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【明日方舟】ニアーライトNL-7「夢の余韻」行動前 翻訳

「騎士の最後の敵は、この大地そのものになる。」
「地上で大人しく身を置くべきだった都市たちは、民の血と汗を糧に、蠢き始めた。」
「都市は暮らしのバケモノだ、彼らを召集し街々に抗え、最も純粋たる素晴らしさを彼らに返してやるのだ!」
「草原を再び草原へ、空を空のままへ、人々の意志を固め、永遠に朽ち果てぬ栄光を!」
「我こそは最後の騎士なり!」

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

どうですか、征戦騎士の目的地は分かりましたか?監察会でしょうか?

代弁者マギー
代弁者マギー

いいや……

代弁者マギー
代弁者マギー

……ヤツらは、チャンピオンウォール展示会場へ行った、歴代優勝者の肖像画とトロフィーが飾られてる場所だ。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……なぜです?直ちに政府関連の施設に行くべきでは?

代弁者マギー
代弁者マギー

理事会も今このことで話し合ってる。私が見るに、今回の事件は監察会がメンツを取り戻すための一歩目なのだろう。

代弁者マギー
代弁者マギー

次の一歩……もしかしたら次の一歩で、ヤツらは軍を常駐させるかもしれんな。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……

代弁者マギー
代弁者マギー

だが今のカジミエーシュは、ヤツらが喉元にナイフを突き立てれば従うほど臆病じゃないさ……愚かな騎士はまだその点に気づいていない。

代弁者マギー
代弁者マギー

暴力による時代はとっくに過ぎ去ったんだ。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……ええ……

代弁者マギー
代弁者マギー

すまないがあなたにはもう一度ゼロ号地まで行ってほしい、感染者収容治療センターにとって停電は手痛いものなのでな。

代弁者マギー
代弁者マギー

そこで問題が起こってないか様子を見に行ってほしいんだ。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

わかりました。

企業職員
企業職員

報告です、代弁者様、電力システムが……ほぼ回復しました!今再起動を計っています!

暗闇の中に銀光が通っていく。
喧噪な観客たちはその豪華な登場を見ようと人の壁を作り出した。
街灯がチカチカと点灯する、そして、ネオンライトが再び片時眠りに落ちていたこの街へ戻ってきた。

銀槍の天馬たちは広告の灯の下でまるで場違いなように映っていた。
しかし、その場にいる誰もが、野次馬の人々、慌ててる騎士、興奮してる観光客……
その誰もが錯覚していた、天馬が光をもたらしたのだと、みな錯覚していたのだ。
街は彼らが過ぎ去った後、彼らの背後で徐々に活力を取り戻していたのだから。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

……イオレッタ総帥。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

お久しぶりね、ライム。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

長旅ご苦労、しかし残念ながら、あまり休憩時間は残されていないみたいなの。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

我々に休憩など必要ありません、カジミエーシュのために穢れを清めることが急務ですから。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

ふふ……あなたは相変わらずせっかちね。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

今回の宴の主人公に会ってみる?

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

……マーガレット・ニアールですか?

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

彼女はあの頃の総帥のお誘いを断るべきではありませんでした、本来ならあそこまで没落することなく、我々の内でも一番優秀な人材になり得たはずです。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

しかし、彼女はまたカジミエーシュへ戻ってきた、さらにはもう一度あの偽りまみれの舞台へ上がっていった……もしやマーガレットは追放されたことで考えに変化が生じたのでしょうか?

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

あなたはマーガレットと決闘したことがあったわね、彼女はどういう子だった?

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

ふむ……時間は万物を変えうる、今のマーガレットは……

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

ここの壁をご覧なさい、ライム、メジャーリーグの歴代優勝者が飾られているわ。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

なぜこんな徐々に崩壊していく時代の中から傑出してきた騎士たちは、未だにこのような光を浴びているか考えたことある?

