的な事態に困惑されてしまう……マーガレット・ニアールも、生きてる人間なのですね。

マーガレット
マーガレット

……とにかく、さきほど助けて頂いて感謝する。

マーガレット
マーガレット

そちらも騎士のようだが、お名前を伺っても?

燭騎士
燭騎士

……人から自分のことを訪ねられたのは随分と久しぶりになります、私が誰なのかより、みんな私がその誰かであってほしいと望んでいるものなので。

マーガレット
マーガレット

えっと、申し訳ない、こっちはまだカジミエーシュに戻って間もないんだ……

燭騎士
燭騎士

……うふふ。

燭騎士
燭騎士

私のことをご存じないから、怒らせてしまった……と思ってらっしゃるのですか?

マーガレット
マーガレット

見ればわかる、あなたは只者ではない。

燭騎士
燭騎士

あら、お褒めに預かり光栄です。

燭騎士
燭騎士

私も耀騎士とお会いできて嬉しく思っておりますよ、ヴィヴィアナ・ドロストと申します。

燭騎士
燭騎士

燭騎士とも、お呼び頂ければ。

マーガレット
マーガレット

燭騎士……いや、ドロストさん、もう一度さきほど助けて頂いたことに感謝する、それで私に何か用だろうか?

燭騎士
燭騎士

この先しばらくもしないうちに試合で相見えることになります。

燭騎士
燭騎士

あなたは感染者、それに一度は追放された人……誤解しないでくださいね、試合前にこうして相手と交流するような人ではないんです、私。

燭騎士
燭騎士

私はリターニアから来ました、異郷の地で、思いもしなかった身分で、この栄えた都市で暮らしています。

マーガレット
マーガレット

すでにカジミエーシュから認可を得ているのだな、ドロストさんは。

燭騎士
燭騎士

聞いた話によると、耀騎士は今ある騎士制度を一度も認めなかったから、それによって、追放されたのだと……まだそのようなお考えを持っておられるのですか?

マーガレット
マーガレット

カジミエーシュの騎士は今もなお自分たちの責務を忘れている。

マーガレット
マーガレット

カジミエーシュの一番貧しい地方へ行かれたことはあるかな?戦争、飢饉、感染者……庶民たちは巨大な苦しみに喘いでいるというのに、騎士たちは自分の街で歌よ舞よと平穏に暮らしている。

マーガレット
マーガレット

騎士の精神は、すでに消え果て、資本に弄ばれるがままの遺産と化してしまった。

マーガレット
マーガレット

屈辱とは思わないだろうか?

燭騎士
燭騎士

……なるほど。

燭騎士
燭騎士

どうやら、あなたは正真正銘の騎士でいらっしゃるのですね。

燭騎士
燭騎士

しかし……あなたとて一介の騎士にすぎません。

マーガレット
マーガレット

……

燭騎士
燭騎士

ご姉妹はどうなのですか?以前の間は、彼女が試合で活躍されておりましたが。

燭騎士
燭騎士

彼女は騎士への道を……諦めたのでしょうか?

マーガレット
マーガレット

…………

(代行者マギーが近寄ってくる)

代弁者マギー
代弁者マギー

ミス・ドロスト……それにミス・マーガレット、ごきげんよう。

燭騎士
燭騎士

ごきげんよう、マギーさん。

燭騎士
燭騎士

さきほどの騒動はご苦労様でした。

代弁者マギー
代弁者マギー

……はぁ。自覚をお持ちでしたか……

代弁者マギー
代弁者マギー

お二人のような大騎士であれば、その一挙手一投足も群衆が激動する話題になりかねません、なにより、メディアが集う目の前でなんて……

代弁者マギー
代弁者マギー

まあよしとしましょう、処理にあたる方法なら幾らでもある、ミス・ドロスト、そろそろ明日行われるリターニア貴族との面会の準備にあたってください。

代弁者マギー
代弁者マギー

できればですが、しばらく間はまたあのような不確定要素を作らないで頂きたい。

燭騎士
燭騎士

たとえば、感染者騎士と会うことでしょうか?

代弁者マギー
代弁者マギー

……あの貴族の方々はあなた目当てでいらっしゃったと言っても過言ではありません、ミス・ドロスト。あなたのリターニアにおける人気はずば抜けているんですから。

代弁者マギー
代弁者マギー

ミェシェンコ工業はリターニアにおける建設計画に大層関心を寄せいている、だが最終的にその契約を結べるのは、あなた、ミス・ドロストにかかってることをお忘れなく。

燭騎士
燭騎士

もちろん……私の責務ですから。

燭騎士
燭騎士

残念ですが、耀騎士様、今宵の対談はここまでのようです。

マーガレット
マーガレット

お気になさらず、その……正直驚いた、今のカジミエーシュにはまだあなたのような騎士がいたとは。

燭騎士
燭騎士

ではまた、競技会場で。

マーガレット
マーガレット

ああ。

マーガレット
マーガレット

]待っている。

燭騎士
燭騎士

……最後に一つ忠告がございます、耀騎士様。

燭騎士
燭騎士

嵐がやってきます。

燭騎士
燭騎士

それまでの間、夜空に掲げる星々も燦然と輝くことになります。

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おーちゃん

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ゲームのサイハテ
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