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

……優秀な騎士が一人二人出てきただけでは、説明にはなりませんよ、総帥。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

騎士競技は依然として純粋なる冒涜のまま、カジミエーシュの禍根のままです。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

大騎士領に戻ってくるたびに、私は悲しみを重ねるのです。我々の民は今も畏敬を忘れようとしている、崇高なる人徳も陳腐な笑いのネタにされているのですから。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

……そうかもね、征戦騎士が大騎士領を去ってから、ずっとこの有様だわ。

イオレッタ・ラッセル
イオレッタ・ラッセル

ただ時代はいつだって若者の手にあるものよ、私たちが得た答えなど、もはやどうでもよくなったわ。

シャイニング
シャイニング

……ドクターもお気づきになられていたのですね。

シャイニング
シャイニング

さすがです。

ドクター
ドクター

・私たちがカジミエーシュの中心で派手に動くわけにはいかない。
・アーミヤと各オペレーターの安全が最優先だからな。
・誰も私たちが好き勝手に動いてほしくはないと思ってるだろうな。

シャイニング
シャイニング

……わかりますよ、ニアールさんもメジャーリーグ期間中は私たちがドクターのもとに戻ってほしくないと思っていましたから。

シャイニング
シャイニング

ただ現地の感染者から聞いた情報がますます無視できないものとなっていたので……アーミヤさんとドクターもきっとこの件について知ってるかと思います。

アーミヤ
アーミヤ

……いいえ、シャイニングさんの判断は正しかったです。

アーミヤ
アーミヤ

もし感染者たちが本当にゼロ号地で……非人道的な扱いを受けているのなら、私たちも“危険が及ぶ”という理由で無視するわけにはいきません。

シャイニング
シャイニング

……

ドクター
ドクター

ただ……ドクターが心配してることも理解できます……カジミエーシュはウルサス、それと龍門とは違いますから……

ドクター
ドクター

考えてみよう。

ドクター
ドクター

・今すぐ施設を吹っ飛ばし、中にいる感染者を救助した後、カジミエーシュから離脱するのはどうかな。
・今すぐ連合会と話をして、感染者全員を買い取るのはどうかな。
・今すぐこのことを国民院に検挙し、監察会に委ねよう。

今すぐ施設を吹っ飛ばし、中にいる感染者を救助した後、カジミエーシュから離脱するのはどうかな。今すぐ連合会と話をして、感染者全員を買い取るのはどうかな。今すぐこのことを国民院に検挙し、監察会に委ねよう。
アーミヤ
アーミヤ

……暴力はいけませんよ。

アーミヤ
アーミヤ

もし仮にそのラインを越えてしまったら、ロドスは瞬時にカジミエーシュの力にねじ伏せられてしまいます。

アーミヤ
アーミヤ

私たちは今カジミエーシュの中心にいます。もしかしたらこの国はウルサスと本質的に異なってるかもしれませんが、それでも……ここは騎士の国です。

アーミヤ
アーミヤ

ここの内側に蔓延る矛盾がどれだけ激化していようとも、カジミエーシュであることに変わりはありません。

アーミヤ
アーミヤ

ロドスはそんなカジミエーシュと敵対してはいけません。

アーミヤ
アーミヤ

えっ……ろ、ロドスにしてもそれは厳しいんじゃないですか……?

アーミヤ
アーミヤ

仮に感染者を全員買い取ったとしても……その後はどうするんですか?カジミエーシュからもう感染者は現れないとでも?

アーミヤ
アーミヤ

そんなこと、感染者を……取引可能な商品にしてしまうだけです。

アーミヤ
アーミヤ

それでは根本的な解決にはなりません。

アーミヤ
アーミヤ

監察会……私はまだゼロ号地の全貌すら把握していません。

アーミヤ
アーミヤ

監察会は商業連合会とずっといがみ合ってる仲ですが、監察会の感染者への態度はどっちつかずのままです……もし監察会が最初から黙認していたとしたら?

アーミヤ
アーミヤ

その際ロドスは……なにができるのでしょうか?

シャイニング
シャイニング

……ドクター。

シャイニング
シャイニング

どうするおつもりですか?

ドクター
ドクター

彼らのやり方で、彼らの問題を解決しよう。

無冑盟構成員
無冑盟構成員

あっちに行ったぞ!追え!

グレイナティ
グレイナティ

……チッ!

グレイナティ
グレイナティ

(電力はもう回復したか……ソーナならきっとどうにかして合流しに行ってるはず。)

無冑盟構成員
無冑盟構成員

今すぐ増援を呼べ――

グレイナティ
グレイナティ

ここの角を曲がって――ッッ!

プラチナ
プラチナ

本来ならゼロ号地で大人しくしていたのに……急に真っ暗になっちゃった。

プラチナ
プラチナ

とうとう無冑盟は哨戒してる場所に電気代を払わなくなったのかなと思ったら、この支援要請だよ……

グレイナティ
グレイナティ

……プラチナ!

プラチナ
プラチナ

……またアンタか。

プラチナ
プラチナ

前回で焔尾騎士ともども反省していればいいんだけれど。

グレイナティ
グレイナティ

お生憎……私は叩かれた分だけ、抵抗しようとするタイプの人間なんで。

グレイナティ
グレイナティ

そこをどけ――!

(爆発音)

プラチナ
プラチナ

学習しないなぁ……ならまた懲らしめてやるしかないか。

グレイナティ
グレイナティ

(距離を離された――さっきの一撃さえ防げば反撃できたはずなのに!)

無冑盟構成員
無冑盟構成員

ここにいたぞ!プラチナ様を援護に回れ!

グレイナティ
グレイナティ

(しまった――後ろに――!?)

(矢の射る音)

無冑盟構成員
無冑盟構成員

うがっ!

(無冑盟構成員が倒れる)

プラチナ
プラチナ

なっ……

(外灯が矢で割れる)

プラチナ
プラチナ

くっ……!街灯を潰して目くらましか……

プラチナ
プラチナ

……ガラスで顔を切ったらどうしてくれるのさ……まったく……

(無線音)

グレイナティ
グレイナティ

ユスティナ!

ユスティナ
ユスティナ

灰豪、はやく逃げて。

ユスティナ
ユスティナ

こっちでなんとか足止めするから。

グレイナティ
グレイナティ

……わかりました!

(無線が切れる)

プラチナ
プラチナ

逃がすか!

(複数の矢を射る音)

プラチナ
プラチナ

チッ……鬱陶しいな、先に隠れる場所を探して、それから方角を……

プラチナ
プラチナ

……!

(複数の矢を射る音)

プラチナ
プラチナ

制式のライトクロスボウの射程距離はこんなに長くないはず……

 

プラチナ
プラチナ

まさか、二人いるのか――

 

シェブチック
シェブチック

遠牙、ヤツに気づかれたようだ。

ユスティナ
ユスティナ

場所を移すよ。

ユスティナ
ユスティナ

狙撃ポジションで無冑盟を挑発してはいけないけど、今は……二対一だ。

プラチナ
プラチナ

(射撃が止んだ……移動したのか?勘のいいヤツめ。)

プラチナ
プラチナ

(こんな面倒臭いことなら救援要請なんか無視しとけばよかった……)

プラチナ
プラチナ

(でも……)

目を閉じた。
プラチナは忽然と遠い昔のことを、両親が自分に語ったことを思い出した。
彼女の鋭い視力ならきっと一族に栄誉をもたらしてくれると、二人は言った。
しかし今、はたして彼女は栄誉だろうか?

プラチナ
プラチナ

捕らえたぞ、シェブチック。

シェブチック
シェブチック

ッ――!?

(複数の矢をいる音)

矢はまるで嵐のようにシェブチックの顔をかすめていった。
あとほんの少しズレていたら、彼の頭は原型を留めていなかっただろう。

シェブチック
シェブチック

――撃ち返してきやがった?この距離だぞ!?

ユスティナ
ユスティナ

どうしたの?シェブチック?

ユスティナ
ユスティナ

チッ!止まってはダメ、動き続けるんだよ!

プラチナ
プラチナ

スゥ――フゥ――

プラチナ
プラチナ

……次は、オマエの番だ。

(矢がユスティナをかすめる)

(ユスティナが走り去る)

ユスティナ
ユスティナ

――!

(爆発音)

ユスティナ
ユスティナ

……特製の矢か……なんて威力。

ユスティナ
ユスティナ

こんな複雑に入り乱れてる街の中でも、私たちの動きを正確に捉えている……?

プラチナ
プラチナ

……見えなくなった。

プラチナ
プラチナ

逃げたのか?

シェブチック
シェブチック

私は……逃げるつもりなどないぞ、プラチナ。

プラチナ
プラチナ

……

(シェブチックが走る)

シェブチック
シェブチック

……貴様……私の家族をどうした!?

(斬撃音)

シェブチック
シェブチック

二人になにをした!?

プラチナ
プラチナ

……遠距離じゃ歯が立たないから、近づいて一騎討ちってわけ?

プラチナ
プラチナ

すごい発想だね。

(戦闘音)

シェブチック
シェブチック

うがっ――

プラチナ
プラチナ

情けない……一人の父親が、無冑盟に抗ったからここまで落ちぶれるなんて。

シェブチック
シェブチック

――このぉ――!

プラチナ
プラチナ

別に奥さんと子供を殺したりはしてないよ。

シェブチック
シェブチック

――じゃあどこに隠したッ!

プラチナ
プラチナ

無冑盟の言うことを聞いてくれるのなら、とりあえず電話ぐらいさせてあげてもいいよ。

シェブチック
シェブチック

……貴様……

シェブチック
シェブチック

いや、私にレッドパインを裏切れと言うのか?

プラチナ
プラチナ

アンタは父親で……騎士なんでしょ?

プラチナ
プラチナ

感染者のためにそこまでする必要なんてある?シェブチック?

シェブチック
シェブチック

……

ユスティナ
ユスティナ

……動かないで。

ユスティナ
ユスティナ

プラチナ……そこまでだよ。この距離なら、いくら動きが速くても矢には敵わないはず。

プラチナ
プラチナ

……選びな。

シェブチック
シェブチック

……チッ……

シェブチック
シェブチック

どいつもこいつも……騎士を眼中に置きやしない……

プラチナ
プラチナ

誰だって騎士競技に参加すれば騎士になれるよ、古いお家のほうがなり易いってだけ。

プラチナ
プラチナ

騎士の夢には……本当に……失望させられたよ。

シェブチック
シェブチック

……チッ!

(斬撃音)

プラチナ
プラチナ

――家族より自分のプライドのほうが大事ってわけ?

シェブチック
シェブチック

元から貴様を信用するつもりはない、ゲスな人殺しめ!

シェブチック
シェブチック

やれッ!遠牙!

ユスティナ
ユスティナ

――

(矢の射る音)

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

街はもう落ち着いてきたな。

ハゲのマーティン
ハゲのマーティン

とんだ大騒ぎだったよ……

マリア
マリア

……ソーナたちがやったのかな?

マーガレット
マーガレット

……そうかもな、それかほかの人も手を貸したのかもしれない。

マーガレット
マーガレット

彼女たちの内側には不公平への怒りで満ちていた、抗おうとしているんだ、だが感染者の反抗は……いつだって最後には利用される。

マーガレット
マーガレット

そのような惨劇は……何度も見てきた。

ゾフィア
ゾフィア

……マーガレット、もしかして、彼女たちを助けるつもり?

マーガレット
マーガレット

……

ゾフィア
ゾフィア

感染者のために戦うことと、騎士として戦うことは、今のカジミエーシュからしたら、とても矛盾した行いよ――

マーガレット
マーガレット

――感染者が受けてきた不公平は、私たちの目の前に映った無数の苦難の縮図でしかない。

マーガレット
マーガレット

感染者のために正義を広める人が出てくると私は信じているよ、それに、その人たちなら必ずやり遂げてくれるはずだ。

マリア
マリア

お姉ちゃん……

マーガレット
マーガレット

だが私たちだけで救いに行っても無駄だ。堅い意志に目覚めた人たちだけが救いに行っても、まだまだ不十分だ。

ムリナール
ムリナール

……珍しい客人だ。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

ムリナール様、ご無沙汰しております。

ムリナール
ムリナール

……私に畏まるな、もはや騎士とも呼べなくなったのでな、お前も自分の身分を忘れるな。

ムリナール
ムリナール

マーガレットを探しに来たのなら、失望するかもしれないぞ。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

……久しぶりに大騎士領に戻って見たら、英雄の邸宅は、こんな有様になってしまったのですか?

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

あの姉妹はもうここに住んでいないのでしょうか?

ムリナール
ムリナール

……

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

ああ、これは失礼……ご家庭の事情でしたな、申し訳ありません。

ムリナール
ムリナール

……まだなにか用か?

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

ムリナール様――

ムリナール
ムリナール

その呼び名はやめろ。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

ほかの者はあなた様を蔑むことができても、私たちにはできません。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

マーガレットが道を誤っても、彼女の妹はまだ年若い、それにニアール家は歴史と名声で敬意を得たわけではないのはあなた様もご存じのはず。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

あの自らをエリートと謳ってる商売人どもはその本質を理解していないからこそ、騎士たちの行いの数々に疑問を呈しているのです。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

それにあなた様が健やかであるところを見ただけでも、私としては安心できます。

ムリナール
ムリナール

……こんな有様を見てもか?お世辞は結構だ、騎士の旦那様。

ムリナール
ムリナール

もし本当に私のためとお思いなら、どうぞお帰り願いたい。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

ムリナール様。

“銀槍のペガサス”
“銀槍のペガサス”

どうか、あなた様に……いえ、ニアール家に最高の敬意を表することをお許しくださいませ。

ムリナール
ムリナール

……英雄の幕はすでに下りたのだ。

ムリナール
ムリナール

ただの一般的なカジミエーシュ人が、銀槍のペガサスから出た最高の敬意を受け持つことができると思うか?

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……奇妙な夜でしたね、ドクター様……

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

もうすぐ日の出でございます、すぐそちらへ駆けつけられず申し訳ありません、連合会にはいつも数々の仕事が舞い込んできますので……

ドクター
ドクター

あなたはゼロ号地のことをどうお思いですか?

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

それは……聞かなかったことにしてもよろしいでしょうか?

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

あなたは聡明なお方なのでご理解頂けるかと。

ドクター
ドクター

それは残念です。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……いいでしょう。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

あなたは……大騎士領がこのように感染者を扱うことを、合理的な措置だとお思いですか?

ドクター
ドクター

返事は結構です、お互いその答えを――妥協した答えを知っていますから。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

完璧で情のある選択を出せないのであれば、血腥い原始的な答えを選ぼうとしなければ、結果はそうなります。

ドクター
ドクター

それは合理的とは言えませんよ、マルキェヴィッチさん。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

ご存じでしょうか……もしカジミエーシュの歴史書などをお読みになったら、お気付きになるかと思います、我々の今ある社会がどういった“不合理”の上に成り立っているのかを。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

それかご存じないかと思いますが……夢魘がもたらした動乱でペガサスの国が転覆してしまい、そのあと騎士の国が成り立った後、一番最初に団結したのは従者たちでした。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

従者たちは騎士たちのために財産を運営し、土地を治めてきました、その後、彼らは再び手を取り合い、悪逆非道な大騎士たちを表舞台から引きずり下ろしたのです。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

では今はどうでしょうか?商業連合会は殺し屋組織と競技騎士を飼っている、そして飼われてる側はこの先ずっと抗おうと、権力の楔から逃れようとしている――

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……歴史は繰り返すものなのです、ドクター様。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

前任の代弁者も卑劣な事柄に手を染め、それでツケを払わされました。そして今、今度は私がその席に就かされ、力の限り仕事を全うしております。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

こういった物事は、あなたの道徳的な観点に合致しておりますか?はたして、“合理的”に見えますでしょうか?

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

どこからそれを知ったかは存じ上げませんが……あなたもすでに察してると思います。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

試合で重い怪我を負った者に、抑えられなくなるほど鉱石病が悪化した者に対して、連合会は……人道的な処置を施すことを選ばれました。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

これは不合理でしょうか?もちろん、私も“ノー”と言いたいところです。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

しかし私たちはこの先ずっとあの感染した患者たちを養わなければいけないのでしょうか?この不治の病を……

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

鉱石病が“治癒”されない限り、私たちは平和に共存することは不可能なのです。

ドクター
ドクター

生を必死に掴もうとする人々を“処置”することは、もはや殺害とも言えます。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……不合理と感じた人々を排除しきれたからこそ、合理的な歴史は作られてきたのです、幸い私はその点をようやく受け入れられましたが、そちらはまだ理解されていないのですか?

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

それはカジミエーシュへの挑発とも受け取れます……あまりおすすめはできません。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

確かにほかの方法もあるかもしれません、もしその方法をお探しなのであれば、私もお力添え致します。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

しかし今ではありません。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

昨晩の停電を引き起こした主犯は、感染者騎士です。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

もしも、もしもの話です、もしも停電によって交通事故を引き起こしてしまったら、もしくはご年配の方がつけてる呼吸器が止まってしまったら――

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

感染者を救うという立場のもとで、私たちはそんな悲劇に、目を逸らさなければいけないのでしょうか?

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

感染者の試合への出場が認められたことで、カジミエーシュの国民は全員がその負担を背負わされています――

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

そしてその負担はまさしく社会から生まれたものなのです、個人でも、特定の団体からでもなく、ドクター様。

ドクター
ドクター

・しかし今でも、感染者は絶えず亡くなっている、私たちはそれに目を逸らしています。
・あなたの言う通り、「ほかに方法があるかもしれません」。
・……

しかし今でも、感染者は絶えず亡くなっている、私たちはそれに目を逸らしています。あなたの言う通り、「ほかに方法があるかもしれません」。
……
代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

今この時でも、多くの一般人たちが病や天災を受けて、非業の死を遂げています、全員を救うことは不可能です。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

本当に申し訳ありません。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……ええ。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

もしなにかお考えでしたら……あなたならきっと成し遂げられると信じておりますよ。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

しかし私が今話したことも努々お忘れなきよう、ご年配が道路を渡る時の手助けのようにこの一件を軽々しく扱わないで頂きたいと思っております。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

ゼロ号地が抱えるいざこざはとても複雑なものですから。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……申し訳ありません、言葉が過ぎたかもしれません。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

そちらも落ち着いてお考え頂ければと思います、そうすれば双方ともにメリットが生じますので。

(グラベルが部屋に入ってくる)

グラベル
グラベル

……ドクター様。

グラベル
グラベル

あなたにお会いしたいという方が。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

……では私は失礼させて頂きます。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

誤解しないでくださいね……可能であれば、私はあなた方のほうに立ちたいと思っておりますので。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

ただ、無数ある“不合理”と“無力”の中から、最も可能性ある答えを導き出すことは、とても困難なことです。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

あなたの言う通り……今回の大停電、耀騎士、血騎士、これらの要素があの感染者騎士たちの抗う意志に火を点けたのかもしれません。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

事件が一通り収まるまで、どうかお互いとも……なるべく死傷を避けていきましょう。

代弁者マルキェヴィッチ
代弁者マルキェヴィッチ

 “善は報われる”と言いますが、今の時代において、もはやそれは自分から掴みに行かなければ実現しなくなりましたから。

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